メーカー人事への転職は難しい?転職の実情や転職事例を解説

製造業特有の労務管理や技術職採用、モノづくり文化を踏まえた制度設計など、メーカー人事には専門性と総合力の両方が求められます。
※本記事で扱う「メーカー」は、機械・自動車・半導体などの製造業に加え、消費財メーカーも含めた領域を指します。

一方で「他業界の人事経験は通用するのか」「メーカー人事は未経験では難しいのか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

近年は人的資本開示やジョブ型雇用への移行など経営課題と結びつく動きが進み、「経営に近い立場で人事の専門性を発揮したい」「メーカーの事業構造を理解した制度づくりに関わりたい」と考える方にとって、挑戦の機会が広がっています。

本記事では、メーカー人事への転職が難しい理由や転職の実情、年収水準や転職事例まで、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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メーカー人事への転職が難しい理由

メーカー人事への転職が難しい背景には、業界特有の知識や独自の人事制度設計が求められる事情があります。

他業界の人事経験をもつ方や、同じメーカー内で別職種に従事してきた方であっても、容易には適応しにくい領域が複数存在します。難易度の要因を3つの観点から整理します。

  • 安全衛生や交替制勤務など製造業特有の労務知識が求められるため
  • 技術職採用時に一定の製品や技術に関する知識が求められるため
  • モノづくりを尊重した人事制度の設計や運用が求められるため

安全衛生や交替制勤務など製造業特有の労務知識が求められるため

メーカー人事に求められる労務知識は、他業界の人事や同じメーカー内の他職種では培いにくい専門領域です。

工場で働く方々を多数抱える事業構造のため、労働安全衛生法や36協定への深い理解が前提となります。IT業界や金融業界の人事では扱う機会が少なく、ここに最初のギャップが生まれます。

交替制勤務のシフト設計、深夜勤務手当の計算、労災発生時の初動対応など、製造部門ならではの知識が問われるケースは少なくありません。同じメーカー内でも、技術職や営業職とは異なる視点で従業員と向き合う必要があり、人事ならではの専門性が要求されます。

他業界からの転職者がこうした労務管理を一から学ぶには時間がかかり、選考でも経験値の差が結果に表れやすくなります。

技術職採用時に一定の製品や技術に関する知識が求められるため

メーカーの人事では技術者採用が大きな比重を占めるため、製品や技術に対する一定の理解が欠かせません。

機械、電気、化学、素材など扱う技術領域に加え、消費財では製品仕様や品質設計なども含まれ、転職希望者の研究テーマや開発内容を読み解く力がなければ、適切な見極めや配属判断にはつながりません。

サービス業や流通業の人事との違いはここに表れます。営業や事務の採用なら業務イメージを共有しやすい一方、技術職採用では設計、生産技術、品質保証といった分野ごとの違いを理解しておく必要があります。

同じメーカー内でも、エンジニアが自身の専門領域を深く掘り下げれば足りるのに対し、人事は複数の技術領域を横断的に理解しなければなりません。製品戦略や技術ロードマップを踏まえた採用計画を組み立てる役割でもあり、表面的な理解だけでは判断を誤りかねない仕事といえます。

モノづくりを尊重した人事制度の設計や運用が求められるため

メーカーの人事制度には、モノづくり文化を反映した独自の設計思想があり、その理解と運用には専門性が求められます。

長期雇用や技能伝承を前提とした評価制度、多能工化を促す配置施策、職人気質を尊重した処遇など、サービス業やIT業界の人事制度とは前提が異なります。短期成果中心の評価軸では、部門のモチベーションや組織文化と齟齬が生まれやすくなります。

近年は人手不足やデジタル化を背景に、伝統的なメーカー文化と新しい人事潮流をどう両立させるかが課題となっています。ジョブ型雇用やリスキリングを導入する場面でも、現場感覚を踏まえた制度設計が欠かせません。

同じメーカー内でも、この役割を担えるのは人事部門に限られます。他業界出身の未経験者にとって難易度の高い領域といえるでしょう。

メーカー人事の最新転職・求人情報

メーカー人事の求人は、DX推進や働き方改革を背景に、求められる役割が多様化しています。具体的には、本社の人事企画から工場での労務管理、グローバル人事、HRBP、人事データの分析・システム運用まで、職務領域が広がっています。

化学、機械、半導体、機械部品といった業種から幅広く求人が出ており、勤務地も東京や大阪などの都市部から、工場が立地する福岡・佐賀などの地方拠点まで地域差があります。年収レンジは部門担当の500万円台からマネージャークラスの1,250万円までと幅広く、ポジションの責任範囲によって水準が異なります。

近年は、人事制度改革やキャリア採用強化を掲げる企業が増え、上場メーカーを中心に人事マネージャーや採用責任者クラスのポジションが目立ちます。一方で未経験者を歓迎する企業も一部にあり、人事領域でキャリアを広げたい方には選択肢の多い状況といえます。

ここからは、メーカー人事に関する最新求人・転職情報を紹介します。

なお、JACでは、ハイクラス求人を中心に、非公開求人も多数取り扱っています。本記事で紹介している求人は、JACがお預かりしている求人の一部です。非公開求人も含めメーカー人事の求人紹介を受けたい方は、ぜひJACにご相談ください。転職支援のプロであるコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて適性や希望に沿う求人を紹介いたします。

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メーカー人事への転職の実情

メーカーの人事職への転職の実情を見ると、経験者・未経験者ともに多様なバックグラウンドから採用が進んでいる現状があります。

経験の有無、年代、職位の3つの観点から、JACの転職実績データに基づきメーカー人事への転職市場の傾向を整理します。

  • メーカー人事転職者の44.7%がメーカー人事経験者
  • 50代以上を中心に幅広い年代がメーカー人事に転職
  • メーカー人事に転職した人の41.1%が管理職

メーカー人事転職者の44.7%がメーカー人事経験者

メーカー人事への転職者のうち、メーカー業界と人事職の両方を経験している方は44.7%です。

残り半数以上は、いずれか一方もしくは両方とも未経験から挑戦しているのが実情です。経験パターンを分解するため、メーカー経験者の経験職種と、人事経験者の出身業種を見ていきます。

【メーカー人事への転職者でメーカー経験がある人の経験職種ランキング】

順位経験職種割合
1位人事労務96.4%
2位総務・広報12.9%
3位営業5.7%
4位購買・物流・生産管理1.4%

※複数職種経験のため合計は100%を超えます
※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

【メーカー人事への転職者で人事経験がある人の経験業種ランキング】

順位経験業種割合
1位製造業34.9%
2位サービス18.3%
3位消費財15.8%
4位IT・通信11.9%
5位メディカル・バイオ8.6%
6位コンサルティング・シンクタンク7.2%
7位商社6.8%

※複数業種経験のため合計は100%を超えます
※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

メーカー出身者の経験職種は人事労務がほぼ全員(96.4%)を占めており、業界内で人事の専門性を積み重ねてきた方が中心です。総務・広報や営業を併せて経験する方もおり、人事と他職能を横断する経歴も一定数見られます。

人事経験者の出身業種は、製造業出身が34.9%で最多です。消費財(15.8%)を含めるとメーカー出身は約50%となる一方、半数は他業界出身であり、業界を問わず人事経験が評価されていることが分かります。

両方の経験をもたない方も13.6%で、メーカー人事の経験者に限定された領域ではありません。

50代以上を中心に幅広い年代がメーカー人事に転職

メーカー人事への転職者は50代以上が25.6%で最多となり、20代後半から50代以上まで全年代にわたって採用が広がっています。

【メーカー人事への転職者の年代分布】

年代割合
20代後半9.6%
30代前半18.6%
30代後半14.3%
40代前半17.9%
40代後半14.0%
50代以上25.6%

※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

50代以上が4分の1を占める背景には、人事制度設計や労務マネジメントの責任ポジションを担うベテラン層への需要があります。30代前半(18.6%)と40代前半(17.9%)も上位を占めており、リーダー候補や課長クラスとして即戦力採用される年代です。

20代後半も9.6%を占めており、若手段階で人事専門性を高めたい方への門戸も開かれているといえます。30代後半(14.3%)や40代後半(14.0%)もそれぞれ一定数あり、メーカー人事は特定の世代に偏ることなく、経験段階に応じた採用が行われている職務領域です。

メーカー人事に転職した人の41.1%が管理職

メーカー人事への転職者のうち、課長以上の管理職クラスは41.1%を占めます。スタッフレベルからマネージャークラスまで幅広いポジションでの採用が見られます。

【メーカー人事への転職者の職位分布】

職位割合
課長未満58.9%
課長以上30.5%
部長以上10.6%

※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

課長以上が4割を超える背景には、メーカーの人事部門が制度設計やHRBPなどの責任業務を経験者に任せたい意向があります。部長以上も10.6%にのぼり、人事部門の中核を担うリーダー層への需要も継続的に見られます。社内育成だけでは補いきれない専門性を外部から取り入れたい意図がうかがえます。

課長未満が約6割を占めている点も特筆すべきです。経験を積みながら昇進を目指す方にも、即戦力としてマネジメントを担う方にも、それぞれ門戸が開かれているといえます。

メーカー人事へ転職した方の想定平均年収は809.4万円

メーカー人事への転職者の想定平均年収は809.4万円で、人事職全体および職種比較のなかで中位の水準に位置します。業種別と職種別の2つの角度から、メーカー人事の年収水準を整理します。

【人事の業種別の平均年収】

業種平均年収
メーカー(製造業・消費財)809.4万円
メディカル・バイオ897.9万円
医療・介護・福祉830.5万円
WEB828.7万円
金融811.1万円
製造業810.2万円
消費財804.8万円
建設・不動産785.3万円
IT・通信783.1万円
コンサルティング・シンクタンク777.2万円
流通776.0万円
商社776.0万円
サービス695.0万円
マスコミ658.6万円

※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

【メーカーの職種別の平均年収】

職種平均年収
人事・労務809.4万円
金融1,066.5万円
経営・事業企画1,010.3万円
内部統制・監査932.2万円
法務・知財928.9万円
コンサルティング・アドバイザリー902.8万円
経理・財務867.4万円
WEB・アプリ・ゲーム837.2万円
IT836.9万円
土木系821.5万円
総務・広報802.4万円
技術系787.1万円
その他786.9万円
営業782.6万円
メディカル・バイオ775.0万円
マーケティング・商品開発762.5万円
購買・物流・生産管理746.4万円
建築系714.8万円
クリエイティブ(広告・デザイン・放送関連)657.5万円
秘書・アシスタント・事務・顧客対応576.8万円
医療・介護・福祉543.0万円

※JACの転職実績データをもとに作成(2025年1月〜2026年4月)

業種比較で見ると、メーカー人事(809.4万円)は中位に位置します。最高水準のメディカル・バイオ(897.9万円)とは90万円弱の差で、800万円台に並ぶ業種群のなかに収まっています。サービスやマスコミは700万円を下回っており、業種ごとの水準差は決して小さくありません。

メーカー内で他職種と比較すると、人事・労務(809.4万円)は金融や経営・事業企画といった高単価職種には及びません。一方で技術系(787.1万円)や営業(782.6万円)を上回り、コーポレート専門職のなかでは経理・財務や法務・知財に次ぐ位置にあります。製造業の主役と捉えられがちな技術系よりも、人事の方が高い水準にある点は注目に値します。

人事スキルは業種を問わず評価されており、メーカー内でもコーポレート専門職として相応の処遇を受けている職種です。年収面の安定性を重視する方にとって、メーカー人事は有力な選択肢といえます。

メーカー人事の転職事例

ここでは、JACが提供する転職支援サービスを通じて、メーカー人事への転職を成功させた事例を紹介します。

産業機械メーカーで採用・定着支援を担う人事へ転職した事例

Sさん(30代前半/男性)

業種職種年収
転職前鉄道車両メーカー人事・厚生650万円
転職後産業機械メーカー人事(リクルーティング)800万円

Sさんは、鉄道車両メーカーで複数の職務を経験しながらキャリアを積み重ねてきた方です。製造部門の実務から始まり、業界顧客への法人営業、さらに経営企画部門での事業計画策定やコスト戦略の立案に至るまで、幅広い領域を担ってこられました。

Sさんが転職活動を始めた背景には人事の専門性をより深めたいという思いがありました。複数の領域を横断するなかで人事への適性と関心を強く感じ、社外に新たな挑戦の場を求めていらっしゃいました。

JACのコンサルタントは、Sさんが製造業の事業構造と現場感覚を深く理解しており、経営企画で培った戦略的視座と人事領域の経験を兼ね備えている点に着目しました。複合的な背景は、採用広報やオンボーディングを通じて社内外に企業の魅力を発信する役割と高い親和性があると判断し、産業機械メーカーで採用・定着支援に特化した人事ポジションをご提案しました。

幅広い職務経験を背景にもつ方が、メーカー業界に留まりながら人事領域に専門性を集中させる転機をつかんだ事例です。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

コンサルから総合エレクトロニクスメーカーの人事制度企画へ転職した事例

Dさん(20代後半/女性)

業種職種年収
転職前コンサルティングファーム 人事コンサルタント800万円
転職後総合エレクトロニクスメーカー人事制度企画1,000万円

Dさんは、新卒で外資系大手コンサルティングファームに入社し、組織人事コンサルタントとして経験を重ねてきた方です。人事制度の設計・運用から人的資本開示プロジェクト、人事システム導入や育成施策の策定まで、組織人事領域の幅広いテーマを担ってこられました。特に評価運用や等級定義の策定ではクライアントの課題解決に貢献し、社内でも高く評価されてきました。

Dさんがコンサルから事業会社の人事へ転職活動を始められた背景には、提案の先にあるクライアントの実際の運用や従業員の反応まで踏み込みづらい点への物足りなさがありました。制度の企画から運用までを社内で一貫して担える環境を求めて、事業会社の人事への移行を希望されていました。

JACのコンサルタントは、Dさんが組織人事コンサルとして培ってきた制度設計の経験と、評価・等級制度の領域における専門性に着目しました。事業会社で制度の企画から運用、定着までを一貫して担える環境を希望されていた点を踏まえ、総合エレクトロニクスメーカーで報酬・労務・等級制度の企画・運用を担うポジションをご提案しました。

コンサルとして培った制度設計の専門性を、事業会社の人事として実装まで関われる新たな立場へ展開した事例といえます。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

外資系ラグジュアリーアパレルメーカーの人事部長へ転職した事例

Iさん(50代前半/男性)

業種職種年収
転職前アパレルメーカー人事部長1,100万円
転職後外資系ラグジュアリーブランド人事部 ジェネラルマネージャー1,250万円

Iさんは社労士資格をもち、人事領域で長年キャリアを積み上げてきた方です。営業職からスタートし、労務系の専門事務所を経て人事領域の専門サービス会社で長く経験を重ねられました。その後マネージャーとして新たな制度構築や事業再編に伴う手続きにも携わり、転職前はアパレルメーカーで人事部長として経営に近い立場から人事制度企画を中心に担われていました。

Iさんが転職活動を開始されたのは、業界の先行きや会社の体制に懸念を抱かれたことがきっかけでした。これまで磨いてきた人事の専門性をさらに発揮できる環境を求めて、新たな機会を探されていました。

JACのコンサルタントは、Iさんが社労士資格を背景に積み重ねてきた制度企画と労務管理の専門性、そして大規模組織でマネジメントを担ってきた経験に着目しました。経営に近い立場で人事責任者としての裁量を発揮でき、グローバル基準のマネジメントが求められる環境がフィットすると判断し、外資系ラグジュアリーアパレルメーカーで人事部長候補のポジションをご提案しました。

国内アパレル業界で重ねた人事マネジメントの経験を、外資系企業のフィールドで展開していくキャリアの転換となった事例です。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

メーカー人事への転職なら、JAC Recruitment

メーカー人事は、労務管理や技術職採用、モノづくり文化を踏まえた人事制度設計など、他業界の人事経験だけでは補いにくい専門性が求められる職務領域です。

人的資本開示やジョブ型雇用といった経営課題と人事戦略が結びつく場面も増え、求人要件は多様化しています。メーカー人事への転職を成功させるには、メーカーの事業構造と人事潮流の双方を理解したコンサルタントの支援が欠かせません。

JACには、メーカー領域の採用ニーズやポジション要件に精通したコンサルタントが在籍しています。転職支援の実績をもとに、応募者の経歴や希望を丁寧にヒアリングし、制度企画や労務、採用といった領域ごとの強みを評価したうえで求人をご紹介します。

メーカー人事への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

編集部

当サイトを運営する、JACの編集部です。日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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