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変化を「つくる側」へ。BCG Xで描く、AI時代の変革とキャリア

ボストン コンサルティング グループ

※このインタビューは2026年9月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
ボストン コンサルティング グループ
ボストン コンサルティング グループ
Managing Director & Senior Partner、BCG X 北東アジア地区リーダー 平井 陽一朗 氏

三菱商事株式会社を経て2000年にBCGに入社。その後、ウォルト・ディズニー・ジャパン、オリコンCOO(最高執行責任者)、ザッパラス社長兼CEO(最高経営責任者)を経て、2012年にBCGに再入社。キャリアを通し一貫して事業開発に携わり、特にデジタルを活用した新規事業立ち上げやイノベーションの創出を多く主導。BCGデジタルベンチャーズ東京センター(現BCG X)の創設をリードし、現在はBCG X北東アジア地区のリーダーを務める。


世界を代表する経営戦略コンサルティングファーム、ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)。その中で「データ・アナリティクス、テクノロジーとデジタル、デザインの専門家集団」として位置付けられるのが「BCG X」です。BCGがもつ産業と経営機能の両面の深い専門知識と、先進的なテクノロジーの知識、起業家精神を組み合わせ、クライアント企業が抜本的に自社を変革したり、新規事業を立ち上げたり、イノベーションを実現できるよう支援しています。

BCG X 北東アジア地区リーダーの平井 陽一朗氏に、AIが企業にもたらす変化や可能性、BCG Xならではの強みや提供価値、そして変化を「つくる側」として働く魅力について伺いました。

BCGを出て複数の事業会社を経営し、再びBCGへ

―― 平井さんは事業会社を経てBCGに入社し、その後、複数企業の経営を担った後、再びBCGに戻られています。これまで、どのような思いでキャリアを選択してこられたのでしょうか。

新卒入社したのは総合商社です。自由に挑戦できるチームだったため、1年目から自ら新規ビジネスを起案し、ジョイントベンチャーの設立にも携わりました。「社長代行」のような立場で事業を主導し、「ビジネスプロデュースは面白い」と思ったことが、今につながる原点になっています。

その後、新たな挑戦を求めてBCGに転じました。入社した当初は、それまでとまったく異なるカルチャーに戸惑いましたが、そこで飛躍のきっかけとなったのが、出向先の事業会社での経験です。
当時登場したばかりの携帯インターネットサービスに出会い、その海外展開などを主導したことで、事業を「ゼロから動かす」経験と「戦略的に考える」経験を同時に積むことができました。

その経験を通じて、「自らが当事者として事業を動かしたい」という思いがより一層強くなり、事業会社に転じて事業開発に携わり、COOやCEOを歴任しました。その過程では、BCGで培った戦略的な視点やネットワークを生かして新規取引を広げ、事業成長や資金調達を実現しました。BCGでの経験が、その後の事業経営そのものを支える力になっていたのです。 事業会社での経験に一区切りがついたころ、複数企業から声をかけていただいていました。しかし、「何をやるか」よりも「誰と働くか」という視点で考えたとき、BCGには、優秀さと人間的な魅力を兼ね備えた人たちがいる。そして振り返ってみれば、BCGは自分が最も成長できた環境でもありました。再び迎え入れてくれるときの対応も大変温かく、数年ぶりに戻る決意ができたのです。

AIで、人と企業が持つ力を拡張する

―― 「BCG X」の成り立ちを教えてください。

私がBCGに戻った2年後、2014年にアメリカで「BCG Digital Ventures」が設立されました。デジタル技術を活用した新規事業を生み出すことを目的とし、構想から立ち上げ・育成までを一貫して手がける組織です。私は、BCG Digital Venturesの日本での立ち上げを担い、2016年に小さなチームでスタートしました。恵比寿にガレージのようなオフィスを借り、ベンチャースピリットをもって事業づくりに取り組みました。その後チームは徐々に拡大し、大手企業とのジョイントベンチャーも複数生み出しました。

生成AIが普及する直前の2022年、BCGは、デジタル・テクノロジー・データアナリティクス領域の専門性や機能を結集し、「BCG X」を立ち上げました。これにより、事業の構想からAI・データ活用、システム開発、事業化までを、より一貫して支援できる体制となりました。

その直後から生成AIが急速に普及し、今ではAIエージェントの活用も進んでいます。BCG Xの立ち上げが半年でも遅れていたら、今の姿はなかったかもしれません。今では、私自身を含め、メンバーの仕事の多くがAIに関わるものになっています。クライアントの変化を間近で感じる中で、「AX(AIトランスフォーメーション)」の面白さを実感しています。

―― AXへの取り組みの、どのような点に面白みを感じていますか。

BCGでは、AIによる価値創出を「Deploy/Reshape/Invent(DRI)」の3つに整理しています。Deploy(デプロイ)はAIを導入して日々の業務の生産性を高めること、Reshape(リシェイプ)はAIを活用して仕事の進め方や組織の中核機能を抜本的につくり直すこと、Invent(インベント)は、AIを活用して新たな商品・サービスや収益源、事業モデルを生み出すことです。

Reshapeの価値は、AIによって人を定型的な仕事から解放し、本来、人にしかできない仕事により多くの時間を使えるようにすることにあると考えています。例えば営業活動では、書類作成や調整に費やしてきた時間を減らせれば、その分、顧客との対話に使えるようになります。運輸業界であれば、遅延が生じた際の影響や損失をAIが分析し、適切な対応を即座に判断できるようになる。AIによる生産性向上は、決して「人がいらなくなる」という話ではありません。一人ひとりが、より価値のある仕事に時間を使えるようになる。AIは人に自由を与えてくれるものだと思っています。

ただ、AIによって仕事を効率化するだけでは、企業としての競争優位にはつながりにくい。そこで重要になるのが「Invent」です。業務の効率化自体は、いずれ多くの企業が同じように実現できるようになるでしょう。その先で差別化を生み出すには、AIを使ってその企業ならではの新しい価値を生み出す必要があります。

インベントによる差別化の源泉は、大きく二つあります。一つ目は、「その会社がもともともっている強み」です。重要なのはAIを使うこと自体ではなく、自社の強みをAIでどう拡張するか。そしてAIを導入した先に何を実現したいのか。「戦略」の原点に立ち返ってしっかり議論することが、今まさに求められていると思います。

日本企業の強みの一つは、現場やミドル層にあると思います。優秀なミドル層がAIを使いこなせるようになれば、組織のあちこちから、次々と新しい事業やアイデアが生まれるかもしれません。AIは、人を置き換えるためだけのものではなく、人や企業がもともと持っている力を拡張するためのものです。そこに大きな可能性を感じています。

もう一つの差別化の源泉が「データ」です。データをつくったり集めたりするために新規事業を始めたり、ビジネスモデルやエコシステムを組み直すケースもあれば、すでに多くのデータをもっている会社もあります。その企業ならではのデータをどう価値につなげるかを考え、実行していきます。

―― AI活用に取り組む企業の課題をどのように捉えていますか。その解決に向け、BCG Xが提供できる価値、発揮できる強みもお聞かせください。

AI活用においてまず重要なのは、「AIを導入すること」そのものを目的にしないことです。何のためにAIを使うのか。効率化によって生まれた時間や人の力を、どこに振り向けるのか。そこまで含めた戦略を描く必要があります。
一方で、実行に移すにはさまざまな壁があります。AI導入を主導する専門人材や組織全体のAIリテラシーが十分でない企業も少なくありません。また、AI利用に伴うリスクやサイバーセキュリティへの懸念から、自由な活用とガバナンスの両立、既存IT環境との接続など、乗り越えるべき課題は多岐にわたります。

そうした課題に対して、戦略を描くだけで終わらず、「つくる」ところまで一緒に取り組めることが、BCG Xの大きな特徴です。データサイエンティストやAIエンジニアなど、ものをつくれる専門家が、コンサルタントと肩を並べて仕事をしています。構想を形にし、試しながら改善していくところまで、一つのチームとして取り組むことができます。もう一つの強みは、特定の技術やベンダーにとらわれず、ニュートラルな立場で支援できることです。私たち自身が技術を理解しているからこそ、クライアントの課題や目指す姿を起点に、最適なアプローチを考えることができます。

加えて、その根底にあるのがBCGに根付いているマインドセットだと思っています。BCGには、強い「利他の精神」があります。クライアントが本当に実現したいことは何かを考え、その実現に向けて徹底的に向き合う姿勢です。

コンサルティング会社にとっては、クライアントとの取引が長く続くほうが、収益は安定するかもしれません。しかし私たちは、クライアントがいつまでも私たちに依存する状態をつくりたいわけではありません。必要な知見や機能をクライアントの中に根付かせ、最終的には自分たちで前に進めるようにする。そうした利他の精神が、BCGの創業来のDNAとして今も受け継がれている。そこがBCGの強さだと、私は信じています。

変化を「プロデュースする側」に立つ

―― BCG Xで働くことの魅力や価値はどこにあるとお考えですか。

BCG Xに中途入社する方々がよく語るのは、「一つの事業にとどまらず、さまざまな大きな変革に関わりたい」ということです。もう一つは「世界の最先端に近いところで仕事をしたい」という思いです。AIの世界では、技術もビジネスも驚くほどのスピードで変化しています。AI・テクノロジーの最先端を走る企業の多くはグローバルに事業を展開しています。BCGもグローバルに展開しているからこそ、こうした企業とパートナーシップを築き、世界の最先端の知見に触れながら仕事ができます。
ただ、最先端の技術に触れられることだけがBCG Xで働く価値ではありません。本質的なのは、それを「使う側」ではなく、自ら変化を「つくる側」に立てることです。

インベントに携わる方法はいろいろありますが、BCG Xの特徴は、クライアントと一緒に「何が課題で」「何を変えるのか」を考えるところから、実際に手を動かして形にするところまで、一貫して伴走できる点にあります。戦略を描いて終わりにせず、プロトタイプをつくり、試し、磨き上げる。そこまで伴走できることに大きな魅力があると感じています。

また、BCG Xでは、若いうちから大きな役割を担う機会があります。年次にかかわらず、クライアント企業の経営層と直接議論し、自ら考えたものを形にしていく。若いうちからこうした経験を重ねられることは、その人自身の成長にもつながるはずです。若手エンジニアやデータサイエンティストが自分でつくったデモを大企業の社長に直接プレゼンする。こうした経験ができる環境は、そう多くはないでしょう。

私はメンバーたちにいつも「生き急げ」と言っています。世の中の変化がこれだけ速い時代ですから、ビジネスを志すなら、挑戦するのは早ければ早いほどいい。自分が成長できる環境に身を置き、そこで新しいことに挑み続けてほしいですね。

―― BCGで活躍できるのは、どのような人でしょうか。これから仲間になる方にメッセージをお願いします。

大切なのは、自分の「WILL」があり、そこに向かって自ら進化していける人であることです。自分のコンフォートゾーンにとどまるのではなく、「いわれたことを100%やればいい」と考える人ではなく、「自分はこうしたい。そのためには何をすればいいのか」と考え、自ら行動を起こせる人。そして、新しい挑戦や変化そのものを楽しめる人がBCGには合っていると感じます。

転職についても、主体はあくまで自分です。私自身、これまでさまざまな会社を経験して、今はBCGにいますが、「BCGにいる」こと自体を目的にしているわけではありません。大切なのは、「自分がどうあれば一番ゴキゲンでいられるか」だけだと考えています。
あなたのWILLを起点に、会社や部署の垣根に縛られず、進化し続ける。BCGのメンバーに限らず、志のある世の中の人全てがそうしたマインドセットを持ち続けていくことが大事だと思っています
。

AIの進化によって、一人でもかなり多くのことができる時代になりました。だからこそ会社に所属する意味は、一人では実現できないことに挑戦でき、自分の能力や可能性をさらに広げられることにあるのではないでしょうか。
「どこにいれば、自分が本当にやりたいことに挑戦できるのか」という視点で、環境を選んでほしい。会社ではなく、あくまで自分を主語にして、自分のWILLに向かって進んでほしいと思います。

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