自動車業界のTier1とは?Tier2・Tier3との違いや代表企業一覧・業界動向を解説

自動車業界のTier1は、完成車メーカー(OEM)に部品を直接供給する一次サプライヤーで、完成車メーカーに匹敵する規模と技術力をもつ転職先として魅力的です。

特に近年は、EV化やソフトウェア化によって求められる専門性が変わりつつあり、より「専門性を高めたい」「グローバルに活躍したい」と考える方にとって大きなチャンスが広がっています。

本記事では、Tier2・Tier3との違いや代表的な国内・海外企業の一覧に加え、Tier1を取り巻く業界動向まで、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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自動車業界の「Tier1(ティアワン)」とは?

Tier1とは、完成車メーカーに部品やモジュールを直接供給する一次サプライヤーを指します。自動車業界は、完成車メーカーを頂点として部品メーカーが階層状に連なるピラミッド構造で成り立っており、Tier1はその最上層にあたります。本章では、この構造をふまえて混同されやすい各企業群との違いを整理します。

  • Tier1とは完成車メーカー(OEM)に部品を直接供給する一次サプライヤーのこと
  • Tier1と完成車メーカー(OEM)との違い
  • Tier1とTier2・Tier3との違い

Tier1とは完成車メーカー(OEM)に部品を直接供給する一次サプライヤーのこと

Tier1とは、完成車メーカー(OEM)に部品やモジュールを直接納入する一次サプライヤーのことです。

一台の自動車は3万点ともいわれる部品で構成され、その供給網は何層にもわたります。なかでも完成車メーカーと直接契約を結び、求められる仕様どおりに部品を納める最前線の企業がTier1にあたります。

Tier1の特徴は、単体の部品ではなくブレーキやエンジン制御、車載電子機器といったまとまった単位で供給する点にあります。設計の段階からOEMと連携し、性能や品質に責任をもつ立場です。国内ではデンソーやアイシン、海外ではボッシュやコンチネンタルがよく知られています。

開発力と量産体制を併せもつため、Tier1は自動車産業の競争力を大きく左右します。電動化や自動運転の広がりで部品の付加価値が高まる近年は、その存在感がいっそう増しています。

Tier1と完成車メーカー(OEM)との違い

両者の違いは、車そのものをつくり上げる側(OEM)か、その部品を担う側(Tier1)かという役割の分担にあります。

OEMはOriginal Equipment Manufacturerの略で、自社ブランドのもとで完成車を企画・設計し、最終組み立てから販売までを担う企業を指します。トヨタやホンダ、日産、スズキ、マツダ、SUBARUといった各社が代表例です。

OEMが車全体のコンセプトや性能の方向性を決め、Tier1はその要求仕様に合わせて部品やモジュールを開発・供給します。完成車のブランドと最終的な品質に責任をもつのがOEM、要素技術を支えるのがTier1という関係です。

両者は上下の関係にとどまらず、開発の初期から協業して一台の車を仕上げるパートナーに近い間柄です。求められる技術が高度になるほど、この協業の重みは増しています。

Tier1とTier2・Tier3との違い

Tier2・Tier3は、Tier1へ部品や素材を納める二次・三次のサプライヤーで、ピラミッドの下層を支えます。

Tier2はTier1が組み上げるモジュールに使われる個別部品を手がける企業です。電子基板やモーター部品、ベアリングなど、特定の領域に特化した技術をもつ会社が多く見られます。

さらに下層のTier3は、ネジや樹脂素材、ゴム、金属といった基礎的な部材を供給します。完成車から距離があるように見えても、品質や強度はそのまま車の安全性につながるため、欠かせない役割を担っています。

階層が下がるほど扱う製品は素材に近づきますが、ニッチな分野で高いシェアをもつ企業も少なくありません。Tier1との取引にとどまらず、複数の階層と関わりながら事業を広げる会社もあり、業界の構造は見た目ほど単純ではありません。

【国内・海外】自動車業界のTier1代表企業一覧

自動車業界のTier1は、国内ではトヨタ系を中心とした企業、海外ではドイツを軸とする欧州勢が大きな存在感をもちます。各社は得意とする部品領域で世界シェアを競い、完成車メーカーの開発を支えています。本章では国内と海外に分け、代表的なTier1を5社ずつ取り上げ、それぞれの強みを整理します。

  • 国内の代表的なTier1企業一覧
  • 海外の代表的なTier1企業一覧

国内の代表的なTier1企業一覧

国内のTier1は、トヨタグループを中心とした系列企業が中核を占めます。

  • デンソー
  • アイシン
  • ジェイテクト
  • 矢崎総業
  • 豊田合成

デンソー
トヨタグループの中核を担う国内最大のTier1で、世界でも有数の規模を誇ります。カーエアコンを中心とした熱マネジメントやエンジン制御、車載電子機器に強みをもちます。自動運転や電動化を見据えて半導体やソフトウェアの開発にも資源を振り向け、幅広い領域を一社で支えています。

アイシン
変速機をはじめとする駆動系部品で世界トップクラスのシェアを握る企業です。オートマチックトランスミッションで長年実績を重ね、車の走りと燃費を左右する基幹部品を供給してきました。電動化を受けて、モーターやハイブリッド向けの駆動ユニットへと事業の軸足を移しつつあります。

ジェイテクト
電動パワーステアリング(EPS)と軸受を二本柱とするトヨタ系のTier1です。光洋精工と豊田工機の統合で生まれ、車の操舵性能を支えるステアリングで高い世界シェアをもちます。回転を支える軸受は自動車にとどまらず産業機械や工作機械にも使われ、技術の応用範囲は広がっています。

矢崎総業
車内に張り巡らされる配線を束ねたワイヤーハーネスで、世界最大級の規模をもつ企業です。一台あたり数千本に及ぶ電線をまとめ、電力と信号を車全体へ行き渡らせる役割を担います。非上場ながら世界中に生産網を広げ、電動化で配線の重みが増すなか存在感を高めています。

豊田合成
ゴムや樹脂を生かした部品づくりを得意とするトヨタ系のTier1です。乗員を守るエアバッグで世界有数のシェアをもち、ステアリングホイールやウェザストリップも主力に据えます。素材技術を土台にLEDなど電子分野へも踏み出し、安全と快適の両面から車を支えています。

海外の代表的なTier1企業一覧

海外のTier1は、ドイツをはじめとする欧州勢に北米・韓国の大手が加わる構図です。

  • ボッシュ(ドイツ)
  • ZF(ドイツ)
  • マグナ・インターナショナル(カナダ)
  • ヴァレオ(フランス)
  • 現代モービス(韓国)

ボッシュ(ドイツ)
売上で世界首位に立つメガサプライヤーです。エンジン制御からブレーキ、先進運転支援システム(ADAS)、車載半導体やソフトウェアまで自動車のほぼ全領域を網羅します。完成車メーカーに依存しすぎない経営戦略で安定した収益を確保し、技術の方向性そのものに影響を及ぼす存在です。

ZF(ドイツ)
変速機やシャシー、駆動系を主力とするドイツの大手です。米TRWの買収を機にブレーキやエアバッグなど安全分野へ広げ、走行性能と安全技術を一体で提供できる体制を整えました。電動化に向けては、モーターと減速機を組み合わせたeアクスルの開発にも力を注いでいます。

マグナ・インターナショナル(カナダ)
部品単位にとどまらず、車両の受託組み立てまで請け負える点が際立つ北米最大級のTier1です。車体構造やパワートレイン、電子部品まで幅広く手がけ、自社の製品だけで一台を組み上げられるとも評されます。特定の系列に縛られず、多くの完成車メーカーと取引する独立性も強みです。

ヴァレオ(フランス)
電動化と熱マネジメント、運転支援に強みをもつフランスの大手です。EV向けのモーターやパワーエレクトロニクス、周囲を検知するセンサー類で高い評価を得ています。ヘッドランプやワイパーなど視界に関わる製品も主力で、環境規制の強化を追い風に開発投資を続けています。

現代モービス(韓国)
現代自動車・起亜を主要顧客とする韓国最大の部品企業です。シャシーやコックピットをひとまとめにしたモジュール供給を得意とし、近年は世界の売上ランキングでも上位を占めます。電動化の波に合わせ、駆動モーターやバッテリーシステム、ADASへと領域を急速に広げています。

自動車業界のTier1企業で働くメリット

Tier1企業で働く魅力は、安定した事業基盤と幅広い経験、さらに世界へ広がるキャリアの三つに整理できます。完成車メーカーほど社名は知られていなくても、待遇や仕事のスケールで引けを取らない企業が多くあります。本章では、Tier1ならではのメリットを三つの視点から見ていきます。

  • 完成車メーカーに匹敵する安定性と高い給与水準
  • 特定のメーカーに縛られず幅広い車種に携われる
  • グローバル市場で活躍できるチャンスが豊富

完成車メーカーに匹敵する安定性と高い給与水準

Tier1企業は事業基盤が安定し、給与水準も完成車メーカーに引けを取りません。

安定性の背景には、複数の完成車メーカーと取引する事業構造があります。特定の一社に売上を依存しないため、ある取引先が不調に陥っても他社との取引が支えとなり、業績が大きく揺らぎにくいのが特徴です。世界規模のメガサプライヤーともなれば、完成車メーカーに匹敵する影響力をもちます。

給与面でも、高度な技術開発を担う大手ほど専門職の処遇は手厚くなります。研究開発に多くの資源を投じる企業では、エンジニアの経験や専門性が正当に評価されやすい環境です。

完成車メーカーへの転職は門戸が狭い一方、Tier1は中途採用に積極的な企業が多く見られます。培った専門性を生かして安定した基盤へ移りやすい点も、見逃せない魅力です。

特定のメーカーに縛られず幅広い車種に携われる

Tier1は複数の完成車メーカーへ部品を供給するため、特定ブランドの枠を超えて多様な車種の開発に関われます。

完成車メーカーに勤める場合、携わるのは基本的に自社ブランドの車に限られます。これに対しTier1では、国内外を問わず多くのメーカーが顧客となり、一つの技術を軽自動車から高級車まで幅広い車種へ届ける機会に恵まれます。

担当する製品の用途が広がるほど、求められる要求も顧客ごとに変わってきます。各社の設計思想や品質基準に触れるなかで、技術者としての引き出しは自然と増えていきます。

系列の部品メーカーで限られた取引先と向き合ってきた方にとって、独立系のTier1は経験の幅を一気に広げる場になります。特定メーカーの業績や方針に左右されにくいキャリアを築ける点も、長い目で見た強みです。

グローバル市場で活躍できるチャンスが豊富

Tier1は世界中の完成車メーカーを顧客にもつため、海外を相手にした仕事や駐在の機会が豊富です。

主要なTier1は数十カ国に生産・開発の拠点を構え、現地メーカーへの供給網を世界中に広げています。日本で開発した技術を海外工場へ展開したり、現地の顧客と直接やり取りしたりと、国境をまたぐ業務に携わる場面は少なくありません。

海外赴任を経験すれば、語学力に加えて異なる商習慣のなかで成果を出す力が身につきます。こうした経験は、その後のキャリアで市場価値を高める財産になります。

近年は電動化やソフトウェア化を軸に、世界規模で業界の再編が進んでいます。グローバルに挑戦したい方にとって、世界市場を相手にするTier1は活躍の場が広がりやすい環境だといえます。

自動車業界Tier1の転職動向

JACが扱うTier1の求人は、営業や購買、品質保証、生産技術に加え、ソフトウェアやAIを担う方へと需要が広がっています。

外資系のTier1では、海外本社と連携しながら完成車メーカーを担当する営業や購買、品質保証のポジションが目立ちます。英語力をビジネスレベル以上で求める求人が多く、課長や部長クラスの管理職募集も少なくありません。パワートレインの電動化に関わる技術営業など、専門性と語学力を兼ね備えた方が高く評価されます。

一方の日系企業は、生産設備の設計や品質管理、OEMへの営業といったものづくりを支える職種が中心です。自動運転を手がける新興企業のように、車載ソフトの開発で2,000万円規模の年収を示す求人も現れています。

掲載求人の想定年収はおおむね450万〜1,400万円台に分布し、EV化やSDV化を映して、AIや車載ソフトに通じた方の採用意欲が高まっています。

自動車業界のTier1企業への転職事例

JACでは、自動車業界のTier1企業への転職を数多く支援してきました。代表的な事例を紹介します。

年代転職前のポジション転職後のポジション年収の推移
50代前半品質管理部門マネージャー(外資系自動車関連企業)技術部門統括マネージャー(外資系Tier1)1,300万円 → 1,400万円
40代後半セールスマネージャー(外資系自動車関連企業)セールスアカウントマネージャー(外資系Tier1)1,000万円 → 1,050万円
40代後半研究開発(日系電機メーカー)新規事業技術開発(日系Tier1)700万円 → 1,100万円
30代後半半導体プロセスエンジニア(総合化学メーカー)半導体プロセスエンジニア(日系Tier1)1,100万円 → 1,300万円
40代前半法規・認証(大手自動車メーカー)法務(日系Tier1)800万円 → 1,200万円

※JACの転職実績データをもとに作成

異業種からの転職でも、これまでの専門性や経験を生かして年収を伸ばした例が目立ちます。培った強みを別の領域で評価する企業は多く、Tier1への転職は待遇を高める選択肢になります。

自動車業界のTier1企業への転職なら、JAC Recruitment

自動車業界のTier1は、完成車メーカーに匹敵する規模と安定性をもちながら、EV化やソフトウェア化によって求められる専門性が大きく移り変わっています。

そのため転職を成功させるには、各社の技術領域や開発体制、今後の事業戦略までを踏まえた見極めが欠かせません。階層によって収益基盤や働き方が異なる業界だけに、内情に通じた転職エージェントの支援が大きな力になります。

JACには、自動車業界やメーカー各社の採用動向に精通したコンサルタントが在籍しています。一人ひとりの経験や希望を丁寧にうかがったうえで、技術面の強みや語学力を的確に評価し、Tier1企業への転職を支援してきました。グローバルなハイクラス求人に強みをもつ点も、Tier1を目指す方を後押しします。

自動車業界のTier1企業への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

編集部

当サイトを運営する、JACの編集部です。日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。

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