――「トータルデザイン」の思想のもと、どのような風土・カルチャーが築かれていますか。
さまざまな人が協業しやすい、フラットな企業文化が醸成されています。入社1年目であっても、40年の経験をもつエンジニアと気軽に話し、一緒に取り組む光景がごく当たり前に見られますね。
グローバルレベルでフラットな環境の中で、エンジニアやコンサルタントが日々コミュニケーションをとり、自分の専門性を生かしつつ、周りの意見も取り入れる。そうして、さまざまな視点を踏まえた提案や設計をすることで、お客さまに付加価値の高いサービスを提供しているのです。
私は現在「鉄道」の事業を統括しています。私自身はもともと電気関連の設備・システムの経験を積んできましたが、部門内には車両のエンジニアや、運行・保守関連に専門性を有する人など、さまざまな専門家がいます。また、海外に目を向けると、同じ鉄道でも線路などの設備を担当する人、駅舎の建築設計をする人、トンネルの設計をする人などさらに幅広い人材がいます。こうした多様性は他の事業でも同様です。
だから、お客さまから自分の専門分野以外の相談や要望を受けても、周囲にいる専門家のサポートを受けることで期待に応えられるのです。自分の部門に分かる人がいなければ、世界中から知見やノウハウをもってこられる。特定分野にとどまらず、幅広くお客さまのニーズを満たしたいと考える方にとって、面白い職場環境だと思います。
――世界から知見を得たいとき、どのような手順でどのようにコンタクトを取るのでしょうか。
グローバルネットワークの中で、専門性をもったエキスパートを比較的見つけやすく、そこにアクセスしやすい環境にあります。Microsoft Teamsに相手の名前を入力して、初めての相手であってもフランクに「Hi, this is Naoyuki」と。「今こういう案件をやっていて、ここが分からない。あなたがエキスパートだと聞いたので教えてもらえないか」と投げかけると、普通に答えが返ってきます。
新卒1年目のスタッフでも「相手はダイレクターだから、まず上司を通して……」といった手順は必要ありません。直接、ダイレクターや経営ボードメンバーに質問しても返事をもらえるのです。英語が得意ではなくても、チャットツールを使えば今はAIがサポートしてくれます。さまざまな人から知見を得たい人にとっては成長しやすい環境ですし、それを望む若手メンバーは大歓迎です。
他にも「Skills Network」と呼ばれる各専門分野をグローバルにつなぐ社内掲示板のようなものがあり、自由に参加、投稿が可能でスタッフ間のコミュニケーション、情報交換ツールとして活用されています。
このようにグローバルとシームレスな連携がしやすい風土について、つい最近も象徴的な出来事を経験しました。私がイギリス・ロンドンの本社に出張する機会があり、せっかくなのでお客さま(日本企業)にもロンドンに来ていただき、意見交換や打ち合わせをする計画を立てたのです。
イギリスには何千人ものスタッフがいるので、まずは香港事務所の同僚に「お客さまをお連れしてこういう話をしたいが、担当者として誰が適任か」と相談しました。すると、つながったのはボードメンバー。「いいよ、アレンジしてあげるよ」と言ってくれたので、部下に指示するのだろうと思っていたら、当日、本人が現れました。もちろん私とも、同席したお客さまとも、面識はありません。それにもかかわらず、「僕が一番適任だから」と出てきてくれて、多忙で時間が限られている中でも、熱量高く話してくれました。
一般的なグローバル企業なら、グループ全体を統括するボードメンバーに面会するとなれば、東京事務所の代表を通し、しかるべき手続きを取った上で、資料や想定質問をしっかり準備するものでしょう。しかしアラップでは、ポジションにかかわらず、「その知識・経験をもっていて、ビジネスの発展に寄与できる人が出ればいい」という考え方です。帰途につきながら、「このようなことはアラップでなければ起きないな」と実感しました。