人事の転職事情

人事は高度な専門性が求められる一方で、企業規模や成長フェーズを問わず欠かせない存在です。採用や労務といった基盤業務に加え、近年は組織づくりや人材戦略を通じ、より経営に近い役割を担う機会も増えています。

本記事では、JAC Recruitment(以下、JAC)が、人事の転職市場動向や最新求人情報に加え、未経験からの転職難易度、年代別・企業規模別に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。

管理職・スペシャリスト転職をお考えの方へ
JAC Recruitmentは、ハイクラス転職に特化した転職エージェントです。業界・領域に強い専門コンサルタントが、解像度の高い情報を提供し、あなたの転職をサポートします。

人事の転職市場動向

日系大手企業やグローバル展開を進める中堅企業を中心に、人事経験者への需要は安定しています。ただし評価されやすいのは、制度企画や組織課題の解決に主体的に関わってきた実績です。等級・評価・報酬制度の見直し、タレントマネジメントの経験、HRBPとして事業部門と向き合った経験は、転職市場で強みとして評価されやすい領域といえます。

近年は育成や配置について、社内外への説明を求める企業が増えています。そのため、データや現場の状況をもとに課題を整理し、育成施策や配置方針へつなげてきた経験者への期待が高まっています。人事として「なぜその判断をしたのか」を説明できるかどうかが評価の分かれ目になっています。

今後は人事制度を整える段階から、運用の改善を重ねて成果を示す段階へと重心が移っていくでしょう。経営や事業の動向を理解したうえで人事施策を実行できる方は、転職市場でも安定した採用需要が見込まれます。

人事は「転職しやすい」職種か「転職が難しい」職種か

人事は、どの企業にも必要な機能である点から、比較的転職しやすい職種といえます。その理由は、採用、労務管理、人事制度運用の基本的な業務は業界を問わず共通項が多いという点です。特に採用実務や労務対応など、汎用性の高い領域の経験者は、企業規模や業種に左右されず、幅広い企業で活躍の場が選べる状況です。

一方で、転職が難しい側面もあります。その背景にあるのは、企業ごとの人事戦略や組織課題との適合度が強く問われる点です。制度企画や評価・報酬設計、HRBPといった領域では、どのような課題認識をもち、どの範囲まで主体的に関与してきたかが細かく見られます。そのため、経験の棚卸しが不十分な場合、自身の強みを伝えきれず難易度が高く感じられることもあるのです。

さらに、人事は単なる欠員補充ではなく、「この方に業務を託したい」といった視点で選考される傾向が強い職種です。即戦力性や再現性への期待が高く、業務内容の言語化や成果説明ができるかどうかで評価が分かれます。このように、人事は汎用性の高さから転職しやすい一方で、経験の深さや整理の仕方によって難易度が大きく変わる職種といえるでしょう。

人事の最新転職・求人情報

人事の求人は、業務領域や企業フェーズごとに幅広く展開されています。直近では、給与・労務などのオペレーション領域のスペシャリストを求める日系企業の求人に加え、採用や人事企画を中心に担うポジションへの求人も安定して見られます。

特に、人事制度の運用や見直しに携わってきた経験や、採用を軸に組織拡大を支えてきた実績を備えた方は、企業規模を問わず選択肢が広がりやすい状況です。

一方、管理職・マネージャークラスでは、実務理解に加え、部門横断で組織全体を捉える視点が求められます。制度設計やマネジメント、経営層との協働経験が評価の軸となります。加えて、大手企業では労務・給与を中心とした正確性と、安定運用を担うスペシャリストへのニーズも続いています。

JACでは、多数の人事職の求人をお預かりしております。ここではその一部をご紹介します。

エスケー化研株式会社:【人事 採用メイン】~国内No1シェアの建築用塗料メーカー~

非公開:人事部 (管理職候補 / 人事制度)

株式会社長谷工コーポレーション:人事管理(給与計算・社保) ~マンションのトップメーカー プライム上場~

人事〈大手インフラグループ会社/国の指定検査機関〉※フレックス制・転勤無※:人事〈採用/労務〉

外資美容医療機器:人事総務部マネージャー

なお、ここで紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが保有する求人の多くは非公開となっており、公開情報には掲載されないポジションも多数あります。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

※募集が終了している場合もございます。あらかじめご了承ください。(2026年4月時点)

未経験から人事への転職は難しいのか

未経験から人事を目指す場合、転職の難易度は高めですが、進め方次第で十分に実現可能です。また、職種経験の有無や企業規模との親和性によって、取るべき戦略は大きく異なります。

  • 職種未経験の場合は現職で異動を試み経験してから転職が現実的
  • 人事経験者は異業界転職は可能だが、経験のある規模への転職が一般的

職種未経験の場合は現職で異動を試み経験してから転職が現実的

人事職未経験の場合、外部転職でいきなり人事ポジションに就くことは簡単ではありません。特に中堅以上の企業では、人事には即戦力性が求められるため、職種未経験者の外部採用は限定的です。採用・労務・制度運用は専門性が高く、未経験者に再現性を求めにくいのです。

そのため、現実的な選択肢としては、まず現職で人事部門への異動を試みることが有効です。営業や企画、管理部門に在籍している場合でも、採用プロジェクトへの参画や評価制度改定の支援など、人事業務に近い経験を積める場面はあります。こうした経験を通じて、人事の業務理解と実績を積むことで、その後の転職時に評価されやすくなります。

特に現場部門との調整や数値管理、プロジェクト推進を担ってきた経験は、人事でも応用できます。いきなり転職で人事を目指すよりも、社内で実務に触れたうえでキャリアを切り替える方が、結果として選択肢は広がりやすくなります。

人事経験者は異業界転職は可能だが、経験のある規模への転職が一般的

一方で人事経験がある方であれば、異業界への転職は十分に可能です。ただし、企業規模を大きく変える転職は、慎重に見られる傾向です。中小企業と大手企業では、人事制度の複雑さや関与範囲、意思決定のスピードが大きく異なります。そのため、経験してきた企業規模に近い環境への転職の方が、再現性を説明しやすく、選考も進みやすいといえます。

企業規模をまたぐ転職が成立するケースでは、制度企画や全社プロジェクトに関わるなど、運用以外にも経験していることが共通しています。人事転職では、どの企業規模で経験が生かしやすいかを整理したうえで進めることが重要です。

人事への転職で求められる経験・スキル・マインド・資格

人事への転職では、どの領域でどのような役割を果たしてきたかが重視されます。特に近年は、制度理解の深さに加えて、事業や経営と結び付けて考えられるかどうかが評価の分かれ目になっています。

  • 先進的な人事制度や役員報酬制度の専門知識・取り組み経験
  • イノベーティブな人事戦略の提案能力
  • プロアクティブにビジネスへ関与する姿勢
  • TOEIC・社会保険労務士

先進的な人事制度や役員報酬制度の専門知識・取り組み経験

人事転職において高く評価されやすいのが、人事制度や報酬制度に関する専門的な知識と、それを実際に扱ってきた経験です。等級・評価・報酬制度は、企業の価値観や経営方針を反映する重要な仕組みであり、設計や見直しには高い理解力と慎重な判断が求められます。近年は、役割・成果を軸にした制度設計や役員報酬の透明性の強化が進んでおり、これらに関わった経験は転職市場で高く評価されます。

また、制度改定の背景を理解し、現場調整を経て運用に反映してきた実績も、高く評価される要素です。経営層や各部門と議論を重ね、制度が組織に与える影響を考慮しながら進めてきた経験がある方は、その再現性を説明しやすくなります。特に大手企業や上場企業では、制度の複雑さが増す分、こうした経験を積んでいる方への期待が高まっています。

イノベーティブな人事戦略の提案能力

近年の人事に求められる役割は、制度を守ることから組織を前に進めることへと領域が広がっています。そこで重要になるのが、従来の枠にとらわれず、人事の視点から新しい打ち手を考え、提案できる力です。採用手法の見直しや育成体系の再構築、配置の最適化など、人事が関与できるテーマは多岐にわたります。

こうした提案力とは、突飛なアイデアを出すことではありません。現場の課題や経営の方向性を踏まえたうえで、人事として何ができるかを整理し、実行可能な形で示すことが求められます。例えば、従業員のデータや過去の施策結果をもとに課題を整理し、改善案を提示するなどの経験は、評価につながりやすいでしょう。人事戦略を自分自身の課題として捉え、組織にとって意味のある提案ができるかどうかが、選考でも問われるポイントです。

プロアクティブにビジネスへ関与する姿勢

近年特に求められるのが、事業や組織の動きを主体的に理解しにいく姿勢です。人事は間接部門ではありますが、採用や配置、評価を通じて事業成果に影響を与える立場にあります。そのため、事業側の状況を理解し、先回りして動けるかどうかが評価に直結します。指示を待つのではなく、必要なことを探し自ら改善してきた経験とその姿勢が、人事としての信頼につながります。特に、HRBPや企画寄りのポジションでは、このプロアクティブさが欠かせない要素といえるでしょう。

TOEIC・社会保険労務士

資格やスコアは、必須条件ではありません。しかし、役割によっては評価を高める材料になります。例えばグローバル人事を担うポジションでは、英語でのコミュニケーションが前提となるため、TOEICのスコアや実務での使用経験が、プラスの判断材料になることがあります。その場合、語学力そのものよりも、海外拠点や外国籍の方と円滑にやり取りできるかが重要です。

また、労務や制度運用を軸にキャリアを築く場合、社会保険労務士の資格は、専門性を示す指標として有効です。法改正への対応や労務リスク管理が求められる企業では、知識の裏付けとして評価される場面もあります。ただし、資格だけで評価が決まるわけではなく、大切なのは、あくまでも実務経験と組み合わせて語れるかどうかです。よって、資格は強みを補強する要素として位置付けるとよいでしょう。

人事へ転職した場合の想定平均年収は786.7万円

人事は、専門性と経験の積み重ねが年収に反映されやすい職種です。JACが取り扱う求人データをもとに算出した人事職全体の想定平均年収は、786.7万円となっています。採用や労務といった基礎領域に加え、制度企画やマネジメント経験を積むことで、年収レンジが段階的に上がっていく傾向が見られます。

年代平均年収
20代後半587.6万円
30代前半660.9万円
30代後半754.9万円
40代前半828.8万円
40代後半836.9万円

年代別に見ると、20代後半で587.6万円、30代前半で660.9万円、30代後半では754.9万円と着実に上昇し、40代に入ると800万円台に乗ります。一定のペースで上昇していく傾向です。これは、経験年数とともに人事として任される範囲が広がり、専門性や判断力が評価されやすくなるためと考えられます。

役職平均年収
課長未満670.5万円
課長以上894.6万円
部長以上1073.1万円
本部長以上1403.7万円

役職別に見ると年収差はより明確です。課長未満では670.5万円ですが、課長以上になると894.6万円、部長以上で1073.1万円、本部長以上では1403.7万円と大きく伸びます。人事は管理職になることで、制度決定や組織運営への関与度が高まり、その責任の重さが年収に反映されやすい職種といえます。

企業属性平均年収
日系773.3万円
外資896.7万円

また、企業属性による差も確認できます。日系企業の平均は773.3万円であるのに対し、外資系企業では896.7万円と、外資系の方が高い水準です。外資系では英語を用いた業務やグローバル基準での人事対応が求められるケースが多く、その期待値が年収に反映されていると考えられます。

【年代別】人事転職のポイント

人事転職では、年代ごとに企業が期待する役割や評価軸が明確に異なります。年齢そのものではなく、その年代で何を担ってきたか、次に何を任せられるかが判断材料になります。

  • 20代の人事転職のポイント
  • 30代の人事転職のポイント
  • 40代の人事転職のポイント
  • 50代の人事転職のポイント

20代の人事転職のポイント

20代の人事転職では、即戦力よりも伸びしろと基礎力が重視されます。人事経験の有無にかかわらず、文書作成力や数値への意識、周囲と協働する姿勢といった社会人としての土台が評価の中心です。

人事未経験の場合は、採用補助やプロジェクト支援など、人事に近い業務経験をどのように積んできたかが重要になります。経験の浅さを補うためには、業務内容を簡潔に整理し、理解力や吸収力を具体的に伝えることが欠かせません。

30代の人事転職のポイント

30代では、人事として何を任されてきたかが明確に問われます。採用、労務、制度運用など、担当領域と役割の深さが評価の軸です。改善提案や関係者調整にどこまで関与してきたかが重要になります。

また、企業側は将来の中核人事を見据えて採用するため、自身の強みを生かし、どの領域で貢献できるかを具体的に示さなければなりません。再現性のある経験を説明できるかが分かれ目といえるでしょう。

40代の人事転職のポイント

40代では専門性に加え、マネジメント視点が重視されます。制度企画や組織課題への対応など、判断をともなう経験を積んできたかが評価のポイントです。プレイヤーとしての実績に加え、部下育成や部門運営にどう関わってきたかも見られます。企業規模や組織フェーズとの相性も重要になるため、自身の経験がどの環境で生かせるのかを整理して伝えることが必要です。

50代の人事転職のポイント

50代の人事転職では、豊富な経験をどのように組織へ還元できるかが焦点になります。特に、特定領域での深い知見や、制度運用を安定させてきた実績は評価されやすい要素です。

一方で、過去の成功体験に固執せず、環境変化に柔軟に対応できるかどうかを問われるのは、この世代だからこそといえるでしょう。後進育成や組織全体を見渡す視点を示せるかどうかが、採用判断に大きく影響します。

【企業規模・段階別】人事転職のポイント

人事転職では、企業規模や成長段階によって評価される経験や期待役割が異なります。同じ人事経験であっても、どの環境で生かせるかを整理して伝えることが、選考を進めるうえで重要です。

  • 大手上場企業の人事転職のポイント
  • 外資系企業の人事転職のポイント
  • IPO準備中企業の人事転職のポイント
  • ベンチャー企業の人事転職のポイント

大手上場企業の人事転職のポイント

大手上場企業では、人事業務が細分化されているため、特定領域での経験の深さが重視されます。新卒採用や労務、制度運用など、担当領域で何を担い、どのような成果につなげてきたかを具体的に示せる方が評価されやすい傾向です。

また、制度やルールが整備されている環境では、正確性や再現性が重要になります。過去の実績に加え、既存制度を前提にどのような改善提案ができるかを伝えられるかがポイントになります。

外資系企業の人事転職のポイント

外資系企業では、スピード感と自律性が重視されます。グローバル方針を理解し、日本拠点の実情に合わせて対応した経験は高く評価されます。重視されるのは、英語力そのものよりも、海外拠点・外国籍社員との協働経験や調整力です。職務範囲が明確な環境のため、自身の責任領域を理解し、主体的に判断・行動した経験が評価のポイントになります。

IPO準備中企業の人事転職のポイント

IPO準備中の企業では、人事制度や労務体制を整える役割が期待されます。上場を見据えた制度設計や運用経験、社内ルールの整備に関わってきた方は評価されやすいでしょう。未整備な環境で課題を整理し、関係者と調整しながら形にしたなどの経験が重要視されます。必要な仕組みを考え、段階的に整えてきた背景を伝えられるかがポイントです。

ベンチャー企業の人事転職のポイント

ベンチャー企業で重視されるのは、柔軟性と対応力です。採用や労務、制度対応などを横断的に担ってきた経験がある方は、即戦力として期待されやすいでしょう。人事専任が少ない環境では、自ら優先順位を判断し、必要な業務を拾い上げる姿勢が高く評価されます。変化の多い状況を前向きに捉え、組織の成長に合わせて役割を広げてきた経験を具体的に伝えることが重要です。

人事の転職を成功させるために選考で意識したいこと

人事転職では、経験年数や担当領域以上に「どのように評価されたいか」を意識した伝え方が重要です。年代や立場によって企業が見ているポイントは異なるため、選考では自分の強みを相手の期待に合わせて整理する必要があります。

  • 若手層は自らの意欲と入社後の活躍を強調する
  • ミドル層は経験と実績を具体的に可視化する
  • 先進的プロジェクトへの参加経験をアピールする

若手層は自らの意欲と入社後の活躍を強調する

若手層の人事転職では、即戦力性よりも吸収力や主体性、組織への適応力を見られます。そのため、職務経歴書や面接では「何をやってきたか」だけでなく「なぜその業務に取り組んだのか」「どのような工夫をしたのか」を具体的に伝えることが重要です。

例えば、採用補助や人事関連プロジェクトに関わった経験があれば、自ら課題を見つけて行動した点を強調すると評価につながります。また、語学力や専門知識などを継続的に学んでいる姿勢、将来的にどの領域で貢献したいかなどを明確に示せれば、前向きに受け取られるケースが多いでしょう。若手層に求められるのは完成度ではなく、入社後に伸びるイメージです。

ミドル層は経験と実績を具体的に可視化する

ミドル層の人事転職では、即戦力としての再現性が強く問われます。そのため、選考では経験や実績を具体的に示すことが欠かせません。採用、労務、制度運用などの領域で、どの範囲を担い、どのような成果につなげたのかを整理して伝える必要があります。

特に評価されやすいのは、経験した改善前後の変化を語ることです。採用プロセスの見直しや制度改定に関わった場合、背景となる課題、取った行動、その結果を順序立てて説明すると、貢献度が伝わりやすくなります。また、関係部署や経営層との調整にどの程度関与したのかも重要なポイントです。意思決定にどのように関わってきたかを示すことで、任せられる範囲の広さを伝えられます。

先進的プロジェクトへの参加経験をアピールする

人事の転職では、変化をともなう取り組みに関わった経験が強みになります。制度改定や組織再編、グローバル対応など、正解が一つではないテーマにどのように向き合ったかに、企業は注目しています。成果を数値で示しにくい場合でも、背景や意思決定のプロセスを丁寧に説明することで評価につながります。

例えば、ジョブ型制度の導入や評価基準の見直しに関わった経験があれば、どのような課題があり、どの点に配慮して進めたのかを具体的に語ることが重要です。また、海外拠点との制度調整や、異なる価値観をもつ関係者との協働経験も、人事としての対応力を示す材料になります。

こうした経験は「組織全体にどのような影響を与えたのか」という視点で整理すると、選考での説得力が高まります。

人事の転職で後悔を避けるために確認しておきたいこと

人事の転職では、条件面だけで判断すると入社後にギャップを感じやすくなります。業務内容や組織の考え方を事前に確認し、自身の志向と合致しているかを見極めることが重要です。

  • 人事業務の中でも希望分野をどの程度担当できるか
  • 企業の風土・カルチャーと自身の価値観が一致するか
  • 企業・組織の成長フェーズと自身の強み・志向性が適合するか

人事業務の中でも希望分野をどの程度担当できるか

人事と一口にいっても、採用、労務、制度企画、育成など担当領域は、企業によって大きく異なります。求人票上では幅広く記載されていても、実際には特定分野に固定されるケースも少なくありません。希望分野をどの程度担えるのかを確認せずに転職すると、想定と異なる業務が中心になり、後悔につながる可能性があります。

これまでの経験をどの領域で生かしたいのかを整理し、入社後の役割を具体的に把握しておくことが重要です。

企業の風土・カルチャーと自身の価値観が一致するか

人事は経営や現場と密接に関わるため、企業風土や価値観との相性が、仕事の進めやすさに直結します。例えばトップダウンで意思決定が進む環境と、合意形成を重視する環境では、人事に求められる立ち回りは異なります。このような点を確認せずに転職すると、やり方の違いに戸惑い、力を発揮しにくくなることがあるでしょう。

評価制度や意思決定の流れを事前に把握し、自身の考え方と合っているかを見極めることが、後悔を避けるポイントです。

企業・組織の成長フェーズと自身の強み・志向性が適合するか

企業の成長段階によって、人事に求められる役割は変わります。制度が整った企業では運用や改善が重視され、成長途中の企業では仕組みづくりが求められます。自身の強みがどのフェーズで生きるのかを確認せずに転職すると、期待される役割とのずれが生じやすくなります。

これまでの経験で発揮してきた価値と、企業が置かれている状況が合致しているかを見極めることが重要です。

人事の転職事例

ここでは、JACの提供する転職支援サービスを利用して、人事への転職を成功させた事例を紹介します。

20代で日系企業から外資系企業の人事へ転職した事例

Sさん(男性/20代)

業種職種年収
転職前日系企業セールス非公開
転職後外資系企業人事非公開

日系企業で営業職としてキャリアをスタートしたSさんは、業務に向き合う中で「専門性をもって長くキャリアを築きたい」という思いを強めました。その後、社内異動により人事部門へ移り、主に採用領域で経験を積みました。採用活動の推進役として一定の成果を上げる一方で、制度や労務など幅広い人事領域にも携わりたいという意向が明確になりましたが、現職では役割の拡張が難しい状況でした。

転職を検討するにあたり、Sさんは自身の将来像を整理し、グローバルな環境で人事制度に関わる経験を積みたいと考えるようになりました。そこでJACのコンサルタントは、これまでの採用経験に加え、英語学習への継続的な取り組みや志向性に着目。そのうえで、外資系企業の人事ポジションの中から、採用を軸にしつつ中長期的に領域を広げられる環境を提案したのです。

選考に向けては、職務経歴の整理や英語でのレジュメ作成を支援し、企業側が重視するポイントを踏まえた準備を行いました。その結果、Sさんは大手外資系企業の人事部門へ転職し、現在は採用業務のリーダーとして活躍しています。年収面も向上し、将来的には採用以外の領域を統括する役割を視野に入れています。本事例は、キャリアの軸を明確にし、環境を選ぶことで専門性を段階的に高めた好例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

30代で英語力を武器に異業種の人事へ転職した事例

Iさん(男性/30代後半)

業種職種年収
転職前日系医療メーカー人事950万円
転職後日系化学メーカー人事(管理職候補)1,150万円

Iさんは、日系医療メーカーにて人事としてキャリアを築き、グローバル人事やタレントマネジメントを中心に経験を積んできました。外国籍の方と協働する環境で、英語を用いたコミュニケーションやグローバルポリシー策定にも携わり、人事としての専門性を高めてきた一方で、経営方針や人の育成に対する考え方に違和感を覚えるようになり、転職を検討し始めました。

転職にあたってIさんが重視したのは、英語力を生かせることに加え、社員を大切にする企業文化のもとで中長期的にキャリアを築けるという環境でした。JACのコンサルタントは、Iさんの複数業界での人事経験とグローバル対応力に着目し、異業種であっても人事としての再現性が高いと判断しました。そのうえで、グローバル展開を進める日系化学メーカーの人事ポジションを提案しています。

選考では、タレントマネジメントや組織開発に関する具体的な取り組みを整理し、企業が抱える課題とどのように接続できるかを丁寧に言語化。その結果、管理職候補としての期待を受け、年収は950万円から1,150万円へと約200万円向上しています。

現在Iさんは、人事として組織開発や育成の企画推進に携わり、将来的なマネジメントポジションを視野に入れて活躍しています。本事例は、業界をまたいだ経験と語学力を強みに、自身の価値を適切に伝えることで、キャリアの幅と年収の双方を高めた一例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

40代で人事として新たなチャレンジができる環境へ転職した事例

Nさん(男性/40代前半)

業種職種年収
転職前大手メーカー人事職850万円
転職後大手不動産会社 人事職1,000万円

Nさんは、大手メーカーで人事職として長年にわたり経験を積み、制度運用や人事企画など幅広い業務を担ってきました。一方で、業績低迷を背景にコスト削減が優先される環境となり、新しい取り組みに踏み出しにくい状況が続いていました。40代に入りこのまま同じ環境にとどまるべきかを考えた末、これまでの経験を生かしつつ、より前向きに人事として関われる環境を求め、転職を検討し始めました。

転職活動では、大手企業から成長段階にある企業まで幅広く選択肢を検討。最終的に候補として残ったのは、新規事業として人事機能を立ち上げるアーリーフェーズの企業と、新たな人事プロジェクトを進めようとしている大手不動産会社でした。どちらも魅力的で年収条件も同水準でしたが、「挑戦できる環境」に気持ちが傾く一方で、将来像については迷いが残っていました。

そこでJACのコンサルタントは、どちらかを勧めるのではなく、今後10年を見据えたキャリアや生活面を含めた視点で整理することを助言しました。その結果、Nさんは人事としての影響力を発揮しやすく、長期的に安定した環境で挑戦を続けられる大手不動産会社を選択。転職後は年収が850万円から1,000万円へと向上し、現在は新規人事施策の推進に携わっています。本事例は、将来を見据えた判断が納得感のある転職につながった好例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

50代で大手企業の経験を生かし中小企業の人事部長へ転職した事例

Tさん(男性/50代半ば)

業種職種年収
転職前大手企業→ITベンチャー企業人事→人事部長800万円
転職後インフラ系企業人事部長900万円

Tさんは、大手企業で人事経験を重ねた後、IPOを目指すITベンチャーに転職し、組織整備や制度構築に携わってきました。しかし、IPO計画が見直される中で、総務業務との兼務が増え、人事としての専門性を十分に発揮できない状況になりました。50代半ばという年齢や転職回数の多さから、次の一歩に不安を抱きつつも、人事に専念できる環境を求めて転職活動を開始しました。

Tさんの強みは、人事制度企画や組織統合といった変化の局面を支えてきた経験でした。これまでの経歴を丁寧に整理したうえで、同様の課題を抱える企業に目を向け、複数の選択肢を検討。その中で最終的に選んだのが、グループ統合を進める数百名規模のインフラ系企業です。応募にあたっては、制度構築の再現性に加え、経営者の考え方との相性を重視しました。

面接前には、企業の経営方針や組織課題について十分な情報を得たうえで対話に臨み、これまでの経験がどのように生きるかを具体的に伝えました。その結果、人事部長としての役割を期待され、年収は800万円から900万円へと向上しています。現在は、組織統合にともなう人事制度の整備を主導し、経営に近い立場で人事戦略を担っています。本事例は、年齢や転職歴に左右されず、自身の強みを明確にすることで最適なポジションに結び付いた一例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

人事へ転職後のキャリアパス

人事は、担当業務を積み重ねるだけの職種ではありません。経験の広げ方や深め方によって、経営に近づく道、専門性を磨く道、社外で価値を発揮する道へと展開していきます。

ここでは、人事経験がどのような形で次のキャリアにつながるのか、代表的なパターンを整理します。

  • 人事部長・HRBP・CHROなど上位職へ昇進
  • 労務・採用・組織開発・教育研修など人事の特定分野のスペシャリストへ
  • 人事コンサルタントへ転職

人事部長・HRBP・CHROなど上位職へ昇進

人事として一定の経験を積んだ先には、人事部長やHRBP、CHROといった上位職へのキャリアがあります。これらのポジションでは、採用や労務といった個別領域の管理にとどまらず、経営戦略と連動した人事戦略の設計が求められます。

HRBPは、事業部門の責任者と密に連携しながら、組織設計や人員配置を通じて事業課題の解決を支える役割です。現場理解と経営視点の両立が不可欠となり、人事の枠を超えた判断力が問われます。

さらにCHROでは、経営陣の一員として中長期的な組織の在り方を描きます。後継者育成や企業文化の形成など、企業の持続的成長を支えるテーマに向き合う点が特徴です。制度設計やマネジメント経験を通じて経営視点を養ってきた方ほど、こうした上位職との親和性は高まります。

労務・採用・組織開発・教育研修など人事の特定分野のスペシャリストへ

人事の中でも特定分野に軸足を置き、スペシャリストとしてキャリアを築く選択肢もあります。労務であれば制度運用や法改正対応、採用であれば母集団形成や選考設計、組織開発や教育研修では育成や組織変革が主なテーマとなります。

これらの分野は、共通する課題が多く、経験の再現性が高いため、特定領域で成果を積み上げることで、社内外から専門家として認識されやすくなります。

結果として、部門横断プロジェクトへの参画や、専門性を前提とした役割を任される機会も広がります。人事としての実務経験を深く掘り下げることで、安定した価値を築けるキャリアといえるでしょう。

人事コンサルタントへ転職

事業会社で培った人事経験を生かし、人事コンサルタントへ転じるケースも見られます。制度設計や組織変革、タレントマネジメントの経験は、複数企業の課題解決を支援する立場で生かされます。

人事コンサルタントには、個社の事情を理解しつつ、業界横断で得た知見をもとに最適な選択肢を提示する力が求められます。事業会社での経験があることで、現場感覚を欠いた提案になりにくい点は大きな強みです。

特に制度改定や組織統合、グローバル対応といった変化の局面を経験してきた方は、企業からの期待も高まります。人事の実践経験が、課題解決型の専門職へと発展する代表的なキャリアパスといえるでしょう。

人事への転職なら、JAC Recruitment

人事は企業の成長戦略や組織課題と密接に結びつく職種であり、求められる役割や期待値は企業ごとに大きく異なります。そのため人事への転職では組織のフェーズや経営の考え方までを踏まえた見極めが欠かせません。

JACはミドル・ハイクラス層の人事転職を長年支援してきた実績をもとに、採用背景やポジションの狙いまで丁寧に把握しています。これまでの経験がどのように評価され、次の環境でどのような役割を期待されるのかを整理したうえで、将来につながるキャリアを提案できる点が強みです。

また、JACが取り扱う求人の多くは非公開であり、制度企画やHRBP、マネジメント候補など、一般には出回りにくいポジションも含まれます。人事としての専門性を高めたい方や、次のステージを見据えた転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

大村 薫子

大村 薫子

コーポレートサービスディビジョン マネージャー

入社以来、人事・総務・法務・広報などの職種に携わってきた経験から、求人票ではわからないニーズなどの情報もお伝えしながら、長期的にご活躍いただけるビジネスパーソンとしてのキャリアを一緒に検討いたします。ぜひお気軽にご相談ください。


各業界・職種に精通したプロがあなたの転職を支援します。