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時代に応じて変化を繰り返し、100年の歴史を築いてきたシヤチハタ
――第二の創業期を迎え、新規事業・海外展開を強化

シヤチハタ株式会社

※このインタビューは2025年8月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
シヤチハタ株式会社
シヤチハタ株式会社 代表取締役社長 舟橋 正剛 氏

2025年、創業100周年を迎えたシヤチハタ株式会社。ハンコやスタンプの会社というイメージを持たれていますが、クラウドソリューションサービスを手がけるほか、技術力を生かして産業用・家庭用など多彩な製品を展開しています。

現在、「第二の創業期」を迎え、新規事業の創造や新たな組織作りを担う方々が活躍中。同社の取り組みや、100年の歴史を築いてきた強みなどについて、代表取締役社長 舟橋正剛氏にお話を伺いました。また、今年キャリア入社した、マーケティング本部・執行役員の柴田梨江氏にも、同社を選んだ理由と入社後の手応えを伺いました。

生み出したヒット商品を「否定」し、次の時代へ進んでいく

―― 2025年で100周年を迎えられました。長きに渡って存続してこられた強みは、どこにあると思われますか。

舟橋氏:当社が創業100年を迎えることができたのは、お客様をはじめ、ご支援いただいた関係者の方のおかげだと感じています。その中で、強みをあげるのであれば「変わり続ける力」だと思います。自分たちが生み出し、ヒットした製品をある意味「否定」して次へ向かう。それを繰り返した100年でした。

創業は1925年。「万年スタンプ台」を開発、世に送り出しました。従来のスタンプ台は使うたびにインキをしみ込ませていましたが、万年スタンプ台はその必要がなく、蓋を開けたままでも乾かず、押した印影はすぐに乾く。当時としては画期的な製品で、お客様の業務効率化に貢献することができました。

しかし、その成功にあぐらをかくことなく、創業者は次の時代を見据えていたようです。「スタンプ台でインキをつける行為さえ効率化できるのではないか」と、10年以上かけて、ゴムの中に適量のインキを含浸できるスタンパーを開発。1965年、スタンプ台不要で連続して押せる「Xスタンパー」を発売しました。その3年後には、個人が認印として使える浸透印「Xスタンパー ネーム」を開発し、職場だけでなく家庭にも広がることで、「シヤチハタ」ブランドを認知していただくことができました。

次に大きな転機を迎えたのは、1995年です。Windows95の登場により、「紙に認印を押す行為はいずれPC上へ移っていく」と考え、PCが普及する前の1990年代初頭から電子印鑑システムの開発をスタート。1995年には「パソコン決裁」をリリースしました。これが、「パソコン決裁Cloud」へ、そして現在の「Shachihata Cloud」へつながっています。

このように、常に「お客さまの便利」を追求し、新たな領域を開拓し続けてきました。

確かな技術力が私たちの礎

―― 印章の分野において、強いブランドを築いていらっしゃいます。100年の間、競合は現れなかったのでしょうか。

シヤチハタ株式会社

舟橋氏: 私たちは、「しるす」ための技術や知見を数多く保有しています。何度もなつ印が必要なハードユースのお客様にも満足していただくため、他社とは少し違うレベルの技術で製品作りを行っています。このモノづくりに対する姿勢は昔も今も変わりません。それゆえに、競合他社も存在しますが、差別化に繋がりそのような評価をいただくようになったのではと考えています

シヤチハタでは、仕入れたゴムとインキを組み合わせて作るのではなく、自社で素材からゴムとインキの開発を手がけています。ゴムは練るところから手掛けますし、インキも素材から自社のレシピを使って製造しています。筆記具も扱っていることから1000種類以上のインキに関するさまざまなレシピを保有しています。成型のための金型も自社で作っています。

このように素材から手掛けることで、お客様のご要望へすぐに対応ができますし、多様な製品を生み出すことができます。見本市を開催すると、「シヤチハタにはこのような製品もあったのですね」「このようなものもスタンプにできるのですね」と、驚かれることが多いです。

技術力や製造方法の独自性を確立していることで、思いがけない特需をいただくこともあります。

アナログ・デジタルの両面から企業の持続的成長を支援。家庭向け・海外へも展開

―― 「シヤチハタ」と聞くと、ネーム印をはじめとした「ハンコ」をイメージする方が多いかと思います。実際には、どのような事業を展開されているのでしょうか。

舟橋氏: 実は30年以上前からデジタル事業への取り組みを続けています。直近では2020年に、契約・承認プロセスのデジタル化を推進するクラウドソリューションサービス「Shachihata Cloud(シヤチハタクラウド)」をローンチしました。時代変化からお客様からお声掛けいただくことも増え、プロモーションを強化した結果、認知度も向上。なんとか成長軌道に乗せられています。さらに2024年には、企業のデータ活用を強化し、企業の意思決定の高度化と生産性向上を支援する「Smartec Vision(スマーテックビジョン)」の提供をスタートしています。これは、ノーコードで外部データを取り込み、まとめて管理できる中小企業向けのDXツールです。これらのサービスを通して、企業の成長を支援したいと考えています。

既存の印章事業についても、「オフィス用品」のイメージを持たれがちですが、産業用途向けの製品も幅広く展開しています。例えば、非吸収面(インキが染み込まない素材)へのマーキングを可能にした「タート(TAT)シリーズ」。金属・プラスチック・布・ガラスなどにも捺印でき、製造現場での製品ロット表示、サイズ表示、検査印などとして活用されています。最近では、建設現場向けに「ボルトライン」を川田工業様と共同開発しました。橋梁や鉄骨構造物のボルト締め付け作業の安全性を高めるもので、作業の効率化も図れる専用マーキングツールです。

ボルト用マーキングスタンプ ボルトライン ボルト用マーキングスタンプ 使用シーン

20年ほど前までは、売り上げの9割以上がBtoB商材で、ご家庭で使っていただけるのはネーム印が中心でした。その状況を打破するため、それ以降、当社の技術や知見を活用し、お客様の便利に役立つBtoC商材の開発に力を入れています。学用品やおむつへの名前付けが簡単にできるスタンプや手洗い練習用のスタンプ、デコレーションに使えるスタンプパッドや魚釣りルアー用マーカーなど、日常生活での手間を省いたり、趣味や子育てをより楽しくしたりする製品を提供しています。

いろもよう わらべ 釣りルアー加工用ペン アートライン イレグイマーカー

―― 海外事業と、今後の海外戦略についてもお聞かせください。

舟橋氏: 海外事業の歴史は長く、1941年にはアジアに拠点を構えて活動を始めました。その後、1968年に米ロサンゼルスにシヤチハタINC.USAを設立。マレーシア、中国、ヨーロッパにも現地法人を設け、現在は売り上げの約4分の1が海外事業です。マレーシアで筆記具を製造し、約90カ国に輸出するほか、一部地域では現地生産・販売を行っています。

これまでは代理店の方針にあわせていたことで売り上げがなかなか伸びてきませんでした。今後は代理店としっかり情報共有を行い、代理店とともにユーザーへ提案する活動へシフトしていくつもりです。また、世界を8ブロックに分け、各地域に近い場所で生産・出荷する仕組みを築き、ビジネスモデルを抜本的に変えていくことも計画中です。シヤチハタブランドを、日本だけではなく世界に広めていきたいと考えています。

外部から迎えたマネジメント層が、事業と組織の変革をけん引

―― 近年、マネジメントクラスの方を外部から採用していらっしゃいます。その背景をお聞かせください。

舟橋氏: 当社は多角的に展開していますが、未だ「紙」がある前提で成り立つアナログ製品が主力です。デジタル化が進む中で、アナログ製品の需要が徐々に下がっていることは、誰の目から見ても明らかです。そう遠くない未来に市場は半分以下に縮小すると考えています。そのような未来を見据え、創業100年を迎える今を「第二の創業期」と位置付けて変革を進めています

シヤチハタは、長きにわたりお客様に育てていただいた製品のおかげで、営業活動の環境に大変恵まれていたと感じています。一方で、「新たに仕掛けていく」取り組みについては、社内のノウハウが不足していました。そこで、新規事業の知見や経験をもつ優秀な方を外部から迎え、社内の変革を推進してもらう必要がありました。挑戦を繰り返し、失敗してもそこから学んで次にチャレンジする風土をさらに伸ばしていきたい。そのため、変革活動を強烈にけん引してくれるマネジメント層の方々を外部から招きました。

変革の先駆者となってくれたのが、プロの経営者である戸田奨さんです。伊藤忠商事で事業立ち上げを経験した後、ユニクロ、ミスミグループを経て、アマゾンジャパン合同会社で副社長を歴任したキャリアの方です。現在は、当社の取締役として、事業全体の推進や社内変革を担当してくれています。

―― JAC Recruitmentを通じても、複数のマネジメント層の方々が入社されました。

舟橋氏: 昨年から今年にかけて、マネジメントクラスの方6名ほど入社してくれています。JACさんから入社してくれた方々の活躍によって、会社の雰囲気が大きく変わってきていることを肌で感じています。最近、新卒で入社する社員たちの多くは「自分を高めたい」という意識が強い傾向にあるように感じますが、そのような若手社員たちは「期待していたことができている」という手応えを得て、生き生きと働いているようです。

社内組織に関する新たな取り組みの一例を挙げると、今年7月にマーケティング本部を立ち上げて活動を進めています。これは、社員たちが投じた労力やコストがどれくらい業績に寄与しているかを可視化し、事業全体のパフォーマンスの向上や社員のモチベーションアップにつなげたいという思いからです。その部門を統括するため、昨年10月にJACさんから紹介いただいた柴田梨江さんを執行役員として担当してもらっています。もともとは新規事業を担当するために入社してもらいましたが、現在ではマーケティング本部の責任者として、社員の心を早くもつかんでくれているようです。すでに組織全体に前向きな変化が見られますし、これからさらに変わっていくだろうと期待しています。

―― 柴田梨江さんに、これまでのご経歴とシヤチハタへの入社を決意した理由を伺います。

柴田氏: 私は、ニュージーランドの大学在学中に起業を経験し、帰国後は外資系メーカーでの3Dスキャナ・3Dプリンタのマーケティング、外資SaaS企業でのAPAC地域のマーケティングマネージャーを務めてきました。前の会社で日本のマーケティング部門の撤退が決まったため、転職活動を開始したのです。

私の強みは、ゼロからイチを創り出すプロジェクトを、チームとともに計画・実行・分析しながら、成果を出す点にあります。「ゼロから新たな価値を創出し、マーケティングやグローバルな知見を次世代へ伝えたい」「若い世代が主体的に動ける仕組みづくりを実現したい」という思いもありました。自身の強みを生かし、ビジョンを実現できる企業を探したところ、JAC Recruitmentのコンサルタントから提案されたのがシヤチハタでした。

正直なところ、最初は「シヤチハタ=ハンコ」というイメージしかありませんでした。しかし、話を聞くと、100年続く企業でありながら次々と新しいことにチャレンジしていると知り、「非常に面白い会社だな」と思ったのです。

それでも、複数の会社から内定を得て迷っていました。他社は待遇面でかなり魅力があったからです。悩む私を見て、11歳の息子が一言、「ワクワクする方を選んだ方がいいよ」と。後で聞いたところ、マンガのセリフだったそうですが、その言葉が心に響いて、シヤチハタを選ぶことに迷いがなくなりました

―― 実際に入社され、今、どのような思いを抱いていますか。

柴田氏: 私は武道や茶道を通じて「守破離」という考え方を学んできました。まずは教わった型を守り、次に自分で工夫して型を破り、やがて型から離れて独自の世界を確立していく。この精神が、まさに今のシヤチハタに当てはまると感じています。100年の歴史をもつ企業が、守りに入るのではなく、自らを壊し、新しい価値を生み出していく。その「破」の段階を担えることに喜びを感じています

今、「攻めのマーケティング」「攻めの事業」を創っていくにあたり、横の連携を強化しています。毎日がとても楽しいです。入社したときの期待とギャップはないし、むしろ入社後の方がワクワクしていますね。

真面目一辺倒というより、少し型破りな発想をもった方を歓迎します。

舟橋氏

―― どのような方と一緒に働きたいですか?

舟橋氏: シヤチハタはこれからさまざまな挑戦をしていきます。その中で活躍いただけるのは、自分の考えをしっかりと主張できる方です。敵を作るような主張の仕方ではなく、周囲を納得させられる伝える力=コミュニケーション力を保有するような方と一緒に仕事ができるとうれしいです。周囲を巻き込みながら、情熱をもって行動できる方を期待しています

―― 転職活動をしている方々にメッセージをお願いします。

舟橋氏: 人生において、仕事は睡眠よりも長い時間を費やすものです。その時間を、つまらないと思ったり、ストレスを溜めたりしたのではもったいないのではないでしょうか。仕事は、自分の成長につながり、豊かな人生設計をするための一助となるべきものだと思います。社員が成長できる仕事や環境を提供することこそ、経営者である私の使命であると考えています

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