日系グローバル企業への転職は、高年収や海外勤務の機会が豊富であるため、グローバルなキャリアを築きたい方にとって魅力的な選択肢です。しかし、異文化理解や語学力、高いストレス耐性が求められるほか、希望通りの勤務地で働けない可能性も考慮する必要があります。
本記事では、日系グローバル企業の定義や業界ごとの企業一覧、最新の求人・転職情報をJAC Recruitment(以下、JAC)が解説します。
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目次/Index
日系グローバル企業とは?
本章では、日系グローバル企業とはどのような企業群を指すのか、下記4つの観点から解説します。
- ●日系グローバル企業の定義・特徴
- ●日系グローバル企業と多国籍企業の違い
- ●日系グローバル企業と外資系企業の違い
- ●日系グローバル企業が進出している主な国
日系グローバル企業の定義・特徴
日系グローバル企業とは、一般的に、日本に経営の中枢を据えながら、国境を越えて複数の国や地域に拠点を構え、広範なエリアで事業活動を展開している企業を指します。単に海外と取引があるだけでなく、海外での売上高や生産量、あるいは海外で働く従業員の比率が高いことが特徴として挙げられ、調達や品質、知的財産の統合管理に長け、長期志向の投資で安定的に市場を深耕するビジネススタイルを強みとします。
日系グローバル企業は、世界市場を舞台にビジネスを展開するダイナミズムをもつ一方で、経営の中枢や企業文化の根幹には、日本企業としてのアイデンティティーを色濃く保持しているケースが多く、重要な意思決定がともなう局面においては日本の本社の意向が強く反映されたり、長期的な視点での事業育成や品質を重視する「ものづくり」の精神が大切にされたりしています。近年は、越境での合弁・提携に加え、現地経営層の登用も進んでおり、文化の多様性と日本発の規律が共存する組織文化を持つ企業も増えています。
日系グローバル企業と多国籍企業の違い
日系グローバル企業と多国籍企業は、ともに国境を越えて事業を展開する点で共通していますが、その経営思想や組織構造には大きな違いがあります。
多国籍企業は、本社の国籍に固執せず、研究開発、生産、販売、さらには本社機能の一部に至るまで、世界で最も効率的・効果的な場所はどこかというグローバル最適の観点から経営資源を配置します。意思決定の権限も各地域の拠点に委譲されている点が特徴であり、現地の市場や文化に即した自律的な経営が行われています。
一方、日系グローバル企業は、あくまでも日本本社が司令塔として中心的な役割を担う本国中心型の経営スタイルを採用しているケースが多く、重要な経営判断や研究開発の中核機能は日本国内に置かれ、海外拠点は日本本社が発信する方針に従って事業を運営する構造が一般的です。
近年では現地化を進め、海外拠点の裁量を拡大する日系グローバル企業も増えていますが、企業全体の根幹となる理念や文化、事業戦略に関する方針決定は日本本社が大きな影響力をもちます。
日系グローバル企業と外資系企業の違い
日系グローバル企業と外資系企業は、活動の中心拠点が異なります。
日系グローバル企業は、日本の企業が海外市場で事業を展開している状態を指します。そのため、海外で勤務する場合も、所属はあくまで日本企業であり、企業文化や人事制度、価値観は日本本社が発信・策定する戦略が基盤となります。一方、外資系企業とは、海外の企業が日本市場に進出し、設立した日本法人のことを指します。
外資系企業で働く場合、外国資本の企業に所属することになるため、欧米のビジネス文化が色濃く反映された環境に身を置くことになります。企業にもよりますが、評価制度は成果主義が徹底され、キャリアパスも個人の専門性を高めていくジョブ型が中心となります。
グローバルな環境で働きつつも、日本的な雇用慣行や組織文化の中でキャリアを築きたいのであれば日系グローバル企業、国籍を問わず実力本位の世界で専門性を武器に勝負したいのであれば外資系企業が適していると考えられます。
日系グローバル企業が進出している主な国
外務省が実施した「海外進出日系企業拠点数調査(2024年10月1日時点)」によると、日系企業の拠点はアジア、欧州、北米を中心に分布し、製造・流通・サービスまで幅広く展開しています。
エリア別に見ると、アジアでは、世界の工場・市場として圧倒的な存在感を放つ中国に最も多い32,364拠点、次いで自動車産業の集積地であるタイに6,083拠点、金融・物流のハブであるシンガポールに4,558拠点、隣国の韓国に3,003拠点、そして急成長を続けるベトナムに2,543拠点展開されています。
また、北米エリアは、世界最大の経済大国である米国に9,639拠点、カナダに933拠点立地しています。欧州では、製造業の中心地であるドイツに1,902拠点、金融センターの英国に925拠点、フランスに835拠点あります。そのほか、中南米ではメキシコに1,607拠点、大洋州では豪州に852拠点、中東ではアラブ首長国連邦に343拠点、アフリカでは南アフリカに252拠点の日系グローバル企業が進出しています。
出典:「海外進出日系企業拠点数調査 ー 2024年調査結果(令和6年10月1日現在)」(外務省)
【業界別】主な日系グローバル企業一覧
ここでは、次の6つの業界別に、日系グローバル企業がどのような事業やビジネスを展開しているのか解説します。
- ●自動車メーカー
- ●電子機器メーカー
- ●精密機器メーカー
- ●食品・飲料メーカー
- ●IT・通信業
- ●卸売・小売業
自動車メーカーの主な日系グローバル企業
自動車メーカーにおける日系グローバル企業は、国内市場にとどまらず、北米、欧州、アジアなど世界各地に生産・販売拠点を構え、グローバルな供給網と販売網を構築しています。完成車の製造だけでなく、EV化や自動運転技術、コネクテッドカーといった先端領域にも積極的に投資し、各国の環境規制や市場特性に対応した車両開発を進めています。また、部品調達から生産までを現地で行う地産地消を推進している点も特徴の一つであり、海外現地での雇用創出やサプライチェーンの拡大にも寄与しています。
海外駐在やグローバルプロジェクトにかかわる機会が豊富であり、国際的なマーケティング、現地工場の立ち上げ、生産管理、品質保証など、多岐にわたる活躍の場が用意されています。特に今後はEVシフトやカーボンニュートラル対応が加速するため、技術開発だけでなく、調達や事業戦略分野でも国際的な視野を持つ方への需要が高まると予想されます。
自動車メーカーの主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●トヨタ自動車株式会社
- ●本田技研工業株式会社
- ●日産自動車株式会社
- ●スズキ株式会社
- ●マツダ株式会社
- ●株式会社SUBARU
- ●三菱自動車工業株式会社

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自動車業界転職情報
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電子機器メーカーの主な日系グローバル企業
電子機器業界の日系グローバル企業は、家電、情報通信機器、半導体、映像機器など幅広い製品群を展開し、世界各国で販売・製造体制を整えています。高品質で耐久性のある製品や、精密な設計と省エネ性能を兼ね備えた技術力が評価され、個人消費者向けから法人向けソリューションまで幅広くカバーしている点が特徴です。また、近年ではIoT化やスマートホーム市場、再生可能エネルギー関連機器など、新分野への進出も活発です。
電子機器業界には、製品開発や品質保証に加え、海外市場での販売戦略立案やグローバルサプライチェーンの管理など、幅広いキャリアの選択肢が存在します。特にエレクトロニクス分野は製品ライフサイクルが短く、常に市場変化に対応するスピード感と革新性が求められるため、国際的な競争環境で成長を志す方にとって、大きなやりがいを得られる業界といえます。
電子機器メーカーの主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●ソニーグループ株式会社
- ●パナソニック ホールディングス株式会社
- ●株式会社日立製作所
- ●三菱電機株式会社
- ●富士通株式会社
- ●日本電気株式会社(NEC)
- ●京セラ株式会社
精密機器メーカーの主な日系グローバル企業
精密機器メーカーに属する日系グローバル企業は、計測機器、医療機器、光学機器、産業用ロボットなど、極めて高精度かつ高い信頼性が求められる製品を世界に供給しています。精密機器業界は日本の匠の技ともいえる高度な研究開発力と製造技術が強みであり、海外の研究機関や産業界との連携を通じたグローバルな技術革新が進んでいます。品質管理基準は世界でもトップクラスを誇り、精度や耐久性において高い評価を得ています。
精密機器メーカーでは、海外市場での製品展開、現地拠点での技術サポート、国際展示会でのマーケティング活動など、活躍の場が豊富です。特に医療機器や半導体製造装置などは世界的な需要が高く、グローバル規模の市場戦略に携わる機会が多いため、技術的知見と国際感覚を併せもつ方が求められる傾向があります。
精密機器メーカーの主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●キヤノン株式会社
- ●株式会社ニコン
- ●オリンパス株式会社
- ●テルモ株式会社
- ●株式会社島津製作所
- ●HOYA株式会社
食品・飲料メーカーの主な日系グローバル企業
国内市場の成熟を背景に、食品・飲料メーカーは海外市場の開拓を積極的に進めています。近年では、現地の有力企業をM&Aによって傘下に収め、そのブランド力や販売網を活用して事業を拡大するケースも少なくありません。
食品・飲料業界の日系グローバル企業は、日本の伝統的な発酵技術などを生かした「うま味」をはじめとする独自の価値を世界に広める一方で、現地の食文化や嗜好に合わせて製品の味やパッケージをローカライズしています。また、健康志向や環境配慮型製品の需要拡大に応え、低糖質・植物由来原料の製品やサステナブルな包装を採用する動きも広がっています。
食品・飲料メーカーでは、海外生産拠点の立ち上げや現地ブランドとの協業、国際物流管理など、多様な業務領域が存在します。特に食品・飲料業界は文化や嗜好の違いを理解するマーケティング力が重要であり、グローバル消費者との接点をもちながらブランド価値を高める役割が期待されます。
食品・飲料メーカーの主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●味の素株式会社
- ●キッコーマン株式会社
- ●サントリーホールディングス株式会社
- ●アサヒグループホールディングス株式会社
- ●キリンホールディングス株式会社
- ●株式会社ヤクルト本社

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食品/飲料業界転職情報
食品/飲料業界の転職市場においても、JAC Recruitmentは多くの方々の転職を成功させてきました。 食品/飲料業界では、少子高齢化や女性の社会進出などの社会の変化を受け、商品の作り方・売り方を変えています。そうい… 続きを読む 食品/飲料業界転職情報
IT・通信業の主な日系グローバル企業
IT・通信業界の日系グローバル企業は、国内の安定した通信インフラ事業を基盤としながら、その技術力やノウハウを生かして海外のデータセンター事業やシステムインテグレーション事業に進出しています。また、近年では海外の有望なテクノロジー企業への投資を活発化させ、AIやIoT、FinTechといった最先端領域でグローバルな事業ポートフォリオを構築しようとする動きが加速しています。
キャリアとしては、海外市場の営業戦略立案、現地法人のマネジメント、国際規格への対応業務などがあり、グローバルなビジネス感覚を養う機会が豊富です。特に、IT・通信業は技術革新のスピードが早く、世界同時進行で市場が進化するため、常に新しい知識を吸収し続ける向上心が求められます。
IT・通信業の主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●日本電信電話株式会社
- ●ソフトバンクグループ株式会社
- ●楽天グループ株式会社
- ●KDDI株式会社
- ●日本電気株式会社

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IT業界の転職ならJAC Recruitment
JAC Recruitmentはロンドン発祥の転職エージェントでイギリスとドイツ、アメリカ、アジアなど11カ国、33拠点に広がる独自のグローバルネットワークを背景として、IT系企業への転職支援でも豊富な実績を重ねてきまし… 続きを読む IT業界の転職ならJAC Recruitment
卸売・小売業の主な日系グローバル企業
卸売・小売業における日系グローバル企業は、総合商社による多角的な商品取引から専門小売店やコンビニエンスストア、ファッションブランドまで幅広い形態で海外展開を行っています。日本国内で培った商品企画力や店舗運営ノウハウ、サプライチェーン管理を基盤に、現地市場に適応したビジネスモデルを構築する点が特徴です。
卸売や小売業では、海外拠点の経営、商品調達、物流管理、現地企業とのパートナーシップ形成など、多岐にわたる業務を担う機会があります。特に小売業は現地消費者の嗜好を的確に把握し、ブランド価値を高めるマーケティング戦略が重視されます。グローバルな市場を舞台に自身の企画した戦略や施策を推進できる環境は、挑戦意欲の高い方にとって魅力的なキャリアといえます。
卸売・小売業の主な日系グローバル企業は、次のとおりです。
- ●三菱商事株式会社
- ●三井物産株式会社
- ●伊藤忠商事株式会社
- ●株式会社セブン&アイ・ホールディングス
- ●株式会社ファーストリテイリング
- ●イオン株式会社
日系グローバル企業の最新転職・求人情報
本章では、日系グローバル企業に関連する最新求人・転職情報を紹介します。
なお、本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが取り扱う求人は、大半が非公開となっています。そのため、非公開求人も含め日系グローバル企業に関する求人の紹介を希望する方は、ぜひJACにご登録ください。
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●世界シェアトップの製品をもつ日系グローバルメーカー:内部監査(システム監査)
●日系グローバルメーカー企業:【人財施策の導入・展開、組織・人財配置、コミュニケーション施策立案等】
●日系グローバルメーカー:グローバルモビリティ、グローバル表彰の担当者【東京・神奈川】
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年8月最新)
日系グローバル企業に転職するメリット
ここでは、日系グローバル企業に転職することで得られる、次の3つのメリットについて解説します。
- ●高年収・高待遇になりやすい
- ●業界内でも先進的な取り組みに携わりやすい
- ●海外勤務などグローバルな環境・視点で働きやすい
高年収・高待遇になりやすい
日系グローバル企業は、世界的に通用する製品やサービスを展開し、安定した収益基盤を築く企業が多いため、報酬水準が高くなる傾向があります。特に海外売上比率の高い企業は、為替や海外市場の成長による収益拡大が見込めるため、賞与やインセンティブも含めた総合的な待遇改善が期待できます。さらに、家族帯同の場合、住居費や子どもの教育費を会社が負担するケースも多く、金銭的なメリットを多分に享受できる環境があります。加えて、成果や能力に応じて昇給・昇格する評価制度を採用している企業が多く、パフォーマンス次第で転職直後から収入を増やすこともできます。
現在よりも高い収入を目指す方や、充実した福利厚生・待遇が得られる環境で安心して働きたいと考える方にとって、日系グローバル企業は魅力的な環境といえます。
業界内でも先進的な取り組みに携わりやすい
日系グローバル企業は、世界市場での競争力を維持するため、研究開発や新規事業への投資を積極的に行っています。そのため、業界内でも最先端の技術開発や新しいビジネスモデルの構築といった、先進的な取り組みに携われる機会が豊富にあります。例えば、自動車業界であれば自動運転技術やEVの開発、電機業界であればAIやIoTを活用したソリューション開発などが挙げられます。こうしたプロジェクトは世界中の開発拠点や現地の大学、スタートアップ企業との協業をともなうことも多く、国内だけでは得られない視点やノウハウを吸収できます。
このように、国内市場にとどまらない発想やスピード感で事業を推進する経験は、将来的に他業界や他国の企業に転職する際にも強みになります。
海外勤務などグローバルな環境・視点で働きやすい
日系グローバル企業は海外にも多数拠点を構えるため、現地法人や海外プロジェクトにかかわる機会が豊富です。そのため、海外赴任や短期・長期出張を通じて、国際的な視野を広げられます。また、国内勤務であっても、海外拠点とのオンライン会議や多国籍のメンバーで構成されるプロジェクトへの参画など、日常的にグローバルな環境に身を置く機会が豊富にあり、自然と視野が広がり、物事を多角的に捉える能力が養われます。
こうした経験は将来的に外資系企業や国際機関、海外スタートアップなどへのキャリア展開にも強みとなります。また、海外勤務にともなう手当や福利厚生も充実しており、生活面にも安心感をもちながら多様なビジネスチャンスに挑戦できる点も日系グローバル企業に転職するメリットといえます。
日系グローバル企業に転職するデメリット
本章では、日系グローバル企業に転職する際に懸念される3つのデメリットについて解説します。
- ●言語・文化・宗教の違いに苦労する可能性がある
- ●希望した勤務国・勤務地で働けない可能性がある
- ●勤務地を転々とする可能性があり、人生設計がしにくい
言語・文化・宗教の違いに苦労する可能性がある
日系グローバル企業では、海外拠点や多国籍なチームと協働する機会が多く、日常的に言語・文化・宗教の違いに直面します。異文化に触れられる機会は、視野を広げる貴重な経験となる一方で、意思疎通や価値観の相違による摩擦がストレスになる場合も少なくありません。
例えば、会議での発言スタイルや意思決定のスピード、祝日や勤務時間の慣習など、想定外の微細な部分でストレスを感じることがあります。また、宗教的な慣習や食事制限など、相手への配慮が必要な場面も多く、慣れないうちは業務の効率低下やコミュニケーションの齟齬を招く恐れもあります。さらに、語学力の不足は誤解を生みやすく、重要な交渉や報告において不利になる懸念もあります。
このような違いを理解せず、日本独自の方法や習慣を押し付けてしまうと、現地スタッフとの間に摩擦が生じ、信頼関係を築けず、結果的に企業が期待する成果を創出することも難しくなります。
転職前には、異文化への理解と多様性を受け入れる柔軟な姿勢が求められることを理解し、文化理解や語学学習に努めることが大切です。
希望した勤務国・勤務地で働けない可能性がある
「海外で働きたい」という希望を抱いて日系グローバル企業に入社しても、必ずしも自分が希望する国や都市で働けるとは限りません。企業は事業戦略や現地の人員構成、ポジションの空き状況、本人の適性などを踏まえ、総合的に海外赴任への辞令を判断するため、応募時に想定していた勤務地と実際の赴任先が異なるケースもあります。
例えば、欧米勤務を希望していたにもかかわらず、新興国市場や治安面に懸念のある地域への赴任を命じられることもあり、生活環境や医療インフラ、教育機関の整備状況に不安を覚える場合もあります。さらに、勤務地の変更は本人の意向よりも事業上の必要性が優先されやすく、転勤の頻度やタイミングも予測しにくい側面があります。自身の希望とのギャップが大きい場合、仕事へのモチベーション低下につながる可能性もゼロではありません。
勤務地に強い希望がある場合は、配属方針や異動ルールを事前に確認しておきましょう。また希望勤務地が通らない場合でも、自身のスキルアップや将来のキャリア形成につながる視点をもてるかが、入社後の満足度に大きく影響することを理解しておく必要があります。
勤務地を転々とする可能性があり、人生設計がしにくい
日系グローバル企業では、海外赴任の期間は一般的に3年から5年程度とされ、任期が終われば日本に帰国するか、別の国に赴任するケースが大半です。このように、国内外を問わず勤務地を転々とする生活は、長期的な人生設計を立てにくいと感じる場合があります。
特に、家族帯同の場合は、パートナーのキャリアが中断される、子どもが転校を繰り返すことになるなど、家族に大きな負担をかけることになります。また、将来的に家を建てたい、あるいは特定の地域に根差して生活したいなどの希望をもっていたとしても、いつどこへ異動になるかわからない状況では、具体的な計画を立てることが困難です。
自身のキャリアプランだけでなく、家族を含めたライフプラン全体を考慮したうえで、日系グローバルへの転職が自分や家族にとって本当に幸せなのかを慎重に考える必要があります。
日系グローバル企業への転職で求められる人物像
ここでは、日系グローバル企業への転職で求められる次の4つの人物像について解説します。
- ●異文化理解力・適応力と語学力を兼ね備えている
- ●特定分野における深い専門性があり常に探求心がある
- ●主体的に課題解決に向き合い行動を起こせる
- ●海外で働きたい意志がありストレス耐性が高い
異文化理解力・適応力と語学力を兼ね備えている
日系グローバル企業では、多国籍な同僚や海外拠点のメンバーとの連携が日常的に発生します。そのため、異文化理解力と適応力は欠かせません。異文化理解力とは、価値観や行動様式が異なる相手の背景を尊重し、摩擦を最小限に抑えながら協働できる力を指します。加えて、環境やルールが頻繁に変化する国や地域でも臨機応変に動ける柔軟性が求められます。
さらに、英語や現地語などの語学力はコミュニケーションの基盤であり、誤解を防ぎ信頼関係を築くうえで不可欠です。特に、商談や契約交渉、技術仕様の共有といった場面では高度な語学力が必要です。
異文化理解力と適応力、語学力を備えていれば、海外拠点のマネジメントやグローバルプロジェクトの推進役として活躍でき、現地チームとの橋渡し役として評価されやすくなります。
特定分野における深い専門性があり常に探求心がある
グローバルなビジネス環境では、国や文化が違っても普遍的に通用する専門性が求められます。
しかし、特定分野における専門知識や技術は一度身につけたら終わりではありません。市場は常に変化しており、新しい技術やビジネスモデルが次々と生まれています。特にグローバル市場は変化が早く、数年前の常識が通用しないことも多々あります。現状に満足することなく、常に最新の知識や技術の習得に取り組む探求心もグローバルな競争環境で活躍し続けるために不可欠な資質といえます。
このように深い専門性と探求心を兼ね備えた方は、国際的な競争環境でも高く評価され、各国拠点の課題解決や技術革新の中核として活躍できるでしょう。
主体的に課題解決に向き合い行動を起こせる
日系グローバル企業では、指示待ちではなく自ら課題を発見し、解決策を立案・実行できる主体性が欠かせません。その理由として、海外拠点では、物理的に日本の本社から遠く離れているため、手厚いサポートや詳細な指示を常に受けられるわけではないからです。予期せぬトラブルや困難な課題に直面した際に、自らの判断で物事を進めていかなければならない局面も多々あります。
特に、サプライチェーンの乱れや規制変更など、現地特有の突発的な事態に直面した際には、限られた情報のなかでも的確な判断を下す力が試されます。ときには、現場のリアルな情報に基づいて、本社に対して積極的に提案や意見具申を行う姿勢も求められます。
自律的に動き、責任をもって成果を出せる方は、現地チームや本社双方から信頼を得やすく、組織全体の成長にも貢献できるでしょう。
海外で働きたい意志がありストレス耐性が高い
海外勤務の際は、言葉の壁、文化の違い、日本とは異なる生活環境、家族との離別など、さまざまなストレスにさらされることを覚悟しなければなりません。そのため、単なる海外への憧れだけでなく、「なぜ海外で働きたいのか」という明確かつ強い意志をもつことが大切です。意志の強さは長期的な成果にも直結します。途中で気持ちが揺らぐことなく、目標達成までやり抜く意志は、現地プロジェクトや新規拠点立ち上げといった難易度の高いミッションにおいて不可欠です。
また、環境の変化や予期せぬ困難にも動じず、心身の健康を維持しながら常に高いパフォーマンスを発揮し続けられるストレス耐性も、同様に重要な資質です。現地では言語や文化の壁だけでなく、時差や通信環境の制約、家族帯同の難しさなど、精神的な負荷が連続してかかることもあります。ストレス耐性が高い方は、日本のビジネス環境とは大きく異なる状況下でも業務パフォーマンスを維持できるでしょう。
日系グローバル企業の転職事例
本章では、JACが提供する転職支援サービスを利用して、日系グローバル企業への転職を成功させた事例を紹介します。
日系グローバル企業の商品企画職に転職した事例
Fさん(40代後半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 鉄鋼メーカー | 研究開発 | 1,500万円 |
| 転職後 | 自動車メーカー | 商品企画・商品開発(技術系) | 1,550万円 |
Fさんは、長年にわたり鉄鋼メーカーで自動車向け鋼板の研究開発に従事し、多くの製品開発で中心的な役割を担ってきました。研究成果は業界内で高く評価され、学会での受賞や特許取得など数多くの実績を残しています。加えて、研究チームのリーダーとしてマネジメント経験も積み、国内外の幅広いプロジェクトをけん引してこられました。一方で、従来の技術領域にとどまらず、より大きなスケールで事業全体に影響を与える役割を担いたいという意欲が高まり、異業種への転職を決意されました。
JACのコンサルタントは、Fさんの高い専門性と研究開発での実績を理解したうえで、その専門性とチャレンジ精神が最大限に生かせる自動車メーカーの商品企画・商品開発ポジションをご提案。その結果、Fさんは素材研究から一歩踏み出し、事業企画・商品開発の領域で新しいキャリアをスタートさせることとなりました。
今回の事例は、専門分野における深い知見を武器に、異業界で新たな活躍の場を見出した好例といえます。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
日系グローバル企業の品質管理職に転職した事例
Tさん(50代前半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 総合電機メーカー | センサ開発 | 900万円 |
| 転職後 | 電子部品メーカー | 品質管理・品質保証(技術系) | 1,200万円 |
入社以来、一貫して特定の電子部品の開発と量産化に携わってきたTさんは、製品のコンセプト設計から量産化まで、幅広い技術とスキルを身につけられました。特に、業界内で複数の技術方式に関する深い経験を持っていたため、周囲からも高く評価されている方でした。一方で、Tさんは自身の経験をより幅広く生かし、新しい分野でのキャリア形成を志向したことから、転職活動を開始されました。
JACのコンサルタントは、Tさんの長年にわたる開発経験と、特定の技術分野に関する深い理解、そして関連資格の保持という高い専門性に着目。電子部品メーカーの品質管理・保証に関するポジションをご提案しました。
転職後のTさんは、その専門性を活かし、製品や開発プロセスの規格適合性の評価を担うほか、組織全体の品質管理・品質保証の向上に貢献しています。
今回の転職でTさんは、これまでの開発経験と高度な専門性が高く評価され、キャリアアップと年収の大幅な向上を実現されました。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
日系グローバル企業でITプロジェクトマネジャーへ転職した事例
Kさん(30代前半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | コンサルティング業界 | テクノロジー戦略コンサルタント | 950万円 |
| 転職後 | 総合電機メーカー | IT系プロジェクトマネジャー | 1,000万円 |
Kさんは、製造セクターを中心にサイバーセキュリティ関連のプロジェクトや基幹システム導入プロジェクトでPMO業務を主導するなど、テクノロジー戦略コンサルタントとして高い専門性とプロジェクト推進力を培ってこられました。多様な案件を経験する中で、特定の領域で専門性を深めたいというキャリアビジョンを描くようになり、転職を決意されました。
JACのコンサルタントは、Kさんが培ってこられたプロジェクトマネジメント能力とグローバルコミュニケーション力に着目。幅広い案件経験を「多様な視点から課題を捉えられる強み」として整理し、総合電機メーカーのIT系プロジェクトマネージャーポジションをご提案しました。
転職後のKさんはこれまでの経験を生かしつつ、グローバルな舞台でご自身の専門性を深め、さらなる成長を目指す道を歩まれています。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
日系グローバル企業への転職なら、JAC Recruitment
日系グローバル企業は、日本企業としての経営基盤と海外拠点や取引先との国際的なビジネス展開を両立させる独自の環境と文化が根づいています。
そのため、求められる人物像や採用要件は、通常の日系企業や外資系企業とも異なり、国際的な感覚とグローバルなビジネス環境への適応力を兼ね備えていることが必須となります。
加えて、海外市場の変化や各国の規制に迅速に対応できる柔軟性も評価の対象となります。こうした背景から、日系グローバル企業への転職を成功させるには、各社の事業戦略や海外拠点の役割、組織文化を深く理解した転職エージェントのサポートが不可欠です。
その点、JACには、日系グローバル企業の最新の採用ニーズやポジション要件を熟知したコンサルタントが在籍しています。一人ひとりのキャリアや希望を丁寧にヒアリングし、海外業務経験や異文化理解力、語学スキルなどの強みを的確に評価したうえで最適なキャリアを提案します。さらに、海外駐在ポストや国際プロジェクト責任者といった一般には出回らない非公開求人も取り扱っているため、新たなキャリアの可能性に出会える可能性も期待できるでしょう。
日系グローバル企業への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

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海外転職ならJAC Recruitment
JAC Recruitmentは、世界11ヵ国、33拠点に広がるネットワークを活用した海外転職サポートには多数の実績があります。 海外転職/海外勤務の求人一覧 海外勤務の求人情報を探す 年収1000万円以上の海外勤務… 続きを読む 海外転職ならJAC Recruitment



