求人・採用インタビュー
グローバル標準への転換期に躍進
──ICONが求める、変化を楽しむプロフェッショナル
ICONクリニカルリサーチ合同会社
写真左から
- ICONクリニカルリサーチ合同会社 Clinical Project Management ディレクター 田野 麻美子氏
- ICONクリニカルリサーチ合同会社 社長 小川 淳氏
- ICONクリニカルリサーチ合同会社 Clinical Operations ディレクター 蓼沼 真弓氏
-
世界最大級のグローバルCRO(医薬品開発業務受託機関)として、50カ国以上で臨床開発を展開するICONクリニカルリサーチ。日本のCRO業界が大きな転換期を迎える中、同社はグローバル標準の開発手法を日本市場に展開する取り組みを加速させています。2021年のPRAとの統合を経て組織規模と存在感を飛躍的に高めた同社で、変化を楽しみながら自律的にキャリアを築く方を求めています。
社長の小川 淳氏、Project Managementチームでディレクターを務める田野 麻美子氏、そしてClinical Operationsでディレクターを務める蓼沼 真弓氏にお話を伺いました。
グローバル標準への転換が加速する日本市場
――現在のCRO業界を取り巻く環境について、どのような変化が起きているのでしょうか。
小川氏:医薬品業界全体が大きな変革期を迎えています。新薬開発の構造が根本的に変わり、世界では完全に水平分業の時代となりました。大学などアカデミア発のバイオベンチャー企業が創薬を担い、臨床開発はCROが受託し、承認後の販売を大手製薬企業が担うという役割分担が確立されつつあります。
この変化にともない、バイオテクノロジー企業が臨床試験の後期段階まで自ら開発を主導するケースが増えました。グローバルなバイオテック企業から見ると、残念ながら日本市場の優先順位は相対的に低下し、必ずしも国際共同試験に日本が参画している訳ではなくなっており、その結果、「ドラッグラグ」──海外で承認された新薬が日本で使えるようになるまでの遅れ──という深刻な問題が生じています。この状況を受けて、日本でも規制当局や医療機関は危機感を強めており、従来の日本独自の手法を見直し、グローバルスタンダードに合わせていこうという動きが本格化しています。
――日本市場が直面している具体的な課題とは何でしょうか。
小川氏:端的にいえば、日本が国際共同治験に参加できるかどうかが問われている点です。現在、グローバルなバイオテック企業の戦略は、アメリカを中心とした主要市場での同時開発・同時承認を目指しており、その枠組みに日本が入れるかどうかが、極めて重要な分岐点となっています。
国際共同治験である以上、日本だけが異なる手法でデータを収集することは望ましくありませんし、グローバルと同じ基準でデータを評価してこそ、日本人とほかの人種との差異を正確に把握できるのです。グローバルスタンダードへの歩み寄りが、今まさに求められています。
一方で日本特有の丁寧さが、時として非効率を生んでいる面もあります。例えば、CRA1人が担当できる医療機関数は、世界標準の半分以下というのが実情です。念のための二重三重の確認、詳細な記録作成、ありうるリスクへの準備など──これらは決して手を抜いているわけではなく、むしろ一人ひとりが真剣により良いものを作ろうとした結果なのですが、グローバルで50カ国以上を見ている世界のリーダーからすれば「なぜ日本だけこれほど時間がかかるのか」という疑問が生じてきます。我々はこの構造的な課題を解決することが、ドラッグラグ問題の改善に直結すると考えています。
グローバルCROの強みが活きる時代
――このような業界の転換期において、ICONはどのような戦略を取られているのでしょうか。
小川氏:当社の最大の特徴は、グローバル開発に徹底的に特化した臨床開発専業のCROであるという点です。グローバルCROと呼ばれる会社はほかにも存在しますが、当社はその中でも群を抜いてグローバル開発に特化している企業だと自負しています。グローバル標準の品質を世界中で実行したいと真剣に考えていますし、極端に言うと「日本は特別」という考えや運営が好ましいとは考えていません。
数年前まで、「グローバル標準の品質を世界中で実行したい」という方針自体が日本での事業運営において課題となっていました。グローバル本社から「これが世界標準ですから日本でも実施してください」と言われても、日本のマーケットは独特であることを丁寧に説明し理解を取り付けたり、日本仕様に調整する作業に多大な労力を費やしていたのです。
しかし、状況は大きく変わりました。日本市場がグローバル標準に歩み寄る方向に舵を切る必要性が高まったことで、私たちの業務環境は劇的に変化しています。もともとグローバル標準で運営することを前提に設計された我々のような組織体制が、ようやく日本市場でも本来の力を発揮できる時代になったのです。
当社は50カ国以上にオフィスを展開しており、グローバルで標準的なプロセスがすでに確立されています。取り組むべきテーマも新しいものを日本で作るということではなく、「グローバル標準を日本でどのように運用するか」というものに変わっています。以前は「グローバル標準をどう日本で受け入れられる形にするか」という調整に時間がかかる難しさがありましたが、今は前向きに改革を進めやすくなっています。
一足飛びに昨日と今日でまったく違うものになるわけではありませんが、方向性的には日本がグローバルに歩み寄っている状況ですので、これまでもグローバル化を進めていた私たちとしては非常に恵まれたタイミングにあると感じています。
蓼沼氏:規制当局が「エコシステム」という言葉で業界全体の連携を呼びかけ始めたことも、大きな転機となりました。当社もこの流れに積極的に参画し、社員がCRO業界団体や当局の活動に主体的に関わっています。
社内では具体的に「Too Much(過剰な業務)」の削減に取り組んでいます。長年の慣習で、医療機関のスタッフもCRA(臨床開発モニター)も本来やるべき業務以上に手間をかけて業務遂行しているケースが少なくありません。「ここまでやればICONとしては日本のGCPや各種規制を考慮しても国際的に標準的な品質水準を満たしている」と考える基準を示したうえで、日本でのこれまでの慣習を医療機関やスポンサーが少しずつ再考し、変えていくきっかけになればと考えています。
――業界全体での連携についても教えていただけますか。
蓼沼氏:CRO業界団体のToo Much削減活動に、当社のメンバーも参加しています。特に画期的なのは、業界全体で「インフルエンサー」を育成する取り組みです。方針を策定しても、それが現場のスタッフレベルまで浸透しなければ、真の変革は起こりません。ICONからは7名がインフルエンサーとして活動しています。
小川氏:当社のインフルエンサー制度は、いわばゲーム感覚を取り入れています。誰が最も効果的に情報発信できるかを競い合う仕組みです。競争原理を活かしながら、楽しみながら変革に取り組める環境を整えているのです。
――業務効率化やテクノロジー活用についてはいかがでしょうか。
蓼沼氏:バイオテック案件では、徹底した分業体制を構築しています。CRAの役割を施設訪問に集中することで、業務効率が大幅に向上しました。また、業務効率という観点では、日々の業務におけるAIの活用について最近社内でも多く耳にするようになりましたね。
グローバル企業である当社にとって、AI翻訳の進化は特に大きなインパクトがあります。グローバルのメンバーとのやり取りも、言語の壁を意識することなく、内容そのものに集中できるようになりました。日々のメール、会議の議事録、文書の翻訳──あらゆるコミュニケーションの効率が劇的に改善しています。こういったツールを活用することで、仕事のやり方自体が根本から変わったと日々実感しています。
統合がもたらした組織の進化とキャリア
――2021年のPRAとの統合は、組織にどのような変化をもたらしたのでしょうか。
田野氏:私が入社した2012年当時、ICONは業界内でもまだ知名度の低い存在でした。しかし、PRAとの統合を経て、会社は劇的に変貌を遂げました。最も顕著な変化は、情報共有の文化です。統合前は組織的な情報共有の仕組みが十分でなく、極めて非効率でした。PRAが持っていた情報共有の文化が組織全体に浸透し、現在は効率的に機能するようになりました。
組織規模の拡大も著しく、私がCTM(Clinical Trial Manager:臨床試験の管理)として入社した2012年当時、CTMは5名しかいませんでしたが、現在は90名近くに達しています。プロジェクトマネージャーの採用面接を担当していますが、最近は「メディアで発信されている社長の考え方に感銘を受けて応募しました」という転職希望者が増え、会社としての知名度も上がっていると感じる機会が多くなりました。
――お二人のキャリアも、会社の成長とともに発展してきたのですね。
田野氏:新卒で旅行会社に入社し、入社式の頃にはすでに1人でモロッコに添乗に出されるような厳しい環境でした。そこで海外で働く日本人女性に多く出会い、20代のうちに海外で仕事をしたいと思い、シンガポールで3年弱、現地採用で働きました。帰国後、友人宅でたまたま読んだ新聞でドイツの製薬会社のMR募集を見つけて応募し、そこからこの業界に入ったという経緯があります。本当に偶然が重なって今のキャリアがあると感じますね。
蓼沼氏:私は新卒で薬学部を卒業後、CRO業界に入りました。2社目に勤めた国内CROは立ち上げ当初で、社員もCRAもまだほとんどいないゼロからのスタートでした。東京オフィスのCRA1人目として入社し、バリバリ働きたいというタイプだったこともあり、30代前半で部長職まで昇進させていただきました。経営視点を養いたいと考えてMBAを取得し、その後グローバル企業でチャレンジしたいと考え、グローバルCROの薬事部門でマネージャーを経験した後、2018年にPRA(現ICONの前身)にCTMとして入社しました。約2年間CTMとして業務に携わったあと、Clinical Operations Managerにポジションを変更し、CRA等のラインマネジメント業務やクライアントとのネゴシエーション業務を担当しました。そして2024年8月よりClinical Operationsのディレクターに昇進いたしました。
田野氏:2015年まで日本のICONには、プロジェクトマネージャーというポジション自体が存在しませんでした。当時、グローバルの関係者から見て、日本のマーケットは「ブラックボックスだ」と呼ばれていました。日本の業務全体を把握し、グローバルに説明責任を果たせるポジションが必要とされ、その第一号としてプロジェクトマネージャーとなったのが私でした。
プロジェクトマネージャーの仕事は、ある意味で自由度が高いといえます。クライアントの満足度を追求し、試験を成功に導き、収益性も確保する──SOP(標準業務手順書)は存在しますが、その枠内で工夫し、最適な方法を見出していく。そこに面白さがあります。当時前例や見本がなかったため不安もありましたが、だからこそ挑戦のしがいがありました。
変化を楽しみ、自律的にキャリアを築く人材像を求めて
――どのような方と一緒に働きたいとお考えですか。
田野氏:形式にこだわらず、柔軟な発想ができる方と働きたいと考えています。プロジェクトマネジメントの現場では、マニュアルに載っていない想定外の事態が必ず発生します。そうした局面で、自ら解決策を考え、推進できる自律性とクリエイティビティを持つ方と一緒にお仕事がしたいなと思っています。
少し意外に思われるかもしれませんが、「空気を読まない」ことも、ある意味で重要な資質だと考えています。グローバル環境では、思っていることを率直に表明し、推進していくことが何より大切です。必ずしも“行間を読む”必要はなく、むしろ率直に物事を伝えていくアサーティブネスが求められる──そうした文化があります。
蓼沼氏:私が重視しているのは、変化を楽しめる方です。組織は絶えず進化しているので、古いやり方に固執するのではなく、新しい取り組みを柔軟に受け入れられる方を求めています。
実際、私の部門でも年々、業務の分担や役割が変化しています。例えば、バイオテックの部門では徹底した分業制を導入しましたが、最初はもちろん戸惑いもありました。しかし、CRAが施設訪問に集中できるようになった結果、月10日間の訪問をこなすメンバーが出てくるなど、明確な生産性向上における成果が表れています。こうした変化を前向きに受け止め、「次はどう改善しようか」と考えられる方が、結果的に大きく成長しています。変化が多いということは、裏を返せばチャンスも多いということです。
当社は社内公募制度が非常に活発です。オープンポジションの情報は全社員に定期的に共有され、希望する方は積極的に応募することができます。
小川氏:当社では、公募に応募すること自体がポジティブに評価されます。積極的にさまざまなことにチャレンジする姿勢そのものが、マネジメントから見れば大きなプラスなのです。現代において、自分のキャリアを自ら設計することは極めて重要です。変化のスピードが速い時代ですから、先輩世代のキャリアパスを追えば同じようになれるという考え方は、もはや通用しません。
――ダイバーシティについてはいかがでしょうか。
小川氏:女性マネージャーの比率は30数パーセントに達しています。ただし、社員の6割以上が女性であることを考えると、まだまだ改善の余地があると認識しています。マネージャーレベルでは着実に増加していますが、ディレクターレベルではまだ男性が多いのが現状です。
グローバルで見ると、ダイバーシティはもはや「推進すべき目標」ではなく「当たり前の前提」になっています。多様な視点をもつチームの方が、より良い意思決定ができることは、数多くの研究で実証されています。日本でも着実に変化は起きていますが、まだ道半ばです。性別だけでなく、国籍、バックグラウンド、考え方──あらゆる意味での多様性が、これからの組織力の源泉になると確信しています。
――最後に、転職を検討されている方へメッセージをお願いします。
小川氏:時代が大きく変わっているということは、多くの方が実感されているはずです。
率直に申し上げますが、様子見をしている場合ではありません。CROの転職市場が落ち着いているのは、転職時に提示される給与の上昇幅が以前より小さいという理由だと聞きます。しかし、それを理由に「今の会社にいれば、当面は大丈夫だろう」と自分に言い聞かせている間にも、確実にチャンスは失われていきます。
その間に、手を挙げた人は着実に前へ進んでいます。キャリアは待っているだけでは決して築けません。手を挙げてから考えても遅くはないのです。むしろ、話を聞いてみて、比較検討した上で今の会社にとどまると判断されるのであれば、それは主体的な選択です。しかし、何もアクションを起こさず、現状維持が安全だと思い込んでいるのであれば、それは最もリスクの高い選択だと私は考えています。
変化の時代において、自ら行動を起こせる人こそがキャリアの主導権を握ることができます。手を挙げられるかどうかが、5年後、10年後のあなたのキャリアを大きく左右します。
当社は、入社後にしっかりとキャリアステップを積んでいただくことを重視し、会社としてもキャリア形成を支援しています。入社後に何段階もステップアップしている社員が数多くおり、とりわけ日本が成長期にある組織だからこそ実現できることです。当社は拡大を続けており、新しいポジションが次々と生まれていますので、チャレンジの機会は豊富です。こうした環境でキャリアを築きたいとお考えの方に、ぜひご入社いただきたいと思います。
目指すキャリアは人それぞれで、「このキャリアしかない」という固定観念はありません。多様なキャリアパスの中から、ご自身が目指すキャリアに近づくためのステップが当社にあるかどうかという視点で、ご検討いただければ幸いです。
ハイクラス転職を実現する
「コンサルタントの提案」
をぜひご体験ください
ハイクラス転職で求められることは、入社後すぐにビジネスを牽引する存在になること。
そのために「コンサルタントの提案」を聞いてみませんか?
ご経験・ご経歴・ご希望などから、転職後のご活躍イメージを具体的にお伝えします。

