―― 西武渋谷店の閉店など、近年の小売業界には後ろ向きな流れも見られますが、そのような環境下で東急はなぜ商業を強化するのでしょうか。
東急には、商業施設を運営する、鉄道を運行するといったことにとどまらず、「街を運営する」という意識が強くあります。お客さまの生活がある限り、スーパーマーケットや商業施設は欠かせない要素です。EC市場が拡大しても、人々の暮らしに必要な役割を果たし続けることは私たちの責務です。そして、その役割を担う以上は、他地域や商業施設にはない魅力や価値を提案し続けなければなりません。
日本全体では人口が減少していますが、東急線沿線はまだ人口が増えているのです。これまで、街を元気にしようと頑張ってきた成果といえるかもしれません。コロナ禍以降は、若年層の集客力も高まっています。私たちは、さまざまな事業を組み合わせることで、街を活性化し、人が集まり続ける地域をつくれる自信をもっています。特に、渋谷、二子玉川、自由が丘は「プラチナトライアングル」と呼んでおり、港区とは異なる新たな価値を生んでいけるエリアと考えています。
今後はアジアでも人口減少や社会の成熟化が進んでいくでしょう。グローバル経済においても、私たちは街を活性化し、お客さまの生活を支え続けるビジネスモデルをつくっていけると思います。現在、渋谷をはじめとする沿線や駅周辺で進めている「街運営のビジネスモデル」はグローバルで横展開していける基盤づくりの挑戦でもあると思っています。
―― 今後の展望をどのように描いていますか。
まちづくりに「ここまでやったら終わり」というゴールはありません。これからも時代や世代の変化に合わせながら、お客さまの幸せな生活を支えるよう街の姿を進化させ続けていきます。
その手法は、必ずしも新たな開発だけではありません。商店街と商業施設を組み合わせたり、スポーツ施設や競技場と連携したりと、地域を活性化する方法はさまざまです。例えば関内横浜では、ディー・エヌ・エーさんが横浜スタジアムを「COMMUNITY BALLPARK」構想のもと、地域のランドマークに進化させる取り組みをされています。東急(株)グループでは隣接するBASEGATE横浜関内の開発・運営を行い、一緒に街を盛り上げています。
私たちは「地域コングロマリット」と呼んでいますが、リテール事業の対象は東急線沿線に限りません。例えば、長野市やベトナムでも商業施設を展開しています。ベトナムでは、かつて日本で取り組んできたように、新しい街を育て、商業施設は活況を呈しています。
世界には、高度経済成長の途上にある地域もあれば、日本のように成熟期を迎えた国もあります。私たちはこれまで培ってきた多様なまちづくりのノウハウを生かし、それぞれの地域の皆さまとともに、その地域のお客さまや生活者に合った価値を生み出していきたいと考えています。
今後は沿線や国内だけにとどまらず、海外も含めた幅広い展開を進めていきます。すでに香港でも事業を展開しており、現地で人気の店舗を日本へ誘致する取り組みもあります。また、日本でお取引のある約3,300社のテナント企業を対象に、各社のニーズに合わせて海外展開の支援をご提案するなど、商業施設の区画を提供するだけにとどまらない新たなビジネスもスタートしています。
当然ながら東急線沿線地域や渋谷など「ローカル」も大切にしながらも、そこで得たビジネスモデルや価値を国内外へ広げていき、ナショナルカンパニーとしての東急も意識していきたいと思っています。
―― 東急リテール事業部ではどのような人が活躍できると思われますか。
お客さまやチームメンバーと信頼関係を築いていける人間味のある方です。東急では、土地を買収して開発するのではなく、地権者さんの土地をお預かりしたり、地域の皆さまと対話を重ねたりして、ともに街を育ててきました。商業施設事業においても、テナントや取引先、お客さまと信頼関係を築き、皆で一緒につくっていく「共創」を大切にしています。こうした東急グループ共通の価値観に共感し、それを体現しながら事業を推進できる方に入社いただきたいと思います。
また、持続的に成長し、地域や社会へ貢献し続けるためには、利益を生み出して循環させていかなければなりません。そのためには粘り強く取り組み、時には関係者と意見をぶつけ合いながら、新しい価値創造へ突き進んでいくバイタリティも必要です。東急には「安定感」を抱かれることも多く、実際に事業基盤は安定しています。しかし、チャレンジすべき場面ではリスクを恐れず一歩踏み込み、情熱と行動力をもって最後までやり抜くラストマンシップと熱い思いをもつ方と一緒に働きたいです。
商業施設づくりは、開業がゴールではなく、その後も施設や街を育て続ける仕事です。私の実感としては、建物の完成そのものよりもお客さまが笑顔で施設を利用し、楽しそうにされている姿を見ることに大きな達成感があります。
お客さまの満足や暮らしを支えることに喜びを感じられる人にとって、大きなやりがいがある環境です。地域やテナントさま、お客さまとの「共創」を通じて新たな価値を生み出したい方と、ぜひ一緒に未来の街をつくっていきたいと思います。