特許の転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説

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公開日:2025/08/18 / 最終更新日: 2025/08/18

近年、コンピューターやインターネットなどの情報処理技術の目覚ましい発展によって、さまざまな技術開発が進められています。2024年11月には、世界知的所有機関(WIPO)が2023年の世界の特許出願数が過去最高を更新したと発表しました。また、日本での特許出願数はわずかな増加であるものの、外国人からの特許出願件数は増加傾向にあります。では、特許の出願件数が増える中、特許の申請や保護に関連する職種の求人は増加しているのでしょうか。

本記事では、特許関連職に求められるスキルや経験、最新の求人情報など、転職に役立つ情報をJAC Recruitment(以下、JAC)が解説いたします。

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特許の転職動向



せっかく開発した技術を保護するためには、特許の出願が必要であり、日本国内の企業においても特許の申請や保護に関連する職種の求人は増加傾向にあります。JACが取り扱った特許関連職の求人数の変化を見ると、2024年の新規求人数は前年の1.14倍に増加しています。業種別にみると特に、EMC(電子・機械・化学)業界とメディカル・バイオ業界の求人が多い傾向にあります。さらに細かく見ると、EMC業界の中でも化学メーカーでの募集が目立ちます。また、メディカル・バイオ分野では、医薬品、診断薬・ライフサイエンス業界での求人が多い状況です。

2023年には、知財投資・活用戦略の有効な開示、およびガバナンスに関する検討会から「知財・無形財産ガバナンスガイドライン」が策定され、多くの企業において、知財や無形財産の投資・活用と開示の重要性についての認識が広がっています。アメリカ企業では、企業価値における知財や無形資産の割合が半数を超えており、日本においても知財や無形資産の投資・活用の実行が必要不可欠だとされています。そのため、JACが取り扱う特許関連職の求人においても、募集の背景として知的財産の投資・活用戦略の強化を挙げる企業が多く見られます。

特許で求められるスキル・経験・マインド


JACが取り扱う特許関連求人を見ると、次のようなスキルや経験を求められる傾向にあります。

特許の出願や管理に関連する経験

特許関連業務では、特許の出願や管理に関連する経験をもつ方を募集する求人がほとんどです。事業会社において、自社の発明した知的財産の権利化に関わった経験はもちろん、特許事務所で特許出願などに関するスペシャリストを求める企業が非常に多くなっています。

高いコミュニケーション能力と交渉力

特許関連業務では、社内外のさまざまなポジションの人と関わるケースが多くなります。まず、社内では研究開発や商品開発部門との連携が必要であり、特許事務所に特許申請を依頼する場合は、特許事務所と密接なコミュニケ―ションが必要です。また、特許出願にあたっては、関係各所とのライセンス交渉が欠かせません。

そのため、協調性が高く、円滑なコミュニケーションが図れるとともに、自社の考えや立場を的確に伝えられる提案力は、転職時に優遇されるでしょう。

英語力

グローバル展開をしている企業では、進出地域において特許を出願するケースもあります。その場合、海外のスタッフとのコミュニケーションだけでなく、海外のクライアントや外国特許庁への申請が必要になるため、英語の読み書き能力が求められます。

JACが取り扱う求人では、高い英語力を求める求人が非常に多くなっています。

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特許の想定平均年収は896.3万円


2023年1月~2025年6月の間にJACが転職をサポートした実績を見ると、特許関連職の平均年収は896.3万円です。ボリュームゾーンは800万円~1,200万円となっています。40代を超えると約半数の方の年収は1,000万円を超えており、平均年収も900万円以上になります。ほかの職種と比較しても、特許関連職は高年収を得られる職種だといえるでしょう。

また、管理職とメンバー職の年収の差が約250万円と大きい点も特許関連職の特徴でしょう。年齢が上がるとともに管理職に就く人の割合も多くなるため、特許関連職においては、管理職への就任が高年収を得るうえでのポイントになると考えられます。

役職平均年収
メンバークラス764.3万円
管理職1098.8万円
平均年収
日系企業887.0万円
外資系企業1099.4万円

※当社実績(2023年1月~2025年6月、想定年収)より

一般的な特許職の平均年収は、600万円前後とされています。JACの事例と同様、年齢を重ねるほど年収は高くなる傾向にあり、特に管理職の年収は1,000万円以上になるケースもあるのが特徴です。特許関連職には、知的財産となる自社の技術や発明への理解や特許の出願に関する専門的な知識が求められるため、ほかの職種に比べると、高めの年収に設定されているケースが多いようです。

特許の最新求人情報


JACでは、特許の求人を多数取り扱っています。ここでは特許の求人の中から一部をご紹介します。

非公開:【特許・知財担当】~総合化学メーカー~

スズキ株式会社:特許出願・権利化・調査に関する業務

TDK株式会社:【秋田】特許担当

非公開:知的財産(特許業務)※管理職

株式会社SUBARU:[群馬製作所] 知的財産分野における特許関連業務(知的財産部)

中外製薬株式会社:特許担当者 / Patent Attorney

愛知県/半導体関連企業/1,000名以上:知財/特許

Astemo株式会社:【茨城・栃木・厚木】特許等の出願、権利化、活用企画、調査および知財係争対応

本田技研工業株式会社:知的財産(電動・コネクテッド・ソフトウェアに関する特許実務)

JACが取り扱う求人の7割超は、非公開求人です。上記の求人以外にも、特許関連職に関する求人を多数取り扱っています。

当社ではご登録時に、転職にあたっての希望をしっかりお伺いしたうえで、転職の目的を叶えられる理想に近い求人をご紹介します。各業界に詳しいコンサルタントが転職希望者一人ひとりに寄り添い、きめ細かな転職支援を行いますので、特許関連職への転職をお考えの際にはぜひJACにご登録ください。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年7月最新)

特許への転職で有利となる資格



特許関連職への転職にあたっては必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、JACが取り扱う求人を見ると次のような資格を所有している方を歓迎する傾向が見られます。

弁理士

弁理士は、知的財産に関する専門家であり、特許や商標権などの知的財産権の出願手続きや知的財産に関する紛争解決などに関する専門的な知識を保有していることの証明となる資格です。

弁理士資格は国家資格であり、弁理士資格の取得にあたっては特許庁が主催する弁理士試験に合格する必要があります。試験は、筆記試験、口述試験によって行われますが、筆記試験は短答式試験、論文式試験(必須科目)、論文式試験(選択科目)の3段階に分けて行われ、筆記試験合格者のみに口述試験の受験が認められます。

弁理士試験は誰でも受験ができるものの合格率は非常に低く、2024年度の合格率はわずか6.0%です。

特許庁:弁理士試験

 知的財産管理技能検定

知的財産管理技能検定は、一般財団法人知的財産教育協会が主催する国家試験です。知的財産管理技能検定の合格者は、知的財産管理技能士と呼ばれる国家資格を取得できます。知的財産管理技能士はレベルによって、次のように分けられています。

・一級知的財産管理技能士(特許専門業務)、一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)、一級知的財産管理技能士(ブランド専門業務)

・二級知的財産管理技能士(管理業務)

・三級知的財産管理技能士(管理業務)

三級に関しては、知的財産に関する業務に従事しようとする人も受験が可能ですが、二級以上になると、一定以上の実務経験が必要になります。

知的財産教育協会:知的財産管理技能検定

TOEIC

特許関連職では、英語の能力を求める求人が多く、TOEICの目安スコアを応募条件に明記している企業も少なくありません。一般的にはTOEIC700点以上がビジネスレベルの英語能力の目安といわれています。一方、JACの取り扱い求人を見ると600点以上のものもあれば、900点以上の高いレベルの英語力を求める求人もあります。

いずれにせよ特許関連職では、英語の能力を求められる可能性が高いため、特許関連職への転職を検討している場合にはTOEICのスコアを取得しておいた方がよいでしょう。

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会:TOEIC

特許のキャリアパス


特許関連職の代表的なキャリアパスをご紹介します。

特許関連業務のスペシャリストを目指す

知的財産の種類によって特許の出願に必要な知識や手続きも変わってきます。特許関連職では、さまざまな知的財産の特許申請に関連する業務を経験することで、特許関連業務のスペシャリストを目指すことが可能です。さらに、国ごとに特許出願の手続きは変わってきます。グローバル展開を進める企業の場合には、実務経験を積むことで、海外における特許出願のスペシャリストを目指すことも可能です。

知的財産部門のマネジメント職を目指す

特許に関連する業務だけではなく、知的財産に関連する業務全般を担う部署において、マネジメント職を目指す選択肢もあります。自社の知的財産の活用に関する戦略を立案し、経営に携われるようなポジションを目指すことも可能です。より経営に近いポジションで業務に携わりたい方や部署全体のマネジメントに関心がある方などは、マネジメント職が向いているでしょう。

特許への転職を成功させる3つのポイント


特許関連職への転職を成功させるために押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

自分の知識や経験を活かせる業界を目指す

現在、さまざまな業界で技術開発が進められており、特許関連業務といっても、業種によって取り扱う技術の分野が変わります。特許関連業務では、自社が開発した技術を理解する知識が必要です。例えば、化学メーカーであれば化学に関する知識、IT関連企業であればコンピューターや情報通信技術に関する知識が求められます。

そのため、特許関連職の求人では、自社の技術分野における知的財産業務の経験をもつ人を求めるケースが非常に多い状況です。転職先を選ぶ際には、自身の専門的な知識や経験を活かせる企業を選ぶと転職を成功させやすくなるでしょう。

社内外での折衝の経験をアピールする

特許関連業務では、特許の対象となる技術を理解する知識や特許の出願などに関する知識も必要ですが、社内外のさまざまな立場の人と折衝をする能力も求められます。専門的な知識だけでなく、相手の主張をしっかりと理解したうえで自身の主張もしっかりと伝え、互いが納得できるポイントで同意を得る高い折衝能力をもつ方は高く評価されます。特許関連業務において、折衝にあたり、成果を上げた経験がある場合には具体例を挙げ、積極的にアピールするようにしましょう。

ポジティブな姿勢と旺盛なチャレンジ精神をアピールする

特許の出願においては粘り強い交渉が求められたり、新たな切り口からのアプローチが求められるケースも少なくありません。そのため、困難なことにも屈することのない前向きな姿勢や新たなことにも果敢に挑戦できる旺盛なチャレンジ精神を備える方を求める求人が多くなっています。

これまでの業務経験などをもとに、前向きに業務に取り組む姿勢や新たなことにも関心をもって積極的にチャレンジする姿勢をアピールすると、転職時に良い評価を得られる可能性を高められます。

特許の転職事例


JACでは、特許への転職を希望する方を多数サポートしてきました。その中から、当社が特許関連職への転職をサポートした方の事例をご紹介します。

法律事務所からメーカーの知的財産部門への転職事例

Lさん(女性/30代後半)

 業種職種年収
転職前特許法律事務所弁理士520万円
転職後製薬メーカー知的財産部860万円

Lさんは、海外の特許事務所において、バイオ・医学・有機化学分野の特許出願手続きや権利化の手続きに従事した経験をおもちの方です。日本の特許事務所でも特許関連業務に携わった経験があり、弁理士の資格も取得されました。特に、医薬品やワクチン、診断薬など、メディカル分野やバイオ分野の知識が豊富です。

製薬メーカーへの転職を視野に弁理士の資格も取得し、弁理士としての経験も十分に積まれました。そこで、念願であった製薬メーカーの知的財産部門への転職を希望され、当社に相談されました。

JACのコンサルタントが製薬メーカーの特許関連業務をご紹介したところ、特許業務の豊富な実務経験に加え、医薬品の専門的な知識も保有されていたことから、すぐに採用が決定。海外における特許関連業務の経験も高く評価され、年収も大幅にアップしました。現在、Lさんは希望されていた製薬メーカーで意欲的に業務に取り組んでいらっしゃいます。

特許関連職への転職なら、JAC Recruitmentへ


知的財産は、競合他社との差別化を図り、企業価値の向上に寄与する重要な資産です。近年では、知的資産経営の重要性が広く認識されるようになり、特許関連業務をはじめとする知的財産分野の知識や経験をもつスペシャリストを求める企業が増加しています。

JACでは、さまざまな業界に詳しいコンサルタントが在籍しているため、転職希望者の経歴や希望を把握したうえで、理想のキャリアを実現する最適な求人のご紹介が可能です。特許関連職への転職をお考えの際には、特許関連職の転職サポート実績も豊富なJACにぜひご相談ください。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。