総務40代の転職事情｜平均年収や求められるスキル経験を解説  

「総務の転職は難しい」「40代は、転職のハードルが上がる」といわれてきましたが、現在、40代の総務経験者の求人ニーズは高まりを見せています。

JAC Recruitmentの転職サポート事例に基づくと、40代総務経験者の平均年収は732.1万円で、特にマネジメント経験のある方は820.9万円と高水準です。

この転職市場の追い風となっているのが、DX（デジタルトランスフォーメーション）の推進です。企業は、業務効率化や組織強化のため、ファシリティマネジメントや株主総会運営、DX化推進の実績を持つスペシャリストを積極的に求めています

本記事では、 JAC Recruitment（以下、JAC）の転職サポート事例をもとに、40代の総務経験者の転職の状況や平均年収、求められるスキルや経験などについて解説します。

総務40代の現状と転職動向  

では早速、40代の総務経験者の転職動向からご説明しましょう。

40代の総務経験者の現状

一般的に「総務の転職は難しい」といわれてきました。それは、総務職は営業職などに比べて、求人自体が少なく、競争率が激しいといった理由からです。総務は企業全体の動きを把握する部署であり、企業文化や内部の動きに対する十分な理解が求められます。また、総務の業務内容は企業によって大きく異なるため、他社での実績があっても即戦力として活躍しにくいと考えられてきました。

加えて、40代の転職では、将来へのポテンシャルよりも即戦力が重視されます。そのため、年齢を重ねると総務経験者の転職はさらに厳しくなると考えられてきました。

しかし、現在では総務経験者の求人ニーズが高まり、40代の総務経験者を歓迎する企業も増加傾向にあります。

DX化が40代の総務経験者の転職の追い風に

現在、あらゆる業界においてDX化や業務効率化が進められています。想定以上の少子高齢化の進行にともない、多くの企業で深刻な労働力不足問題に直面しているのです。
このDX化・業務効率化の推進は、40代の総務経験者の転職に追い風となっています。労働力不足を補うためには、ペーパーレス化や業務フローの見直し、新たなシステムの導入などによる業務効率の向上、組織全体の生産性の向上が必要です。

このような状況を背景に、業務フローの改善やDX化の推進に取り組んできた経験のある総務経験者を募集する企業が増えています。
特に、一部の業務を担当するのではなく、マネジメントのポジションとして、業務推進プロジェクト全体を率いた実績のある40代総務経験者のニーズは高まっています。

EMC業界、建設・不動産業界への転職が目立つ

JACのサポート事例では、40代総務経験者の転職先としてEMC業界が最も多く、次に建設・不動産業界が続きます。

EMC業界では、特に化学メーカーへの転職が目立ちます。
化学メーカーでは、高齢化によってニーズが拡大しているライフサイエンス分野への進出を進める動きが顕著に見られます。新規事業の創出に向けて積極的な採用活動が進められる中、企業全体の環境整備や業務効率改善にも取り組む必要があることから、総務職の募集も増加していると推測できます。

中堅～大手企業での採用が中心

40代の総務職の転職先としては、EMC業界や建設・不動産業界などが多いものの、サービス業や消費財メーカー、医療・バイオ業界などへの転職事例も見られます。
また、総務職の転職先の特徴は、企業規模を見ると、ベンチャー企業や小規模企業への転職事例は少なく、中堅企業や大手企業への転職割合が多くなっています。募集背景を見ると、成長計画に基づいた組織の強化を目的とした採用が多く、総務経験者、特に管理職経験者の求人が増加傾向にあります。

総務40代で求められるスキル・経験・マインド

40代で応募が可能な総務職の求人内容を分析すると、次のような傾向が見られます。

ファシリティマネジメントの経験

企業が保有する土地や建物、施設、設備などをより効率的に活用するファシリティマネジメントの重要性が高まっています。
ファシリティ（土地、建物、設備など）は重要な経営資源であり、適切な管理はコスト削減や生産性向上に繋がります。
また、定期的な修理・修繕による防災対策や、従業員・施設利用者の安全確保も企業の重要な役割です。
さらに、持続可能な社会の実現に向け、エネルギー効率の向上対策にも積極的に取り組む必要があります。

ファシリティマネジメント業務は総務が担当することが多く、この経験を持つ方を歓迎する求人が多数あります。

勤怠管理や給与計算、社会保険手続きの実務経験

企業によって勤怠管理や給与計算の担当部門は異なりますが、JACの求人では総務職でも給与計算や社会保険手続きに関わった経験を求める企業が多く見られます。

給与計算業務に関しては、労働時間の管理や割増賃金の支払いなどが関わってくるため、労働基準法などの法務に関する知識が必要です。
加えて、給与計算時には、社会保険料や介護保険料、雇用保険料、所得税、住民税などの計算に関わる知識も求められます。給与計算や社会保険手続きに関連するスキルは、汎用性の高いスキルであり、転職時にも評価されやすいスキルです。

株主総会や取締役会の運営経験

JACが取り扱う総務求人は中堅から大企業のものが多いことから、株主総会や取締役会、これらの運営に携わった実績のある総務担当者を対象とした求人が多く見受けられます。株主総会や取締役会を取りまとめるうえでは会社法上の規定や経営に関する基礎的な知識、株主側の視点などを理解している必要があります。

総務経験者でも、株主総会や株主対応の関連業務の経験がある方は、上場企業出身者に限定されるため、これらの経験が、転職時の大きなアドバンテージとなるでしょう。

総務40代の平均年収は732.1万円 

JACのサポート事例を見ると、40代で総務職へ転職された方の平均年収は、732.1万円です。ただし、1,000万円超の年収に決定している事例は多数あり、実力や経験によって年収の差は大きくなっています。

年齢的な年収の差を詳しく分析すると、40代前半の転職決定者の平均年収は666.7万円、40代後半の転職決定者の平均年収は788.6万円となっており、40代の前半と後半で年収に100万円以上の差が生じています。

40代平均年収	40代前半の平均年収	40代後半の平均年収
732.1万円	666.7万円	788.6万円

さらに、管理職の平均年収は820.9万円、一般職の平均年収は664.3万円となり、40代の総務職の転職では、「マネジメント職での転職であるかどうか」が、年収に大きな影響を与えていることが分かります。

職位	一般職	管理職
平均年収	664.3万円	820.9万円

総務40代の転職を成功させる5つのポイント

40代で総務職へ転職を成功させた方の事例をもとに、転職にあたってアピールすべきポイントや転職の成功率を高めるポイントを5つご紹介します。

総務部門にとどまらない、幅広い業務経験の訴求

JACの総務求人では、総務経験だけでなく、人事や法務など関連部門の知識・経験を持つ方を求める傾向が強いです。
総務経験だけでなく、人事と連携しながら人事制度の改定や運用に携わっていたり、法務と連携しながら契約管理などに携わったりした場合などは、転職時に大きなアドバンテージとなりえます。関連部門との連携によって得られた成果、連携を円滑に進めるうえでの独自の取り組みなどを具体的にアピールすると、入社後の具体的イメージにつながりやすいでしょう。

DX化やITツールの活用による業務効率化の実績を数値で提示

多くの企業ではITツールの導入により、データの一元管理やペーパーレス化を推進し、業務効率の向上を進めています。
また、テレワーク拡大に伴い、クラウドサービスの活用も増えています。

DX人材が不足している現状、総務担当者として社内全体のDXプロジェクトに参画した経験や、システム導入などで総務部門のDX化を推進した実績は、転職時に高く評価されます。

転職の際にはDXプロジェクトにおいてどのような役割を果たし、どのような成果を導いたのか、具体的な事例や業務効率の改善実績について、データを交えてアピールすることをおすすめします。

人材育成やマネジメント経験のアピール

40代の転職では、マネジメント経験の有無が転職の成功に大きく影響します。部下やメンバーを育成しながら、目標達成に向けて組織を統率できるマネジメント能力は、たとえ組織が変わった場合でも生かせる能力です。
マネジメント経験がある方は、マネージャーとしての実績や成果のアピールだけでなく、自身のどのような能力や経験が応募先企業で生かせるのか、入社後のアイデアについても具体的に示すとよいでしょう。

豊富な経験に基づく臨機応変な対応力と課題解決能力の訴求

さまざまな業務に携わり、数々の課題に向き合う中で習得してきた課題解決能力は、40代の武器であり、マネジメントをするうえで欠かせない能力です。経験が長いほど、得られる経験値は高くなり、状況に応じた臨機応変な対応能力も身に付きます。

これまでに直面した課題を自らの施策で解決した経験は、応募先企業でも活かせる可能性があります。企業分析を通じて、入社後に経験やスキルを生かせる場面を具体的に想定し、自身の柔軟な対応力と課題解決能力の汎用性をアピールしましょう。

40代の総務経験者の転職サポート実績を豊富にもつエージェントの活用

40代の転職を成功させるうえでは、エージェントの活用も検討すべきです。前述のように、多くの企業が40代の転職希望者に求めているものは、ポテンシャルではなく、即戦力として活躍できる実務経験です。
よって、40代が転職を成功させるうえでは、企業が求めるスキルや経験と、自身の保有するスキルや経験の適合度合いを見極めることが非常に重要になります。
しかし、求人サイトの情報だけでは詳細まで把握することは難しいのが現状です。

転職エージェントでは、求人募集の背景や採用時に重視するポイントなどを詳細に把握しています。
特に、40代や総務経験者の転職サポート実績が豊富なエージェントの場合、企業のニーズも深く理解しているため、経験やスキルを最大限に発揮できる求人の紹介を受けやすくなります。

40代の転職であれば、目指す方向性も定まっているはずです。効率よく、理想のキャリアを実現できる求人に巡り合うため、転職エージェントの活用をおすすめします。

総務40代の転職成功事例

JACでは、40代の転職希望者を多数サポートしてきた実績があります。ここでは、当社のサポートによって総務職への転職を成功させた40代の方の事例をご紹介します。

不動産会社の管理本部長から不動産会社の総務課長への転職

Sさん（男性/40代後半）

	業種	職種	年収
転職前	不動産会社	管理本部長	1,000万円
転職後	不動産会社	総務課長	1,200万円

Sさんは、大学ご卒業後、不動産会社において株式関連業務や就業規則の見直し、従業員の福利厚生施策の改善、什器やファシリティのマネジメントなど、幅広い業務に従事してこられた方です。
また、成長過程にある上場ベンチャー企業や上場素材メーカーの総務部門や法務部門で、総務だけにとらわれない、会社全体の運営業務に携わる経験もされていました。

業績が評価され、管理本部長として組織全体の管理を担ってきましたが、現場を離れたことでやりがいが低下したように感じたとのこと。新たな環境で自身もプレイヤーとして現場に立ちながら、部下の育成やチームの管理に携われるプレイングマネージャーの職に就きたいとの思いが強くなり、当社にご相談をいただきました。

当社からご紹介したのは、不動産会社の総務課長の仕事です。
株式事務や株主総会、社内イベントの企画、業務システムの改善・提案、ITツール導入の企画・提案など、総務全般の業務を担います。若いスタッフを中心とした企業であり、柔軟かつスピーディーな業務対応は実現できているものの、若いスタッフを支える総務分野のスペシャリストを求める求人でした。

Sさんの長年の総務分野での経験、プレイングマネージャーとして自ら動き、企業の変革に取り組みたいという姿勢が高い評価につながり、見事、年収200万円アップの好条件で転職を成功させています。
経験のある不動産分野であったことから、新たな会社においてもすでに即戦力としてご活躍されているとのことです。

総務40代の転職ならJAC Recruitment

JACは、ミドルエイジやハイクラスの転職サポート実績が豊富な転職エージェントです。総務職は、企業によって担う役割が異なるため、特に40代の場合、特定の業務の経験者が歓迎される傾向にあります。JACでは、求人企業と転職希望者の双方を同じコンサルタントが担当するため、詳細な求人情報の提供ができるとともに、書類作成や面接時の効果的なアピール方法についても的確なアドバイスが可能です。

現在、バックオフィス部門の強化を目指す、中堅から大手の企業では、積極的に総務経験者の採用を進めています。このタイミングを逃さず、理想のキャリアを実現できる環境へ転職し、自身の可能性をさらに引き出したいとお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。経験豊富なコンサルタントが、求人のご紹介からキャリアの相談まで、転職活動を全力でサポートします。