電力の安定供給という社会インフラを担いながら、脱炭素・再生可能エネルギー・DXといった大きな変革期を迎えている電力会社。
近年は従来の発電・送配電・小売を中核とする大手電力に加え、新電力や再エネ事業者の存在感も高まり、業界構造は大きく変化しています。
こうした構造変化は、電力会社で働く方の年収水準や評価軸にも影響を与えています。
本記事ではJAC Recruitment(以下、JAC)が、電力会社全体の年収水準を俯瞰しつつ、大手電力と新電力それぞれの年収傾向の違い、年代別の年収推移、役職別・職種別の特徴を詳しく解説します。
電力会社の平均年収は833.3万円、年代別年収なども解説
JACが支援した転職実績データによると、電力会社の想定平均年収は833.3万円です。年収のボリュームゾーンはおおむね700万円〜1,100万円で、30代後半以降から年収水準が大きく伸びる傾向が見られます。特に40代後半以降では、管理職・専門職としての役割拡大に伴い、1,200万円を超える事例も珍しくありません。
電力会社の年収は、年功序列だけでなく、事業領域(再エネ・海外・DX・事業企画など)や役職・ミッションの重さによって差が生まれやすいのが特徴です。安定した収益基盤をもつ大手電力では、中長期視点でのキャリア形成と報酬設計がされやすい一方、新電力では事業拡大フェーズにおける裁量や成果が年収に反映されやすい傾向があります。

年代別 電力会社の平均年収
| 年代 | 平均年収 |
|---|---|
| 20代後半 | 617.1万円 |
| 30代前半 | 783.5万円 |
| 30代後半 | 911.8万円 |
| 40代前半 | 975.5万円 |
| 40代後半 | 1,220.1万円 |
| 50代以上 | 1,292.5万円 |
年代別に見ると、30代後半から年収レンジが大きく切り上がり、40代後半以降ではマネジメントや専門性の深さが報酬に直結する構造が明確になります。
特に40代以降は、組織マネジメントや専門性の深化、重要プロジェクトの統括などが評価され、年収に反映されやすくなります。電力会社では短期的な成果だけでなく、経験の蓄積が報酬水準を押し上げる点が評価される傾向にあります。
企業タイプ別年収
| 企業タイプ | 平均年収 |
|---|---|
| 全体(大手+新電力) | 833.3万円 |
| 大手電力会社 | 851.0万円 |
| 新電力 | 796.0万円 |
平均年収では大手電力が新電力をやや上回るものの、職種や役割によっては新電力でも大手同等、あるいはそれ以上の年収が提示されるケースがあります。
大手では安定した事業基盤のもと、年次や役職に応じて着実に昇給していく傾向があります。一方、新電力は平均年収こそ抑えめに見えるものの、事業企画・経営企画・IT領域などでは高年収事例も多く見られます。
安定的な昇給を重視するか、成長フェーズでの裁量と成果連動型の報酬を取るかが、キャリア選択の重要な軸となります。
役職別年収
| 役職 | 平均年収(全体) | 平均年収(大手) | 平均年収(新電力) |
|---|---|---|---|
| メンバー(課長未満) | 744.0万円 | 764.0万円 | 704.6万円 |
| 課長以上 | 1,116.1万円 | 1,151.9万円 | 972.5万円 |
| 部長以上 | 1,612.0万円 | 1,543.5万円 | 1,657.3万円 |
メンバー層では、発電・送配電・小売といった各領域での専門性を磨きながら、安定的に年収を積み上げていくケースが一般的です。
一方、管理職以上になると、チームや部門のマネジメントに加え、全社横断のプロジェクト推進や中長期的な事業課題への対応が求められます。こうした役割の変化により、年収水準は大きく引き上げられる傾向があります。
特に大手電力では、管理職登用を機に報酬レンジが一段階上がりやすく、新電力では事業成長を牽引するポジションに就くことで、年収1,000万円超のオファーが提示されるケースも見られます。役職は、電力会社における年収を左右する重要な要素といえるでしょう。
領域別年収
| 領域 | 平均年収 |
|---|---|
| 日系電力会社 | 821.4万円 |
| 外資系電力関連企業 | 1,024.6万円 |
日系電力会社では、発電・送配電・小売といった基幹事業を支える役割が中心となり、年次や役職に応じて安定的に年収が上昇する傾向があります。組織内での調整力や中長期的な事業運営への貢献が評価されやすく、管理職登用を機に年収レンジが引き上げられるケースが一般的です。
一方、外資系電力関連企業では、事業開発、再生可能エネルギー投資、M&A、IT・デジタル領域など、専門性の高いポジションが多く、即戦力としての成果や責任範囲が年収に直結しやすい傾向があります。年齢や年次よりも職務内容が重視されるため、30代でも高年収を実現する事例が見られます。
職種別年収
【全体(大手+新電力)】
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 内部統制・監査 | 1,124.5万円 |
| 経理・財務 | 948.3万円 |
| 経営・事業企画 | 914.0万円 |
| IT | 863.3万円 |
| WEB・アプリ・ゲーム | 855.0万円 |
| 金融 | 844.7万円 |
| 技術系 | 817.5万円 |
| 法務・知財 | 802.5万円 |
| 購買・物流・生産管理 | 773.3万円 |
| 営業 | 685.3万円 |
【大手電力会社】
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 内部統制・監査 | 1,124.5万円 |
| 経営・事業企画 | 944.9万円 |
| 経理・財務 | 857.6万円 |
| WEB・アプリ・ゲーム | 855.0万円 |
| IT | 853.2万円 |
【新電力会社】
| 職種 | 平均年収 |
|---|---|
| 経理・財務 | 1,175.0万円 |
| 購買・物流・生産管理 | 1,016.0万円 |
| IT | 897.6万円 |
| 金融 | 862.8万円 |
| 経営・事業企画 | 850.1万円 |
| 建築系 | 688.0万円 |
職種別に見ると、全体では、内部統制・監査、経理・財務、経営・事業企画といった、ガバナンスや経営判断に近い職種で高い年収水準が見られます。
大手電力でも内部統制・監査や経営・事業企画が高水準となっており、全社的なリスク管理や中長期戦略への関与度の高さが報酬に反映されています。
一方、新電力では経理・財務や購買・物流・生産管理、ITといった職種で年収が高く、事業拡大や資金管理、業務基盤構築を担う役割が重視されている点が特徴です。全体として職種ごとの大きな年収差は限定的ですが、企業タイプによって評価されやすい職種に違いが見られます。
電力会社では、どの職種でどのフェーズの企業に関わるかが、年収形成に影響するといえるでしょう。
電力会社の最新求人情報
JACでは、数多くの電力会社の求人をお預かりしています。ここではその中から一部をご紹介します。
●大手電力会社:【広報】 リリース作成、報道機関対応、自社ホームページやSNS等の運用
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電力会社で年収アップを目指すには
電力会社で年収を高めていくには、在籍年数や職歴の長さそのものよりも、「どの領域で、どのレベルの責任を担ってきたか」がより重視される傾向があります。JACが支援したデータからは、電力業界においても評価軸が確実に変化していることが見えてきます。
以下では、年収が伸びている方に共通するポイントを、実務視点で整理します。
専門性は「関与」ではなく「意思決定への関与度」で評価される
年収アップを実現している層の多くは、経営・事業企画、内部統制・監査、経理・財務、IT・DX、再生可能エネルギー関連など、会社の方向性に影響を与える領域を担っています。重要なのは、単に業務を担当していたかどうかではなく、事業性やリスク、コスト構造を踏まえたうえで、どこまで意思決定に関与していたかという点です。こうした経験は、本部機能や高度専門職ポジションで高く評価され、年収水準を押し上げる要因となります。
マネジメントは「組織管理」より「事業を動かした実績」が問われる
管理職経験は電力会社でも年収アップにおいて重要な要素ですが、評価されるのは役職名そのものではありません。評価が高いのは、発電・送配電・再エネ開発・DX推進など、複数部門を巻き込みながらプロジェクトや事業を前に進めた実績です。特に新電力では、限られたリソースの中で事業基盤を構築した経験が、大手電力では全社横断型のプロジェクト推進経験が、年収レンジ拡大につながりやすい傾向があります。
大手電力/新電力いずれでも「経営インパクト」が評価軸になる
大手電力と新電力では、評価されやすい職種や役割に違いはあるものの、年収が高い層に共通しているのは「会社全体にどのような経営インパクトを与えたか」が明確である点です。安定運営やガバナンス強化、事業拡大や業務高度化など、自身の経験を経営課題の文脈で語れる方ほどポジションの選択肢が広がり、結果として年収アップを実現しています。
電力会社の年収アップ転職成功事例
金融×電力トレーディングの専門性で、新電力の収益モデルを構築
Lさん(50代前半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 再生可能エネルギー/発電・開発・運営 | エネルギートレーディング(立上げ) | 1,600万円 |
| 転職後 | 新電力/電力小売・電力取引 | トレーダー(電力トレーディング) | 1,650万円 |
Lさんは外資系金融機関にて長年トレーディング業務に従事し、複数の商品・マーケットを横断した相場取引やリスク管理の経験。その後は、再生可能エネルギー事業者に参画し、トレーディング機能の立ち上げを主導していらっしゃいました。国内電力に加え、燃料や為替などを組み合わせた調達・販売戦略の構築、リスク計量やヘッジを通じて、事業の収益改善に貢献してきたことが強みです。
現状の事情を背景に転職を検討する中で、JACはLさんの経験を単なる「電力の売買スキル」としてではなく、制度変更を踏まえた市場分析力、戦略設計力、上層部へのレポーティングまで担える事業サイドのフロントとして整理。成長フェーズにある新電力のトレーディング組織において、電源調達からヘッジ戦略まで一気通貫で担うポジションをご提案しました。
選考では、過去の実績を新環境でも再現できる点を具体的に言語化し、年収を維持しながら、より裁量と事業インパクトの大きい環境への転身を実現しています。
グローバルSCM統括経験が、新電力の事業成長を支える中枢ポジションに直結
Qさん(30代前半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 化学メーカー | サプライチェーンマネジメント | 800万円 |
| 転職後 | 新電力・再生可能エネルギー | 生産管理(製造統括/SCM) | 1,000万円 |
Qさんは、海外拠点での就業経験を含め、製造・物流・購買・在庫管理・マネジメントまで、サプライチェーン全体を横断して担ってきた方です。直近では大手メーカーのグローバルSCM部門にて、国内外の生産・在庫・輸出入を統括し、数字に基づいた改善や最適化を推進。さらなるキャリアアップを志向する中でJACに相談にいらっしゃいました。
JACのコンサルタントはQさんの経験を「生産管理の実務者」ではなく、複数国・複数拠点を束ねながら、事業拡大フェーズの供給体制を設計・再構築できる方として言語化。成長著しい新電力の関連事業において、製造全体を統括し、将来的には経営層も視野に入るポジションをご提案しました。
選考では、海外工場の立ち上げや組織マネジメントの再現性を具体的に示し、年収は800万円から1,000万円へと大きく向上しています。
海外プラントPM経験から、大手電力の再エネ開発“オーナーズエンジニア”へ
Uさん(30代後半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | エンジニアリング・プラント | プラントエンジニア(PM) | 850万円 |
| 転職後 | 電力・ユーティリティ | 機械エンジニア(オーナーズエンジニアリング) | 1,300万円 |
Uさんは、国内外の化学プラントや廃棄物発電プラントにおいて、プロジェクトエンジニアからプロジェクトマネージャーまで一貫して経験を積んできた方です。設計・見積から現地工事、試運転、引き渡しまで、複数フェーズを横断したプロジェクト統括力に強みをもち、海外拠点ではプロジェクト全体のモニタリングや関係各所との調整も担ってきました。一方で、自身の経験や成果が正当に評価され、より大きな裁量をもって事業に関われる環境を求め、転職を検討。
JACのコンサルタントは、Uさんの経歴を「設備エンジニア」としてではなく、再エネ事業におけるオーナーズエンジニアリングを担える方として再定義。発電所建設における技術的判断力に加え、EPC管理や官庁対応、海外案件経験を強みとして整理し、大手電力の再エネ開発部門をご提案しました。
選考では、事業者側の立場でプロジェクト全体を統括できる点が高く評価され、年収は850万円から1,300万円へと大幅に向上。現在は再エネ電源開発の中核として、長期的なキャリア形成も視野に入れたポジションで活躍しています。
電力会社の転職ならJAC
JACでは、電力業界に精通した専任コンサルタントが、これまで培ってきた専門性や実務経験を丁寧に整理しながら、大手電力・新電力それぞれの事業構造や成長フェーズ、経営課題を踏まえ、経験が正当に評価されるポジションをご提案しています。
また年収800万円~1,200万円クラスの管理職・専門職を中心とした非公開求人も多数お預かりしており、経営・事業企画、ガバナンス領域、再エネ開発、デジタル推進など、年収アップにつながる転職成功事例が豊富です。
キャリアの言語化から選考対策、年収・ポジション交渉までを一貫して支援し、短期的な条件改善にとどまらず、電力業界での中長期的なキャリア形成を見据えた転職支援を行っています。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、
企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。

