1年で転職は早い・難しい?検討しても良いケースや転職事例を解説

転職してまだ1年も経たないうちに、再度の転職を考え始める方は決して少なくありません。

短期離職は採用市場で慎重に見られる側面がある一方で、明らかなミスマッチや組織の大きな変化など、早期に動くことがむしろ合理的なケースも存在します。判断軸をもって動けるかどうかが鍵です。

本記事では、在籍1年での転職データや退職を検討してもよいケース、選考通過のポイント、実際の転職事例まで、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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在籍1年で転職は早い・難しいのか?

在籍1年での転職は決して珍しい選択ではなく、一定数存在するキャリアの動きです。

厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、直前の勤め先での通算勤務期間が1年未満だった転職者は全体の17.7%でした。男女別、就業形態別、前回調査との比較は次のとおりです。

区分6か月未満6か月以上1年未満1年未満計
総数7.8%9.9%17.7%
6.7%8.0%14.7%
9.3%12.6%21.9%
正社員7.4%9.5%16.9%
前回(平成27年)総数8.4%10.1%18.5%

出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」

男性14.7%に対して女性は21.9%と差があり、就業形態を正社員に限っても16.9%と全体平均に近い水準です。前回(平成27年)調査の18.5%から大きな変化はなく、短期での転職は転職市場で一定の割合を占め続けている状況といえます。
世代ごとの差は大きいため、以下では、厚生労働省のデータをもとに年代別の数字を順に確認していきます。

  • 20代で1年で転職した人の割合
  • 30代で1年で転職した人の割合
  • 40代で1年で転職した人の割合
  • 50代で1年で転職した人の割合

20代で1年で転職した人の割合

20代では1年未満での転職割合がほかの年代と比べて高く、特に20代前半で突出した数値となっています。

20〜24歳では6か月未満が14.6%、6か月以上1年未満が21.5%で、合計すると36.1%に達します。全年代の中でも飛び抜けた水準であり、新卒入社後のミスマッチや、社会人としての方向性を模索する中で早期に軌道修正に踏み切る方が一定数いることが背景と考えられます。

25〜29歳では合計18.4%まで下がり、全体平均17.7%とほぼ同じ水準に落ち着きます。20代後半は社会人経験が数年積み重なった段階にあたり、自身のキャリア設計に基づく中長期的な判断で動く方が増えてくる時期です。20代の中でも前半と後半では転職市場での動き方が大きく異なり、世代内の差を踏まえた捉え方が求められます。

30代で1年で転職した人の割合

30代では1年未満での転職割合が全年代の中で最も抑えられた水準にあります。

30〜34歳では合計12.5%、35〜39歳でも15.2%にとどまり、いずれも全体平均17.7%を下回ります。30代はキャリアの中核を担う時期にあたり、転職後は腰を据えて成果を出すことを重視する方が多い傾向がうかがえます。

採用企業側の見方も影響しています。短期間での離職歴が複数あると定着性への懸念が生じやすく、30代では中長期で活躍できる方かどうかを慎重に見極められる傾向が強まります。結婚や住宅購入といったライフイベントとも重なりやすい年代であり、職場選び自体に慎重さが増すことも、在籍期間が長く保たれる一因と考えられます。

40代で1年で転職した人の割合

40代の1年未満での転職割合は30代と近く、年代が上がるにつれて低下する傾向にあります。

40〜44歳では合計15.7%、45〜49歳では13.8%となり、全体平均17.7%を下回る水準で推移します。マネジメント職や専門職としての裁量が広がる時期にあたり、転職時には長期的に成果を出せるポジションを選ぶ傾向が強まります。

40代後半に向けて割合がさらに低下する背景には、採用要件の厳しさがあります。年齢が上がるほど即戦力性や定着性が重視され、短期間での離職歴は採用判断に影響を与えやすくなるためです。ただし1年未満で動く方も一定数存在し、想定と異なる役割を任されるなどミスマッチが大きい場合の早期判断は、現実的な選択肢になり得ます。

50代で1年で転職した人の割合

50代では1年未満での転職割合が30〜40代と比べてやや高く、特に50代前半で目立つ水準となっています。

50〜54歳の合計は25.3%に達し、全体平均17.7%を大きく上回ります。55〜59歳でも19.2%と平均を超える水準です。こうした数値には、役職定年や事業再編に伴う早期退職制度の活用といった、50代特有の事情が反映されていると考えられます。

加えて、入社後に想定していた役割と異なる業務を任されたことを理由に、再度動く方も一定数います。シニア層では転職後に再び動くケースも一定数あり、ポジションや組織との適合を見極めながら次の一手を打つ動きが、こうした数字に表れています。50代は転職市場の中でも独自の動きを示す世代といえそうです。


出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」

転職して1年で退職を検討しても良いといえるケース

転職後1年以内であっても、退職を前向きに検討してよい状況はいくつか存在します。

短期間での再転職は採用市場で慎重に見られる傾向がある一方、状況によっては早期判断が合理的なケースもあります。共通するのは、入社時に想定していた前提が大きく崩れている、あるいは個人の努力では解決し難い構造的な問題が生じている点です。代表的な3つのケースを順に見ていきます。

  • 提示された労働条件や職務内容と実態が著しく乖離している
  • 経営陣の交代やM&Aなどにより事業方針が根本から覆った
  • コンプライアンス違反やハラスメントが常態化している

提示された労働条件や職務内容と実態が著しく乖離している

提示された労働条件や職務内容と入社後の実態が著しくかけ離れている場合、早期退職の検討は妥当な判断といえます。

労働基準法第15条では、契約締結時に明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は労働契約を即時に解除できると定められています。想定された職務範囲が大幅に変更されていた、給与水準や勤務地が事前の説明と食い違っているといった事態は、契約の前提そのものを揺るがすものであり、本人の能力や努力で改善できる範囲を超えるためです。

まずは上司や人事に対し、書面で事実関係を確認し改善を申し入れることが現実的な一歩です。それでも誠実な対応が得られない場合には、退職と再転職の判断に踏み出してよい状況といえます。希望と異なる条件のもとでスキル形成や年収が停滞することは、長期的にはキャリアの機会損失につながります。早期に動くことが結果としてキャリアを守る選択となる場面は少なくありません。

出典:厚生労働省リーフレット「労働基準法の基礎知識」

経営陣の交代やM&Aなどにより事業方針が根本から覆った

経営陣の交代やM&Aといった外部要因によって事業方針が根本から変わった場合は、入社時の判断材料そのものが失われている状況です。

新経営体制の発足により担当事業領域が縮小に動くケースや、買収先の方針で組織再編が起こり、希望していたポジションや裁量が失われるケースが代表例です。こうした変化は入社時の意思決定の前提となっていた要素そのものを消滅させるため、本人の貢献意欲とは無関係に、自身の専門性を生かす場が大きく変わってしまう事態を引き起こします。

採用市場の側から見ても、外部要因による方針変更は早期退職の理由として理解されやすく、キャリアの一貫性が損なわれにくい傾向にあります。状況の重さを冷静に見極めたうえで、自身が成果を出せる環境をあらためて探す判断は合理的な選択肢といえます。

コンプライアンス違反やハラスメントが常態化している

コンプライアンス違反やハラスメントが組織内で常態化している環境では、自身の心身とキャリアを守るために早期退職を選ぶことが妥当な判断となります。

違法な長時間労働や未払い残業、不正会計といった法令違反や、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメントが日常的に発生している職場は、個人の働き方や上司との関係性で解決できる範囲を超えています。組織文化に根差した構造的な問題であるためです。

我慢を続けることは、健康面への深刻な影響に加え、自身のキャリア観や働き方への基準まで歪めてしまうリスクをもちます。社内の通報窓口や産業医、さらに外部の労働相談機関といった選択肢を検討したうえで、改善の見込みが立たない場合は早期離脱が現実的な選択です。

健康を損なってからの再起には大きな時間とエネルギーを要します。先手を打つ判断は、キャリア戦略として合理的な選択になり得ます。

在籍1年で転職する際の面接・選考のポイント

在籍1年での転職では、採用企業が抱きがちな定着性への不安に正面から応える準備が選考通過の分かれ目となります。

短期間での退職歴は、企業側に「またすぐに辞めてしまうのではないか」という不安を抱かせやすいのが現実です。この懸念を解消するには、退職理由や短期間での実績、志望動機という3点を一貫したストーリーで語れる状態にすることが欠かせません。それぞれの伝え方には押さえるべきポイントがあります。

  • 退職理由を前向きに言い換える
  • 短期間ながらも現職で残した実績を言語化する
  • 強固な志望動機を作り定着し活躍できる根拠を示す

退職理由を前向きに言い換える

退職理由は事実を変えずに、自身のキャリアビジョンに沿った前向きな表現へと言い換えることが面接通過の鍵となります。

採用側が最も警戒するのは、他責的な理由や環境への不満から短期間で離職したという印象です。事実をそのまま並べるだけでは、企業文化への適応力や状況改善への主体性に欠ける方として映りかねません。同じ事実であっても、自分は次に何を実現したいのかを軸にして語り直せば、退職判断は将来に向けた選択として伝わります。

「思っていた業務と異なっていた」という事実は、「自身のキャリアの方向性を明らかにするための選択だった」と捉え直すことができます。大切なのは過度に美化することではなく、退職という経験を自身のキャリア設計の流れの中で語ることです。事実を踏まえて、その経験から何を学び、次にどう生かすのかを言葉にできれば、面接官が抱きがちな懸念は和らいでいきます。

短期間ながらも現職で残した実績を言語化する

在籍期間が短くても、その間に積み上げた成果や学びを具体的に言語化することは、選考での評価を大きく左右します。

採用側は「1年で何を残せたのか」を見ています。漠然と「営業を頑張った」と語るだけでは、再現性のある成果を出せる方とは見なされません。自分が主導した範囲を、可能な限り数字で示せる結果と合わせて語ることが効果的です。

短期間であっても、成果の質や立ち上がりの早さを具体的に示す視点が重要です。例えば「半年で売り上げ前年比120%を達成した」「入社3カ月で新規案件を立ち上げた」といった事実は、立ち上がりの早さや成果へのコミット力を裏付けます。1年というハンディを逆手に取り、短期間でも結果を出せる方であることを示せれば、転職先での早期戦力化への期待につながります。

強固な志望動機を作り定着し活躍できる根拠を示す

志望動機の強度こそが、短期間での退職歴を抱えた転職希望者にとって最大の説得材料となります。

採用企業が在籍1年での転職者に対して抱く最も大きな疑問は、「なぜこの会社なら続けられるのか」という点です。退職理由や短期間での実績を語るだけでは、定着性への不安は払拭しきれません。志望動機の中で、自身のキャリアビジョンとその企業の事業や成長機会がどのように重なるのかを論理的に示す必要があります。

前職での選択から学んだ視点を盛り込むことも有効です。前職を振り返り、その経験を踏まえて今回の企業をどう選び直したかを語れる方は、感情ではなく判断軸で企業を選んでいる印象を残せます。

入社後どのように貢献し、中長期で何を成し遂げたいのかまで踏み込んで言葉にできれば、採用側は腰を据えて活躍する姿を具体的にイメージできます。志望動機の解像度は、そのまま定着性への信頼度に置き換わるといえます。

転職後1年で再度転職した人の転職事例

ここでは、JACが提供する転職支援サービスを通じて、転職後1年で再度の転職を成功させた事例を紹介します。

短期離職でも評価された「提案力」を武器に、外資系メーカーへ転じた30代後半の事例

Rさん(30代後半/男性)

業種職種年収
転職前医療機器専門商社営業700万円
転職後外資系医療機器メーカー企画提案営業800万円

Rさんは医療機器業界で長年営業として実績を重ねてきた方です。直近の医療機器商社に入社された後、改善の見込みが立たないハラスメントに直面し、生活基盤の安定も望まれていた中、入社後数カ月という段階で再転職を決意してJACへ相談に来られました。

JACのコンサルタントは、Rさんが医療機関を中心に多様な顧客層へ提案営業を展開してきた経験と、製品の価値を顧客とともに育てていく姿勢を高く評価しました。短期間の在籍が選考でマイナスに働かないよう、これまでの実績や培った提案力を体系的に整理し、面接で語れる形に組み立てたうえで、医療機器分野の外資系メーカーが募集する企画提案営業ポジションをご紹介しました。

転職後のRさんは年収を100万円引き上げ、これまでの提案営業経験と顧客との関係構築力を生かして活躍されています。短期在籍であっても、ご本人の本来の専門性を正しく言語化し、納得感のある志望動機を組み立てられれば、次のキャリアへ進む選択は十分に開ける好例といえます。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

40代MRが1年以内の再転職で専門性を広げ、年収を引き上げた事例

Nさん(40代前半/男性)

業種職種年収
転職前医薬品メーカーMR900万円
転職後CSOMR1,000万円

Nさんは国内の医薬品メーカーから外資系製薬メーカーへと移り、長年MRとしてキャリアを重ねてきた40代前半の方です。直近の外資系メーカーではオンコロジー領域の専任MRとして従事されましたが、組織との相性面で課題が生じ、短期間での再転職を決意してJACへ相談に来られました。

JACのコンサルタントは、Nさんがオンコロジーや希少疾患領域で積み重ねてきた経験と、大学病院から開業医まで幅広い医療現場で成果を出してきた実績を高く評価しました。在籍期間の短さが選考で過度に意識されないよう、これまでのMRとしての専門性と多様な環境での適応力を整理したうえで、CSO業界のMRポジションをご紹介しました。

転職後のNさんは年収を100万円引き上げ、複数領域のMRとして専門性を広げる環境を得ています。短期間の在籍があっても、これまで積み上げた専門性と実績を適切に言語化することで、年収を引き上げながら新たな環境で活躍領域を広げる転職は十分に実現できる事例といえます。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

外部要因による短期離職を乗り越えた、50代人事責任者のハイクラス転職

Uさん(50代前半/男性)

業種職種年収
転職前法律事務所人事総務 部長1,100万円
転職後電気機器メーカー人事総務 部長1,200万円

Uさんは、大手不動産会社で人事キャリアを築かれた後、法律事務所で人事総務部長を担われていた50代前半の方です。直近の法律事務所では業績悪化による将来不安が顕在化し、入社から間もない時期に再転職の検討を始め、JACへ相談に来られました。

JACのコンサルタントは、Uさんが採用や組織開発から人事制度の企画運用まで幅広く担ってこられた経験と、経営層や他部門と柔軟に連携してきたコミュニケーション力を高く評価しました。短期での退職歴が外部要因によるものである点を面接で適切に説明できるよう経歴を整理したうえで、人事領域全般を任せられる電気機器メーカーの人事部長候補ポジションをご紹介しました。

転職後のUさんは年収を100万円引き上げ、HR改革を推進する立場として、採用や人事制度の刷新を主導されています。50代前半でのハイクラス転職においても、外部要因による短期離職を冷静に説明し、人事領域での専門性を体系的に示せれば、責任と裁量の大きいポジションへの転職は十分に可能であることを示しています。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

転職後1年で再度転職するなら、JAC Recruitment

転職後1年で再度の転職に踏み切る場合、採用企業が短期離職に抱きやすい懸念をどう払拭するかが選考の鍵を握ります。

短期間の在籍を不利にしないためには、退職理由や前職での実績、志望動機を一貫したストーリーで語る準備が欠かせません。経歴の整理や伝え方は、転職市場と採用企業の評価軸を熟知した転職エージェントの支援によって大きく前進します。

JACには、業界・職種ごとに専門性をもったコンサルタントが在籍し、ハイクラス・ミドル層の転職支援で豊富な実績を積み重ねてきました。短期離職という状況を踏まえた経歴の整理から、企業ごとの評価軸に沿った面接対策、幅広いポジションのご紹介までを一貫してサポートします。

転職後1年で再度の転職を検討されている方は、ぜひJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

編集部

当サイトを運営する、JACの編集部です。日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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