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DX・IoTで“生活文化”を変える。TOTOが描く水まわり空間の未来

TOTO株式会社

※このインタビューは2026年8月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。 下釜 佑介氏
TOTO株式会社 もの創り技術グループ エレクトロニクス技術本部 DX企画開発部門 技術主幹 下釜 佑介 氏

TOTO株式会社では、中・長期経営計画「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」において、「きれいと快適・健康」を3つの重要課題の一つに位置づけています。トイレ・浴室・洗面・キッチンと、TOTOが扱う水まわり空間・製品は誰もが毎日使うものだからこそ、日々快適に使いながら体調変化にも気付けるなど、新たな価値・体験の創造を目指しています。

研究開発を加速させるにあたり、DX企画開発部門では「IoTシステム開発エンジニア(水まわりDX・自社クラウド基盤)」を中心とした採用を強化中。企画開発部門をリードする下釜佑介氏に、「TOTOのDXとは」をはじめ、IoT製品展開の構想、開発の流れ、お仕事や風土の魅力、活躍できる人物像などについてお話を伺いました。

「生活の必需設備」を超え、「生活文化を向上させる空間」の創造へ

―― まず、TOTOにおける「DX」とはどのようなものかをお聞かせください。

大きくは「守り」と「攻め」があります。「守り」のDXとしては、業務改善への活用が挙げられます。例えば、衛生陶器の製造では、1製品あたり約500項目のデータを可視化・解析し、品質の安定と歩留まり向上を実現しています。これまで衛生陶器の調製、成形、施釉、焼成といった工程は、熟練技術者の経験や勘に支えられてきました。製造DXを推進することで、技能の伝承と同時に、業務の効率化、品質の均一化を図っています。

一方、私たちの部署が取り組むのが「攻め」のDXであり、お客さまに対する「価値創出」です。DXやIoTの技術によって、お客さまに貢献できる可能性が広がっているため、これらを活用した製品やサービスの開発・保守を担っています。

TOTO初のIoTシステムとして2020年に発売したのが、システムバスルームで使用する「つながる快適セット」です。浴槽の掃除・暖房・お湯はりなどの入浴準備を、家の中からでも外出先からでも、スマートフォンの専用アプリで簡単に操作できるものです。そして、この商品リリース以降も、組織体制を構築しながら、キャリア採用や協力企業との連携、人材育成を進めてきました。

TOTOでは、中・長期経営計画「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」において、「きれいと快適・健康」を重要課題の一つに掲げています。「健康」に関する具体的な活動としては、「デイリーウェルネス」というコンセプトのもと、お客さまが無理なく続けられる健康習慣を提案できる商品の研究開発を行っています。2025年には「ネオレストLS-W/AS-W」を発売し、ウォシュレットに内蔵した便スキャンセンサーで便を計測し、「TOTOウェルネス」アプリを通じて生活習慣の気付きとなる情報を提供しています。
こうした企画開発の取り組みを、これからさらに加速させていきます。

―― 今後、DXやIoTを活用した製品として、どのような展開を構想されているのでしょうか。

今後は、『デイリーウェルネス』領域での価値創造をさらに加速させていきたいと考えています。
その大きな手応えとなったのが、2025年8月に発売した『便スキャン』機能を備えた『ネオレスト LS-W』です。おかげさまで、生活者の皆さんの投票で選ばれる『家電大賞2025-2026』にて、トイレ商品として史上初となる総合グランプリとスマートウェルネス家電部門金賞をダブル受賞することができました。寄せていただいた熱い期待や大きな反響は、本当に私たちの大きな励みになっています。

お客さまに普段通りトイレを使っていただくだけで便の状態を記録し、アプリで食事や運動のアドバイスをお届けする――この『生活の中で、いつのまにか健康習慣が身につく』という体験は、毎日の暮らしに寄り添う水まわり機器を提供し続けてきたTOTOだからこそ実現できる独自の価値だと思っています。

今後はこの考え方をベースに、浴室やキッチン、洗面空間へと『いつのまにか』データを計測・活用できる技術を広げていきたいと考えています。まだ詳しいことはお話しできないのですが、お客さまに負担をかけず、意識もさせないまま健やかな暮らしをサポートする第二、第三の『デイリーウェルネス』商品を、より幅広い方々へお届けできるよう、まさに今、準備を進めているところです。
そうした展開の中で重要になってくるのが、ソフトウェアの力です。 お客さまの生活において、トイレ、浴室、洗面、キッチンの使い方は本当に人それぞれです。DXやIoTを活用した製品では、お客さまお一人おひとりの日常の動線からデータを取得することができます。このデータを活用することで、水まわり機器を単なる『日常生活の必需設備』にとどめず、それぞれの暮らしに寄り添った新たな価値を生み出せると考えています。

さらにIoT技術の強みは、製品をお届けした後も、ネットワークを通じてソフトウェアを更新できる点にあります。これにより、生活スタイルの変化に合わせて機能をアップデートするなど、価値創出の可能性は無限に広がります。これからも、お一人おひとりのお客さまの毎日にそっと寄り添い、より豊かな生活文化を創造していきます。そのために枠にとらわれない挑戦を続け、次の時代の当たり前を切り拓いていきたいです。

―― 開発はどのような流れで進めているのでしょうか。

大きく分けると、商品事業部との企画・深掘り、 PoC(概念実証)、実証システムの構築 という流れで進めています。
私たちエレクトロニクス技術本部は、エレクトロニクスやIoT、システム開発の技術で組織を横断して支える立場です。そのため開発は、商品軸でものづくりを行う各商品事業部から『こんな価値を実現したい』と相談を受けるところから始まることが多いです。

相談を受けて、技術的な実現性だけを考えるのではなく、『IoTの力でどう形にできるか』『他に方法はないか』『さらに価値を最大化できないか』等を商品事業部の担当者と一緒になって徹底的に考え抜きます。そうして具体的な価値創出や事業化への道筋が立ったら、PoC(概念実証)に進みます。
その後は協力企業とも連携し、実際のスマホアプリやクラウドシステム、試作製品を作り上げて検証を進め、商品事業部へ結果を共有する、という流れです。

強いこだわりと団結力で、「人の手に触れる製品」の価値向上を追求

―― このお仕事のやりがいや面白みを、どのように感じていますか。

まず、日常生活で必ず使われるものをより良いものに進化させていけることです。これは私がTOTOに転職した理由の一つです。私は新卒で入社した大手家電メーカーに約10年間勤務し、BtoBのお客さま向けのソフトウェア開発を手掛けていました。その中で、BtoCのお客さまが実際に触れる製品に携わりたいという思いが強くなったのです。

TOTOのトイレや浴室・洗面・キッチン関連の製品は、私自身も使っている、お客さまの日常に欠かせない製品です。ソフトウェア開発の経験を活かして社会に貢献できるこの仕事に、とてもやりがいを感じています。

また、業務の進め方の面でも魅力があります。前職では自分で要求仕様を固めて開発を進めることが主流でした。一方、現在は先ほどお話したように、商品事業部との『共創』からスタートします。商品事業部の『叶えたい価値』に対し、ソフトウェアの観点からアイデアを出し合い、対話を重ねながら方向性を探っていく。構想段階から深く関わり、より良い方法を考えられることが、この仕事の楽しさであり、魅力だと思います。

―― 風土の魅力についてもお聞かせください。

私がTOTOに入社して最初に担当したのは、ウォシュレットのソフトウェアのプログラミングです。その際、商品事業部のメンバーと話す中で、技術に対する強いこだわりを感じました。

入社前、NHKの番組『プロジェクトX』で、TOTOの開発者がウォシュレットのノズルから噴き出す温水の角度を繰り返し調整し、最適な「後方43度」を導き出したエピソードを見ていました。入社後、実際に「ネオレストNX」の開発工程に触れ、「こだわりがとてつもないな」と、あらためて実感しました。開発工程では、デザイン側とものづくり側で意見がぶつかることもあります。それでも、目指す方向は同じ。互いに妥協せず議論するからこそ、「ネオレストNX」のような製品が生み出されるのだと思います。

また、社員同士のつながりの強さも感じています。私はキャリア入社なので「同期」はいませんが、同じ時期にキャリア入社したメンバーとつながっています。趣味の集まりや勉強会などを通じたコミュニケーションや情報共有も活発です。

全社イベントでも、社員の団結力を感じます。例えば、本社をはじめ、いくつかの拠点では「TOTO夏祭り」を開催しているのですが、そこでは露店の企画や運営に熱が入ります。私の部ではフランクフルトやおもちゃなどの露店を企画しましたが、いかに地域住民の方々に楽しんでいただけるかを考え、メンバーが一致団結して取り組むのです。

「共創」のマインドをもつ人を仲間に迎え、一緒に成長したい

―― 現在はどのような組織体制でしょうか。これから組織を増強していくにあたり、どのような方が活躍できるとお考えですか。

部全体では約40名が在籍しており、「企画開発」「ハード開発」「UI(デザイン)」「UX(体験価値)」「アプリ開発」の5つのグループで構成されています。その中で企画開発グループは7名体制です。メンバーの年齢層は20代から50代まで幅広く、うち3名がソフトウェア開発経験を持つキャリア入社者です。私自身も大学で機械工学、大学院でメカトロニクス(ハードウェアとソフトウェアの融合領域)を学び、その知見を開発に生かしています。

私たちが手がけるDX・IoT領域は、水まわり製品という「物理的なハードウェア」や「センシング技術」から、取得したデータを扱う「クラウド基盤」「スマホアプリ」、さらには「データ解析・ヘルスケアサービス連携」に至るまで、極めて広範囲かつ高度な専門性が求められます。そのため、これから仲間に加わっていただく方には、ソフトウェア開発におけるV字モデル(要件定義・設計・コーディング・テスト・運用保守)のいずれかの工程に携わった経験があると良いと思っております。自ら手を動かして開発していただくことはもちろん、高度な専門領域においては協力企業と手を取り合って進めるケースも多いため、円滑に連携する上でも、ソフトウェア開発の経験は欠かせない要素です。

そして、技術的スキルと並んで、あるいはそれ以上に不可欠なのが「コミュニケーション力」と「柔軟性」です。たとえば、商品事業部から「こういう機能は実現できるか」と相談を受けた際、技術的な制約だけを見て即座に「ソフトウェアでは難しい」と判断するのではなく、相手の狙いや背景を汲み取り、「別の方法で実現できないか」と寄り添って代替案を模索できる姿勢が大切だと思っています。

このように、社内外の様々な関係者の間に立ち、「技術」と「人の思い」を繋ぎながら主体的にプロジェクトを動かしていける方であれば、間違いなく大きなやりがいを感じて活躍していただけるはずです。

―― これから仲間に加わる方に、メッセージをお願いします。

新たに加わってくださる方に対しては、「共に挑む仲間」というイメージで捉えています。私たちが持っていないスキルやノウハウを備えた方、また、異なる人生観をお持ちの方もいるでしょう。それぞれの知見や経験を生かしながら、一緒に成長していきたいと思っています。

その成長の先にいるのは「お客さま」です。TOTOが大切にしている「豊かで快適な生活文化を創造する」「期待以上の満足を追求する」という理念を、私たち一人ひとりが役割を果たすことで実現したい。その思いやビジョンに共感し、一緒に挑戦してくださる方に加わっていただけたら嬉しいです。

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