印刷業界の転職市場は今、変革期を迎えています。
ペーパーレス化やデジタル化の進展により市場は縮小傾向にある一方で、新技術の導入や新規事業の展開により、成長を続ける企業も存在します。
この記事では、印刷業界の最新転職動向、年収相場、求められるスキル・経験、キャリアパスについて、JAC Recruitment(以下、JAC)が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
目次/Index
印刷業界の転職動向
一般社団法人日本印刷産業連合会が公表している「印刷産業Annually Report Vol.4 2025」によると、印刷産業の2023年時点における事業所数は、全製造業24業種中5番目となっており、事業所数の多い業界であることが分かります。しかしながら、従業員ベースでみると印刷産業が占める割合は3.2%、製造品出荷額ベースでみると1.4%です。従業員数を細かく見ると、印刷産業の97.4%の事業所が従業員数100人未満であり、そのうちの60.6%が10人未満です。このことから、印刷業界は小規模事業者が中心であることが分かります。また、従業員数の減少も顕著であり、印刷業の従業員数は2022年には、2003年に比べ67.5%まで減少しています。
JACが取り扱う印刷業界の求人を見ても、2024年度の求人数は前年の70%となり、減少傾向にあります。しかし、印刷業の市場は縮小しつつある中でも、デジタル領域の受注拡大に伴う増員募集が多くなっています。職種を見ると財務や人事採用など、管理部門での求人が多く、管理部門の責任者を求める求人も見受けられます。
求人内容を詳細にみると、社会のニーズの変化に対応し、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを構築し、業績を順調に伸ばしている企業があることが分かります。また、印刷以外の新規事業にも積極的にビジネスを展開する企業も増えています。
印刷業界で求められるスキル・経験・マインド
JACが取り扱う求人を見ると、印刷業界では次のようなスキル・経験・マインドをもつ方が求められる傾向にあります。
ITツールの導入やデジタル化などに携わった経験
印刷業界でもDX化が進められており、業務効率を改善するための業務フローのIT化やデジタル化を推進する企業が増加中です。そのため、業務効率改善を目的として、ITツールの選定や導入などに携わった実績を求める求人が多く見られます。
財務や経理に関する知識や実務経験
印刷会社の求人を見ると、財務や経理などに関する知識や実務経験をもつ方を募集する求人が複数見られます。印刷会社の中には、グループ会社、子会社なども含め、複数の事業展開を進めているところもあり、グループ全体の財務状況を把握し、経営を支援できる、財務面でのスペシャリストのニーズが高くなっているのです。
財務・経理の知識や経験は、印刷業界への転職において強みとなります。
ITに関する知識や実務経験
印刷業界では、紙の印刷だけでなく、Webサイトの構築やWeb制作のディレクション業務などにも事業を広げている例があります。また、システム開発に関連する職の募集もあるほか、AIやデータ解析に関する知識をもつ方を募集する求人もあり、ITエンジニアとしての実務経験や知見を生かせる求人も増加中です。
印刷業界の想定平均年収は724.7万円
2023年1月~2025年7月までにJACが転職をサポートした事例を見ると、印刷業界の平均年収は724.7万円となっています。また、ボリュームゾーンは500万円~600万円です。年齢が高くなるほど年収も高くなる傾向にあり、50代になると年収1,200万円を超える事例もあります。管理職とメンバークラスの年収を比較すると、管理職の平均年収が大きくなるため、年齢とともに管理職に就任することで年収もアップすると考えられます。
| 役職 | 平均年収 |
| メンバークラス | 582.1万円 |
| 管理職 | 778.1万円 |
※当社実績(2023年1月~2025年7月、想定年収)より
一般的な印刷業界の平均年収は300万~500万円程度といわれています。前述のように印刷会社は小規模な企業が多いため、平均年収も低めになっていると考えられます。企業規模が大きくなるほど売り上げも高くなり、年収にも反映されます。従って、大手企業の平均年収は600万~700万円程度になるとされており、大手企業への転職であれば、高年収を期待できるでしょう。
印刷業界の最新求人情報
JACでは、多数の印刷業界の求人を扱っています。当社が取り扱う印刷業界の求人の中から一部をご紹介します。
日系大手総合印刷会社:国際税務戦略立案、海外税務コンプライアンス推進
プライム上場日系大手総合印刷メーカー:財務経理(将来的な海外駐在員候補)
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年8月最新)
JACでは、ハイクラス求人を中心に、非公開求人も多数取り扱っています。本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。また、JACには印刷業界に詳しいコンサルタントが在籍しており、印刷業出身者や印刷業界への転職を希望する方を多数サポートしてきた実績があります。
印刷業界への転職をお考えの際には、ぜひJACにご登録ください。ご登録いただくと、非公開求人も含め、多数の求人の中から最適な求人のご案内が可能です。
印刷業界への転職で有利となる資格
印刷業界への転職を検討する場合、特別な資格が必須となるわけではありません。しかしながら、次のような資格がある場合、転職時に役立つ可能性があります。
印刷技能士
印刷技能士は、印刷に関する専門的な知識と技術を保有していることを証明する国家検定の一つです。印刷技能検定には特級から3級まで、4段階の区分があり、このうち、特級、1級、単一特級については厚生労働大臣から、2級、3級については都道府県知事から合格証書が交付され、合格後、技能士と称することができるようになります。
印刷技能士の検定試験では学科試験と技能試験が実施され、実技試験で60点以上、学科試験で65点以上が合格基準となっています。
中央職業能力開発協会:印刷技能士
応用情報技術者試験
独立行政法人情報処理推進機構が主催する資格試験であり、国家資格です。応用情報技術者試験は、ワンランク上のITエンジニアとして、技術から管理、経営まで幅広い知識と応用力を保有していることの証明となる資格です。印刷業界でITエンジニアとして転職を希望する場合には、知識や技術の証明として役立ちます。
試験は筆記式で年に2回実施されています。
独立行政法人情報処理推進機構:応用情報技術者試験
印刷業界のキャリアパス
印刷業界関連企業では、次のようなキャリアパスが考えられます。主な職種のキャリアパスをご紹介します。
製版・印刷オペレーターのキャリアパス
製版や印刷機の操作に携わるオペレーターは、まずは現場での技術習得が基本です。経験を積むことで、品質管理や工程管理を担うポジションへとステップアップできます。さらに、印刷方式(オフセット、グラビア、オンデマンドなど)の専門性を高めることで、技術指導者や工場長などの管理職を目指すことも可能です。
DTP・デザイン職のキャリアパス
DTPオペレーターやグラフィックデザイナーは、紙面設計やレイアウトのスキルを活かし、広告・販促物の制作に携わります。近年では、WebデザインやUI/UX領域へのスキル拡張も求められており、マルチメディア対応ができる人材は、クリエイティブディレクターや制作部門の統括職への道が開けます。
プリプレス・デジタル技術職のキャリアパス
プリプレス(印刷前工程)に関わる職種では、PDFワークフローやRIP処理、カラーマネジメントなどの専門知識が重要です。デジタル印刷や可変印刷(バリアブル印刷)などの新技術に対応できる人材は、技術開発部門や製品企画部門へのキャリアアップが可能です。
営業・企画職のキャリアパス
印刷業界の営業は、単なる印刷物の受注ではなく、クライアントの課題解決型提案が求められます。販促支援やマーケティング企画に携わることで、営業企画や事業開発、さらには新規事業の立ち上げに関わるポジションへと進むことができます。
印刷業界への転職を成功させる3つのポイント
印刷業界への転職を成功させるために意識すべきポイントを3つご紹介します。
高いコミュニケーション能力と協調性のアピール
印刷業界では、社内のさまざまな部門の連携が必要であり、円滑に業務を進めるうえでは高いコミュニケーション能力と協調性が欠かせません。これまで部門間の連携を図りながら業務を進めてきたケースや各部門の調整を行ってきた経験がある場合などは、積極的にアピールすると転職活動を有利に進められるでしょう。
デジタル化やDX化に関するプロジェクトを牽引してきた経験
印刷業界ではDX化が進められています。オンデマンド印刷への対応だけでなく、業務効率化のためのシステム導入や、先端技術を活用した品質チェックなどを行う企業も増えています。
前職でデジタル化やDX化に関するプロジェクトを推進し、成功に導いた経験をもつ方は印刷業界でもその経験が高く評価される可能性があります。
印刷業界の転職サポート実績をもつ転職エージェントの活用
印刷業界の市場は縮小傾向にあり、印刷業界の求人数も減少傾向にあります。そのため、印刷業界への転職を検討する際には、企業の将来性の見極めが重要です。
印刷業界に精通した転職エージェントの場合、業界全体の動向を把握しています。業界への造詣が深いため、デジタル化社会に対応した新規ビジネスを展開し、順調に業績を伸ばしている企業など、納得できる求人を紹介してもらえる可能性が高まります。
印刷業界の転職事例
JACが転職をサポートし、印刷業界へ入社された方の事例をご紹介します。
1. 食品メーカーから印刷会社への転職事例
Oさん(女性/50代前半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 化学メーカー | DX推進 | 750万円 |
| 転職後 | 印刷会社 | 経理・財務 | 800万円 |
Oさんは、DX推進プロジェクトにおいて、開示業務の短縮に貢献されてきた実績をもつ方です。そのほか、会計システムの立ち上げや決算業務、税務申告、監査法人対応など、経理分野での豊富な経験があり、マネジメントにも従事されてきた実績もあります。
さらなるキャリアアップを目指したいとの意向から転職を希望されたOさんに当社がご紹介したのは特殊印刷のリーディングカンパニーの経理部長候補の求人であり、将来は役員も目指せるポジションの求人です。Oさんは、応募先企業が求める、税務業務、監査対応、製造業での経理経験、連結決算経験、マネジメント経験とすべての条件を満たしており、見事、採用が決定しています。
2.物流会社から印刷会社への転職事例
Sさん(男性/40代前半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 物流会社 | 物流・生産管理 | 500万円 |
| 転職後 | 印刷会社 | 工場・技術マネジメント | 550万円 |
Sさんは物流会社において、大型車の導入プロジェクトに携わり、業務効率を改善し、2024年の労働問題も乗り越えた実績をもつ方です。またマネージャー補助として、予実管理にも関わってきた経験もおもちでした。
40代に入り、新たな環境でチャレンジをしたいとの希望が強くなり転職を決意されたとのこと。当社からは、印刷会社の工場長候補の求人をご紹介しました。スタッフの育成や配置、予算管理、工場の売り上げ管理など、新設工場の責任者として、工場全体の管理を担う業務です。実は、Sさんには応募企業が必須としていた業界での実務経験はありませんでした。しかし、物流会社でのプロジェクト管理や売上管理の経験、そしてSさんの誠実な人柄が高く評価され、見事、採用が決定しました。現在は工場長候補として新たな職場で意欲的に業務に取り組んでいらっしゃいます。
印刷業界の転職なら、JAC Recruitmentへ
印刷業界は、現在、大きな変革期を迎えています。印刷市場は縮小を続けていますが、その中でも新たなビジネスを展開し、業績を伸ばしている会社があるのも事実です。印刷業界への転職を検討する際には、現在の事業内容や将来性を十分に確認することが重要になるでしょう。
JACには印刷業界に精通したコンサルタントが在籍しています。求人をご紹介する際には、業界の動向から各企業の特徴、募集の背景など、求人票だけでは分からない詳細な情報まで提供することが可能です。
印刷業界の転職をお考えの際は、ぜひ印刷業界への転職サポート実績が豊富なJACにご相談ください。

