コーポレートガバナンスやコンプライアンスの重要性が高まる中、企業法務の専門性は経営に直結する価値として注目されています。グローバル展開が進む今、法務経験者へのニーズは拡大。40代ハイクラス層の転職市場での可能性を探ります。
そこで本記事では、 JAC Recruitment(以下、JAC)の転職サポート事例をもとに、40代の法務経験者の転職状況、平均年収、求められるスキル、経験などについて解説します。
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法務40代の現状と転職動向
JACの取り扱い求人や転職サポート事例などをもとに、法務の転職市場の動向からご説明します。
法務職の求人は増加傾向が続いている
法務職の求人は、年々増加しており、現在も企業規模を問わず、活発な採用が行われている状況です。従来、法務部門は大手企業に設置されているケースがほとんどであり、法務職のニーズも大手企業に集中していました。
しかし、近年では、コンプライアンス重視の姿勢が強まっていることやグローバルビジネスを展開する企業が増えています。そのため、企業規模に関わらず法務職を積極的の募集するケースが増加しています。
また、内部統制の推進のため、特にIPOを視野に入れている企業での法務経験者の募集事例が目立ちます。
EMC業界での法務職ニーズの高まりが顕著
JACの取り扱い求人を見ると、EMC業界での法務職の募集が最も多くなっています。また、IT・通信業界、コンサルティング・シンクタンク、メディカル・バイオ業界での募集も増加中です。
EMC業界での法務職の募集が増加している背景には、積極的な海外進出が関係していると推測できます。グローバルビジネスを安全に進めるうえでは、海外の法律や税制などの把握が欠かせません。そのため、国際法務のスペシャリストを求める動きが強まっているのです。
M&Aや海外投資にともなう戦略法務経験者の募集も増加
日本では、近年、事業承継問題の解消や事業再編、スタートアップ企業の増加などにより、M&Aが活発化しています。M&Aを進めるうえでは、デューデリジェンスによって買収企業の法的リスクがないかを評価し、秘密保持契約書、基本合意書、株式譲渡契約書を法的な観点から作成するなど、法務の力が必要になります。
また、M&A実行後も、将来的なトラブルを防ぐための法的なリスク管理が必要です。
加えて、法務は、海外投資プロジェクトにおいても、投資先の法律や規制など調査、契約書の作成などに携わり、契約交渉時のサポートをします。
法務には攻めの法務と守りの法務があり、近年では、M&Aや海外投資などの増加により、攻めの法務である戦略法務経験者を募集する求人が増加中です。
また、40代の法務経験者に対しても戦略法務の経験を求める企業が多くなっています。
法務40代で求められるスキル・経験・マインド
JACの転職サポート事例や取り扱い求人を例に、40代で法務職に転職された方に求められるスキルや経験、マインドなどの傾向をご紹介します。
国際法務に携わった経験とグローバルビジネスの対応力
ビジネスのグローバル化にともない、海外進出や国際取引を進める企業が増加中です。
国内と海外では、商取引を進めるうえで準拠すべき法律や条約、規制が異なります。各国の法規制や条約などに準拠した契約書の作成、国際的なコンプライアンス体制の整備に関与した経験は転職時に高く評価されるでしょう。
また、国際法務業務の募集では、英文契約書のレビューやドラフト作成、契約締結にあたっての海外企業との折衝・交渉経験などが必要になるため、ビジネスレベルでの英語力も求められます。
業界特有の法務知識
業界ごとに適用される法律や規制は変わります。
例えば、メディカル業界であれば薬機法、金融業界であれば金融商品取引法や銀行法、保険業法などの法律の知識が必要です。適正な取引を進めるうえでもコンプライアンス確保のうえでも、業界に関連する法律の知識は必要不可欠です。
さらに、関連法規について適切に対応できていない場合、訴訟や違法行為といったトラブルを招く恐れがあります。この点からも、特定の業界の法律や規制について詳しい知識をもつ同業界出身者は、転職時に高く評価されます。
弁護士資格やMBA保有者
必須要件には掲げていないものの、弁護士資格を優遇する求人が多数見られます。弁護士資格は、法務の専門性を示す信頼性の高い資格であり、その知識は、契約交渉、法的リスク判断、紛争対応、M&Aなど、さまざまなシーンにおいて役立ちます。弁護士資格の保有は、転職を優位に進める要因になるでしょう。
また、MBAを保有している方を歓迎する求人も見られます。法務の専門性に加え、MBAを保有していると、経営戦略なども理解しやすく、経営視点から法務業務を実行できるため、転職時に高い評価を得られます。
参照:MBA(経営学修士)
デューデリジェンスや契約スキームの設計スキル
国内外の企業とのM&Aや投資が盛んに進められている今、契約書や知的財産、訴訟リスクなどの調査に関わるデューデリジェンス経験者への求人が増加中です。
さらに、デューデリジェンスの結果をもとにした契約スキームの設計や価格交渉などに携わった経験も、買収や投資による事業拡大や新規事業参入を目指す企業では、大いに評価されるスキルになります。
能力開発と組織を管理するマネジメント能力
40代の法務経験者に求められるスキルは、契約書の作成やチェック、法改正への対応、訴訟対応といった実務に関連するものだけではありません。経験豊富な40代だからこそ、転職時には、実務経験に加え、能力開発や組織管理に携わったマネジメントスキルを求められる傾向にあります。
法務の重要性が高まる中、法務経験者の不足により、企業のニーズに対して採用が追い付いていない状況が続いています。このような状況下では企業内での能力開発が重要となり、後進の育成に携わった経験を持つ40代の法務経験者への期待が高まっています。
ビジネスの成長に貢献する姿勢と学びに対する意欲的な姿勢
法務には、法律や規制などに関する専門的な知識が必要不可欠です。ただし、専門知識をもっていても、依頼された業務をこなすだけの受け身の姿勢は評価につながりません。自社の経営方針を理解し、社内外の関係者と交渉しながら、経営戦略の立案をサポートできる提案をするなど、主体的に企業の成長に貢献しようとする姿勢は高く評価されます。
さらに、新たなビジネスモデルや法改正にもしなやかに対応できる柔軟な姿勢、新たな知識を積極的に学び続ける姿勢をもつ人こそが、40代の法務経験者には求められています。
法務40代の平均年収は936.1万円
JACのサポート事例によると、法務職に転職された40代の平均年収は936.1万円です。年収は年齢よりもスキルや実力に強く依存する傾向があり、特に管理職の平均年収は1,048.0万円と、メンバークラスの751.9万円と比較して大きな差が生じています。
この結果から、法務職では、年齢ではなくスキルや実力が適正に評価される傾向が見て取れます。
| 40代平均年収 | 40代前半の平均年収 | 40代後半の平均年収 |
| 936.1万円 | 949.6万円 | 922.5万円 |
さらに、管理職とメンバークラスの年収の差を見ると、メンバークラスの平均年収は751.9万円であるのに対し、管理職の平均年収は1048.0万円と大きな開きが見られます。
| 職位 | メンバークラス | 管理職 |
| 平均年収 | 751.9万円 | 1048.0万円 |
法務40代の転職を成功させる4つのポイント
40代の法務経験者が転職を成功させるうえで重要となるポイントを4つご紹介します。
自身の強みと求人企業のニーズの適合度合いの見極め
法務は、求人が求職者を上回る売り手市場ですが、よりよい条件で転職を成功させるには、自身のスキルに適合した求人の見極めが重要です。企業が40代に特に求めるのは即戦力としての活躍です。法務関連業務の中でも、自身の強みを生かせる求人を見極めることが、転職成功の大きなポイントとなります。
まずは、自身の経験を振り返り、コアとなるスキルや磨いてきたスキルなど、転職時に強みとしてアピールできる要素を把握しておくことが大切です。
ガバナンス強化の貢献実績のアピール
多くの企業は、ステークホルダーとの信頼関係の構築、国際的な競争力強化を目指し、ガバナンスを強化しています。法務として社内のコンプライアンス体制の整備によるトラブルの予防、契約書の法的リスクの早期発見による企業価値毀損の防止、社内の啓発活動による組織全体のガバナンス意識の向上などに貢献した経験は、積極的にアピールすべきです。その際には、自身の担当範囲や役割も明確に示し、得られた成果を数字で表すことで、より能力の高さを明示できるようになります。
英語力と国際法務経験の訴求
国際法務の経験者への求人は多く、英文契約書のレビューやドラフティング、作成の経験者は転職時に高く評価されます。
さらに、契約書の作成だけでなく、交渉・折衝にも関わった経験は、より大きな強みとなるはずです。
職務経歴書や面接では、採用担当者が採用後の活躍シーンを想定しやすくなるよう、海外案件に携わったときの具体的なエピソードや英文契約書の作成本数を数字で示すなどの工夫を行いましょう。

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転職エージェントの活用
法務業務は難易度が高いため、求人企業では、求人サイトなどに情報を掲載せず、転職エージェントだけに紹介を依頼するケースが少なくありません。
その理由の一つは、要件を満たした応募者だけを審査し、効率よく採用活動を進めるためです。
特に40代の法務経験者への求人では、特定領域の専門的な知識や実務経験を求めるだけでなく、能力開発の経験や経営的視点など、プラスアルファのスキルや経験を求める傾向にあります。エージェントによって厳選された優秀な転職希望者のみを選考の対象にし、より自社のニーズに合ったスペシャリストを採用したいという企業は多いのです。自分のスキルや経験を生かせる求人に出会うためにも、転職エージェントは活用すべきです。
また、転職エージェントでは、転職希望者に対し、業務の内容から必要なスキル、経験、求められる人物像までを詳細に伝え、面接時の対応までアドバイスを行います。自身の希望に合った求人の紹介を受けられるうえ、アドバイスによって選考通過の確率もアップするなど、転職希望者にとってもエージェントの活用には多くのメリットがあります。法務職への転職を検討されている場合は、情報収集も含め、早めの転職エージェントへの相談をおすすめします。
法務40代の転職成功事例
JACでは、40代の転職希望者を多数サポートしてきた実績があります。ここでは、当社のサポートによって法務職への転職を成功させた40代の方の事例をご紹介します。
金融業の経営企画部部長からEMC業界の法務部長への転職
Aさん(女性/40代前半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 金融 | 経営企画部部長 | 1,300万円 |
| 転職後 | EMC | 法務部長 | 1,550万円 |
Aさんは、証券会社において、コーポレート法務やM&Aのコンプライアンス施策の企画立案、海外事業の新規立ち上げ、新規事業の企画推進など幅広い業務に携わってきました。よりキャリアアップを目指せる環境で、スキルや経験を生かし、裁量権をもって業務に取り組みたいとの意向が強くなり、転職を決意。
これまで従事していた金融関連ではなく、異業種への転職を希望されていたAさんへ、当社はEMC関連会社における法務部長の求人を紹介しました。契約書の作成や審査、M&A支援、法務デューデリジェンス、訴訟対応など、幅広い業務を担う法務部門の責任者の募集であり、Aさんの経験やスキルを存分に発揮できるポジションではないかと判断したためです。
EMC業界での経験はないものの、豊富なグローバルビジネスの経験、海外赴任中にMBAも取得していたAさんの成長意欲が高く評価され、見事採用が決定しています。
法務40代の転職ならJAC Recruitment
大企業のみならず、中小企業やスタートアップ企業においても法務の重要性が増しており、法務経験者のニーズは上昇を続けています。特に40代の法務経験者には、豊富な経験に基づく実践的なスキルや特定の業界における専門的な知識、能力開発に携わった経験などを期待する求人が増加中です。
しかしながら、40代を歓迎する法務求人数は増加しているものの、即戦力として特定の領域における経験や知識を必要とする求人が多いのが現状です。納得できる企業への転職には、慎重な企業選びが重要になります。
JACでは、各業界に詳しいコンサルタントが多数在籍しており、あらゆる業界の法務職の求人を取り扱っています。
また、転職希望者の経験やスキルだけでなく、今後の希望を丁寧にヒアリングするため、理想のキャリアの実現に近づく求人のご紹介が可能です。
法務は、今後ますます重要視されるポジションです。
40代の今、さらなるステップアップを目指したいとお考えの方は、JACにぜひご相談ください。

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法務の転職事情
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