外資系化学メーカーの転職市場動向

  1. 化学メーカー(化学/素材業界)×転職マーケット
  2. 転職マーケット×外資系企業

公開日:2022/01/28 / 最終更新日: 2024/09/27

化学メーカーも変化に対応すべく新たな取り組みを進めています。
外資系化学メーカーの現状や転職市場、具体的な求人から今後の展望まで、外資系化学メーカーと日系化学メーカー比較しながらご紹介します。

転職にあたっては、業界把握が重要なプロセスのひとつですが、日系と外資系では動向は異なります。また、同じ日系企業でも企業規模や強みによっても目指しているベクトルや経営方針が異なります。ぜひ業界の現状を理解し、自分にあった企業を見つけてみましょう。

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外資系化学メーカーの市場動向


■電子材料・自動車樹脂・電池材料の市場に注力

外資系企業の日本市場での戦略は「現状維持」か「積極拡大」に二極化しています。
積極拡大を進める企業の共通点は下記事業ドメインを持っていることです。

1. 電子材料(半導体他)
2. 自動車樹脂(電気自動車の素材)
3. 電池材料

これらは世界的に今後の成長が期待されている分野であり、全体的に飽和状態の日本市場においても、成長が期待される分野であるため、外資系企業にとっても外せない市場と言えます。
特に「半導体分野」への投資は非常に力を入れており、工場の増強を図る企業も多いです。

■【転職市場予測】セールスを中心に、開発・マーケティング・製造関連職を採用

2020年は採用を控える企業が多く、求人数は例年の30~40%減となりました。しかし、2021年は前年の反動もあり、求人数が大きく回復。例年以上の水準となりました。
電子材料・自動車樹脂・電池材料にフォーカスして日本市場の拡大を図る企業が積極採用を行っています。 この動きは2024年も続くでしょう。

日本にある外資系メーカーのうち7割程度は、販売拠点として日本に支社を設置しているため、「セールス」のニーズが中心です。
残り3割は、日本に開発拠点や工場を置いている大手企業。これらの企業は日本市場におけるプレゼンスが高く、日本市場に力を入れている企業が多いため、求人も多岐に渡ります。「セールス」のほか「開発」「マーケティング」「製造関連」などの人材ニーズがあります。

外資系企業とは?日系企業との違いや向いている人を簡単に解説

■2024年、外資系化学メーカーで求められる人材

●セールス
外資系企業の求人においては、セールスが40~50%を占めています。「アカウントマネージャー」として、管理職でありながら部下を持たないポジションでの採用が多数です。
日本に開発・製造拠点を持つ外資系企業では、「テクニカルサポート」のようなポジションで、技術とセールスを兼務するケースもよく見られます。これは、「日本ブランチ」として小規模な組織で運営している外資系企業ならではの特徴です。

現在の注力分野である電子材料・自動車樹脂・電池材料を扱う求人が増加しています。特に、「営業先」となる業界から採用するという事例もでてきています。
たとえば、完成車メーカーで電気自動車開発を手がけていた方が外資系化学メーカーにて電気自動車向け素材のテクニカルサポートとして、採用されるといったケースです。
「大規模な組織で一部の業務を担当するより、仕事の幅と裁量権を広げたい」という方にとっては、魅力的なポジションと言えるでしょう。

<年収相場>
600万~1200万円


●工場長、製造部門マネージャー、生産技術、EHSなど
電子材料・自動車樹脂・電池材料に注力する企業では、工場の増設も進めています。これらの分野では、グローバルでも、ニーズに対して供給が追い付いていない状況であるためです。
生産体制の強化にともない、工場長、製造部門マネージャー、生産技術、EHSなどの採用が動いています。
求められるのは、実務経験と英語スキルがあり、かつ地方勤務ができる方。これらの条件を満たす方であれば、50代で決定されるケースも一般的です。
また、地方の生産拠点は高齢化が進んでいることから、定年退職を控えている方々の業務やロールを引き継いで行えるような人材の募集が多いのも特徴です。
なお、製品そのものの取扱い経験がなくても、入社後のキャッチアップを期待して、有機系化学材料などの経験がある20代~30代が採用されるケースも見られます。

<年収相場>
500万~1200万円


●品質保証、レギュラトリー
ガバナンスが重視される時代的背景もあり、品質保証の求人が増えています。業務内容は日系企業と変わりませんが、製造を海外に委託している場合や、サプライヤーが海外にいる場合も多く、英語対応が必要となるケースがほとんどです。
化学品の法規制対応に加え、海外から輸入する際の申請作業等は外資系企業でも発生するため、レギュラトリーのニーズもあります。

<年収相場>
600万~1000万円



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外資系企業の年収情報|日系企業との比較や年収アップのポイント

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日系大手化学メーカーの動向


「変革」が加速。新規事業の開発や異業種への参入の動き

総合化学メーカーにおいては、新規事業への参入や、事業の「選択と集中」を背景とするM&Aなどの動きが活発で、変化のスピードが加速しています。
新規事業に関しては、ライフサイエンスや高速通信向け材料など、従来とは異なる分野へと拡大しています。

グローバル競争がさらに激化する中、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「カーボンニュートラル」「半導体」などをキーワードに、各社新たな取り組みを推進。
DXに関しては、これまで「スマートファクトリー推進」「マテリアルズ・インフォマティクス」といったキーワードに基づき、研究開発部門や生産部門へのデジタル導入を進めてきました。しかし最近では、DXによる「ビジネスモデル変革」まで踏み出す動きが見られます。
産業構造の変化やグローバル企業の台頭などにより、今後これまでの事業の延長線では成長が見込めない可能性があり、新たな収益の柱を確立することがテーマとなっています。

■【転職市場予測】「変革」を担える人材を、異業界からも採用

日系総合化学メーカーの中途採用は、以前と比べて大きく変化しています。 総合化学メーカーが中途採用に力を入れるようになったのは2017~2018年ごろ。もともと新卒一括採用が中心ですが、2000年代前半の不況期に新卒採用を縮小したことから、組織ピラミッドのゆがみが課題となっていました。層が薄い年代を埋めるため、30代半ば~後半の次世代管理職層の採用に乗り出し、同業界の経験者を迎える採用が活発化したのです。

しかし、ここ数年で社会の様相が激変。大手化学メーカーの人材ニーズは「変革を担える人材」へ変化しています。前述の「DX」「カーボンニュートラル」「半導体」などの側面から、それらに対応できる人材を異業界から迎える採用が増えているのです。
2024年も、「事業変革」「新規事業」に携わる人材を求め、異業界出身者も含めた積極採用が続くでしょう。

■2024年、日系大手化学メーカーで求められる人材

日系大手企業では、さまざまな職種において多数の求人がありますが、なかでも、特に注目されている求人について紹介します。

●DX推進人材
生産技術分野のDX推進においては、業種問わず製造業での工場自動化やスマートファクトリー推進を経験してきた方が採用ターゲットとなります。
さらに幅広い部門でのDX推進やビジネスモデル変革を図るに際しては、IT企業から人材を受け入れるほか、自社よりもDXへの取り組みが進んでいる製造業でDX推進を手がけてきたシステム開発やデータサイエンティスト等の経験者を求めています。

<年収相場>
担当者レベル:600万~900万円
管理職層:1000万円以上


●女性管理職
ダイバーシティ推進施策として、管理職に占める女性比率を高めるべく、数値目標を設定して取り組んでいます。これまで男性が多かった業界ですので、組織カルチャーの変革が必要。新たな価値観を取り入れていくマネジメントポジションに、女性を迎えようとする動きが活発化しています。たとえば、営業やマーケティング部門の管理職として、40代の女性が採用されている事例があります。
業種問わず大手企業では「時短勤務制度」「在宅勤務制度」「フルフレックス」「育児支援サービス利用への補助金」など、育児と仕事を両立しやすい制度の導入や、女性向けのキャリアデザイン研修、リーダーシップ研修、マネジメント研修などを取り入れて女性のキャリアアップを促進しています。また、男性管理職を対象とした意識改革、風土改革への取り組みもあります。
ケミカル業界に限らず、製造業での経験があり、マネジメントや組織変革への志向を持つ女性にとってはチャンスの時期と言えるでしょう。
また、数は少ないものの、研究開発などエンジニアリング領域での女性管理職の採用事例も見られます。

<年収相場>
800万~1000万円強


●研究開発職
研究開発の求人も引き続き活況。既存の製品の開発はもちろん、新製品の開発ポジションの採用も動いています。「SDGs」への意識の高まり、「カーボンニュートラル」への取り組みの加速を背景に、特に「環境配慮型製品」の研究開発のニーズが増えつつあると感じますバイオプラスチックや、触媒の研究開発が求人一例として挙げられます。
環境配慮型製品の経験があれば尚可ですが、そういった新製品開発に挑戦したい意欲のある研究開発経験者であれば、採用ニーズがあります。企業出身者だけでなく、当核領域で高い専門性を有する大学や研究機関出身者の採用事例も見られます。

<年収相場>
500万~1000万円


●地方の生産拠点の生産技術
量産に向け、生産技術を強化。東北・北陸・中国地方など、地方勤務の生産技術職は、引き続きニーズが高い状況です。
生産技術の経験があれば、ケミカル業界での経験は不問。自動車部品、電機、機械などの業界の生産技術経験者も採用対象となっています。

<年収相場>
500万~1000万円
化学メーカー 日系大手企業

見浪

ケミカルディビジョン マネージャー

【得意分野】
業種 : 化学・素材業界全般
職種 : 製品開発、新規事業企画、生産技術、DX推進、環境安全
企業タイプ :日系大手化学・素材メーカー

一貫して化学・素材業界のキャリアサポートに携わってきました。 ミドル~マネジメントクラスの事業変革を担う人材のご支援を得意としております。 化学・素材業界内での転職は勿論ですが、異業界からのご支援実績も多数ございます。


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日系中小化学メーカーの市場動向


■海外展開が課題。商社は付加価値アップ、メーカーは多角化へ

中小規模の日系化学商社が力を入れるのは「海外展開」。人口減少や顧客企業のグローバル競争の激化によって国内市場が縮小に向かう中、海外市場への拡販が課題となっています。
また、ECによる直接取引の拡大にともない、商社のビジネスのあり方がより問われるようになっています。商社は数が多いだけに、生き残りをかけて、提案力や付加価値を高めていかなければならない状況。販売先のメーカーのエンジニアと対等に協議ができるレベルまで、技術知識を磨こうとしています。

一方、中小化学メーカーでは、大手が手がけないニッチ分野に特化した製品開発を行っています。
こちらも、前述同様に人口減少や顧客企業のグローバル競争の激化によってその製品を国内だけでなく海外に展開していく動きが加速しています。
事業の柱が1つのみの企業も多数。その領域が不振に陥った場合に備えるため、多角化を図る動きもあります。自社の技術を他の分野に転用する、異なる用途を開発するなど、新規事業開発に力を入れる企業が多く見られます。
例えば、主要事業が電子材料の企業が自動車向けの材料開発を始めたり、逆に、自動車向けの材料開発がメインの企業が半導体用途の材料開発を始めたり、といったようにです。

■【転職市場予測】海外展開、新規事業を担う人材を求める。次世代経営者候補のニーズも

中小の化学企業では、商社においてもメーカーにおいても「海外展開」を担う営業人材を求めています。
また、新たな用途開発や新規事業開発を目指すメーカーでは、そのプロジェクトを推進できるエンジニアの採用を進めています。

オーナー企業では、経営陣の高齢化を背景に、事業承継の課題も抱えています。次世代の経営を担うマネジメント人材の確保も急務となっています。

■2024年、日系中小化学メーカーで求められる人材

●海外営業
海外営業は、若手層から管理職層まで、また「海外出張ベースで対応」「海外駐在」など、幅広いポジションの求人があります。
求める要件はポジションによって異なりますが、「ビジネス英会話力」「海外営業経験3年以上」を求める求人が多く見られます。海外駐在前提のポジションであれば、海外駐在経験が求められます。
対象国としては、タイ・ベトナム・シンガポールなど東南アジアが中心。最近では中国向け営業人材のニーズも高まっており、中国語が話せる人材が歓迎されます。

<年収相場>
メンバークラス:400万~700万円
管理職クラス:650万~1000万円
海外駐在ポジション:700万~1000万円


●生産技術系管理職、工場長
生産技術の管理職クラスや工場長のニーズも根強くあります。
ケミカル業界出身者に限らず、「設備」を熟知しており、プラント全体のマネジメントができる人材が対象となります。自動車業界やエレクトロニクス業界からの転職事例もあります。
ほか、数は限られているものの、機械系・電気系エンジニアのニーズも尽きることはありません。

<年収相場>
600万~1000万円


●新規事業にかかわる製品開発
新規事業にかかわる開発職のニーズもあります。
最近は環境配慮型製品の開発に取り組む企業が増えていますが、半導体分野への参入を図る企業、自動車向け製品を強化したい企業など、戦略はさまざま。その分野のエンジニア経験者が求められています。

<年収相場>
500万~900万円


●工場自動化の推進人材
中小企業では自動化が遅れており、何から手をつけてよいか分からない状態。そこで、一から企画立案~推進を担うポジションの求人が少しずつ出てきています。
前職の業界は問わず、工場の自動化の経験者が採用対象となります。
大手企業などで自動化を手がけた方にとっては、経験を生かし、自己裁量で自由に推進できる点にやりがいを感じられるでしょう。
なお、年収は「要相談」とする求人が多数。採用側は、そうした人材の市場価値・年収相場をつかんだ上で協議したいと考えているのです。


●技術営業
技術営業の求人も最近増加傾向が見られます。技術営業経験者を求めますが、理系出身でコミュニケーション力がある方にも門戸を開いています。 開発職だった方が、顧客とのコミュニケーションを求めて技術営業に転身するケースもあります。

<年収相場>
500万~900万円


化学メーカ 日系中小企業

石本

ケミカルディビジョン マネージャー

【得意分野】
業種 : 化学・素材業界全般
職種 : 営業(国内・海外)、開発(基礎・生産技術)、工場全般(自動化含む)、品質、知財等
企業タイプ :日系中堅・中小・ベンチャー(メーカー・商社)

入社以来一貫して化学・素材業界を中心に転職サポートに携わってきました。 特に中小企業の経営者や役員の方々への提案を得意としており、一般的には公開していない Confidentialな案件を扱うことも多いです。 海外営業、海外駐在、技術や工場の責任者といった企業にとって将来を左右するような ポジションの支援に強みを持っております。


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外資系化学メーカーの今後の展望


化学メーカーは今後どのように変化していくのでしょうか。
日系大手企業では、これまで研究開発や生産部門で進めてきたDXをさらに拡大。セールス・マーケティング領域にデジタルツールを導入して新たな「顧客体験」を創出するほか、ビジネスモデルの変革まで踏み込もうとしています。こうしたプロジェクトを担う人材のニーズが、2024年でも、さらに高まりそうです。

マーケットの変化が激しい中、各社、組織のあり方を見直しています。これまでの「新卒一括採用」から中途採用の拡大へシフトし、その期待値が高まっていくと思われます。
「変革」に携わりたい方々にとっては、大きなチャンスが到来していると言えるでしょう。

また「カーボンニュートラル」というテーマに関しても、さらに取り組みが活発化していきます。
すでに大手と中小の連携も始まっています。中小企業やベンチャー企業が持っているエコ素材に対し、大手企業が投資して事業化していく動きも見られます。
中小企業においても、環境事業への新規参入が進むでしょう。

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外資系化学メーカーへの転職を目指す方に、JACが提供できる価値


ジェイ エイ シー リクルートメントのケミカル業界専門コンサルタント部門は、業界最大規模。専門コンサルタントが常に企業とコミュニケーションをとり、マーケットトレンドをつかんでいます。一企業に対して複数のコンサルタントが担当につき、複眼的に情報収集しているため、情報の「量」と「質」に自信を持っています。他社にない求人や転職事例を豊富に蓄積しているのが強みです。

また、相談者の方にマッチした求人がない場合も、「このご経験であれば、あの企業で生かせるのではないか」と想定し、企業側に提案するケースもあります。
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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


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