コンプライアンス職への転職は未経験でも可能?転職市場動向や最新求人を解説

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公開日:2025/08/07 / 最終更新日: 2025/08/07

企業が法律や社内規定を遵守し、倫理的な企業活動を徹底するために重要な役割を担うコンプライアンス職。

本記事では、コンプライアンスの転職市場動向や転職で求められる主な転職先候補、経験・スキル・マインド・資格をJAC Recruitmentが解説いたします。

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コンプライアンスの転職市場動向


本章では、コンプライアンスの転職市場動向について、下記2点から解説します。

  • ●法令遵守やガバナンス強化を背景にコンプライアンス関連市場が活発化
  • ●法規制の厳しい業界を中心に、専門性を兼ね備えたコンプライアンスへの需要拡大が続く見通し

法令遵守やガバナンス強化を背景にコンプライアンス関連市場が活発化

企業の社会的責任が強まるなか、多くの企業がリスク管理と法令遵守体制の強化を経営の最重要課題の一つに位置づけ、コンプライアンス体制の構築や強化を急いでいます。

特に内部統制の整備や法令遵守を重視する流れが定着し、違反による信用毀損を回避する動きがいっそう強まったことを背景に、内部統制やコンプライアンスに関する実務経験をもつ、即戦力となる経験者の採用ニーズが急増しています。同時に、法務や監査などの関連分野から、コンプライアンス領域へとキャリアチェンジを目指す転職希望者の動きも見られ、転職市場は活況を呈しています。

また、不安定な世界情勢を背景としたビジネスリスク意識や個人情報漏えい事件への対応意識の高まり、サプライヤー管理といった新たなリスクへの対策強化も追い風になっており、上場企業やグローバル企業を中心に法務部門から独立した専門部署としてコンプライアンス部門を設置する動きも広がっています

法規制の厳しい業界を中心に、専門性を兼ね備えたコンプライアンスへの需要拡大が続く見通し

コンプライアンスを担う専門家への需要は、特に法規制が厳しい業界において顕著です。金融業界や製薬業界では、事業活動そのものが厳格な業法によって規制されているため、法令を遵守した事業運営が企業の存続に不可欠です。そのため、業界特有の専門知識を備えた経験者の採用ニーズは、常に高い水準にあります。

加えて、社会のデジタル化が加速する昨今においては、個人情報保護法やサイバーセキュリティに関連するコンプライアンスに対応できるビジネスパーソンへの需要も業界問わず急速に増大しています。IPO準備企業でも、IPO実務経験者や内部監査の知見をもつ専門家を求める企業が増えています。さらに、中小企業でもガバナンス強化を目的に、経験者採用に注力する動きが見られます

また、企業のグローバル展開やESG経営の浸透にともない、今後は、各国の法規制やサステナビリティ、人権デュー・デリジェンスといった新しい分野の知見をもつ専門家の需要も拡大していくことが予想されます。加えて、FinTechやWeb3などの領域では、新興技術やサービスに対応した体制整備が急務となっており、サイバー犯罪対策や新技術領域に対応できるコンプライアンスの専門家が求められています。

コンプライアンスが求められる主な転職先候補


本章では、コンプライアンスが求められる、次の4つの転職先候補について解説します。

  • ●金融業界
  • ●製薬・医療業界
  • ●メーカー(製造業)
  • ●IT・テクノロジー業界

金融業界

銀行、証券、保険をはじめとする金融業界は、厳格なコンプライアンスが求められる業界の一つであり、コンプライアンスの専門家が強く求められる分野です。金融商品取引法や銀行法などの業法に加え、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)など、遵守すべき法令・規制は多岐にわたります。

コンプライアンス担当者は、顧客資産の保護と市場の公正性を確保するため、営業活動のモニタリング、行員の法令遵守教育、そして金融庁をはじめとする監督官庁への対応などを担います。

金融業界では、日常的な業務にも業界特有の法務知識が求められることがあるため、業界事情や関連法規に精通した経験者が歓迎される傾向にあります

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製薬・医療業界

人命に直接関わる製品を扱う製薬・医療業界も、薬事法やGCP(医薬品の臨床試験基準)など、極めて厳格な規制のもとで事業が運営されており、新薬の臨床試験(治験)から、製造、販売、そして広告に至るまで、全ての工程において、法令遵守が求められます

製薬・医療業界のコンプライアンス担当者は、製品の安全性と有効性を担保するため、研究開発部門や製造部門、営業部門と連携し、法令や業界の自主基準にのっとり業務が行われているかを監督・指導します。

企業の社会的使命を法的な側面から支える立場にあることから、高い倫理観が不可欠です。

  • 製薬業界の転職市場動向

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メーカー(製造業)

グローバルにサプライチェーンを展開するメーカーでも、コンプライアンスは重要な経営課題の一つであり、コンプライアンス担当者が活躍する領域といえます。

製造業では製品の安全性、労働環境、環境ルールなどにまつわる多様な法令が存在するため、品質保証部門や安全衛生部門と連携してコンプライアンス業務を推進します。さらに、海外との取引が盛んな企業では、各国の輸出入関連法規や贈収賄防止法への対応も含まれることがあります。

特にグローバル展開する企業ではISOや各国の規制対応が喫緊の課題となっており、海外拠点のコンプライアンスに対応できる経験者への需要が高まっています

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IT・テクノロジー業界

急速な技術革新が続くIT・テクノロジー業界では、新しいサービスやビジネスモデルに対応した先進的なコンプライアンス体制の構築が求められます。個人情報保護法をはじめとするデータプライバシー関連法規への対応は、全てのIT企業にとって喫緊の課題の一つです。また、個人情報保護法やサイバーセキュリティ、FinTech・ブロックチェーンなどの新技術に関連する法規制が常に変化するIT領域においては、データガバナンスやリスク対応に関する高度な知見をもつ専門部署を設置するケースも増えています。

IT・テクノロジー業界のコンプライアンス担当者の主な役割は、知的財産権の管理やサイバーセキュリティ対策などが挙げられ、法的な知識だけでなく、最新のテクノロジーに関する理解も求められます。

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コンプライアンスの最新転職・求人情報


コンプライアンス職の転職市場は、企業のガバナンス強化の流れを受けて活況を呈しており、その求人内容も多様化・高度化しています。具体的には、従来の法令遵守だけでなく内部監査やリスク管理、ガバナンス推進など、より広範な役割を複合的に担えるビジネスパーソンが求められ始めています

また、近年は、デジタル化の進展により、コンプライアンスとITが融合した新たな求人も増えつつあります。例えば個人情報保護やデータセキュリティを専門に担う「情報セキュリティ担当(コンプライアンス推進)」や「プライバシーオフィサー」と呼称されるポジションが登場し、法令と技術の融合領域で企業防衛を担います。さらに、ESG経営への関心の高まりを背景に、「サステナビリティ・コンプライアンス」や「人権デュー・デリジェンス担当」など、社会的規範の遵守を推進する新たな職種も登場しています。

ここからは、コンプライアンスの最新求人・転職情報を紹介します。

なお、本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが取り扱う求人は、大半が非公開となっています。そのため、非公開求人も含めコンプライアンスに関する求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。
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三菱UFJ信託銀行株式会社:【コンプライアンス統括部】コンプラ(情報セキュリティ)

大手グループの未公開株式投資ファンド運営会社:コンプライアンス担当者

非公開:法務(コンプライアンス)担当

株式会社三菱UFJ銀行:コンプライアンス(組織犯罪対策)反社対応関連領域全般

株式会社埼玉りそな銀行:【埼玉りそな銀行】コンプライアンス統括部/コンプライアンス企画業務

大手メーカーからスピンアウトした光学機器メーカー:法務/コンプライアンス

大手金融機関系不動産AM会社:コンプライアンス・リスク管理担当

ネット系証券会社:コンプライアンス

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年7月最新)

未経験からコンプライアンスに転職できるのか


コンプライアンスは高度な専門性が求められる領域である一方、業務内容が多岐にわたるため、未経験者であっても挑戦の余地は存在します。ただし、実務経験が評価されやすい職種であることから、まったくの未経験者が採用選考を通過することは容易ではありません。特に、法務や監査など、コンプライアンス業務と親和性の高い隣接分野における実務経験を持たない場合、書類選考を通過すること自体、高いハードルとなるでしょう。

未経験者がコンプライアンスへの転職を実現するには、段階的なキャリア構築を検討する必要があります。例えば、数年間実務経験を積んだ後に特定の業界や業種に関する法令・ガイドラインへの理解を深め、その業界の法務部門や監査部門でコンプライアンスを専門とするポジションへの転身を目指す、といったルートが現実的です。

また、金融庁や証券取引等監視委員会など、監督官庁での実務経験をもつ方は、規制する側としての視点や知見が企業のリスク管理体制を構築する際に役立つと評価され、民間企業から高く評価される傾向にあります。

コンプライアンスへの転職で求められる経験・スキル・マインド・資格


ここでは、コンプライアンスへの転職で高く評価される次の4つの経験やスキル、資格について解説します。

  • ●法務や内部監査部門での実務経験、J-SOX対応やコンプライアンス体制構築プロジェクトの経験
  • ●国内外の法知識・リスク管理力・コミュニケーション力、内部規程の整備や研修企画スキル
  • ●高い倫理観と主体性、法律や規制に対する向上心
  • ●ビジネス実務法務検定・内部監査士・公認不正検査士(CFE)など

法務や内部監査部門での実務経験、J-SOX対応やコンプライアンス体制構築プロジェクトの経験

コンプライアンスへの転職では、法務部門や内部監査部門での実務経験が重視されます。特に、J-SOX(日本版SOX法)対応や内部統制評価の実務経験、あるいは企業全体のコンプライアンス体制の設計・運用に関与した実績は、即戦力になり得るとして高く評価されることがあります。

近年では、単なる法令遵守にとどまらず、組織内のリスクマネジメント体制を強化し、事業の持続可能性を支える役割としてコンプライアンスの価値が再評価されつつあります。そのため、全社的なコンプライアンス体制をゼロから構築した経験や業務プロセスの見直し・改善提案を実施した経験があれば、ほかの転職希望者と差別化を図れることもあります。

国内外の法知識・リスク管理力・コミュニケーション力、内部規程の整備や研修企画スキル

コンプライアンス担当者には、会社法や独占禁止法といった一般的な法律知識に加え、自社が属する業界特有の業法に関する深い知識も不可欠です。また、グローバルに事業を展開する企業では、GDPR(EU一般データ保護規則)や米国のFCPA(海外腐敗行為防止法)など海外の法規制への理解も求められます。さらに、国内外の法知識をもとに、潜在的なリスクを特定・評価し、予防策を講じるリスク管理能力も不可欠といえます。

一方で、社内関係者との連携や従業員教育もコンプライアンスの職務に含まれることがあり、内部規程の整備や研修プログラムの企画・実施などの業務推進に必要な調整力・企画力も求められます。

法律知識だけでなく、現場に則したコミュニケーションを通じて社内文化の醸成に貢献できるビジネスパーソンは、多くの企業で求められています。

高い倫理観と主体性、法律や規制に対する向上心

コンプライアンスには、法的な知識や業務スキルとならび、職業倫理に対する高い意識が強く求められます。自らの判断で業務の正当性を問い、周囲に対して毅然とした姿勢を貫く誠実性は、企業の信頼を維持するうえで不可欠です。さらに、コンプライアンス領域は年々複雑化しており、AI・デジタル技術やサステナビリティなど新たな社会課題への法的対応が急速に進展しています。そのため、常に最新の法令や規制動向を学び続ける主体性や自己研鑽への意欲も必須となります。

倫理的基盤に根ざしつつ、変化する環境に柔軟に適応するマインドセットは、コンプライアンス領域においてキャリアアップや自己成長を実現するうえで必須となる素養であることを理解しておきましょう。

ビジネス実務法務検定・内部監査士・公認不正検査士(CFE)など

コンプライアンスに転職するにあたって必須となる資格はありません。しかし、関連する専門資格の保有は、自身の知識レベルを客観的に証明する際に有効であり、転職活動を有利に進める一助になることがあります。

例えば、ビジネスパーソンとして必要な法律知識を問うビジネス実務法務検定試験は、法務・コンプライアンスに関する基礎知識を示す際に役立ちます。また、内部監査士資格は、企業のガバナンス・リスク管理・内部統制に関する専門知識と実務対応力を示す指標となり、特に監査部門を目指す際に有効です。さらに、グローバル企業や不正リスク管理の高度化が求められる業界では、公認不正検査士(CFE)資格の保有者が注目されるケースが増えています。

  • ハイクラス転職で資格は取得した方がよい?役立つ資格を解説

    ハイクラス転職を目指すうえで「資格」が選考に及ぼす影響について、気になっている方も多いでしょう。 資格の中にはあまり意味がないものも含まれますが、ハイクラス転職では確かに有利になる資格も存在します。 この記事では、ハイク… 続きを読む ハイクラス転職で資格は取得した方がよい?役立つ資格を解説

コンプライアンスへ転職した場合の年収相場


コンプライアンスは、企業の経営リスクを管理し、社会的信頼を維持するという極めて重要な役割を担うことから、年収は、ほかの管理部門系職種と比較して高い水準にあります。

具体的な年収額は、本人の経験やスキル、所属する企業の業界や規模、そして担うポジションの責任範囲によって大きく異なりますが、JACの実績によると全体的な目安としては、600万円〜900万円程度が一つの基準となります。

金融機関や外資系製薬会社など法規制の厳しい業界では、より高い知見と対応力が求められるため、20代後半〜30代でも800万円前後の年収が提示されるケースも見受けられます。また、コンプライアンス部門のリーダーや部門長などのマネジメントポジションに昇格した場合は、1,000万円を超える年収提示も現実的であり、実績や経験に応じて1,200万円前後の待遇も視野に入ります。

コンプライアンスの転職事例


本章では、JACが提供する転職支援サービスを利用し、コンプライアンスへの転職を実現した事例を紹介します。

化学メーカーのコンプライアンスグループへ転職した事例

Kさん(40代前半/男性)

業種職種年収
転職前メディカル・バイオ(医薬品)法務960万円
転職後EMC(化学)法務1,000万円

Kさんは、化学メーカーで企業法務を経験した後、経営企画部門を経て、直近ではヘルスケア業界の企業で法務業務全般を担ってきました。契約法務を中心に多岐にわたる法的支援を担当し、マネージャーとして部下の育成やマネジメントにも携わってきた経験をもちます。

転職を希望した背景には、将来的なキャリアを見据え、より幅広い法務領域に関与できる環境を望んだことにありました。

JACのコンサルタントは、Kさんの契約法務の専門性に加え、経営企画の知見やマネジメント経験、さらに英語を用いたコミュニケーション能力に着目し、グローバル展開を加速させている化学メーカーの法務部門ポジションを提案しました。最終的に、Kさんは自身の専門性を生かしながら、法務領域をより広くカバーできる体制下で新たなキャリアをスタートさせることができました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

コンプライアンス業務に携わる法務職へ転職した事例

Mさん(30代前半/男性)

業種職種年収
転職前商社弁護士1,330万円
転職後商社法務1,330万円

Mさんは、司法試験合格後に総合商社へ入社し、法務部門でキャリアをスタートさせました。入社後は主に契約審査業務に携わり、買収案件などでは外部弁護士と連携してデュー・デリジェンス支援を行うなど、実務に根ざした法的支援を推進。その後、社内異動により貿易管理領域を担う部署へ配属され、米国制裁対応や輸入通関に関わる体制構築支援など、企業活動における法令遵守の要となる業務に従事してきました。

転職を検討し始めたきっかけは、法務やコンプライアンスの専門性を生かしながらも、より戦略的にキャリアを構築できる環境を求めたことにありました。JACのコンサルタントは、Mさんが法務と貿易管理の両方を経験し、企業全体のコンプライアンス強化に資する存在であると高く評価し、コンプライアンス体制の再構築やガバナンス領域の強化に取り組む企業の法務ポジションを提案しました。

結果として、Mさんは自身の専門性をさらに高められる環境を手にすることができました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

コンプライアンス施策の計画・管理を担う法務スペシャリストへ転職した事例

Oさん(40代後半/男性)

業種職種年収
転職前EMC法務820万円
転職後EMC法務1,300万円

Oさんは、官公庁において長年法務官や法制教官を務め、国際的な事業支援や災害派遣に関連する法的対応など、極めて高い専門性と実行力を発揮してきました。その後、民間企業へ転身し、国際共同開発プロジェクトにおける契約交渉や契約書の作成を担うなど、グローバルな法務実務にも携わってきました。柔軟なコミュニケーション力とグローバルな対応力を併せ持ち、社内外から厚い信頼を得ていた人物です。

転職を検討するに至った背景には、自身の能力が十分に生かされていない現状への葛藤がありました。より高い視座から経営に資する法務業務に携わりたいという思いが募り、転職活動を開始しました。

JACのコンサルタントは、Oさんの官民双方における高度な法務経験が企業法務の高度化を目指す事業会社にとって大きな戦力となると評価し、将来的に室長候補への昇任が期待されるポジションを提案しました。

今回の転職により、Oさんはコンプライアンス推進を担う法務スペシャリストとして、より戦略的かつ影響力の大きなポジションへとキャリアアップすることができました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

コンプライアンスへ転職後のキャリアパス


ここでは、コンプライアンスから描ける次の3つのキャリアパスについて、解説します。

  • ●コンプライアンス統括責任者やCCO(チーフコンプライアンスオフィサー)を目指す
  • ●体制構築経験を武器に、コンプライアンス部門立ち上げ責任者に転職
  • ●経営企画や総務部長などガバナンス全般を見る役割に転職

コンプライアンス統括責任者やCCO(チーフコンプライアンスオフィサー)を目指す

コンプライアンスから描けるキャリアパスとして、統括責任者あるいはCCOを目指す道が挙げられます。統括責任者やCCOは、企業全体のリスク管理や法令遵守を監督する役割を担い、単に法規制を遵守するだけでなく、企業の経営判断において法務・倫理の観点から戦略的助言を行うことが求められます。特に金融・製薬などの厳格な法規制下にある業界では、CCOは経営陣と並ぶ意思決定の一翼を担う存在として位置づけられ、取締役会へのレポートなど責任範囲も広範です。

コンプライアンス実務の経験に加え、組織マネジメント能力やガバナンス全般に対する理解が問われるため、中長期的なキャリア形成を通じて大きな成長が期待できるポジションといえるでしょう。

体制構築経験を武器に、コンプライアンス部門立ち上げ責任者に転職

IPO準備中の企業や、新しくコンプライアンス部門を設置する企業など、これから体制を構築していくフェーズの企業に部門や体制の立ち上げ責任者として転職するキャリアパスも考えられます。

特に、IPO準備中のスタートアップや、海外展開を見据えた中堅企業などでは、業務マニュアルの整備、社内規程の策定、教育体制の構築などゼロベースで体制を設計・推進できる経験者が強く求められています。大きな裁量権を持ち、自身の知見を生かして、新しい組織の文化や仕組みを創り上げていくという、ダイナミックな挑戦が可能です。

既存組織のルール順守とは異なり、「ないものをつくる」工程では、法的知見だけでなく、現場との折衝や事業成長を踏まえた柔軟性のある運用スキルが求められます。そのため、実務に精通していることに加え、コミュニケーション力やプロジェクトマネジメントの経験も評価の対象になるでしょう。

将来的な管理職候補として歓迎されるケースもあり、キャリアアップを見据えた転職になる可能性が期待できます。

経営企画や総務部長などガバナンス全般を見る役割に転職

コンプライアンスで培ったリスク管理能力や組織全体を俯瞰する視点は、会社全体の経営戦略を担う経営企画部門や、ガバナンスの中核を担う総務部長などの役割でも重宝されます。

法的な視点からより広範な経営課題の解決に貢献するキャリア展開も十分に可能であり、単なる管理業務ではなく、ガバナンス戦略に携わる立場としてのキャリア拡張を目指す方には、魅力的な選択肢といえます。

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コンプライアンス職への転職なら、JAC Recruitment


コンプライアンスは専門性の高い領域であることから、転職を志す場合は、各業界のビジネスリスクや求められる役割を深く理解した転職エージェントの活用が不可欠です。

その点、JACは、コンプライアンスの役割を深く理解したコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて特定の法規制に関する深い知見やリスク管理体制を構築した実績などの価値を的確に汲み取り、応募先企業に対して効果的にアピールするためのアドバイスを提供いたします。

さらに、JACでは、一般的な転職サイトには掲載されていない、大手金融機関のコンプライアンス部長やグローバル企業のCCO候補といった、経営の中枢を担う重要なポジションの求人も取り扱っているため、これまでの経験と将来ビジョン、自身の適性に合致した求人の紹介を受けられる可能性も期待できます。

コンプライアンスへの転職を考えている方は、ぜひJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。