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未経験から、不動産金融のプロへ
――ファンドに「命を吹き込む」アセットマネジメントの醍醐味

農中JAML投資顧問株式会社

※このインタビューは2026年7月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。 農中JAML投資顧問株式会社 岩附 諒氏 山田 将大氏

写真左から

農中JAML投資顧問株式会社 ファンド投資運用部 部長 岩附 諒 氏
農中JAML投資顧問株式会社 ファンド投資運用部 調査役 山田 将大 氏

農林中央金庫を主たる出資者とし、JA三井リースとの合弁により2021年に設立された農中JAML投資顧問。私募REITとファンドの二つの事業を両輪とし、資産運用残高は約2,000億円に達します。少数精鋭の組織だからこそ、一人が物件の調達から運用、売却まで一気通貫で携われる環境で、異業種からの挑戦者も着実に育っています。
ファンド投資運用部長の岩附諒氏と、調査役の山田将大氏に、事業の姿とそこで働く魅力を伺いました。

REITとファンドを両輪に、5,000億円を目指す

―― まず、農中JAML投資顧問がどのような会社か、事業の全体像から伺えますか。

岩附氏:当社は2021年に設立し、農林中央金庫とJA三井リースの合弁により立ち上げた不動産の資産運用会社です。まず2022年9月に私募REIT事業からスタートし、いくつかの投資を重ねて成長してきました。私自身は、次の事業拡大の担い手として2024年に加わり、2025年には私募ファンド事業を本格的に立ち上げています。

当社は金融系のプレーヤーとして、農林中央金庫やJA三井リースのグループ企業、さらにその先の取引先に対し、不動産を起点としたソリューション営業を軸に活動しています。物件を自ら開発してREITに供給するデベロッパーとは、少し毛色の異なる存在だと考えています。物件の出し手ではない分、ファイナンス面でお客さまとの距離を縮め、そのうえで不動産の観点から新たな接点を作れるよう日々意識しています。

―― REITとファンド、二つの事業はいまどのような状況でしょうか。

岩附氏:おかげさまで、REITとファンドがそれぞれ成長曲線をしっかりと描けています。私募REITで運用残高が約1,000億円、2025年に立ち上げた私募ファンドも約1年で約1,000億円を積み上げ、合わせて約2,000億円という規模になりました。中長期的には5,000億円を視野に入れており、経営層を含めて共通認識をもっています。ファンドは期限のある器ですので、常に次を作り続ける難しさはありますが、それだけのお客さまからの引き合いもあり、スポンサーとも連携しながら成長できています。

―― 私募ファンドは2025年の立ち上げから短期間での積み上げです。成長を駆動したものは何でしょうか。

岩附氏:最大の要因は、スポンサーとの連携です。農林中央金庫もJA三井リースも、国内外のさまざまなファンドに出資してきた機関投資家です。スポンサーが出資を通じて築いた関係性が当社にも生きており、共同での営業や共同投資の機会を数多くいただいています。単に出資するだけの機関投資家ではなく、お客さまのもとへ一緒に足を運びます。出資からアセットマネージャーとしての機能提供まで、一気通貫で提供できている点が、当社らしさだと考えています。

ファイナンス起点で描くアセット戦略

―― デベロッパー系のファンドは物件の供給力をもちます。その中で、御社はどこで差別化を図るのでしょうか。

岩附氏:物件を供給できたとしても、資金がつかなければファンドは組成できません。バランスシートの左側、つまり物件側にデベロッパーの強みがあるのなら、当社は右側、すなわちファイナンス面をしっかりと補完していきます。そこに特徴を出せると考えています。エクイティやデットの調達で自分たちの役割を果たせれば、おのずと物件のソーシングも集まってくるはずです。ここはスポンサーとの連携が生きる部分でもあります。

―― 御社の私募ファンドならではの、特徴的なアセットの組み入れについてはいかがですか。

岩附氏:足元は金利上昇や物価上昇が続く局面です。運用期間中に賃料をしっかりと上げ、投資家への分配を守り抜くことがミッションだと考えています。その観点で賃料を上げていけるアセットとして、まずオフィス、次に住宅、ホテルが挙げられます。オフィスは働く場所として多様な使われ方が広がる一方、都心では床が不足し、特に東京は逼迫しています。テナントの入れ替えを通じて賃料を上げやすい環境です。住宅も賃料上昇の波を捉えられますし、ホテルはインバウンドを背景に高単価で推移しています。円安による物価上昇にも一定程度キャッチアップできるアセットだと評価しています。

―― JAグループという文脈では、冷凍冷蔵倉庫や食品物流との親和性も高いと見受けます。

岩附氏:冷凍冷蔵倉庫は新しいアセットタイプです。従来は事業者が自社で開発し利用してきたものが、徐々に外部へ賃貸する形態になじんできています。家庭に必要とされる冷凍食品などの需要をしっかりとつかめるのであれば、市場として今後も取り込めると見ています。立地の分析や需要の見極め、扱う温度帯やスペックなど、ドライ倉庫より難しい論点は多くあります。だからこそ、そこをつかみ切れれば安定した運用ができるアセットになると期待しています。

新たなフィールドで広がる可能性

―― 岩附氏ご自身のご経歴と、いまの役割について教えてください。

岩附氏:2013年に三井住友信託銀行へ入行し、はじめはリテール店で窓口業務や住宅ローンの営業を担当しました。もう少し法人の営業を経験したいと考えて社内公募に手を挙げ、本店で事業会社向けの売買仲介、いわゆるCRE営業に携わりました。CRE(コーポレート・リアルエステート)とは、企業が保有する不動産の活用を支援する領域です。担当は総合電機や新聞社、精密機械のメーカーなどでした。その後、より売買の経験を積みたいとヒューリックへ移り、取得(アクイジション)業務や、投資家サイドとしてのSPC(特別目的会社)への出資を担いました。

信託銀行で8年半、ヒューリックで2年を過ごし、2023年11月に農林中央金庫へ転職しました。金融機関でソリューション営業をする面白さと、不動産金融の知識をさらに深めたいという思いが理由です。機関投資家という立場のほうが、キャリアの選択肢を広げられると考えました。いまはファンドに関わる全て、すなわちソーシングから組成、期中運用、そしてスポンサーとのコミュニケーションまでを担っています。

―― 金融機関のバックグラウンドは、どのように生きていますか。

岩附氏:金融は形のないものを扱う仕事です。物がないからこそ、何で勝負するのかが常に問われます。突き詰めれば、相手に人としての魅力を感じてもらえるかどうかだと考えています。相手が次に何を望み、何を考えているのかを、日々意識して会話しています。フロントで長く携わってきた中で培ったこの感覚は、いまも自分の武器になっています。

―― 数ある選択肢のなかで、農林中央金庫グループを選んだ決め手は何でしたか。

岩附氏:三井住友信託銀行時代の先輩から話を聞く機会があり、ボトムアップで物事を進めていける組織だと感じた点が、一つの決め手です。自分の意志をもって案件に関与できる環境に、魅力を覚えました。加えて、農林中央金庫が一次産業を支えるという明確なミッションを掲げている点も、金融機関として独自性があると受け止めました。

連携する農林中央金庫のメンバーと面接で顔を合わせた際、物腰が柔らかく、経験値の面でも自分にはないものをもっていると感じられた点も、背中を押してくれました。大きな資金を扱いながらキャリアを築いていける点にも、手応えを感じました。入社時の面接では、将来のファンドビジネスを担う部長候補として説明を受けたうえで加わっています。

―― あらためて、ファンドという仕事の面白さはどこにあるとお考えですか。

岩附氏:ファンドは一つひとつ器を作り、そこに命を吹き込んでいく仕事です。それを地道に積み重ねていく必要があります。物件側と資金側、バランスシートの両側に携われることが、最大の魅力だと考えています。物件に近づく場面では不動産会社やPM(プロパティマネジメント)会社と交渉し、資金側では金融機関や事業会社と向き合います。さまざまな属性の方と調整し、自らがその結節点にならなければなりません。難しさはありますが、そこは自分の強みを生かせる場でもあります。そうした動き方を面白いと思える方には、向いている仕事だと思います。

―― 山田様は、なぜこの業界を志したのでしょうか。

山田氏:私は東武鉄道で、商業施設やオフィスの開発・運営、リーシングを4年ほど担当していました。鉄道会社は売り上げに占める不動産の比率が高くないため、どうしても不動産に回る資金は限られ、自分の今後のキャリアの可能性が狭いと感じていました。そこで部署異動も控えていたタイミングで、転職を決めました。アセットの幅も、賃貸から売買まで業務の幅も、どちらも広げられる総合型のアセットマネジメント会社という点が、農中JAML投資顧問を選んだ理由です。

―― 未経験のアセットや金融の知識は、入社後どのように身につけたのですか。

山田氏:手探りで進めながら、スポンサーとの距離が近いことにも助けられました。社内にも不動産出身者が多く、住宅やオフィスの運営を経験してきた人たちに話を聞いて吸収しました。スポンサーには建物側にも金融側にも詳しい方が数多くいますので、分からないことはその都度うかがって吸収していきました。

これまでを振り返ると入社して良かったと思っている一方で、自分が知っていた世界は本当に狭かったと痛感しました。不動産と金融という二つの分野をまたいで、一定の範囲まで幅広く理解しておかないと、どこかで落とし穴にはまってしまいます。それが投資家の不利益やレピュテーションリスクにつながりますので、いまでも勉強は欠かせないと感じています。

―― 現在の業務の中心と、前職の経験が生きている点を教えてください。

山田氏:入社後3ヵ月で三菱UFJモルガン・スタンレー証券へ半年ほど出向し、投資家対応やストラクチャリング、契約書類の作成など、いわゆる金融サイドの実務を学びました。戻ってからはファンドを担当し、いまはオリジネーション、すなわち案件の組成に向けた開拓が業務の中心になっています。

前職の商業施設のオペレーションそのものが生きる場面は、正直なところ多くありません。ただ、当時からビルマネジメントやプロパティマネジメントなど多くの関係者を巻き込んで調整してきた経験は、いまも変わらず役立っています。登場人物は違っても、関わる人の多さと調整の勘所は共通していると感じています。

少数精鋭だからこそ、成長機会が広がる

―― 少人数の組織ならではの働き方について教えてください。

岩附氏:当社は人数が少ないからこそ、業務分担に明確な境界を設けていません。山田も、取得から組成、期中運用までを実務として担い、未経験からのスタートでありながら、この1年でアセットマネジメントの全体像を見られるまでに大きく成長しました。将来的に人数が増えれば、それぞれの得意分野や希望を踏まえて組織を整えていく必要はありますが、いまはあえて線引きをしていません。限られた人数のなかでも、成長している手応えをチームで感じてほしいと考えています。

案件を受託するたびに、業務量や得られる経験を見極め、何が自分たちの組織にとって良いものなのかをチームで納得したうえで選んでいます。単に案件が来たから取り組むのではなく、その視点を大切にしています。スポンサーとも週に一度、フィジカルで、マーケット環境やお互いの取組み方針などについて意見交換をする場を設け、いま何に取り組み、どこで連携できるのかを擦り合わせながら進めています。

―― 山田様から見て、社内のカルチャーや働き方はいかがですか。

山田氏:スポンサーからの出向者もプロパーも分け隔てなく、皆さんが教えてくれます。ウェルカムな雰囲気なので、非常に聞きやすい環境です。直近新しいメンバーが加わり、私は最年少ではなくなりましたが、それまでは一番下の立場として、とにかく色々な人に質問して回っていました。

アセットマネジメント会社というと長時間働く印象をもたれるかもしれませんが、残業が常態的に月60時間に達するようなことはありません。土日に連絡を見ることはまずありませんし、深夜もそれほど多くはありません。ある程度は個人の裁量に委ねられていて、終わっていれば定時で帰りますし、誰かが残っているから帰りづらいという空気もありません。スポンサーの社風も穏やかで、働きやすさを感じています。

―― 最後に、これから入社を考える方へメッセージをお願いします。

山田氏:転職の理由は、キャリアアップや専門性を高めること、あるいは長く働ける場を求めることにあると思いますが、当社はそのどちらも叶えられると考えています。二つのプロダクトがあり、部署異動もできますし、私のように出向を経験する道もあります。スポンサーは古くから不動産金融に携わってきたプレーヤーですので、投資家の目線でも物件の目線でも、専門性を深く広く学べます。それはそのまま、長期的なキャリアを描けることにつながると思っています。何度か転職を重ねてきた方にとっても、腰を据えて長く働ける場になるはずです。

岩附氏:本当に色々な業界から人が飛び込んできてくれていますので、それを受け入れる土壌があります。自分で裁量をもって進められる環境でもあります。今後どのようなキャリアを描いていきたいのか、その多様性を受け止められる環境だと考えています。どのような形であれ前向きにチャレンジしたいと思ってくださるなら、ぜひ加わっていただきたいと考えています。

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