CSO(最高戦略責任者)の採用は、単なる戦略立案機能の補強ではなく、「企業の次の10年を誰に託すか」という経営判断として行われるケースが増えています。
JAC Recruitmentの成約データを見ても、CSO採用は事業再定義、M&A後の変革期、新成長領域への投資といった“企業の分岐点”に集中しています。
本記事では、JAC Recruitment(以下、JAC)の実績データをもとにCSOポジションの転職動向や必要となるスキル、転職事例などを解説します。
目次/Index
CSO(最高戦略責任者)の転職動向
CSO(Chief Strategy Officer)の採用ニーズは、IT・通信、Web といった従来の領域を超え、mRNA・RNA 技術を扱うメディカル・バイオ、小売・ラグジュアリー、消費財、BtoB サービス、コンサルティングなど、多様な業界へと拡大しています。各社に共通するテーマは「事業の再定義」と「変化への迅速な対応」であり、戦略機能を経営直下に置きたいという意図が一段と明確になっています。
とくに、研究と事業をシームレスにつなぐ動きが強まっており、創薬・診断薬のテーマ設定、共同研究のマネジメント、技術の事業化までを一貫して担える“研究リテラシーを備えた経営のプロ”への需要が高まっています。
CSO に求められる役割は、全社戦略の立案だけに留まりません。チャネル戦略やセールス強化、マーケティング推進、業務改革(BPI)、新規部門の立ち上げなど、組織の前線に深く入り込みながら変革を推進することが求められるケースが増えています。また、戦略コンサルティングや事業企画の経験に加え、mRNA 創薬、リテールマネジメント、無形商材営業、SaaS・デジタル関連など、業界固有の知見や専門性が重視される点も特徴です。
さらに、英語力、PMI、部門横断プロジェクトを束ねる統合力など、多領域をリードする能力が必要とされる場面も多く見られます。
採用背景には、研究・戦略部門の再編、売上拡大フェーズに伴う増員、新サービス創出、M&A 後のバリューアップ、デジタル領域の強化など、企業の次の成長ドライバーが並んでいます。これは、単なる機能補完ではなく、自社の成長テーマを具現化するための“攻めの投資”として CSO を迎え入れる姿勢の表れです。
実際の転職成功者層は 50 歳前後が中心で、事業構造への深い理解と、複数領域を統合しながら意思決定できる視座を持つ方が高く評価されています。
総じて、CSO の市場における役割は「戦略を描く存在」から「変化を実装する実行責任者」へと進化しています。今後も企業変革の中核として、その重要性と存在感がいっそう高まっていくと見込まれます。
CSO(最高戦略責任者)が担う主な役割と必要なスキル
CSO(最高戦略責任者)が担う主な役割と必要なスキルには、次のような例が挙げられます。
- 企業の中長期的な成長戦略の立案
- 経営戦略を実行するための組織構築
- 組織の意識改革・業務改革の主導
- M&Aや社外提携の推進
- CEOや各部門長との密な連携とバランス
本章では、上記5つの例について解説します。
企業の中長期的な成長戦略の立案
CSOの主な役割の1つとして、企業の中長期的な成長戦略の立案が挙げられます。
具体的には、CEOが定めた企業のビジョンやミッションを基盤に、新規事業の開拓や既存事業の強化など、企業の成長に向けて戦略を立案します。
適切な成長戦略を立案するためには、高度な分析力や戦略的思考力、事業全体を俯瞰する視点などが必要になるでしょう。また、CEOや他の役員などに戦略をわかりやすく整理して伝える力も不可欠です。
経営戦略を実行するための組織構築
策定した経営戦略を実行に移すためには、組織の体制を整備し、人材を育成しなければなりません。
CSOは、最適な組織を構築するために、適切な人材配置や新たなチームの編成、さらには既存組織の最適化にも取り組むことがあります。
組織構築の過程においては、組織設計の知識だけでなく、人材育成の経験や知見、組織変革に寄与した経験などが求められるでしょう。
組織の意識改革・業務改革の主導
CSOは、企業の変革を推進する役割も担います。具体的には、社員の意識改革や業務プロセスの見直しを通じて、戦略実行の基盤を整えます。時には、既存の業務プロセスを見直し、効率化を図るための業務改革を主導することもあるでしょう。
意識改革・業務改革に取り組むにあたっては、強い推進力や柔軟な思考、さらに周囲を巻き込むリーダーシップ力が不可欠です。
M&Aや社外提携の推進
CSOは、企業の成長戦略の一環として、M&Aや社外提携を推進することもあります。
具体的には、提携する企業の選定や交渉などを主導し、企業の成長を加速させるための企業連携や統合に取り組みます。
M&Aや社外提携を推進するには、交渉力や分析力、コミュニケーション力などさまざまな能力が必要になるでしょう。
CEOや各部門長との密な連携とバランス
CSOは、CEOや各部門長と緊密に連携し、経営戦略の立案から実行までを統合するハブ的な役割を担います。
CEOや各部門長と密な連携を取るためには、経営全般に関する知見だけでなく、部門ごとのニーズや課題も理解しておかなければなりません。また、現場に耳を傾ける姿勢も求められるでしょう。
CSO(最高戦略責任者)に求められる経験
ここでは、CSO(最高戦略責任者)に求められる、次の3つの経験について解説します。
- 新規事業・プロジェクトの運営・開発経験
- 複数部署を横断してのマネジメント経験
- 自社やクライアントにおける責任者としての課題解決
新規事業・プロジェクトの運営・開発経験
CSOに就くにあたっては、新規事業・プロジェクトの運営・開発経験が求められることがあります。
その理由として、新規事業・プロジェクトの運営・開発経験があれば、不確実な未来でも企業を成長させるための新たな戦略を策定できるスキルや能力を有しているとみなすことができるからです。
未確定要素の多い状況下でも企業の成長に寄与する戦略を立案するためには、一定の経験や場数が必要です。CSOへの就任を目指すのであれば、積極的に新規事業やプロジェクトの運営・開発に挑戦し、経験を積みましょう。
複数部署を横断してのマネジメント経験
CSOには、単一部署に限らず、複数部署を横断してのマネジメント経験が求められます。なぜなら、企業の成長戦略を推進する際、複数の部署を横断した調整が必要になるからです。
異なる部署の目的や視点を調和させ、1つの戦略目標に統合する能力が不可欠であることから、複数の部門や部署を連携させる経験や複数部署の管理職を束ねる経験を積んでおくことが大切です。
自社やクライアントにおける責任者としての課題解決
CSOには、責任者として課題を解決した経験も必要です。
というのも、CSOは企業の最高戦略責任者として、企業が抱えるさまざまな課題に対して、戦略的な解決策を提示し、実行に移さなくてはなりません。いち責任者として課題を解決に導く経験を重ねることで、CSOに必要な分析力や問題解決能力、決断力を養うことができるでしょう。
CSO(最高戦略責任者)の平均年収は約2,000万円前後
JACの成約データによると、CSOの平均決定年収は約2,180万円前後で、最も多いゾーンは2,000万〜2,300万円台となっています。実際の転職事例でも、IT・ソフトウェア企業で約2,800万円、消費財企業で2,000万円超、エンタープライズ規模の電機メーカーで2,270万円台など、2,000万円台前半〜後半に広く分布しています。
企業規模別に見ると、大企業では概ね2,280万〜2,310万円程度のレンジが確認されます。一方、成長投資を積極化している中堅企業では、2,800万円に達するケースも見られます。また中小企業では平均約1,890万円規模に落ち着く傾向があり、企業規模とミッションの広さが報酬に明確に反映されています。
さらに、同年代・同職位であっても、最大で1,000万円以上の差がつく例が散見されます。その背景として、「グローバル事業の統括」「M&A/PMIの主導」「マルチビジネスの戦略設計」「組織変革の難易度」「CEO直下での経営参謀機能の強さ」など、戦略領域の複雑性や担う範囲の広さが報酬に影響することが挙げられます。
総じてCSOは、経営と専門領域を横断し、全社視点で価値を創出するほど高く評価されるポジションです。また、企業フェーズと戦略ミッションの重さが年収を大きく左右する役割だと言えます。
CSO(最高戦略責任者)の転職を成功させるポイント
戦略立案・コンサルティング経験の明確化
CSOポジションでは、戦略コンサル経験や中期経営計画の策定、市場・競合分析などを通じた、構造化された思考と戦略実行力が求められるケースが多い。JACの実績データでもCSOに求められるスキルとして、論点設定力と実行フェーズのリード能力が挙げられています。過去のプロジェクトをテーマ別に棚卸しし、意思決定にどう寄与したのか、どのような成果が出たのかを定量的に語れるよう準備しておくことが、成功の第一歩です。
大規模組織におけるマネジメントと変革推進の実績
JACの実績データを見ると、課長職以上のマネジメント経験者が多数を占めています。また、CRM戦略やブランド戦略、M&Aなど、複雑性の高いテーマを統括してきた実績が共通しています。単なる企画職の経験ではなく、大人数を巻き込み、組織を動かして成果を創出した経験を強調することが求められます。
グローバル視点と高度な英語力
CSO求人の多くは「英語ビジネスレベル必須」や「TOEIC800+」が前提とされる傾向があります。そのうえで、海外投資先の評価や国際M&A、パートナーシップ構築などのグローバル案件が日常的に発生します。英語でのボード向けプレゼンテーション、海外事業の戦略立案、クロスボーダーPMI(買収後の統合プロセス)など、国際舞台での実戦経験を積極的に提示することが評価を大きく高めます。
新規事業・イノベーション領域での成果
CSO求人の背景には、「新規事業の創出」や「研究領域の拡大」、「デジタル領域への投資」など、企業の未来をつくる攻めの戦略ニーズがあります。PoCの成功事例、事業立ち上げのプロセス、アライアンス形成など、新しい価値を創出した経験がCSO適性を強く示せる傾向にあります。
異業種・複数領域の知見を統合する力
CSOのニーズはIT、ヘルスケア、消費財、製造、コンサルなど多岐にわたり、単一業界限定ではありません。企業が求めているのは、多様な業界経験を統合し、新しい視点から戦略を描ける横串の思考力です。複数事業の統括、異なる部署や地域を跨いだプロジェクト、異業種での成功経験などを整理し、「どのように横断的に価値を生み出したか」を言語化することが効果的です。
CSO(最高戦略責任者)の転職事例
事例①:グローバルIT×事業経営の知見を武器に、ソフトウェア企業のCSOへ。第二の人生を見据えたキャリアチェンジを実現
Dさん(50代後半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 外資系ITデバイスメーカー | COO | 2,500万円 |
| 転職後 | 国内ソフトウェア企業 | CSO | 2,800万円 |
Dさんは、大学卒業後に国内大手ICT企業で、クラウド基盤(IaaS/SaaS)を活用したデジタルワークプレイスの企画・提供に従事し、100社以上の企業の働き方改革を支援してこられました。
長期海外駐在(通算15年以上)やグループ会社の経営責任者としての経験ももち、技術・事業・グローバルマネジメントを横断する稀有なキャリアを培われてきました。
直近では投資ファンド傘下企業にてCOOとして経営実務を担うなど、事業成長フェーズのマネジメントに強みを持つ方です。次のステップとして、「第二の人生に向けた社会貢献活動の準備を進めつつ、これまでの経験を最大限活かせる環境」を希望され、非常勤も視野に入れて転職を検討されました。
JACでは、Dさんの「海外経験」「IT/DXの専門性」「事業経営の実績」という希少な強みを丁寧に整理。そのうえで、ご本人が大切にされていた「社会貢献との両立」という志向性を踏まえ、経営インパクトの大きいCSOポジションをご提案しました。企業側に対しては、期待される役割の明確化や権限範囲の調整、稼働条件のすり合わせを行い、双方が納得してスタートできるよう伴走しました。
結果としてDさんは、業界の枠を超えて事業成長に寄与できる環境へと転身。あわせて、ご自身が描いていた「社会貢献活動とビジネスキャリアの両立」に向けた時間設計が可能となり、新たなキャリアステージに踏み出されました。
事例②:グローバルヘルスケア×事業開発の知見を活かし、グループ戦略を担うCSOへ。未経験領域への挑戦を実現
Pさん(50代後半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 精密機器(医療機器メーカー) | 経営企画・事業戦略マネージャー | 2,600万円 |
| 転職後 | 食品・飲料メーカー | CSO(グループ執行役員) | 2,000万円 |
Pさんは米国の大学を卒業後、総合商社に入社し、主にヘルスケア領域の国際プロジェクトに従事されました。新興国の病院インフラ整備や医療機器導入、ODA案件の発掘など、多様なグローバル案件をリードしてこられた方です。その後は日系/欧州の医療機器メーカーとのソリューション提案をコーディネートし、ヘルスケアの事業開発に幅広く関わられました。
直近では、大手医療機器メーカーにてグローバル成長戦略グループを統括し、コア事業の成長戦略や北米のデジタル推進など、トップマネジメントの右腕として活躍されています。
次のキャリアでは、外資系企業のGMや大手企業の新規事業責任者など、“裁量があり事業をリードできるポジション” を幅広く検討されていました。
JACでは、Pさんが持つグローバルヘルスケア事業の深い知見や、M&A・PMIを含む事業開発力、複数地域にまたがる経営経験を整理し、新たな領域でも即戦力として価値を発揮できるポジションを探索。結果として、食品・飲料メーカーが新設する国際戦略部の統括ポジションであるCSO(グループ執行役員)として迎えられることが決定しました。
この役割は、海外成長領域の探索、グローバル戦略立案、グループの海外事業におけるガバナンス強化、さらにはM&Aや構造改革まで広く関与できる、企業の未来を左右する重要ポジション。医療・ヘルスケアという枠を超え、これまでの経験を異業種で活かす大きなキャリアチェンジを実現されました。
CSOへの転職なら、JAC Recruitmentへ
CSO(Chief Strategy Officer)は、企業の方向性を定める戦略最高責任者です。CEOの最も近くで、中長期ビジョンの策定や、新規事業・M&Aを含む成長戦略の立案、DX・組織改革、海外戦略、事業ポートフォリオ管理などを担い、全社価値を高める役割を果たします。
近年はライフサイエンス、消費財、IT、リテール、コンサルなど多様な業界でCSO職が新設され、市場は拡大しています。JACはAI・SaaS・ヘルスケア・消費財など幅広い業界でCSO/戦略リーダーの支援実績をもち、転職希望者の戦略性を構造化して可視化し、企業課題と精査します。
また、CSOは役割定義が曖昧なことも多いため、JACは企業と共に期待値や権限を整理し、最適な環境づくりを支援します。多くが非公開の経営直下ポジションであるCSO案件にもアクセス可能です。経営に近いポジションで事業成長や変革を主導したい方は、ぜひJACにご相談ください。
業界における市場価値はもちろん、レジュメの効果的な書き方、面接対策、
企業傾向の情報収集など、JACのコンサルタントにご相談ください。





