証券会社への転職は未経験で可能か?仕事内容や年収相場を解説

個人投資を促す政府の方針を受けて、証券業界の中途採用が活性化しています。

証券業界は、投資信託や株式・債券の販売に加え、事業承継に関するM&A対応など幅広い業務を担っています。近年は再生可能エネルギーや医療・介護、農業など社会課題に関連する事業にも参入し、新規事業の創出を進めています。そのため、異業界からの採用も積極的です。

証券業界の転職市場動向や仕事内容、求められるスキルやマインド、年収相場や転職事例、転職に有利な資格まで、JAC Recruitmentの専任コンサルタントが解説します。

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証券会社への転職は業界未経験でも可能?

証券会社のミドルバック部門や専門性の高いポジションを除けば、証券業界以外からの転職は可能です。

昨今の傾向としては証券以外の新規事業を立ち上げる際に、対象となるビジネス領域の経験者を採用する企業が増えています。必ずしも金融の知識が必須ではないケースもありますので、証券業界に関心をお持ちの場合には情報収集段階からJACにご相談ください。各企業の採用トレンドをいち早くご紹介し、これまでの経歴と証券業界との適性などをお伝えします。

証券会社を取り巻く環境と展望

政府は2023年に『資産運用立国実現プラン』を発表し、2024年からNISA制度を拡充・恒久化しました。こうした政策は証券業界にとって追い風となっています。

コロナ禍で停滞していたIPO(新規上場)も、2024年は 86社が上場しました。2025年11月現在、日経平均株価は5万円を突破。国内株式市場は活性化しており、今後の動向にも期待が集まっています。また、事業承継や1000億円規模のMBO、企業買収などを背景としたM&A市場も、金額・件数ともに今後増加が見込まれます。

証券会社の求人傾向

かつてはどの企業でも共通したニーズを背景とした求人が、同じタイミングで出る傾向でした。しかし、昨今は企業ごとに異なる採用背景があり、個々の企業で異なる求人を出しています。

市況は好調ですが、大量採用は少なく、厳選採用が中心です。

ここ最近の傾向としては、リテール分野で新NISAに伴うポジション、ホールセール分野で中小企業向けのM&Aに絡んだポジションの採用に意欲的な企業が多く見られます。

急拡大する日系企業と、シュリンクする外資系企業

待遇面もかつては日系企業と顕著な差がありましたが、現在はかつてほど年収に大きな差はありません。また、日系でも大手グローバル企業の方が海外赴任など語学力を活かした環境で働けるチャンスがあるなど、業界のキャリアパスにも変化が起きています。

銀行系証券・独立系証券のトレンドの違いと共通点

銀行系証券会社は、銀行業と連携した商品を展開しやすいというメリットがあります。たとえば、銀行口座に振り込まれる退職金を資産運用に回す個人向け金融商品などは、銀行と一体となって提供できる特徴です。一方、独立系証券会社は自社で銀行口座を持たないため、現役世代のうちから積立投資を促すなど、銀行系よりも早い段階で顧客にアプローチする必要があります。

また、法人による資金調達でも銀行は融資を提供する一方で、独立系証券会社は証券化ビジネスで代替するなど、それぞれ異なる形で顧客のニーズに対応しています。

業界外の方にはあまり知られていない実態として、証券業界は近年さまざまな新規事業に参入しています。例えば農業や不動産、再生可能エネルギー開発や知財ビジネスなど、証券という枠組みを超えたビジネスへの参入を続々と果たしています。

証券会社の仕事内容、求められるスキルやマインドについて

証券会社に多い求人を以下の7つの部門に分けて、それぞれ求められるスキル・マインドとともにご紹介します。

投資銀行部門

現在の採用動向は、業界外のトップ企業から業界未経験の若手層を採用する動きと、業界内で即戦力のミドル・シニア層を採用する動きとの二極化が進んでいます。

この部門へ転職する場合、高度な財務分析スキルが求められます。業界未経験の若手層であれば、事業会社で3年以上の経理や財務経験があると有利です。また、証券アナリストの資格も転職の際に大きな強みとなります。

マーケット部門

中途採用では若手層を中心とした採用が大半です。金融工学との親和性が高い物理学部や経済学部出身者でTOEIC800点相当の英語力を持った方であれば、異業界からの転職でも十分に可能性があります。

各社とも市場の分析から商品の売買までを独自のシステムで運用しているため、情報工学や数学などの理系出身者が多い部門でもあります。一方で、市場部門の営業職は文系の方もご活躍されています。

リサーチ部門

業界未経験の若手層では、証券アナリストの資格を保有していると選考で有利に働きます。機関投資家とのやり取りも多く、分析力やレポート作成能力だけでなく、営業的センスも問われます。
新NISAに関連して昨今はリテール向けのリサーチ部門を強化している会社も見受けられます。

コンプライアンス・リスク管理部門

コンプライアンス部門では国内の金融規制に関する知識や関連する法律の知見が要求されます。大学の法学部や法科大学院修了者を中途採用で優遇する傾向があります。

また、リスク管理部門はモデルの設計・定義・数値計算手法を理解できるレベルの数学力や金融工学の知識が要求される仕事もあるため、金融業界出身者の中途採用が中心です監査法人でコンサルタントとして金融機関を担当していた方も対象となります。

ミドルバック部門(オペレーション)

いずれの企業も高齢化が問題となっており、若手層の採用・育成が喫緊の課題です。そのため金融の知識を持ったミドル層手前の方が歓迎されている傾向があります。ワークライフバランスなどの都合で、女性を中心に営業から転職する方も多いポジションです。

営業部門

リテールとホールセールに分かれており、異業界で営業の経験を積んだ若手層の採用が旺盛です。

リテールでは即戦力採用が中心で、地銀や第二地銀でリテール営業の経験を積んだ方を採用するケースが増えています。一方のホールセールではリテールで優秀な成績を収めた実績のある方や、上場企業を対象とした法人営業経験者を主に採用しています。

コーポレート部門(財務・経営企画など)

いずれのポジションでも異業界で同じ職種を経験した方を採用する傾向があります。特に日系の大手グローバル企業では英語力(TOEIC800点相当)のある方が歓迎されます。

業界内にはPM(プロジェクトマネージャー)経験者が少ないため、新しいプロジェクトを立ち上げる際にPM経験者を中途採用する企業が増えています。また、戦略・ITコンサルティング会社出身者を積極的に採用する企業も多く見受けられます。

JACで証券会社へ転職した方の平均年収は973.6万円

国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」で「業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額(1年を通じて勤務した給与所得者)」をみると、金融業・保険業の平均給与は702.3万円となっています。一方、JACが証券業に属する企業へ転職サポートを行った事例をみると、平均年収は973.6万円で、国税庁の平均702.3万円を大きく上回っています。

年代別の平均年収

JACを利用して「証券会社」へ転職した方について、年代別の平均年収を以下の表にまとめました。

年代 平均年収
20代前半 585.4万円
20代後半 744万円
30代前半 834.6万円
30代後半 1,051.8万円
40代前半 1,077.3万円
40代後半 1,229.6万円
50代前半 1,385.8万円
50代後半 1,048.6万円
60代 725万円

※当社実績(2023年1月~2025年10月分データ)より

上記のとおり、年代が上がるにつれ、年収は着実に増加します。

20代でも前半から後半にかけて着実に増加。30代から40代は、キャリアの進展に伴い大きく伸びています。

ピークは50代前半の1,385.8万円で、管理職や専門性が評価される年代です。

一方、50代後半は1,048万円、60代は725万円とやや減少傾向となっていますが、それでもなお前述の国税庁の平均年収を上回っています。

職種別の平均年収

前述のとおり、証券会社の求人傾向は、企業ごとに異なる採用背景があり、幅広いポジションで厳選採用を進める企業が多いです。そのため、職種は多岐にわたり、転職者のスキル・実績・ポジションによって年収の幅が生まれています。

ここで、職種別に転職者の平均年収を以下の表にまとめました。ご自身のスキル・実績に合った職種や、興味のある職種の平均年収を把握するために参考にしてください。

職種 平均年収
アドバイザリー 1,600万円
経営企画 1,528.9万円
財務 1,500.4万円
データサイエンティスト・データアナリスト 1,450万円
WEBディレクター 1,310万円
ファンドマネージャー・アナリスト 1,264.2万円
渉外(ロビイング) 1,254.8万円
事業企画・事業開発 1,220万円
経理(非上場) 1,216.2万円
法人営業(自動車向け) 1,200万円
ストラクチャードファイナンス 1,177.4万円
業務監査 1,134.1万円
法人営業 1,124.9万円
IT系プロジェクトマネージャー 1,104.5万円
リスク管理 1,103.8万円
不動産金融 1,050万円
新規事業開発 1,012.2万円
社内SE(インフラ) 1,003.7万円
クオンツ・アクチュアリー・金融工学・数理分析業務 1,000万円
フロントエンジニア 1,000万円
金融法人営業 1,000万円
広報・CSR 1,000万円
法人営業(その他) 1,000万円
経理(上場) 996.7万円
M&A 941.1万円
内部統制・SOX・コンプライアンス 936.5万円
リテール営業 933.3万円
総務・庶務・ファシリティ 930万円
HRBP 920万円
トレーダー・ディーラー 907.5万円
金融リテール営業 905.9万円
コーポレートファイナンス 853.2万円
金融システム 835.7万円
マーケティング・商品開発(金融) 813.2万円
ヘルプデスク(保守・運用) 800万円
金融事業法人営業 784.9万円
営業推進・企画 782.4万円
金融ミドルバックオフィス 764.2万円
社内SE(アプリケーション) 691.2万円
審査 658.8万円
営業アシスタント 639万円
その他 600万円
システム監査 550.4万円
サーバーエンジニア(運用・保守系) 470万円
商品企画・開発(マーケティング) 338.9万円

※当社実績(2023年1月~2025年10月分データ)より

証券会社の平均年収を職種別にみると、最も高いのはアドバイザリーで1,600万円、次いで経営企画1,528.9万円、財務1,500.4万円と経営層に近い職種が高水準です。データサイエンティストやWEBディレクターといったITスキルを活かせる職種や、ファンドマネージャーや渉外などの金融専門職も、1,200万円を超える高年収となっているものがあります。

スキルやキャリア戦略次第で年収は大きく変わるため、希望職種の水準を把握することが重要です。

役職者別の平均年収

役職別の平均年収は以下のようになっており、ポジションによって大きな差があります。

役職区分 平均年収
課長未満 847.6万円
課長以上 1,240.1万円
部長以上 1,731.4万円

※当社実績(2023年1月~2025年10月分データ)より

課長未満は847.6万円で、課長以上になると1,240.1万円と大幅にアップ。さらに部長以上では1,731.4万円と、経営層に近い役職で高額報酬が期待できます。

キャリア形成において昇進は年収アップの重要な鍵となりますが、役職が上がるほどマネジメント力や戦略的視点が求められます。自身のスキルや経験を活かし、どのポジションを目指すかを明確にすることが、年収アップを実現させるためのポイントです。

証券会社で有利な資格

証券業界では働く上で必須となる資格だけでなく、一定以上の役職で求められるものや取得していると転職時に重宝される資格があります。

証券外務員

入社後の取得でも可とする求人もありますが、異業界からの転職の場合には入社前に取得しておくと、選考で有利に働きます。

証券アナリスト

一定期間アナリストとして働いている方であれば誰もが保有している資格であり、入社後に実務経験を積みながら資格取得に向けて準備する必要があります。

AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャルプランナー)

管理職に昇進する際の条件にしている企業や、入社から一定の時期が経つと取得を促す企業もあります。AFPはファイナンシャルプランナーとして十分な知識と実務能力を証明する民間資格であり、リテール営業職の方にとっては中堅以上のポジションを目指す際には欠かせない資格です。

アクチュアリー

金融業界ではクオンツなど、統計学や数学を駆使してデータ分析を行う方が保有していると、非常に高い評価を受ける資格です。正会員になるためには複数の科目試験の合格と研修の受講が必須であり、全科目に合格するまでに平均8年を要するなど非常に難易度が高いことで知られています。

公認会計士

証券業界においては投資銀行部門やホールセールス営業へ転職する際に重宝される資格です。優秀な方の中には公認会計士試験に大学在学中に合格したのをきっかけに、資格習得に必要な実務経験を積む目的で監査法人に新卒で入社されるケースがあります。そういった方は実務経験を経て必要単位を取得し、終了考査にパスして公認会計士を取得したタイミングで、次のステップとして投資銀行に転職するケースが多々あります。

USCPA(米国公認会計士)

国際会計基準(IFRS)の知識と英語力の証明になり、投資銀行部門やホールセールス営業だけでなく、経理・財務への転職でもアドバンテージになります。

税理士

投資銀行部門やホールセールス営業の中でも、事業承継に伴うM&A関連を扱うポジションで重宝されます。

証券会社のキャリアパス

かつては総合職として入社しジョブローテーションの多い業界でしたが、近年は部門別のジョブ型雇用が中心です。比較的スペシャリスト志向の強い方向けのポジションが多く、クオンツやアナリストなどはその典型例ですが、マネジメントとしてスペシャリストを育成するキャリアパスもあります。

業界外への転職先としてはアセットマネジメント業界が王道ですが、投資銀行部門などで担当した業界に魅力を感じて、異業界の経営企画のポジションに就くケースもあります。

証券会社の転職で多い質問と回答

Q.証券業界というと体育会系・長時間労働というイメージがあります。実際のところはいかがでしょうか
A.

非常に多くの方から受ける質問ですが、現状は全く異なります。近年は効率重視のワークスタイルにシフトしています。女性社員比率も高いことから共働き世帯も多く、家庭の事情に応じて働き方を柔軟に工夫する考え方が強くなっています。また、残業時間についても、近年は監督省庁からの強い要請のもと大幅に是正され、現在はワークライフバランスを重視する業界に変わっています。

Q.将来は海外で働きたいと考えていますが、どういった企業に転職するのが良いでしょうか
A.

外資系企業は日本国内の営業拠点という役割上、海外赴任はほとんどありません。一方で日系の大手グローバル企業であれば海外拠点へ異動する機会があります。海外駐在を前提とした求人もゆるやかに増えつつあります。

証券業界の転職事例

ここでは、JACを通じて証券業界への転職に成功した方の事例を紹介します。転職のきっかけ・応募した企業・採用に至った決め手・年収アップ金額など、実例をもとにお伝えします。

リテール営業から未経験の法人営業へ―キャリアチェンジに成功

Hさん(30代前半/男性)は銀行系証券会社で営業の経験を積んだ後、銀行へ出向しリテール営業として勤務していました。長くリテール営業の仕事に携わるうちに、成長している実感が得られなくなり、取り扱う規模がより大きなポジションや異業界で新しい経験をしたいという意欲が強くなり、JACに登録されました。

面談では証券業界だけでなく、M&A業界担当やアセットマネジメント業界担当など複数の転職コンサルタントから、各業界の動向やHさんのご経歴との適性に至るまでお伝えしました。その結果、大手日系グローバル証券会社に内定し、現在は上場企業を担当するホールセール営業へのキャリアチェンジに成功し、活躍されています。

この転職成功の詳細については、下記のリンクで、転職者とコンサルタント双方の視点から転職成功のポイントやJACの特徴・メリットなどを紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

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