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キャリアアンカーで自分の価値観と適職を知る【診断シート付】

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公開日:2023/02/15 / 最終更新日: 2023/06/12

変化が激しく先行きが不透明な時代でありつつ、人生100年と叫ばれ、70代まで働き続ける未来が現実味を帯びている今、これまで経験を積み重ねてきた方々のなかには、「このままのキャリアでよいのだろうか」と悩む方は多いでしょう。

そのような悩みを持つ方におすすめなのが、アメリカの組織心理学者であるエドガー・H・シャインが提唱するキャリアデザインの手法「キャリアアンカー」。キャリアアンカーは、自分の本当の価値観や欲求・能力を理解し、適職を見つけようとする概念です。例えば、ご自身のキャリアアンカーを認識できていないと、自分の価値観とは異なる報酬や肩書きなどの誘惑を受け、後になってから不満を感じる転職をしてしまうこともあるのです。

今回は、自分らしいキャリアを歩むために、キャリアアンカーをどのように活用すべきかをご紹介します。ご自身のキャリアアンカーを診断できるチェックシートもダウンロードできます。

キャリアアンカーを認識する目的


キャリアアンカーとは、個人がキャリアを形成・選択する上で絶対に譲れない価値観や欲求、能力などを指します。「アンカー」とは船の錨(いかり)を意味し、船が停泊する際に錨(いかり)を沈めるように、キャリアアンカーは「人生の拠りどころ」として例えられています。

これらは多くの場合、一度形成させると、どのような業種・職種に就いても変わらないもの。生涯にわたり、職業選択の意思決定に影響すると考えられています。

そして、ほとんどの方は、以下8つのカテゴリーのいずれかに当てはまるとされています。

  • ●専門家・エキスパート・職人
  • ●管理・経営・マネジメント
  • ●自律・独立
  • ●将来の保障・安定性
  • ●起業家精神
  • ●奉仕・社会貢献
  • ●純粋な挑戦
  • ●ワークライフバランス・生活様式

これらの詳細は後ほど解説します。

キャリアアンカーを知るメリットと8つの分類・適性


キャリアアンカー

キャリアアンカーを知ると、自分の強み・弱みは何か、意思決定の基準や、主な動機や欲求がどこから発生するのかなど、自身の仕事に対する志向・動機・価値観・才能などについてより深く理解できるようになり、「仕事選び」や「会社選び」に生かせます。

転職時だけでなく今後の中長期的なキャリアを考えるうえでも参考になるため、後述している診断方法を利用し、ご自身のキャリアアンカーを確認することをおすすめします。

それでは、キャリアアンカーの8つの分類について、どのような特徴があるのかを詳しくご紹介します。

1)専門家・エキスパート・職人タイプ

専門家・エキスパート・職人タイプのキャリアアンカーを持つ方は、何か1つの分野に特化して自分自身の能力を発揮したいタイプです。特定の仕事に対して、高い意欲と才能をもち、専門性やスキルを高めることに満足感を見出すので、仕事の“内容”にこだわりを持っています。

このタイプの方は、自身の専門分野が追求できる環境であればマネージャーになりたいという気持ちはありますが、事業部長や部門長などゼネラルマネージャーになることには価値を置いていません。

下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・管理職の昇進経路と専門職の昇進経路が制度化されている
  • ・自分の技能水準に見合った評価をしてもらえる・報酬がある
  • ・専門領域を深められる環境や、自己啓発できる機会がある
  • ・同じ専門領域のプロがいて切磋琢磨できる

2)管理・経営・マネジメントタイプ

管理・経営・マネジメントタイプのキャリアアンカーを持つ方は、組織の責任ある地位に就きたいという願望を強く持っています。ゼネラルマネージャーとして仕事ができるよう、自分の携わる事業領域や業界でエキスパートになる必要性は感じていますが、専門的な仕事に特化しすぎることは好みません。

このタイプの方は、より高度な責任の立場に立ち、リーダーシップを発揮し、所属する組織の成功に貢献し、その結果、高い収入を得ることにやる気や喜びが高まります。

下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・リーダーシップを発揮できる機会、所属する組織の成功に貢献できる機会がある
  • ・実力や具体的に測定できる業績・成果に基づいて昇進が決まる制度がある
  • ・組織の将来にとって重要度の高いプロジェクトや部を任せてもらえる
  • ・問題を見つけ出し、解決するための意思決定を任せてもらえる

3)自分のペースを乱したくない、自律・独立タイプ

自律・独立タイプのキャリアアンカーを持つ方は、組織の規則や規範よりも自分自身のペースややり方を重要視するタイプです。仕事についてこまかく監視されることを好まず、プロジェクトの目的や目標に対して同意はしても、達成までの手段や方法は自身の裁量に任されたいと考えます。

このタイプの方は、組織内での肩書や収入といった条件よりも、仕事における自由度の高さを強く望みます。

下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・自律的な専門職分野に特化できる環境がある
  • ・組織による制約や束縛が最小限で、業務の自由度が高い
  • ・業績が昇進に反映され、かつ裁量権が与えられる
  • ・自分のスタイルに合わせて利用することができる選択型福利厚生制度がある

4)将来の保障や安定性重視タイプ

安定性重視タイプのキャリアアンカーを持つ方は、仕事によって生活が保障され、将来が予測可能で安定していることを最優先にします。ひとつの会社や組織に身を置き続けることが苦にならず、また、高い地位に昇りつめたとしても、着実に予測のつく仕事を好みます。

このタイプの方は、仕事やキャリアそのものの性質よりも、給与や福利厚生といった仕事の周囲の条件にこだわる傾向があります。

下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・定年までの終身雇用が約束され、不況でもレイオフされない風土がある
  • ・景気動向に左右されにくい安定した企業
  • ・勤続年数の長さや確実に先が読める昇級制度がある

5)創造性がある起業家タイプ

創造性がある起業家タイプのキャリアアンカーを持つ方は、自ら新しい事業やサービスを開発することに情熱を持っています。常に挑戦し続けることを望んでおり、自身が創造したものによって経済的に成功することを望みます。

このタイプの方は、人生の早い時期から創造的なアイデアを実際に試し、行動する傾向にあります。

下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・創造性を発揮し続けることができる機会を与えられる
  • ・新製品を開発した場合は特許権を取得することができる
  • ・社内起業家制度のような、新しい創造に挑戦できる制度がある

6)奉仕・社会貢献を大切にするタイプ

奉仕・社会貢献を大切にするタイプのキャリアアンカーを持つ方は、自身の適性や才能よりも、社会をよりよくしたいという欲求や、奉仕の価値観に基づいてキャリアを選択する傾向があります。

このタイプの方は、自身の価値観に合う方向で属する組織や社会に貢献し、影響を与えることに喜びを感じます。

このタイプの方は、下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・奉仕の価値観に基づいて、組織や社会に影響を与えることができる
  • ・貢献の度合いに応じて、公正に給与が支払われる
  • ・貢献度を適正に評価した昇進制度がある

7)何事にも挑戦していきたいタイプ

何事にも挑戦していきたいタイプのキャリアアンカーを持つ方は、困難な問題や障害に自ら挑み、克服することを目指します。このタイプの方は、「創造性がある起業家タイプ」とは異なり、挑戦そのものが唯一の大きなテーマです。仕事において絶えず自己を試す機会が組み込まれているかを重視します。

変化に富んだキャリアを好み、より大きな挑戦が可能なゼネラルマネージャーに惹かれる方もいます。

このタイプの方は、下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・解決困難な問題やテーマに挑戦できる
  • ・チーム間での競争や手ごわい課題へ挑戦するなど、自己を試す機会がある
  • ・野心を持って、常に周囲と切磋琢磨できる

8)ワークライフバランスを重視するタイプ

ワークライフバランスを重視するタイプのキャリアアンカーを持つ方は、個人および家庭とキャリアのニーズをうまく統合させる方法を見いだし、生活様式全体を調和させることを優先します。

組織の働き方の制度に柔軟さを求めており、個人および家庭を尊重してくれることを強く望みます。

このタイプの方は、下記のような組織において、より能力を発揮できるでしょう。

  • ・フレックスタイムや在宅勤務、時短勤務など柔軟な働き方ができる
  • ・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進などに積極的に取り組んでいる
  • ・出張や転勤の可能性がほとんどない

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キャリアアンカーの診断方法


では、ご自身のキャリアアンカーはどのように調べれば良いのでしょうか。

キャリアカウンセラーに相談する方法もありますが、下記チェックシートでご自身のキャリアアンカーの診断が可能です。ぜひご活用ください。

【自動集計キャリアアンカーチェックシートをダウンロード⇩】

ただし、診断結果を全面的に信じるのではなく、実際に日々の仕事で感じていることと一致しているかどうかも、併せて考えてみてください。
また、その日の気分によって回答が異なることもあります。診断の精度を高めるためには、何日か空けてから再度診断することをおすすめします。

ご自身の適性に悩んでいるならJACに相談を


転職はもちろん、長期的にキャリアを構築していくためにも、ご自身の適性を理解しておくことは大切です。

足がかりとしてキャリアアンカー診断を活用するのも有効ですが、より自己理解を深め、納得感を高めるために、転職エージェントのコンサルタントと対話してみてはいかがでしょうか。

第三者と話すことで、自身の考えが整理できたり、気付かなかった視点を得られたりすることもあります。

JAC Recruitmentでは、「今すぐには転職を考えていないが、今後のキャリアについて考えたい」という方のご相談も歓迎しています。

コンサルタントは各業界・各職種の専門領域に特化しているため、導き出した適性や価値観を、具体的な職種や求人に落とし込み、ご提案いたします。

非公開求人を含め、キャリアアンカーにマッチした求人をご紹介できます。ぜひご相談ください。

【参考文献】

エドガーH.シャイン(著)金井壽宏(訳)「キャリア・アンカー ―自分のほんとうの価値を発見しよう―」白桃書房(2003年)


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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。




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