40代税理士の転職事情|平均年収や求められるスキル経験を解説

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公開日:2025/10/31 / 最終更新日: 2025/10/31

近年、40代税理士の転職市場は活発化しており、年収相場や求人動向にも大きな変化が見られます。税務の専門性に加え、財務戦略や国際税務、M&A支援といった領域で即戦力としての期待が高まっており、経験豊富な方がキャリアアップの機会を得やすい状況です。

本記事では、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが保有するデータをもとに、40代税理士の年収水準、求められるスキルや経験、そしてさらなる成長につながる転職のポイントを解説します。

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40代税理士の現状と転職動向

40代税理士には、企業の業容拡大や組織再編、新規事業立ち上げの局面で、経営層と同じ視点で課題を解決できるプレイングマネージャーとしての役割が期待されています。上場企業の財務経理部門では、税務調査対応から税金削減提案、国内外税制の理解、事業再編時の税務検討までを一貫して担うポジションも登場。事業承継や資産税対応では、相続・贈与税の実務経験に加え、M&Aやエグゼキューションまで対応できる方が求められています。

さらに、国際税務やIFRS対応、英語力を活かした外資系企業での活躍も現実的な選択肢となっており、税理士資格や実務経験に加え、マネジメント志向や変化への対応力が評価される市場へと進化しています。

事業承継・資産税対応の強化

中堅~大手の税理士法人では、高齢化にともなう事業承継ニーズや資産税関連業務の拡大が進んでいます。そのため、法人税務だけでなく相続・贈与税や資産管理まで幅広く対応できるスペシャリストへのニーズが高まっています。

法人顧客基盤の拡大と高度化

成長戦略を進める会計事務所やコンサルティング会社では、上場準備企業やグローバル企業の顧客が増加傾向です。国際税務や連結決算など、専門的かつ複雑な領域での実務をリードできる40代税理士が求められています。

成長戦略を進める会計事務所やコンサルティング会社では、上場準備企業やグローバル企業の顧客が増加傾向です。国際税務や連結決算など、専門的かつ複雑な領域での実務をリードできる40代税理士が求められています。

マネジメント層の補強

即戦力として、プレイヤーにとどまらずチームを率いるマネージャー職、将来のパートナー候補として採用されるケースが目立ちます。顧客対応力に加え、若手育成や組織運営に携わった経験が評価されやすい傾向です。

業界の広がりと新規領域での需要

従来の税理士法人・会計事務所に加え、金融、不動産、医療、IT業界でも税務・会計専門職の募集が活発です。事業多角化や内部統制強化の文脈で、企業内税務ポジションを担う40代税理士への期待が高まっています。

40代税理士の転職市場は、従来の会計・税務実務に加え、事業承継や国際税務などの専門性、さらにマネジメント力を兼ね備えた方にチャンスが広がっています。企業は「資格保有+経験」のみでなく、組織変革や成長戦略を支える推進力を重視する傾向が強く、今後も即戦力層への需要は堅調に続くと考えられます。

40代税理士に求められるスキル・経験・マインド

40代税理士の転職市場では、単なる実務遂行力ではなく、組織や事業を“動かす力”が問われます。ここでは、30代とは異なる視点で、40代に求められるスキル・経験を3つの観点から整理します。また、40代の税理士が転職時に取得していると有利な資格もご紹介します。

1.経営視点×変革推進力

40代の税理士には、現場の実務だけでなく、経営層と同じ目線で課題を捉え、変革を推進する力が求められます。特に、以下のような経験が評価対象です。

・事業承継や組織再編における実務主導経験
・顧問先の成長戦略を踏まえたコンサルティング提案
・内部統制・ガバナンス体制の整備、リスク対応の実績

これらは単なる「管理職」ではなく、「経営のパートナー」としての役割を期待されていることの表れです。

2.専門性の深化×高度な技術理解

40代税理士は、特定領域における専門性の深さが差別化要素となります。さらに、変化の早い業界環境に対応する柔軟性も不可欠です。
以下のような「専門性の深さ」と「新しい技術や仕組みへの理解力」の両立が、40代税理士の市場価値を高めます。

・資産税、国際税務、事業承継などの専門領域での豊富な実務経験
・M&Aや組織再編にともなう税務デューデリジェンスの経験
・会計DXやクラウド会計システム導入支援など、新しいツール活用の知見

3.リーダーシップ×組織変革

40代税理士は、チームを率いるだけでなく、組織の在り方そのものを変える役割が期待されます。
以下のような経験があると単なる「部門管理」ではなく、「変革の担い手」としてのリーダーシップをアピールできます。

・プレイングマネージャーとして現場を牽引しつつ人材育成を行った経験
・拠点や部署を跨いだプロジェクトのリーダー経験
・顧客、所内メンバー、他士業との合意形成を進める調整力

このように、40代では「経営に近い視座」「専門性の深化」「組織を動かす力」が三位一体で求められます。30代までの延長線上での実務力ではなく、より戦略的かつ構造的な貢献が期待されるのが40代税理士の転職市場の特徴です。

40代税理士が転職時に取得していると有利な資格

40代税理士にとって資格は「入口」としてではなく「強みの裏付け」として機能します。税理士資格を土台に、会計士や中小企業診断士、法務関連資格、MBAなどの資格を組み合わせることで、専門性と経営視点の双方を備えたスペシャリストとして市場価値を大きく高めることが可能です。

公認会計士

監査や会計基準対応で強みを発揮し、「税理士+会計士」のダブルライセンスは大きな差別化要素です。CFO候補や上場準備企業での活躍の場が広がり、監査法人経験を活かして事業会社や税理士法人に転じるケースも多く見られます。

参照:jicpa「公認会計士とは」

ビジネス実務法務検定

税理士業務は法務との接点が多く、ビジネス実務法務検定の資格は顧客への提案力を補強する証明となります。40代では「法務+税務」を兼ね備え、事業承継や組織再編など複雑な経営課題に総合的に対応できる点が評価されます。

参照:東京商工会議所「ビジネス実務法務検定試験」

中小企業診断士

中小企業診断士は経営全体を見渡す力を示せる資格で、税務や会計の枠を超えた助言ができるようになります。40代税理士が保有することで、戦略提案や経営改善への信頼性が高まり、事業承継やM&Aコンサルにも有効です。

参照:一般社団法人 中小企業診断協会

MBA(経営学修士)

必須ではないものの、MBA取得者は「経営企画・財務戦略に踏み込める税務プロフェッショナル」として差別化されます。パートナー候補やCFOを目指すうえで強みとなり、経営戦略やリーダーシップに長けたスペシャリストとして、グローバル企業でも評価されます。

参照:KEIO MBA「MBAプログラム」

40代税理士の平均年収は838.8万円

■40代全体の平均年収

800~950万円

JACの実績に基づく40代税理士のハイクラス転職決定時平均年収は838.8万円です。この水準は、一般的な勤務税理士(40代)の平均年収(500万円~700万円台)を上回っており、主にJACが扱うマネジメント層や戦略部門の求人動向を反映しています。この高額な報酬は、経験豊富な40代に対して、専門性だけでなく、経営への貢献度やマネジメント能力が極めて高く評価されている証です。

■転職者が多い職種別平均年収(抜粋)

職種名平均年収
税務・会計550~800万円前後
経理400~800万円前後
財務600~1,000万円前後
経営企画・管理600~900万円前後
税務コンサルタント700~1,000万円前後
財務アドバイザリー700~1,200万円前後

一般的な税理士の転職市場のデータによると、税理士が転職する代表的な職種とその平均年収は上記のとおりです。税務コンサルタントや財務アドバイザリーなど、専門性の高い職種ほど上限年収が高く、経験やスキルの幅によってはさらに高収入を目指せる職種が多い傾向です。

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40代税理士の転職を成功させる5つのポイント

40代税理士が転職を成功させるためには、以下の5つのポイントを押さえることが重要です。

・経営視点での「価値創出」を語る

・組織・顧客への変革実績を「再現性あるプロセス」で示す

・専門性の深化と「越境的な応用力」

・キャリアの一貫性と「これからの軸」を明確に

・転職エージェントを活用する

ここから、各ポイントについて解説します。

経営視点での「価値創出」を語る

40代では、税務の専門家としての知見に加え、経営層と同じ視座で課題を捉え、意思決定に資する提案ができるかが問われます。例えば、M&Aや事業再編における税務設計、グループ全体の税務最適化、内部統制の再構築など、経営に資する成果を「数字」と「背景」込みで語れることが重要です。

組織・顧客への変革実績を「再現性あるプロセス」で示す

単なる改善ではなく、変革を主導した経験が評価されます。例えば、クラウド会計導入による業務効率化、税務調査対応フローの再設計、部門横断プロジェクトの推進など。成果だけでなく、「どのように課題を発見し、誰を巻き込み、どう動かしたか」というプロセスを語ることで、再現性あるリーダーシップが伝わります。

専門性の深化と「越境的な応用力」

資産税、国際税務、移転価格、電子帳簿保存法など、特定領域での深い知見は差別化要素です。ただし、それだけでは不十分。経営企画やIT、財務戦略との接点をもち、複合的な課題に対応できる応用力が求められます。例えば「IFRS導入に伴う税務影響の整理」や「ERP刷新における税務要件定義」など、“専門性×経営貢献”の実績が強みになります。

キャリアの一貫性と「これからの軸」を明確に

40代の転職では、これまでのキャリアの蓄積と、今後の方向性が一貫していることが重要です。例えば「資産税領域での経験を活かし、事業承継支援の専門家として深めたい」「税務×ITの知見を活かし、企業内税務の高度化に貢献したい」など、“過去の実績”と“未来の志向”がつながっていることが、説得力あるキャリアストーリーを形成します。

転職エージェントを活用する

40代の転職は非公開求人が多く、転職エージェントの活用が鍵です。信頼できる転職エージェントを選び、応募書類や面接対策でプロのアドバイスを受けましょう。内部情報や独自求人の紹介を得たい場合も戦略的に相談することで成功率が上がります。

40代税理士の転職成功事例

ここからは、JACを活用した40代税理士の転職事例をご紹介します。

Sさん(男性/40代後半)

業種職種年収
転職前精密機器メーカー税務グループマネージャー1,100万円
転職後CRO税務スペシャリスト1,100万円

Sさんは税理士資格を有し、キャリアの前半は税理士事務所にて外資系企業を中心に税務申告や決算業務、国際税務に携わってきました。また複数基準に基づく会計処理を経験し、英文会計や海外親会社とのやり取りなど、国際的な税務対応にも精通しています。

直近では大手メーカーにて税務グループの責任者を務め、国内税務から国際税務、移転価格文書対応まで幅広く担当。子会社監査役としての役割も担うなど、実務とマネジメントの双方で豊富な経験を積んできました。

より柔軟な働き方と、国際的な税務知識を活かせる環境を求めて転職を決意。JACのコンサルタントはSさんの「幅広い税務経験」と「外資系対応力」を高く評価し、CROにおける税務スペシャリストポジションを提案しました。結果として、従来の専門性を発揮しながら、医薬・ヘルスケアという新しいフィールドでキャリアを広げる道を選びました。

40代税理士の転職でよくある質問

ここからは、40代税理士の転職時によくある質問と回答をご紹介します。

Q.マネジメント経験がなくても転職できますか?

A.必ずしもマネジメント経験は必須ではありません。税理士は専門職のため、税務の知識や申告書作成など、専門業務への対応力があれば評価されます。

Q.転職で年収アップは期待できますか?

A.可能です。給与形態や年収交渉は転職エージェントがサポートし、納得できる条件で転職できる事例も多くあります。

Q.税理士業界未経験でも転職できますか?

A.40代未経験者の転職はハードルが高い傾向ですが、税理士資格と事業会社での経理経験があれば、小規模事務所や中堅事務所への転職は可能です。

Q.ライフステージに合わせて働き方を柔軟に変えられますか?

A.40代は育児や介護など家庭事情により、働き方の制約が出やすい年代です。面接で柔軟な働き方(土日休み、時短勤務等)を希望しても、専門性や業務経験があれば考慮される場合もあります。

Q.「転職後、どのようなキャリアパスが描けますか?」

A.40代税理士は、事業承継・国際税務・M&Aなど専門分野での活躍や、コンサルファームでのアドバイザリー業務、事業会社でのCFO候補など多様な道が開けます。独立を視野に入れたパートナー採用もあり、実務経験や専門性がキャリアの幅を広げる要因となります。

40代税理士の転職ならJAC

JACは、管理職や高度専門職への転職支援で強みをもち、40代税理士の経験や専門性を最大限に引き出すサポートを提供しています。会計・税務分野に精通した専任コンサルタントが長年にわたり多様な転職をサポートしてきた実績があり、現場での課題や希望に寄り添った提案が可能です。

また、管理職や事業承継コンサルタント、国際税務やM&A関連など、40代税理士の強みを活かせる多岐にわたる案件を豊富に保持。キャリアの幅を広げたい方や、組織での中核ポジションを目指す方にも、きめ細やかなアドバイスや交渉支援を提供します。40代ならではの実績や課題まで的確に理解したうえで、将来的なキャリア展望に合わせた転職活動をスムーズに進められることが強みです。

40代税理士の転職をご検討の方は、ぜひJACにご相談ください。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。