航空業界の転職事情|特徴や転職に役立つ資格を解説

  1. 転職マーケット×サービス/物流/商社

公開日:2025/06/06 / 最終更新日: 2025/06/06

華やかなイメージをもつ航空業界は、転職先として人気の高い業界です。しかしながら、専門的な知識を求められる職種も多いため、航空業界への転職は難しいのではと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、航空業界にはさまざまな職種がありますが、中には人員が不足している職種もあり、未経験の方も積極的に採用しているケースがあります。

今回は、航空業界の現状や職種、航空業界への転職を目指す際に役立つ資格などについて説明いたします。

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航空業界の3つの種類


航空業界は、旅客や貨物を運ぶ業界であり、運輸業に該当します。航空業界は大きく分けると「航空運航会社」「航空機整備会社」「空港地上会社」の3つに区分できます。

航空運航会社

航空運航会社は、航空機を使い、旅客や貨物を輸送する役割を担います。航空運航会社は、FSCとMCC、LCCの3つの種類に分けられます。

FSC(フルサービスキャリア)は、従来のように複数の座席クラスを用意し、機内食など各種サービスを無料で提供する航空会社のことです。日本ではANAやJALがFSCに該当します。また、LCC(ローコストキャリア)は、低価格でシンプルなサービスを提供する航空会社です。機内サービスを有料化するなどし、航空料金の低減を図っています。MCC(ミドルコストキャリア)は、FSCとLCCの中間にあたる航空会社で、価格を抑えながら一定のサービスを提供しています。

近年では、FSCもグループ内にLCCをもち、LCC事業に力を入れるケースなどが見られます。

航空機整備会社

機体の整備やエンジンの整備、点検などを行い、安全な運航を支える役割を担う業種です。装備品の整備にあたっては、修理やオーバーホールなども担当します。

航空機の整備会社には、航空会社の関連会社や航空機メーカーの関連会社、独立系の整備会社があります。

空港地上会社

空港での離着陸をサポートするさまざまな業務を担います。搭乗手続きや手荷物検査などのサポート、手荷物や貨物の搭載や荷下ろし、搭乗口と航空機をつなぐ作業、機体の洗浄、航空機の誘導、航空機の移動作業など幅広い業務があります。また、機内食の積み込みや機内サービス品の準備など、安全で快適な運航をサポートする役割も担っています。

航空業界に関連する業種


航空業界とは、一般的に航空運航会社、航空機整備会社、空港地上会社の3つを指しますが、ほかにも航空運航に関連する業種があります。航空業界への転職を考える場合、転職の目的にはよるものの、次のような関連業種への転職も視野に入れると選択肢を広げることができるでしょう。

・航空機の開発や部品の製造を行うメーカー

・旅行会社

・チケットの予約を行う会社

・航空通信機器や情報システムの開発や運用を行う会社

・空港施設の保守点検などを行う会社

また、滑走路や航空機の監視をしたり、航空機に離着陸の許可を出す航空管制官の仕事もありますが、航空管制官は国家公務員です。航空管制官を目指す場合には、採用試験に合格後、航空保安大学校での研修を受ける必要があります。

航空業界の現状と課題


新型コロナウイルスの世界的な流行に伴った行動制限により、人の動きが停止し、航空業界は大きな打撃を受けました。しかし、行動制限が解除された現在は、人の往来が回復しています。

特に外国人観光客の数は増加を続けており、日本政府観光局のデータによると、2024年の訪日外国人旅行者の数は過去最高となる3,687万人を記録しました。円安の影響もあり、出国日本人数はまだコロナ前ほど回復はしていないものの、訪日外国人旅行者数と日本人出国数を合わせると、ほぼコロナ前と同水準にまで人の往来は回復しています。これにともない、日本を代表する大手航空会社2社の2024年度の業績は、過去最高の売り上げ高を更新するなど、航空業界の業績は好調に推移しています。

業績回復が進む一方で、航空業界には課題もあります。航空業界では価格競争が激化しており、経営効率の改善が求められているのです。また、CO2削減に向けた取り組みも必須となり、新たな技術や低燃費材料の導入などが進められています。

AIの活用は、経営効率の改善やCO2の低減につながる適切な運行管理を可能にします。また、自動運転システムや気象情報の予測など、安全性の向上のためにもDXの推進が喫緊の課題となっています。そのほか、後述するパイロット不足の解消も航空業界の大きな課題です。

航空業界の主な職種と転職の可能性


航空業界には主に次のような職種があります。転職を検討する際には、それぞれの業務内容や転職の可能性について確認しておく必要があるでしょう。

パイロット

航空機の操縦士です。地上の航空管制官との通信をしながら、航空機を操縦し、安全な運航を行います。また、出発前の飛行プランの立案や到着後にディスパッチャーへ気象状態を伝達するといった役割も担います。

国内のパイロットの数は、2023年時点で約7,000人です。しかし、パイロットの4割が50代以上であり、近い将来、パイロット不足が生じる恐れが出ています。
パイロットになるには、航空大学校に入学するか、大学卒業後に航空会社に入社して自社養成パイロットになるという方法を選ぶことが一般的です。パイロット不足解消のため、国交省では旅客機のパイロットの年齢制限を引き上げ、航空大学校の定員を増やすといった対策を行っています。また、自社内での養成が難しいLCCの中には、海外と日本におけるパイロット養成訓練をサポートする制度を導入し、パイロットの育成に乗り出す企業も出始めています。

客室乗務員

キャビンアテンダントとも呼ばれる客室乗務員は、機内サービスの提供や保安活動を行い、安全で快適なフライトを提供する役割を担います。客室乗務員への転職を希望する場合、英語力は必須になると考えた方がよいでしょう。また、乗客や乗務員と良好な関係性を築けるコミュニケーション能力も求められます。

客室乗務員への転職は難しいイメージがあるものの、航空会社によっては未経験でも応募が可能なケースがあります。

グランドスタッフ

グランドスタッフは、搭乗手続きのサポートや預け入れ荷物の対応、搭乗ゲート前での出発案内、到着客への乗り継ぎ便の案内、手荷物の返却対応など、空港で利用者をサポートする仕事です。国際線のグランドスタッフを希望する場合には、英語力が求められます。グランドスタッフは、中途採用の募集も多く、航空業界の中では比較的転職しやすい職種だといえるでしょう。

航空整備士

航空機の整備や点検を行い、安全な運航を支える専門職です。航空整備士として就業するためには、国家資格の取得が必要になります。航空専門学校に入学し、知識とスキルを習得する方法のほか、理工系学部で学んだ後、航空会社や航空整備会社に入社し、資格取得を目指すパターンがあります。

資格が必要な職種ですが、何らかの整備経験があれば応募できる求人も見られます。そのような求人の場合、実行可能な業務を担当し、実務経験を積みながら資格取得を目指せるため、業界未経験であっても転職が可能です。

航空機運航管理者(ディスパッチャー)

安全かつ効率のよい飛行コースや高度を決定し、飛行計画を作成する職種です。また、運行中もモニターで運行状況をチェックし、機長を支援します。

航空機運航管理者になるには、運行管理者技能検定の国家試験の合格が必要です。しかしながら、数は少ないものの、転職によってディスパッチャーの職に就いている人もいます。

グランドハンドリング

航空機が空港に到着後、出発までの間に地上で支援作業をする業務です。給油や機内清掃、機内食の搭載、手荷物の預かり、引渡し、貨物の積み込み、取り卸し、搬送など幅広い業務に携わります。現在、グランドハンドリング職の不足に悩む企業が多く、求人数が増加しているため、比較的転職しやすい職種だといえるでしょう。

航空業界の求人動向


コロナ禍においては低調だった航空業界の求人活動も業績の回復にともない、採用が活発化しています。特に、グランドスタッフやグランドハンドリングの求人が増加傾向にあります。グランドスタッフやグランドハンドリングの仕事は、空港内での業務となるため、東京や大阪だけでなく、地方空港での募集も多く、未経験者を歓迎する求人が多い点も特徴です。

また、航空整備士の求人では、貨物専門の航空機の整備や航空測量に使用する自社航空機の整備、航空機装備品の整備などに関わる求人が見られます。そのほか、航空システムのマニュアル整備や安全な運航を実現するためのデータ解析、航空機のエンジン開発、航空機ビジネスに関する営業などの求人もあります。

航空業界の平均年収


ご紹介してきたように航空業界には、さまざまな職種があり、職種によって年収は大きく変わる傾向にあります。また、企業規模によっても平均年収は変わってきます。

航空業界で最も高年収が期待できるのはパイロットです。大手航空会社のパイロットの平均年収は2,500万円程度となりますが、LCCのパイロットの年収は1,400~1,500万円程度です。

また、客室乗務員の平均年収は、約600万円です。ただし、LCCの客室乗務員の平均年収は380万円前後となっており、勤務する企業の規模や勤続年数、役職などによっても変わってくると考えられます。

そのほか、航空整備士の平均年収は約600万円、グランドハンドリング職の平均年収は約430万円、グランドスタッフの平均年収は500万円程度とされています。

航空業界の転職時に役立つ資格


航空業界への転職を希望する場合、次のような資格があると転職に優位に働く可能性があります。

TOEIC

国際線のパイロットやキャビンアテンダント、グランドスタッフなどには英語力が必須です。また、グランドハンドリング業務や航空整備士の中にも英語の能力を求める求人があるため、TOEICのスコアを取得していると転職時に英語力を証明しやすくなるでしょう。

>> 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会

事業用操縦士、定期運送用操縦士、計器飛行証明

パイロットには、事業用操縦士や定期運送用操縦士などの資格が必要です。資格の取得にあたっては、年齢や飛行経歴の条件を満たし、身体検査にも合格しなければなりません。航空大学校のフライト過程では、事業用操縦士と計器飛行証明の資格を取得できます。パイロットへの転職を目指す場合には、航空大学校への入学も検討した方がよいでしょう。

>> 国土交通省:航空従事者技能証明等申請・学科試験

一等航空整備士、二等航空整備士

航空機の整備士への転職を目指す場合は、一等航空整備士や二等航空整備士の資格が優遇されます。一般的には、航空整備コースのある専門学校や高等専門学校、大学の理工学部で学び、二等航空整備士の資格取得後、整備の実務経験を積んだ後に一等航空整備士の資格を取得します。

>> 国土交通省:航空従事者技能証明等申請・学科試験

航空業界への転職で求められる資質


航空業界にはさまざまな職種があり、職種ごとに求められるスキルや経験は異なりますが、航空業界全体として次のような資質をもつ方を求める傾向があります。

状況に応じた柔軟な対応力

航空機の運航にあたっては、悪天候や機体トラブル、顧客からの要望など、予期せぬ事態が度々発生します。そのためどのような職種においても、その都度、状況変化に合わせて、柔軟に対応できる能力が求められます。

協調性とコミュニケーション能力

航空業界にはさまざまな職種があり、スムーズに業務を進めるためには、社内外のさまざまな関係者と良好な関係を構築する必要があります。従って、安全で快適な運航を実現するという理念のもと、ほかのスタッフと協力し合う協調性や顧客トラブルを解消する高いコミュニケーション能力が求められます。

異文化理解

航空業界では、海外の企業や人と接する機会が多い業種です。そのため、さまざまな文化や慣習をもつ同僚や取引先、顧客と良好な関係性を築くためには、異文化を尊重し、理解する姿勢が求められます。

航空業界への転職を成功させるポイント


航空業界の中には、未経験から応募できる求人もあります。航空業界への転職を成功させるために把握しておきたい3つのポイントをご紹介します。

自分の強みをどのように生かせるのかを具体的にアピールする

新卒採用の場合はポテンシャルを重視した採用が行われますが、転職時にはポテンシャルだけでなく、前職での経験が求められる傾向にあります。たとえ航空業界での実務経験がない場合でも、転職時には前職の経験を入社後にどのように生かせるのか具体的にアピールすることが大切です。

志望理由を明確に伝える

志望動機は、面接時に必ず問われる項目です。志望理由が明確な人ほど、目標もはっきりしているため、入社後の活躍を期待できます。そのため、業界や応募企業の研究を進め、航空業界を志した理由、応募企業を目指した理由を具体的に伝えられるよう準備しておきましょう。

英語力を高める

航空業界では、パイロットや客室乗務員だけでなく、多くの職種において英語力が求められます。実務での使用経験がない場合などは、TOEICなどのスコアで能力を証明できるよう準備を進めることが大切です。

航空業界に関連するJACの最新求人情報


JACでは、グランドハンドリングや航空関連事業の企画などの仕事のほか、空港設備の施行管理などの求人を取り扱っています。また、航空業界に関連する求人も含め、一部の求人をご紹介しますので、航空業界への転職を希望する際には参考にしてください。

● 外資・空港グランドハンドリング事業会社:整備課マネージャー

● 世界最大級のグランドハンドリング事業会社:Duty Manager(各拠点)

● 株式会社JALUX: 航空機部 エアライン・重工向け営業ポジション

● 株式会社JALUX:航空・空港事業本部での航空関連事業企画

● 株式会社日本空港コンサルタンツ:電気電子系施工管理

● リージョナル航空会社:技術系総合職

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年5月最新)

競争率の高い航空業界へ転職するには自己分析が大切


航空業界では、グランドハンドリングのスタッフが不足傾向にあるものの、キャビンアテンダントをはじめ、業界全体として人気が高い職種が多いという特徴があります。競争率の高い航空業界への転職を成功させるためには、自己分析を行い、自分の適性や強みをしっかり把握したうえで、スキルや経験を生かせる職種を目指すことが大切です。

また、航空業界以外にも飛行機や航空産業に関わることはできます。航空業界への転職を希望するものの、方向性に悩む場合などは、選択肢を広げるうえでも転職エージェントへの相談をおすすめします。


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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。