※このインタビューは2025年10月に実施しました。なお、所属部署名・ポジションタイトルは当時のものとなります。
採用企業インタビュー
多くの製薬会社から信頼を得て成長を続けるCRO・新日本科学PPD。
CRAのキャリア設計を革新するECDモデルの実力とは
株式会社新日本科学PPD
- 株式会社新日本科学PPD ゼネラルマネージャー 取締役 栗岡 康雅氏
- 株式会社新日本科学PPD クリニカルオペレーション シニアディレクター 志賀 由起子氏
- 株式会社新日本科学PPD クリニカルオペレーション CRA 奥田 朋香氏
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2015年、アメリカに本社をもち世界に展開するグローバルCROであるPPD社の日本法人と新日本科学の臨床開発部門を母体とし、合弁企業として設立された株式会社新日本科学PPD。 両者の優れた部分を活かし、クオリティを重視する方針のもと、多くの製薬会社とパートナーシップを築いています。
業界の変化に対応する取り組み、クライアント・医療機関から高い評価を得ておりCRAの働きやすさも実現している「ECDモデル」、社風・カルチャーについて、ゼネラルマネージャーの栗岡氏、シニアディレクターの志賀氏、CRAの奥田氏 にお話を伺いました。
写真左から
グローバル試験の比率を高め、ドラッグラグ・ドラッグロス問題の解消に貢献
―― これまでのご経歴と現在の役割をお聞かせください。
栗岡氏:CRAとしてヨーロッパ系製薬会社で約6年、アメリカ系製薬会社で13年間勤務した後、グローバルCROに転職し、カントリーヘッドとしてクリニカルオペレーション業務に約5年間従事しました。2015年より新日本科学PPDでゼネラルマネージャーを務めています。
志賀氏:治験業界での業務スタートは医療機関側の治験事務局でした。医療機関で集められたデータがどのように活用されていくのかに関心をもち、外資系製薬会社に転職してデータマネジメントやクオリティマネジメントなどを経験しています。CROへの業務委託にシフトする中、現場に近いところで仕事がしたいと考え、外資系CROに転職。8年ほどマネジャーやグループヘッドを務め、2017年に新日本科学PPDに入社しました。現在はCRA部門を統括しています。
奥田氏:2014年にSMOにてCRCとしてキャリアをスタートしました。5年間勤務の後、サービス業へ転職しましたが、治験業界に戻りたいと思い、転職活動をはじめました。2023年に新日本科学PPDへ入社し、クリニカルオペレーション部門にてCRAとして施設の立ち上げやモニタリングを含む施設対応を担当しています。
―― 日本の臨床開発における課題やCRO業界の将来性をどのようにお考えですか。それを踏まえた、新日本科学PPDの取り組みについてもお聞かせください。
栗岡氏:昨今、ドラッグラグ・ドラッグロスの問題が取り上げられています。他国で使用されている医薬品で、国内開発未着手の品目が80以上あり、大きな課題といえます。その解決策の一つとして「グローバル試験」の普及が進んでいます。
当社も約10年前、新日本科学だった時代はローカル試験のみを実施していましたが、PPDとの合併によりグローバル試験を行う体制が整いました。現在はグローバル試験の割合が9割を超えています。世界同時開発を進める製薬会社の動きに合わせて、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消に貢献できる会社へと成長してこられたと自負しています。
日本の課題としてまず挙げられるのは、治験コストの高さです。このままでは日本がグローバル試験に参加できなくなり、日本の治験の空洞化が進む恐れがあります。コスト削減に取り組んでいかなければ、CROの発展はないでしょう。
当社は、クオリティはもともと高い水準にありますが、今後はコスト削減とスピードアップを強化していきます。業界全体でも治験のエコシステムを見直し、コスト低減の取り組みが進められています。当社ではそれに並行して、フェア・マーケット・バリュー(FMV)の導入を進めています。従来は病院側で設定された基準に従って費用を支払っていましたが、国際的な適正価格で支払うFMV方式へシフトすることで、過剰なコストを是正します。
この取り組みは製薬会社と連携して進めており、施設と交渉しながらFMVの受け入れを促進しています。こうした地道な活動によって治験コストを下げ、業界全体の持続的な発展に貢献していきたいと考えています。
―― こうした動きにともない、日本で臨床開発職に従事する方にはどういったスキル・考え方・対応力が求められるようになるでしょうか。
志賀氏:試験に関するコスト削減に向け、あらゆる工夫が求められている状況です。加えてスピードも上げなければいけません。質は落とせない、むしろ上げてほしいというクライアントのニーズに応えながら進める必要があります。
そうした環境下では、いわれたことだけをやる、指示されてから動くといった受け身の姿勢ではなく、先手で対応できるCRAを育成していく必要があると考えています。治験を取り巻く環境も変化しているので、変化を受け入れ、柔軟に対応していけるCRAが活躍できるでしょう。
製薬会社のパートナーとして、提案・発信ができる存在になる
―― 新日本科学PPD設立から10年、右肩上がりで売り上げを伸ばしていますが、その要因・強みはどのような点でしょうか。
栗岡氏:私たちが掲げるビジョンは、ベストサービスを提供して日本で最も信頼されるCROになることです。2015年以降、売り上げや利益を目標にすることはなく、現場の人たちには「とにかくベストサービスを提供しましょう」と伝えてやってきました。それがうまく機能していると思います。
私たちは薬を患者さんに届ける社会的使命を担っています。責任感と熱意をもって開発を進めることを軸とする。社員の意識がそこにしっかり向いているため、製薬会社から受け取った治験薬はほぼ滞りなく、計画どおりに申請・承認・上市までもっていけています。
だからこそ信頼していただき、継続的にご依頼をいただけるのです。目先の仕事をこなして売り上げを上げるのではなく、確実にクオリティの高い仕事をして「次もお願いしたい」と思っていただける会社になることを目指してきました。結果として、大手製薬会社とのパートナーシップ契約が年々増加しています。一般的にこの業界では、各CROが臨床試験ごとにコンペを行い、案件を獲得するのが一般的です。しかし、弊社は製薬会社からパートナーCROとしてお選びいただき、独占的に業務を受注できていることが、毎年10%以上の成長につながっていると考えています。
―― 次のステージでは、どのような取り組みを進めていくのでしょうか。
栗岡氏:ビジョンの根幹はこれまでと同じですが、AI(人工知能)を駆使してプロセスを改善し、効率化を図っていきます。当社はDCTも他社に先駆けてスタートし、うまくいきました。今後もテクノロジーを活用してコスト削減やスピードアップを実現していきます。当社はチャレンジに積極的な会社です。患者さんに薬を早く届けるためにできることは何でも挑戦する気持ちで取り組んでいます。
また、今後は製薬会社に対して、私たちから提案・発信できる会社になりたいと考えています。コスト低減やスピードアップにつながるような、より良いやり方をこちらから仕掛けていく。ワンチームとしてコラボして働ける環境を作っていきたいと思います。
近年はCRAの業務が複雑化し、1人のCRAが全てを担うことが難しい状況です。そうした環境下で新しいチャレンジを促進するには、分業化により専門性を高めることが重要です。そこで当社のクリニカルオペレーション部門では、「ECDモデル(Evolved Clinical Delivery Model)」を導入しました。これにより、クオリティも治験スピードも上がっています。
専門性が発揮でき、働きやすさも実現した「ECDモデル」
志賀氏:ECDモデルでは、一つの施設を複数のCRAが担当します。役割は大きく3つ。Remote CRA(R-CRA)が施設全体をリードし、On Site CRA(O-CRA)が医療機関へ出向いて現地業務を担い、Assistant CRA(A-CRA)がR-CRAの指示のもと内勤業務を行います。
ECDモデルによって分業化を進めたことで、クライアントからは「各ロールが十分専門性を発揮してくれている」「施設に訪問するCRAが施設のコミュニケーションに集中できており、試験運営のほとんどを新日本科学PPDに任せられている」といったフィードバックをいただいています。
医療機関からは、急ぎの対応や質問があった場合、O-CRAが外勤中であっても、R-CRAがタイムリーに対応できるため、「バックアップ体制が強化された」という声が寄せられています。
―― ECDモデルは、CRAが働く上ではどのようなメリットがあるのでしょうか。
奥田氏:私はCRAとしてO-CRAとA-CRAを兼任していますが、R-CRAがいてくれることは本当に心強いです。自分が担当している施設から問い合わせがあったときなど、他施設での外勤で対応できなくてもR-CRA や A-CRA がカバーしてくれるので、働きやすいと感じています。
志賀氏:休みが取りやすくなったという話はよく聞きます。1人で施設を担当していると、休みを取るための準備が大変ですが、同じ施設を3人で担当しているため、ほかの2人がカバーしてくれる。そのため、長期休暇も取りやすくなっています。
また、産休・育休からの復帰後、「当面は外勤を控えたいがモニタリング業務には携わっていたい」という要望が、女性だけでなく男性社員からも増えてきました。「訪問を伴わないロールに変わりたい」という希望にも、フレキシブルに対応できています。
導入当初は混乱を招くこともありましたが、カバーの仕方の工夫を積み重ね、今はスムーズに運営できていると感じます。CRAからは「非常に働きやすい」というフィードバックを多く耳にします。
CROにおける治験サービスは、「人ありき」です。ベストサービスを提供するには、提供する社員も働きやすくなければならないと考え、日々ラインマネジャーたちと試行錯誤しています。
―― 「CRAのキャリア構築」という観点では、ECDモデルにはどのような役割があるのでしょうか。
志賀氏:キャリア志向・家庭事情・専門性など、100人いれば100とおりの背景や希望があります。それぞれの強みや志向を活かすことを意識してアサイン先を決めています。育成面では、新人はA-CRAから始め、徐々にO-CRAとしての業務も覚え、若手の面倒を見られるR-CRAに成長していく段階を踏めます。
1人で全業務を行う場合、担当できる施設は5~6ほどですが、ECDモデルでは10施設ぐらいを横串で見て、多くの施設をマネージする経験ができるのです。それにより、実務を通じて自身のキャリアをしっかりと考えることができます。「プロジェクト全体を見るのが楽しい」「若手の成長支援にやりがいを感じるので、先々はラインマネジャーを目指したい」といった気付きを得られ、将来のキャリアイメージをクリアに描ける。「納得感をもって次のロールにチャレンジできる」と好評です。
周囲の人を気にかけ、助けることが当たり前の風土
―― 新日本科学PPDの風土・カルチャーについてもお聞きしたいと思います。奥田さんはその点に魅力を感じて転職してこられたそうですね。
奥田氏:CRC時代、いつかCRAの仕事に挑戦する機会があるなら、新日本科学PPDで働きたいと考えていました。5年間ほど求人が出るのを待ち続けたほどのファンだったのです。
というのも、CRCとして新日本科学PPDのモニターさんたちと一緒に仕事をする機会が多く、専門性や施設への誠実な姿勢、すばらしい人間性に触れてきたからです。皆さん、本当に優しかったのです。施設とのトラブルや資材不足、スケジュール調整など、親身になって相談に対応してくれて、レスポンスが非常に早い。孤独になりがちなコーディネーターにとって、非常に心強かったのです。
それはたまたま一緒にお仕事した1人だけでなく、何人もの方が同じだったことが強く印象に残っていました。CRAへの転職を目指すとき、新日本科学PPDなら理想のCRAになれると確信し、応募して入社に至ったのです。
―― 実際に入社してみていかがでしたか。ギャップはあったのでしょうか。
奥田氏:なぜあのような姿勢で働けているのか、納得しました。先輩・後輩・上司・役員まで、皆が周囲の人のことを気にかけ、相談にも親身に対応する風土があるのです。若年層のCRAでさえ、誰かを助けようとします。不思議に思って理由を聞くと、「自分たちがOJTのときからさまざまな先輩に助けてもらっているので、そうすることが当たり前」という答えが返ってきました。教育担当だけでなく、チーム皆が1人を育てる風土に衝撃を受けましたね。部署や垣根を越えた連携や助け合いが自然に根付いている会社だと考えています。外から見ていた印象と、実際に入社してから感じたことにギャップはなかったので、自分の選択に間違いはなかったと感じています。
志賀氏:全社会議でも、栗岡から「まず相談してほしい」という話が繰り返しあります。正直に話してもらえれば救えることは数多くあります。報告・相談がしやすい関係の強化を、ラインマネジャーたちは意識しています。また、オープンオフィスの機会も設け、先輩や上司以外の人にも気軽に相談できる場所が充実している会社だと思います。
栗岡氏:人材の育成とサポートには、多くの時間とお金を投資しています。私も志賀もメンタリング でCRAをケアしていますよ。「プロジェクトメンタリング」では、プロジェクトごとにマネジャーをアサインし、CRAの面談を行います。成果を出したり、目標を達成したスタッフを集めてのレコグニッションイベントや食事会なども頻繁に開催しています。
志賀氏:「FUNプロジェクト」と呼んでいる、趣味の同好会・クラブ活動もあります。スポーツやゲームなどジャンルはさまざまで、趣味が合う人たちが年次やプロジェクトに関係なくコミュニケーションを取ったり、休みの日に活動したりしています。そうした場でちょっとした相談ごとをしているCRAもいるようです。
栗岡氏:私もフットサル、卓球、釣り、ゴルフ、登山などに参加しています。
奥田氏:あらゆる場面で、役員クラスとの距離はかなり近いと感じますね。
―― 応募・入社を検討されている方々にメッセージをお願いします。
奥田氏:私は、この仕事に誇りをもって働いています。全社会議でもチームミーティングでも、活発に意見交換が行われ、常により良い方法を追求する文化が根付いていると感じています。「会社が好き、仕事が好き」な自分でいたい方、患者さんの笑顔に通じる仕事がしたい方、挑戦したい方を心から歓迎します。
志賀氏:当社では幅広い学びを得られます。業務の質や効率の改善活動など、シニアマネジメントレベルの人達と一緒に活動することができるタスク活動に参画し、ファシリテーション・資料作成・プロジェクトの進め方なども学べます。心理的安全性が保たれた環境で、「こういうことをやりたい」というチャレンジを全力で応援します。
栗岡氏:第一に、新薬を患者さんに届ける情熱のある方に来ていただきたいと思います。会社の体制や教育制度は充実しており、成長したい気持ちがある方にはその機会を提供できます。これまでお話してきた理念や目標に共感できる方であれば、メンバーと良好な関係を築いていただけるでしょう。
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