工場やビルなどの設備機械の安全、安定した稼働のために欠かせない職種、設備保全。生産設備の高度化や自動化が進む中、設備保全の重要性の高まりと、慢性的な人手不足から転職市場でも高いニーズがあります。
ここでは、JAC Recruitment(以下、JAC)の製造業専門コンサルタントが設備保全の仕事内容や年収、最新の求人情報、採用動向について詳しく解説します。
目次/Index
設備保全の転職動向
設備保全職の転職市場では、企業の設備投資や生産体制の強化にともなう増員に加え、定年退職や人事異動の欠員補充といった理由から、継続的にニーズが発生しています。
特に、製薬、化学、自動車、機械、電子部品、食品など、多様な業界において設備の安定稼働は事業の根幹を支える要素であるため、設備保全の専門職は重要な役割を果たします。
JACが取り扱うデータをみると、求められる業務内容としては、生産設備やユーティリティ設備(電気・空調・ボイラー・排水など)の定期保全、トラブル対応、設備更新計画の立案、さらには安全衛生や環境管理まで多岐にわたるのが特徴です。技術分野では、電気、機械、計装制御の基礎知識に加え、予防保全やIoT技術への対応も期待されるケースが増えています。
さらに転職を成功させている方をみると、40~50代のベテラン層の転職も目立ち、さまざまなポジションで幅広く決定している傾向です。企業側は経験や即戦力性を重視しており、特定業界の知識や保全業務における実務経験が評価されているのが理由と推測されます。
また、日系企業だけでなく、外資系企業でも設備保全のポジションが見られ、グローバル基準の安全性や品質管理への対応力も求められる傾向です。全体としては、経験者採用を中心としながらも、今後の事業拡大やDXへの対応を見据えた体制強化の一環として、設備保全職の重要性はさらに高まると考えられるでしょう。
設備保全で求められるスキル・経験・マインド
設備保全へ転職する場合、以下のようなスキル・経験・マインドが求められます。
・ファシリティ管理(施設維持管理)の実務経験
・トラブル対応・改善活動に関する実務能力
・中長期の設備更新・投資計画に関する企画立案力
・エネルギー管理や環境負荷低減に関する取り組み経験
・部門間連携・ベンダー折衝を含むコミュニケーション能力
ここから、各内容について解説します。
ファシリティ管理(施設維持管理)の実務経験
設備保全職では、単一機器の保守だけでなく、建物全体のインフラ設備(電気・空調・給排水・消防・セキュリティなど)を総合的に管理するスキルが重視されます。
特に製造業や研究施設では、生産性や安全性を左右するため、突発的な対応力だけでなく、予防保全の視点で設備を運用できる人が求められる状況です。定期点検や運用改善だけでなく、環境対応やコスト削減まで意識して施設全体を管理できるスキルがあると、管理職候補としても期待される傾向があります。
トラブル対応・改善活動に関する実務能力
設備保全の現場ではトラブル対応が頻繁に発生します。企業の多くでは、突発的な設備トラブルへの迅速な対応力と、再発防止に向けた改善活動の経験が重視されています。特に「トラブル対応」「緊急修理」「原因分析」「恒久対策の実行」といったプロセスを自ら主導した経験がある方は、即戦力として高く評価される傾向が。
単なる修理ではなく、異常の兆候を早期に察知し、根本的な原因を突き止めるスキルや関係部門と協働して再発防止策を構築するスキルなどが求められています。現場対応力に加えて、改善活動を継続的に行うPDCAの実行力を備えた方は、製造現場の安定稼働を担う中核として期待されるでしょう。
中長期の設備更新・投資計画に関する企画立案力
設備保全職においては、トラブルへの対応や日常点検に加えて、中長期の設備更新計画や予算管理などの企画立案力が必要です。
また、経営層とのコミュニケーションを通じて戦略的に設備更新を提案できるスキルが求められる傾向にもあります。
エネルギー管理や環境負荷低減に関する取り組み経験
省エネルギーや環境負荷の低減は、社会的貢献を目指す企業にとって、重要な経営課題の1つ。
例えば、電力・蒸気・空調などの使用量を把握し、削減につなげる仕組みを構築した経験や、CO2排出量のモニタリング、環境報告資料の作成した経験があると転職に有利に働きます。環境マネジメントの視点を持ち、コストだけでなく企業価値の向上に貢献できる点が評価ポイントとなっており、将来的な管理職候補としての登用も見込まれます。
部門間連携・ベンダー折衝を含むコミュニケーション能力
設備保全業務は、設計・生産・品質保証・調達など、社内外の多くの関係者と連携して進める必要があるため、高いコミュニケーション力が求められます。
設備保全職は単なる技術者ではなく、現場の立場と経営の視点を橋渡しする役割も担う存在であり、周囲を巻き込みながらプロジェクトを推進できる能力が必要です。折衝力・調整力・説明力を備えた方は、信頼を集めるキーパーソンとして期待されています。
設備保全の平均年収は770.9万円
JACの実績※では、設備保全の平均年収は約770.9万円です。年収のボリュームゾーンは600万円~850万円となっています。下記の表は年代別の平均年収ですが、企業規模や担当する領域、これまでのご経験によって、20代でも年収が780万円を超えるケースや30代・40代で年収1,800万円以上のケースもあります。

| 役職 | 平均年収 |
|---|---|
| メンバークラス | 717万円 |
| 管理職 | 975.3万円 |
| 平均年収 | |
|---|---|
| 日系企業 | 753.0万円 |
| 外資系企業 | 849.7万円 |
設備保全最新求人情報
本章では、設備保全の最新転職・求人情報を紹介します。
●非公開:設備設計・設備保全
●全星薬品工業株式会社:生産設備保全・生産設備導入
●大手石油化学メーカー:プラント保全エンジニア<静機器・回転機>
●上場 機械部品メーカー:保全メンテナンス(1)工場インフラ設備(2)製造ライン設備
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年4月最新)
JACでは取り扱う求人の約7割が非公開求人であり、本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。非公開求人も含め自身の適性やキャリアビジョンに合う求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。転職支援のプロであるコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて適性やご希望に沿う求人をご紹介いたします。
設備保全への転職で有利となる資格
設備保全の転職時に取得していると有利な資格は、以下のとおりです。
・電気主任技術者(第三種)
・エネルギー管理士
・建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
・危険物取扱者(乙種第4類)
・公害防止管理者(水質・大気)
ここから、各資格の内容を確認しておきましょう。
電気主任技術者(第三種)
電気主任技術者(通称:電験三種)は、工場やオフィスビルなどの高圧電気設備を安全に維持・管理するために必要な国家資格です。特に設備保全職では、電気系統のトラブル対応や定期点検を行う機会が多いため、本資格の保有者は即戦力として重宝されます。
当社のデータをみても、電験三種を保有している候補者に対する企業側からのニーズも明確です。資格取得には理系基礎知識と実務的な計算力が求められ、科目数も多いため、難易度はやや高めといえるでしょう。合格率は例年10~20%で、合格までに半年〜1年程度の学習期間が必要とされます。
一般財団法人 電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験」
エネルギー管理士
エネルギー管理士は、省エネ設備の導入提案や使用エネルギーの合理化を担う専門職として、工場・プラント・ビル運営などの現場で高い評価を受けている国家資格です。設備保全においては、エネルギーの使用量を最適化し、コストダウンやCO₂削減に貢献できるスキルをもつ方が求められています。
当社が支援した転職案件でも、本資格の保有者は、環境対応部門やESGを意識する企業で特に歓迎される傾向です。試験には理工系の基礎知識が必要で、科目数も多く、独学ではハードルが高めといえます。合格率は20〜30%、標準的な学習期間は1年程度です。
建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
建築物環境衛生管理技術者は、ビルや大規模施設における空調・給排水・清掃・害虫防除など、環境衛生の維持管理を統括するための国家資格です。延床面積が3,000㎡以上の特定建築物では選任義務があるため、不動産管理会社や総合設備会社などでの需要が高く、設備保全職のキャリアにも大きくプラスとなります。
取得には一定の実務経験(原則2年以上)と筆記試験合格が必要で、難易度は中程度です。試験は年1回実施されています。
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター「建築物環境衛生管理技術者 試験について」
危険物取扱者(乙種第4類)
危険物取扱者(乙4)は、ガソリン・灯油・アルコール類などの可燃性危険物を取り扱うために必要な国家資格です。特に、化学工場や燃料を扱う生産現場での設備保全職において評価されます。
取得難易度は比較的低く、合格率は30〜40%。受験資格に制限はなく、独学で1~2カ月の学習で取得可能な点も魅力でしょう。初めて設備保全職へチャレンジする方にとって、取得しやすい「入り口資格」としておすすめです。
公害防止管理者(水質・大気)
公害防止管理者は、工場や発電所などにおける水質・大気・騒音・振動などの公害物質の発生抑制・管理を担う国家資格です。特に水質関係や大気関係は、排水処理設備や排ガス処理装置の運用を含む設備保全業務に直結するため、環境規制の厳しい業種においては高く評価されます。 試験は分野別に行われ、いずれも合格率は30~40%。範囲が広いため、取得には半年以上の学習が必要です。環境対応力をアピールできる専門性の高い資格といえるでしょう。
設備保全のキャリアパス
設備保全のキャリアパスは、現場での技術を極める道からマネジメント、他部門への異動、さらには独立や教育分野まで多岐にわたります。ここでは、代表的な5つのキャリアパスをご紹介します。
テクニカルスペシャリスト
設備保全の現場で専門性を高め、特定の設備や技術分野に精通したテクニカルスペシャリストは、技術志向が強く、現場での課題解決や新しい知識の習得に意欲的な方に向いています。現場での点検・修理を経験し、機械保全技能士などの資格取得や先輩からの技術指導を受けながらスキルを磨くことが必要です。
高度なトラブル対応や改良保全を任されるようになれば、設備の根本的な改善提案や後輩指導も担うようになり、現場の技術的な中核として活躍できます。
生産技術部門へのキャリアチェンジ
設備保全で培った知識を生かし、生産技術部門へ異動するキャリアも一案です。新しい設備の導入や工程改善に関心があり、ものづくり全体に関与したい方に向いています。
現場での保全経験を積み、設備の構造や制御を深く理解したうえで、生産技術部門への異動を目指しましょう。異動後は、工程設計や新規設備の立ち上げなど、より広範な業務に携わることが可能です。
フリーランス設備保全エンジニア
近年では、専門性を生かしてフリーランスとして活躍する道も開かれています。自立心が強く、さまざまな現場でスキルを発揮したい方に適しています。まずは企業で経験を積み、機械保全技能士などの資格を取得したうえで、独立を目指します。フリーランスとしては、複数の工場や企業から依頼を受け、定期点検やトラブル対応、技術指導など多様な案件に携わることができます。
保全教育・研修担当
現場や管理職での経験を生かし、後進の育成や社内研修の企画・運営を担うキャリアパスも考えられます。人材育成に関心があり、教えることにやりがいを感じる方に適しています。
まず現場で幅広い設備やトラブル対応を経験し、後輩指導やOJTを通じて教育力を高めることが大切です。その後、社内研修の講師や教育プログラムの企画担当として、組織全体の技術力向上に貢献します。
設備保全の転職を成功させる5つのポイント
設備保全の転職をスムーズに進めるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
・実務経験の棚卸とアピールを徹底
・PLC/電気系スキルの強化と可視化
・計画保全・改善提案の成果を定量的に提示
・他部門との連携力とトラブル時の対応力をアピール
・転職エージェントの活用
ここから、各ポイントの内容を解説します。
機械工学や化学分野の知識をアピールする
自動車関連や産業用ロボット、半導体製造装置など、機械の製造に関わるサービスエンジニアの場合、サービスエンジニアとしての経験がない場合でも応募できる求人があります。しかし、その場合には、機械工学や電気工学などの知識が必要です。また、分析装置などを取り扱う企業の場合は、化学に関連する知識が必要になるケースも少なくありません。
従って、面接時には、機械工学や化学などに関する知識、大学などにおける研究分野についてアピールすると、採用に近づく可能性を高められるでしょう。
PLC・電気系スキルの強化と可視化
設備保全において「電気主任技術者」などの電気系資格や、PLC制御のスキルは歓迎される傾向にあります。特に自動制御が多い製造業や、ビル設備管理においては電気回路の読解や制御盤の対応経験が重宝される傾向です。
企業は資格だけでなく、実務でどのようにそれらのスキルを使ってきたかに注目しています。例えば「PLCラダー設計の修正経験がある」「インバータトラブルを現場で対応した」など、業務との関連性を明確に伝えましょう。
予防保全・改善提案の成果を定量的に提示
企業の設備保全部門では、突発的な故障対応だけでなく、安定稼働に向けた予防保全や改善提案に積極的な姿勢が求められています。
書類や面接では、具体的な行動と成果を数値で説明することが有効です。上流からの視点で課題を捉え、組織貢献につながる保全業務ができる点を強調しましょう。
他部門との連携力とトラブル時の対応力をアピール
設備保全は単独では完結せず、生産・品質管理・外部業者など多くの関係者と連携して動く仕事です。そのため、現場力だけでなくコミュニケーション力や調整力も求められます。
当社の支援事例でも、社内外との調整を通じて設備導入やレイアウト変更を円滑に進めた経験のある方が、リーダー候補として歓迎されている傾向にあります。トラブル発生時に迅速に状況を把握し、関係者と協力して原因特定や再発防止策を講じた経験など、実際のエピソードを交えて話すことで、対応力や判断力を伝えることが可能です。
転職エージェントの活用
設備保全職は求人の内容に差が大きく、企業の規模や業態、設備の種類により業務範囲や求められるスキルが異なります。JACのような転職エージェントを活用すれば、一般公開されていない非公開求人や、年収1,000万円を超えるハイクラス案件にも出会えます。
また、当社では職場の雰囲気や上司の人柄、組織体制など、求人票だけではわからない情報も提供しており、入社後のミスマッチ防止にも効果的です。応募書類の添削や面接対策など、プロの支援を受けながら転職活動を進めることで、成功確率を高められます。
設備保全の転職事例
ここからは、JACを活用して設備保全へ転職した事例をご紹介します。
Oさん(女性/40代後半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 日系中堅受託企業 | 組成分析・内部監査 | 700万円 |
| 転職後 | 日系大手メーカー | 設備保全 | 900万円 |
Oさんは「品質と安全を最優先に据えた現場で、自らの専門性を生かしたい」という強い信念を持ち、転職を決意されました。大学院の博士課程を修了後、分析業務やISO関連の認証維持に従事し、ISO9001・14001・FSSC22000の審査対応や内部監査の指揮、原材料メーカーへの監査など幅広い業務を経験しました。特に、自ら審査員資格を取得しながら組織の品質マネジメント体制の強化に貢献してきました。前職ではFSSCでの不適合ゼロという実績を上げながらも、会社が品質軽視の姿勢に傾いていることに強い違和感を抱き、転職を決意。
JACのコンサルタントは、Oさんの知見が食品・化学業界においても高く評価されることに着目し、品質保証と環境管理の両軸で活躍できる企業の設備保全を提案しました。結果として年収は700万円から900万円にアップし、品質を軸にしたキャリアをより深められる環境で新たな一歩を踏み出しています。
設備保全への転職なら、JAC Recruitmentへ
設備保全の仕事は、現場スタッフや管理部門、外部業者など多様な関係者と連携しながら、設備の安定稼働やトラブル対応、予防保全といった重要な役割を担います。責任感と専門性が求められ、ものづくりの現場を支えるやりがいの大きい仕事です。
JACは、設備保全や施工管理など建設・不動産業界に精通したコンサルタントが多数在籍し、業界特有の用語や慣習、企業ごとの文化まで深く理解しています。他社と異なり、コンサルタントが企業と希望者双方を一貫して担当するため、企業の内部情報や求められる人物像に基づいた質の高い提案が可能です。
さらに、JACはハイクラス・ミドルクラス層や専門職の転職支援に強く、書類作成や面接対策もきめ細かくサポート。設備保全への転職を目指す方にとって、安心してキャリア相談できるパートナーです。




