広告代理店から転職したい方向けに広告代理店出身者の主な転職先や評価されやすい経験を解説

「広告代理店で働いているが今の経験を生かして転職したい…」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、広告代理店出身者の主な転職先や評価されやすい経験をJAC Recruitment（以下、JAC）が解説いたします。

広告代理店出身者の主な転職先

---

本章では、広告代理店出身者の主な転職先である、次の5つのキャリアについて解説します。

大手広告代理店・中堅インターネット広告代理店

広告代理店出身者の転職先として、同業他社である大手広告代理店や中堅のインターネット広告代理店が挙げられます。
大手広告代理店では、より大規模なプロジェクトに携わる機会を求めて、あるいは異なる企業文化や専門分野に特化した環境で自身のスキルを磨きたいという動機で転職するケースが想定されます。一方、インターネット広告代理店は、デジタルマーケティング領域に関する専門知識や最新の技術に触れる機会が多く、専門性を高めたい方にとって魅力的な選択肢になるでしょう。

大手総合代理店に求められる経験としては、総合的なプロモーションの設計やマスメディアを活用した戦略立案などがあります。また、デジタル領域に強い中堅代理店では、運用型広告やSNSプロモーション、データドリブンなマーケティング経験があると高く評価されるでしょう。

消費財メーカーなど事業会社の営業職

広告代理店での営業経験を生かし、事業会社の営業職に転職するケースもあります。
顧客のニーズを深く理解し、最適なソリューションを提供してきた経験は、事業会社の営業活動でも生かすことができます。特に、既存顧客との関係構築や新規顧客開拓の経験は、事業規模の拡大に貢献できる可能性があるとして、評価されることもあるでしょう。また、消費財メーカーの営業は広告やプロモーション戦略と連動する場面が多く、広告代理店で培ったマーケティング視点が強みになるケースもあります。
広告代理店での営業経験を生かし、より深く自社商材に関わりたい方にとって、やりがいを感じられるキャリアになるでしょう。

消費財メーカーやIT業界などのデジタルマーケティング担当

Web広告運用やSEO、SNSマーケティング、データ分析などの経験を持つ方は、消費財メーカーやIT業界など、さまざまな事業会社のデジタルマーケティング担当として活躍する道があります。
特に消費財メーカーやIT企業では、データ分析にもとづく広告運用、ユーザー行動分析からのコンテンツ設計、SNSでの認知拡大など、広告代理店で培ったスキルをそのまま生かせるでしょう。

一方、事業会社では広告代理店と異なり、より中長期的な視点で顧客との関係性を深める戦略が重視される傾向があります。そのため、単なる施策実行だけでなく、マーケティング戦略全体への理解や売上への貢献意識が求められることを理解しておきましょう。
広告代理店で得た知見を生かしながら、ブランド成長に直接貢献したい方にとって、魅力的なキャリアパスといえます。

戦略・経営コンサルティングファーム

大手広告代理店で市場調査、競合分析、ブランド戦略立案などの経験を持つ方は、戦略・経営コンサルティングファームも転職先の候補になり得るでしょう。
広告代理店で培った、顧客企業の課題分析力やクリエイティブな解決策の提案力は、コンサルタント業務と共通する点が多々あります。また、広告代理店で多様な業界に対して企画提案を実施してきた経験は、コンサルタントとして顧客の業界構造や競争環境を素早く理解するうえで役立つでしょう。

論理的思考力や高いプレゼン力、そして顧客とともに課題解決に取り組んだ実績があれば、コンサルタント経験がなくても採用される可能性は十分にあります。

事業会社の広報・ブランドマネージャー

広告代理店で広報戦略やブランド戦略の立案・実行に携わってきた方は、事業会社の広報やブランドマネージャーも転職先の候補になります。
特に、企業のメッセージ設計やメディア選定に関与した経験は、企業の広報戦略立案やブランド価値向上に貢献するとして重宝されるでしょう。また、市場分析やターゲット理解にもとづいたブランドコンセプト策定など、広告代理店での業務はブランドマネージャー職との親和性が高く、高い適性も期待できます。

自社ブランドに深く関わりたい方や、企画・設計力をさらに磨きたい方にとって、事業会社のブランド関連職は適した転職先といえるでしょう。

広告代理店からの転職で評価される経験・スキル

---

広告代理店からの転職では、主に次の経験やスキルが高く評価されます。

ここでは、上記5つのスキル・経験が評価される業界・業種、評価される理由について解説します。

顧客折衝経験

広告代理店の営業やアカウントプランナーとして、課題抽出から提案、進行管理、報告までを一貫して担当した経験は、高度な顧客折衝力、課題解決力、調整力があると評価されることがあります。
事業会社の営業職や企画職のほか、コンサルティングファームやIT業界のプロジェクトマネージャーなど、顧客との密な連携が必要な職種において、即戦力としての活躍が期待されるでしょう。
また、多様な関係者を巻き込みプロジェクトを推進した経験は、BtoBビジネスやプロジェクトマネジメント業務との親和性が高く、異業種への転職でも高く評価されるでしょう。

発想力・クリエイティブ力

広告代理店では、日々変化する市場ニーズやトレンドを踏まえた、魅力的で実効性の高い企画提案が求められます。そのため、発想力やコンセプト立案力、ディレクションスキルといった広告代理店ならではの強みは、転職活動でも高く評価されるでしょう。

具体的には、事業会社のブランドマネジメント職やマーケティング部門、商品開発部門、さらにコンサルティングファームでも、既存の枠にとらわれない斬新な視点からの問題解決が期待されるため、広告代理店出身者の発想力は大きなアドバンテージとなると考えられます。
さらに、IT業界のUX・UI設計、コンテンツ企画、Webマーケティング分野でも、クリエイティブとマーケティングの融合が進んでおり、広告代理店出身者の感性や発想力が求められています。

情報収集力・提案力

広告代理店では、顧客の業界動向や競合企業の動き、消費者のニーズなど、多岐にわたる情報を収集・分析し、最適な広告戦略やプロモーションプランを提案しなければなりません。広告代理店で培ってきた構造的な思考力や論理的に説明できる力は、事業会社のマーケティング部門や経営企画部門でも役立つでしょう。

また、情報の真偽を見極めつつ迅速な意思決定を重ねてきた経験、論理的思考力、説得力のあるプレゼン能力も、提案成功に不可欠な素養であり、多様な業界で高く評価される可能性が期待できます。

デジタル領域を含めたマーケティング知見・経験

DX推進やデジタル技術の進展にともない、近年の転職市場ではデジタルマーケティングの知見や経験への需要が高まりつつあります。その点、広告代理店では、Web広告運用やSEO、SNSマーケティング、コンテンツマーケティング、データ分析など、幅広いデジタルマーケティングの知識と実務経験を積むことができます。

各スキルは、事業会社のデジタルマーケティング担当やWebマーケター、マーケティングアナリストなど多様な職種で生かせるでしょう。また、ベンチャー企業のグロース領域やSaaS企業のデジタル戦略担当などでも求められるスキルであり、選択肢は豊富です。
加えて、オンラインとオフラインを統合したマーケティング施策を設計した経験があれば、オムニチャネル戦略が重視される流通・小売業界においても即戦力として高い評価を受けることがあります。

目標達成力・バイタリティ

広告代理店では、厳しい納期のなかで高い成果を出すことが求められます。常に複数案件を並行し、タイトなスケジュールで業務を完遂してきた経験は、目標達成力とバイタリティを持つ裏付けになるでしょう。

こうした経験は、特にスタートアップや成長フェーズにある企業、成果報酬型を採用する企業、営業ドリブンな職種において重宝されます。特に、自発的に動き、周囲を巻き込んでプロジェクトを前進させる姿勢や、課題に直面したときに諦めずに打開策を探る粘り強さは、どの業界でも通用する普遍的なビジネススキルであり、多くの企業で高く評価されるでしょう。

【年代別】広告代理店からの転職事情

---

本章では、広告代理店からの転職事情について、年代別に解説します。

20代で広告代理店からの転職事情

企業は、20代の広告代理店出身者に対して、柔軟性や吸収力、そして現場で培った提案力やコミュニケーション能力などを期待します。特に広告業界特有のスピード感のなかで培われた情報感度や新しいトレンドへの関心は、変化の速いIT業界やベンチャー企業などで高く評価されるでしょう。

また20代は、ほかの年代と比較してポテンシャルが評価の対象になりやすいことから、異業種への挑戦もしやすく、法人営業やWebマーケティング、広報、インサイドセールスなど、多様な選択肢を持つことができます。また、広告代理店での経験を生かし、より専門性を深めるために、特定の領域に特化した広告・マーケティング関連企業への転職も選択肢の一つとして挙げられます。

採用選考では、広告代理店で培ってきた経験と自身の強みを転職先企業で描けるキャリアパスと結びつけながら、志望動機や転職理由を述べることを意識しましょう。

30代で広告代理店からの転職事情

30代の広告代理店出身者には、即戦力としての活躍が期待されますが、デジタル広告やプロモーション企画、メディアプランニングなどの特定領域における専門性やマネジメント経験を持つか否かが選べるポジションや年収レンジに大きく影響します。

転職先としては、事業会社のマーケティングマネージャーやブランドマネージャー、あるいはコンサルティングファームなどが考えられます。また、マネジメント経験があれば、チームリーダーや部門責任者などのポジションも目指せるでしょう。

30代は即戦力としての活躍が期待されるため、採用選考では自身の強みを、応募する職種やポジションに関連付けて再定義し、説得力のある志望動機と自己PRを作成することがポイントです。

40代で広告代理店からの転職事情

40代の広告代理店出身者には、豊富な経験と実績、そしてマネジメント能力が期待されます。
大規模なプロジェクトを成功に導いた実績を持つ場合、事業会社のマーケティング部門や広報部門の管理職、あるいは独立・起業、スタートアップのCMO候補といったキャリアパスが開ける可能性があります。また、顧客の中長期経営戦略にもとづいた統合マーケティング提案の経験があれば、経営企画やコンサルティング業界への転職も視野に入れることができます。

ただし、年収やポジションに見合うだけの専門性と実行力が求められるため、採用選考では「担当業務と具体的な成果」を定量的に伝えることを意識しましょう。

50代で広告代理店からの転職事情

50代は企業の顧問やアドバイザー、あるいは業界団体や教育機関での活動など、これまでの経験を生かしたセカンドキャリアを模索する方が増える年代です。長年の経験にもとづく深い業界知識や幅広い人脈、そして組織を率いたリーダーシップ力が強く求められる傾向があります。
転職難易度が高くなるため、場合によっては、フリーランス・業務委託としての参画など、正社員以外の働き方も視野に入れる必要があるでしょう。

転職を成功させるには、自身が提供できる価値を明確にすることがポイントです。また、転職エージェントを活用し、多様な選択肢の提案を受けたり、転職支援のプロによる視点から自分に適した求人を絞り込んでもらったりすることも有効な手段です。

広告代理店からの転職を成功させるためのポイント

---

ここでは、広告代理店からの転職を成功させるために、意識したい次の3つのポイントを解説します。

多忙のなかでもキャリアやスキルの棚卸しを欠かさない

広告代理店からの転職を成功させるためには、多忙ななかでも意識的に時間を確保し、これまでの経験で培ってきたスキルや実績を客観的な視点から棚卸しすることが不可欠です。

広告代理店では複数プロジェクトが同時進行し、常に締め切りに追われるため、キャリアやスキルを棚卸しする時間を確保することは難しいかもしれません。しかし、意識的に時間を作り自己分析を進めれば、自身の強み・弱み、適性のある職種・業界が明確になり、転職活動の軸が定まるでしょう。
具体的には、過去のプロジェクトについて、自身の役割、発揮したスキル、成果などを詳細に書き出すとよいでしょう。また、転職エージェントのキャリアカウンセリングを活用し、客観的な視点からアドバイスを受けるのも一つの方法です。

>> キャリアの棚卸しとは？棚卸しのメリットややり方を解説

広告営業職では担当顧客や実績、企画内容等を、事例が分かるよう明確に職務経歴書に記載する

広告代理店の営業職に就いていた場合、職務経歴書を作成する際は、担当顧客や実績、企画内容などの事例を詳細に記載することを意識しましょう。
採用担当者は、広告代理店での経験が自社でどのように生かせるのかを具体的に知りたいと考えています。そのため、担当業界や顧客規模、具体的なキャンペーン内容、KPI設定と成果、チームマネジメント経験などを、エピソードとともに再現性のある実績として示すことが重要です。

例えば、「大手飲料メーカーのブランド認知度向上施策として、SNSを活用したキャンペーンを企画・実行し、エンゲージメント率を〇％向上させた」のように、具体的な実績を数値データとともに示すことで、提案力や実行力を効果的に伝えられるでしょう。

広告代理店出身者の転職支援が豊富なエージェントを利用する

広告代理店出身者がスキル・経験を正しく評価され、納得のいく転職を実現するには、広告業界に精通し支援実績が豊富な転職エージェントの活用が効果的です。広告業界は職種や役割の幅が広く、企業が求めるスキルセットと転職希望者の経験が合致していたとしても、採用選考で能力や経験を適切にアピールできなければ、採用に至ることはありません。
その点、広告業界の転職市場や職種について深く理解している転職エージェントは、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などの過程で、業界特有の採用傾向を汲んだ専門的なアドバイスを提供してくれるでしょう。また、一般には公開されていない非公開求人を紹介してくれる可能性も期待できます。

広告代理店からの転職事例

---

ここでは、JACが提供する転職支援を利用し、広告代理店から別の業界に転職した事例を紹介します。

中堅インターネット広告代理店から大手広告代理店への転職事例（女性／30代前半）

	業種	職種	年収
転職前	中堅インターネット広告代理店	デジタルアカウントプランナー	500万円
転職後	大手広告代理店 グループ企業	デジタルアカウントプランナー	600万円

新卒で入社したのは、中堅クラスのインターネット広告専業代理店です。デジタルアカウントプランナーとして、クライアント対応・プランニング・運用まで一貫して担当しました。
経験を積むなかで「よりマーケティングの上流に携わりたい」「デジタルマーケティング領域の幅広い専門職がいる環境で、専門性を高め、自分を成長させたい」という思いが強くなり、転職活動を開始。先輩が転職時に活用したと聞いていたJACに相談しました。先の希望を伝えたところ、それをかなえる選択肢として「より大規模な広告代理店のデジタルアカウントプランナー」と「事業会社のマーケティング職」を提案していただきました。

その後、視野を広げて比較検討するため、広告代理店・事業会社の両方に応募。広告業界専任のコンサルタントと事業会社のマーケティング専任のコンサルタントの2名体制でサポートいただき、面接対策を行いました。
各社で異なる仕事内容・カルチャー・求める人物像などの情報提供を受け、それに合わせてアピールポイントを工夫。結果、複数社から内定を得ることができました。
入社を決めたのは、大手広告代理店のグループ企業です。面接を受けていく過程で、自分に不足しているものが見え、「こうなりたい」と思う姿をイメージできました。
この企業なら、領域ごとにエキスパートがいる環境で「成長できそう」という期待が持てたのです。そして「私はやはりクライアントワークが好き」と、転職活動を通じて自身の志向性も確認できました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

>>【デジタルアカウントプランナーの転職事例】中堅から大手への転職で年収100万円アップ

実際、広告代理店出身者はどのような業種/職種に転職している？

---

下記は、JACの登録者で広告代理店を経験した方の転職先業種・職種トップ10を表にしたものです。広告代理店からの転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【広告代理店出身者が転職先として選んだ業種トップ10】
過去に広告代理店を経験した方が転職先として選んだ業種では、マスコミ（26.2%）がトップとなり、次いでWEB（16.5%）、IT・通信（15.4%）が続きます。
広告代理店と比較的親和性の高い業種が並んでいることがわかります。

順位	職種	割合(%)
1	マスコミ	26.2%
2	WEB	16.5%
3	IT・通信	15.4%
4	EMC	11.4%
5	消費財	6.5%
6	コンサルティング・シンクタンク・事務所	5.4%
7	サービス	4.7%
8	メディカル・バイオ	4.1%
9	流通	3.2%
10	金融	2.7%
その他		4.0%

※当社実績（2019年1月～2025年3月）より

【広告代理店出身者が転職先として選んだ職種トップ10】
過去に広告代理店を経験した方が転職先として選んだ職種としては、営業（15.3%）がトップとなり、次いでマーケティング・商品開発（13.5%）、WEB・アプリ・ゲーム（12.6%）が続く結果となりました。
また、転職先としてクリエイティブ（10.2%）関連の職種を選択している人が多い点も特徴といえるでしょう。

順位	職種	割合(%)
1	営業	15.3%
2	マーケティング・商品開発	13.5%
3	WEB・アプリ・ゲーム	12.6%
4	IT	12.0%
5	クリエイティブ（広告・デザイン・放送関連）	10.2%
6	経営・事業企画	8.4%
7	コンサルティング・アドバイザリー	7.1%
8	経理・財務	4.2%
9	人事・労務	3.4%
10	技術系	2.9%
その他		10.2%

※当社実績（2019年1月～2025年3月）より

広告代理店からの転職なら、JAC Recruitmentへ

---

広告代理店での経験を生かし、新たなキャリアを目指す方は、ぜひJACをご活用ください。
広告代理店で培われた、顧客折衝能力や企画提案力、クリエイティブ力、そしてデジタル領域を含む幅広いマーケティング知識は、多くの企業で高く評価されるスキルです。JACには、広告・マーケティング業界に精通したコンサルタントが多数在籍しており、広告代理店で培われたスキルセットを正しく理解したうえで、最適な求人を提案しております。

また、JACでは職種や業界をまたいだ提案も可能であり、これまでにも多くのキャリアチェンジを支援してきました。そのため、異業界への転職を考えている方にも、有益なアドバイス提供や求人提案が可能です。
広告代理店から新たなキャリアを築きたいと考える方は、ぜひJACにご相談ください。