社外取締役の年収は、企業規模や上場区分、求められる専門性によって大きく異なります。経営の監督や助言を担う重要な役割である一方で、非常勤として取締役会や委員会への参加を中心に活動するケースも多く、責任範囲や稼働頻度に応じて年収水準には幅があります。JACリクルートメント(以下、JAC)の転職支援実績では、社外取締役の平均想定年収は778.2万円で、想定年収600万円~800万円の事例が多く見られました。
本記事ではJACの実績をもとに、社外取締役の平均年収や市場動向、就任事例、企業から求められる経験・スキルについて解説します。
社外取締役の平均年収は778.2万円、転職市場動向と年収傾向を解説
JACの転職支援実績によると、社外取締役の平均想定年収は778.2万円となっています。年収水準には幅がありますが、600万円~800万円のレンジに多くの事例が集まっています。一方で、企業規模や上場区分、求められる専門性によっては1,000万円を超えるオファーも見られます。
近年は、コーポレートガバナンスの強化や取締役会の多様化を背景に、社外取締役の採用ニーズが高まっています。特に、経営経験をもつ元経営幹部や、本部長・執行役員クラスのマネジメント経験者、公認会計士や弁護士などの専門職経験者への需要が拡大しています。
転職市場では、単に専門知識を有しているだけでなく、経営への助言や監督を担う立場として、ガバナンス、監査、財務、法務、リスク管理などの領域で実績を有する方が高く評価される傾向があります。また、事業会社での経営経験やグローバル事業への関与実績をもつ方は、高年収帯のポジションで採用されるケースも少なくありません。
社外取締役は非常勤として活動するケースが多く、年収は稼働頻度や委員会への参加状況、企業から期待される役割によって決定されます。また、社外取締役の報酬は、企業規模や上場区分だけでなく、担当する委員会や求められる専門性によっても大きく変動します。そのため、年収水準だけでなく、自身の専門性や経験が企業の課題解決にどのように貢献できるかを明確に示すことが、転職成功のポイントとなるでしょう。
企業タイプ別年収
| 企業タイプ | 平均年収 |
| 日系企業 | 778.1万円 |
| 外資系企業 | 804.0万円 |
日系企業と外資系企業の年収差は約26万円であり、大きな差は見られません。社外取締役の場合は企業タイプよりも、求められる専門性や役割の違いが年収に影響する傾向があります。近年は、上場企業を中心にコーポレートガバナンス強化や取締役会の多様化が進んでおり、日系・外資系を問わず、経営経験者や財務・法務・監査分野の専門職に対する需要が高まっています。
転職先を検討する際は、年収水準だけでなく、自身の経験や専門性が企業の課題や期待される役割と合致しているかを重視することが大切です。
業種別年収(※一部抜粋)
| 業種 | 平均年収 | 割合 |
| 食品・飲料 | 674.9万円 | 11.7% |
| 電気・電機 | 797.1万円 | 10.9% |
| 機械・装置 | 1,040.0万円 | 10.2% |
| 化学 | 609.2万円 | 9.5% |
| 商社(工業系) | 508.7万円 | 6.6% |
| 金属・素材 | 1,027.5万円 | 5.8% |
| 建設・土木 | 978.0万円 | 4.4% |
| 宝飾・アパレル(繊維)・スポーツ | 1,312.0万円 | 3.6% |
| 自動車・部品 | 789.6万円 | 3.6% |
| エネルギー・プラント | 832.5万円 | 2.9% |
※当社実績(2024年1月~2026年7月、想定年収)より
食品・飲料、電気・電機、機械・装置分野で社外取締役の採用事例が多く見られました。これらの業界では、ガバナンス体制の強化や経営陣の多様化を背景に、社外取締役の採用が継続的に行われています。
年収水準を見ると、機械・装置や金属・素材、建設・土木などの製造業・インフラ関連業界で比較的高い傾向が見られます。特に、事業運営や技術開発、海外展開に関する豊富な経験をもつプロフェッショナルへのニーズが高く、経営への助言や監督機能を期待されるポジションでは高年収の事例も確認されています。
一方、食品・飲料や化学などは採用事例数が多いものの、年収水準は比較的落ち着いています。社外取締役の年収は業界だけで決まるものではなく、企業規模や上場区分、求められる専門領域、委員会への参画有無などによって大きく変動します。
そのため、社外取締役として評価を高めるためには、業界経験だけでなく、経営経験やガバナンス、財務・法務・監査などの専門性を明確に示すことが重要です。
社外取締役で年収アップを目指すには
社外取締役としてより高い報酬水準を実現するためには、役職名や経歴だけでなく、企業経営にどのような価値を提供できるのかを具体的に示すことが重要です。特に、ガバナンス強化やリスク管理、事業成長に関する知見をもち、経営陣に対して実効性のある助言や監督ができる方は高く評価される傾向があります。
コーポレートガバナンスや取締役会運営の経験を強みにする
近年はガバナンス強化を目的として社外取締役を増員する企業が増えています。そのため、取締役会運営や指名・報酬委員会への参画経験、ガバナンス体制の整備に携わった実績は高く評価されます。単に会議へ参加した経験ではなく、どのような課題を発見し、経営の監督機能向上に貢献したのかを具体的に示すことが重要です。
財務・監査・法務などの専門性を深める
社外取締役の採用では、公認会計士や弁護士、監査役経験者など、企業経営を支える専門知識をもつ方への需要が高まっています。特に、内部統制、リスク管理、財務戦略、コンプライアンスといった分野で実績を有する方は、企業の持続的成長を支える存在として評価されやすく、高年収のポジションにつながる可能性があります。
経営経験や事業成長の実績を示す
元CEOやCFO、事業責任者など、経営に近い立場で意思決定を担った経験も高く評価されます。新規事業の立ち上げ、海外展開、M&A、事業再編など、企業価値向上に関わる実績は、社外取締役としての助言の説得力につながります。自身の経験がどのような経営課題の解決に役立つのかを整理して伝えることがポイントです。
独立した立場で助言できる経験を積む
社外取締役には、経営陣と適切な距離を保ちながら客観的な視点で助言・監督を行うことが求められます。そのため、事業会社でのマネジメント経験に加え、監査役、社外役員、アドバイザーなど、多様な立場で企業経営に関わった経験も評価対象となります。専門性と独立性を兼ね備えることで、選任機会の拡大や報酬水準の向上につながるでしょう。
社外取締役の就任事例
事業変革とDX推進の知見を評価され、機械メーカーの社外取締役に就任
Aさん(女性/50代以上)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | エネルギー企業 | 社外取締役 | 1,000万円 |
| 転職後 | 機械メーカー | 社外取締役 | 1,450万円 |
Aさんは、大手通信会社で法人向け・消費者向け事業の双方に携わり、事業戦略の立案やマーケティング、営業体制の構築を推進してきました。新規サービスの立ち上げや既存事業の変革に加え、デジタル技術を活用した顧客接点の強化や業務効率化にも取り組み、事業成長に貢献してきた経験を有しています。また、サステナビリティやダイバーシティ推進にも携わり、人材育成や組織づくりを含めた幅広い経営経験を積んできました。
JACでは、事業変革やDX推進の実績に加え、ガバナンスや組織運営に関する知見を整理し、社外取締役としての強みを明確化。その結果、機械・装置業界で経営の監督・助言を担うポジションへの就任につながりました。
1,000万円から1,450万円へと年収が上がり、事業運営を担う立場から経営全体を俯瞰する立場へと役割が広がりました。事業変革や組織マネジメントの経験を活かし、今後も企業価値向上への貢献が期待されています。
※事実をもとにしていますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
コンサルティング業界で培った内部統制・IPO準備経験を活かし、社外取締役へ
Bさん(男性/40代後半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 人事コンサルティング企業 | 内部統制 | 1,200万円 |
| 転職後 | ソフトウェア企業 | 社外取締役 | 1,200万円 |
Bさんは、管理部門領域でキャリアを積み重ね、経理・財務、内部統制、監査対応など幅広い業務に携わってきました。事業会社において管理部門責任者や役員として組織運営を担うほか、上場準備やガバナンス体制の整備にも関与し、経営基盤の強化に貢献してきた経験を有しています。
また、複数の企業で管理部門の立ち上げや業務改善を推進し、監査法人対応や内部統制の構築、IR業務などを担当してきました。こうした経験を通じて、事業成長を支える管理体制づくりやリスク管理の知見を培っています。
JACでは、経理・財務の専門性だけでなく、内部統制や上場準備に関する経験、経営目線で組織運営に携わってきた実績を整理し、社外取締役として企業価値向上に貢献できる点を訴求しました。
年収は1,200万円で変わりませんでしたが、経営執行に近い立場で培った知見を活かしながら、独立した立場で経営を監督・助言する役割へとキャリアの幅を広げました。内部統制やガバナンスに関する専門性を背景に、今後も企業の持続的な成長を支える役割が期待されています。
※事実をもとにしていますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
公認会計士としての専門性を活かし、建設業界の社外取締役へ
Cさん(女性/50代以上)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 公認会計士事務所 | 公認会計士 | 1,200万円 |
| 転職後 | 建設会社 | 社外取締役 | 1,400万円 |
Cさんは、銀行でシステム開発や金融関連業務を約10年経験した後、公認会計士資格を取得し、監査法人で長年にわたり法定監査に従事してきました。複数の業界で監査を担当したほか、監査品質向上施策の企画や監査支援ツールの導入にも携わり、監査実務に加えてガバナンスや内部統制に関する知見を培っています。
また、上場企業の法定監査に加え、J-SOX対応やサステナビリティ情報開示支援などにも関与してきたことから、経営を客観的な立場で監督するための専門性を高めてきました。
JACでは、公認会計士としての専門知識と業種横断で培った監査経験を整理し、社外取締役として発揮できる価値を明確化。その結果、ガバナンス強化を進める建設業界の企業から評価され、社外取締役に就任しました。年収は1,200万円から1,400万円へ上昇。監査の専門家として培った知見を、経営の監督や企業価値向上に活かす立場へとキャリアを広げています。
※事実をもとにしていますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
社外取締役の転職ならJACリクルートメント
社外取締役の求人は、経営体制やガバナンスに関わる重要ポジションであることから、非公開で採用が進められるケースが少なくありません。また、企業によって求められる経験や専門性、期待される役割は大きく異なります。
JACでは、社外取締役領域の転職支援実績をもとに、非公開求人を含めた市場動向やキャリアの可能性をご紹介しています。経営経験や専門知識をどのように訴求すべきか、どのような企業で活かせるのかを整理しながら、一人ひとりに合ったポジションをご提案します。
社外取締役としてのキャリアを検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、
企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。

