採用企業インタビュー
「トータルデザイン」を基本コンセプトに、
分野と国境の垣根を越える統合力で価値提供するアラップ
オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッド
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- アラップ 東京事務所 Japan Rail Leader 泉 直行氏
世界的ランドマークであるシドニー・オペラハウスやシンガポールのマリーナベイサンズなど、世界各地で社会的価値が高いプロジェクトを手がけてきたエンジニアリング・コンサルティング会社のアラップ。イギリス・ロンドンに本拠を置き、世界34カ国、約100カ所の事務所を構え、1万8000名以上のスタッフを擁しています。
日本でも「モード学園コクーンタワー」や「メゾンエルメス」などシンボリックな建築物を多数手がけていることから「構造設計」のイメージで捉えられることが多いのですが、鉄道・洋上風力発電やプロジェクトマネジメント&アドバイザリーなど、さまざまな領域で事業を展開しています。
アラップの理念や風土、今後の展望について、東京事務所で鉄道事業を統括する泉直行氏にお話を伺いました。
創業者の哲学である「トータルデザイン」が根差す
―― アラップの事業領域は多岐にわたるそうですが、どのようなビジョン・ミッションのもと取り組まれているのでしょうか。
アラップは1946年の設立以来、80年にわたり、構造・土木・設備・音響・ライティング・プロジェクトマネジメントなど、建築や都市、インフラに関する幅広い分野を横断する専門家集団として発展してきました。 日本では構造設計をはじめとする建築分野で認知されていますが、公共交通やエネルギーなどの領域にもサービスを展開しています。
東京事務所は1989年、関西国際空港旅客ターミナルビルのプロジェクトを機に設立されて以来、グローバルネットワークを生かしながら、さまざまな領域で実績を重ねています。建築物やインフラに関する多様な技術設計・コンサルティング・プロジェクトマネジメント&アドバイザリー、私が統括する鉄道・交通インフラ関連、再生可能エネルギー分野(洋上風力発電)などが挙げられます。
アラップの根幹には、エンジニアであり哲学者であった創業者、サー・オーヴ・アラップの思想があります。1970年に行ったスピーチ「The Key Speech」の中で発言した「トータルアーキテクチャー」が、時代とともに進化を遂げたのが「トータルデザイン」の考え方です。
これは、クライアントの課題を解決するために、異なる専門分野のエンジニアが協働し、現実的かつ実行可能で、コスト効率にも優れた質の高い成果を導き出すことを指します。社会や文化的な背景までを含め、あらゆる要素を統合的に捉える設計アプローチです。
『We shape a better world』も同様に創業者のスピーチに由来しています。デザインの力を通じてよりよい世界を形づくること。50年以上が過ぎた今でも、私たちはこのスピーチに込められた目標を大切にし、新たな課題に向き合う際の指針としています。
参考:オーヴ・アラップ - 主要スピーチ
アラップには世界で1万8000人以上のスタッフがいますが、一人ひとりがその大切さを認識しています。さまざまなバックグラウンドをもつエンジニアやコンサルタントが、分野や国境の枠を越えて業務に取り組み、お客さまにサービスを提供しています。
トータルデザインを提供できる体制や環境を整備する目的には、収益の最大化だけでなく、おのおのが自分の分野だけを見ていては生まれない価値を、総合的に提供することも含まれます。今まで誰も成し遂げていなかったような何かを提供し、新しいものを生み出していくという要素が、トータルデザインの思想の中に含まれていると思います。東京事務所のスタッフを見ていても、「受注したので要望どおり設計する」ではなく「このようなデザインで、このように貢献したい」という主体的な意思をもった人が多いですね。
また、アラップは「サステナビリティ」に重きを置いています。エネルギー系プロジェクトを例にとると、化石燃料の採掘・精製や火力発電所などCO₂を大量に排出する事業には原則として関わらず、再生可能エネルギー等環境負荷の低減に寄与するものだけを対象としています。東京事務所では、再生可能エネルギーの中でも洋上風力発電のプロジェクトに注力しており、将来的には、発電した電気を陸上に送電あるいは蓄電し、安定した形で活用するための支援までサービスを広げていきたいと考えています。
――アラップの理念や価値観は、グループ内でどのように共有し、浸透させているのでしょうか。
一つに「All Members call」があります。これは世界中の全スタッフを対象に開催するオンライン会議で、グループの経営陣が経営状況や今後の戦略、重要プロジェクトの進捗などを説明します。
そして、一方通行ではなく、Q&Aセッションも行われます。スタッフがチャット上でどんどん質問を投げかけ、経営陣はその場で答えるか、即答できないものは後日書面で回答するのです。
私は、約6年前にアラップに入社する前、数万人規模のグローバル企業で働いてきましたが、多くの場合、グローバルトップのメッセージは書面で伝えますよね。グループのトップが全スタッフに向けて生の声をリアルタイムで届け、かつスタッフとセッションを行う企業はアラップ以外にはありませんでした。
私たちの会社がどこに向かい、何をしようとしていて、どのような価値を見出してビジネスをしているのか。そうした価値観や基本的な考え方を共有する機会は、ほかの企業より多いのだと思います。
フラットでシームレスな環境。グローバルとすぐにつながる
――「トータルデザイン」の思想のもと、どのような風土・カルチャーが築かれていますか。
さまざまな人が協業しやすい、フラットな企業文化が醸成されています。入社1年目であっても、40年の経験をもつエンジニアと気軽に話し、一緒に取り組む光景がごく当たり前に見られますね。
グローバルレベルでフラットな環境の中で、エンジニアやコンサルタントが日々コミュニケーションをとり、自分の専門性を生かしつつ、周りの意見も取り入れる。そうして、さまざまな視点を踏まえた提案や設計をすることで、お客さまに付加価値の高いサービスを提供しているのです。
私は現在「鉄道」の事業を統括しています。私自身はもともと電気関連の設備・システムの経験を積んできましたが、部門内には車両のエンジニアや、運行・保守関連に専門性を有する人など、さまざまな専門家がいます。また、海外に目を向けると、同じ鉄道でも線路などの設備を担当する人、駅舎の建築設計をする人、トンネルの設計をする人などさらに幅広い人材がいます。こうした多様性は他の事業でも同様です。
だから、お客さまから自分の専門分野以外の相談や要望を受けても、周囲にいる専門家のサポートを受けることで期待に応えられるのです。自分の部門に分かる人がいなければ、世界中から知見やノウハウをもってこられる。特定分野にとどまらず、幅広くお客さまのニーズを満たしたいと考える方にとって、面白い職場環境だと思います。
――世界から知見を得たいとき、どのような手順でどのようにコンタクトを取るのでしょうか。
グローバルネットワークの中で、専門性をもったエキスパートを比較的見つけやすく、そこにアクセスしやすい環境にあります。Microsoft Teamsに相手の名前を入力して、初めての相手であってもフランクに「Hi, this is Naoyuki」と。「今こういう案件をやっていて、ここが分からない。あなたがエキスパートだと聞いたので教えてもらえないか」と投げかけると、普通に答えが返ってきます。
新卒1年目のスタッフでも「相手はダイレクターだから、まず上司を通して……」といった手順は必要ありません。直接、ダイレクターや経営ボードメンバーに質問しても返事をもらえるのです。英語が得意ではなくても、チャットツールを使えば今はAIがサポートしてくれます。さまざまな人から知見を得たい人にとっては成長しやすい環境ですし、それを望む若手メンバーは大歓迎です。
他にも「Skills Network」と呼ばれる各専門分野をグローバルにつなぐ社内掲示板のようなものがあり、自由に参加、投稿が可能でスタッフ間のコミュニケーション、情報交換ツールとして活用されています。
このようにグローバルとシームレスな連携がしやすい風土について、つい最近も象徴的な出来事を経験しました。私がイギリス・ロンドンの本社に出張する機会があり、せっかくなのでお客さま(日本企業)にもロンドンに来ていただき、意見交換や打ち合わせをする計画を立てたのです。
イギリスには何千人ものスタッフがいるので、まずは香港事務所の同僚に「お客さまをお連れしてこういう話をしたいが、担当者として誰が適任か」と相談しました。すると、つながったのはボードメンバー。「いいよ、アレンジしてあげるよ」と言ってくれたので、部下に指示するのだろうと思っていたら、当日、本人が現れました。もちろん私とも、同席したお客さまとも、面識はありません。それにもかかわらず、「僕が一番適任だから」と出てきてくれて、多忙で時間が限られている中でも、熱量高く話してくれました。
一般的なグローバル企業なら、グループ全体を統括するボードメンバーに面会するとなれば、東京事務所の代表を通し、しかるべき手続きを取った上で、資料や想定質問をしっかり準備するものでしょう。しかしアラップでは、ポジションにかかわらず、「その知識・経験をもっていて、ビジネスの発展に寄与できる人が出ればいい」という考え方です。帰途につきながら、「このようなことはアラップでなければ起きないな」と実感しました。
柔軟性が高く、新たなチャレンジを後押しする風土
――非常に柔軟性があるのですね。それは縦横の連携のほか、日々の業務遂行においても同じなのでしょうか。
柔軟性はかなり高いと思います。トータルデザインやサステナビリティといった考え方から外れないかぎり、極端にいえば「何でもやらせてもらえる」環境です。私自身、「こうすればビジネスをより広げられるのではないか」と思えば、率直に上司に伝えていますし、「いいね、やってみれば」と返ってきます。もちろん「成果を出してね」ともいわれますが、チャレンジの背中を押してくれる。そしてサポートする環境も整っています。
予算の範囲内であること、リスクがある場合は何重ものチェックが入ることは前提としながらも、柔軟性をもち、お客さまにとって一番価値がある部分にフォーカスしてそれを提供しようというマインドセットが当社にはあると感じます。
社内で日ごろ聞こえてくる会話や、マネジャーの人たちと飲みながら話している中でも、皆がそうした考え方で仕事をしていることが伝わってきます。自分たちの仕事に誇りをもち、お客さまが本当に満足するものを目指して取り組んでいるのだな、と。
やりたいことがある人にとって、新しいチャレンジをするには非常に適した会社だと思います。
――ほかにも、これまで経験してこられた企業とアラップの違いを感じるところはありますか。
アラップに入って面白いと感じたのは、受注した案件には必ず、プロジェクトダイレクターとプロジェクトマネジャーの2つのポジションをアサインしなければならないルールがあることです。プロジェクトダイレクターはプロジェクトの統括責任者で、プロジェクトマネジャーは日々の業務を管理し、マネジメントを行います。案件の規模にかかわらず、必ずこの2つの役割が一つの案件につきます。
通常、日本の感覚だと、プロジェクトマネジャーと呼ばれる人は、いわゆる「中間管理職」であり、決裁権が限られているケースが多いのではないでしょうか。しかし、アラップのプロジェクトマネジャーは、必ずしも「管理職」である必要はなく、一般職員であってもプロジェクトマネジメントの能力が認められればアサインされます。そして、責任とともにプロジェクト関連の経費の使用方法や支出などに対し、一定の権限がしっかり与えられるのです。この仕組みは非常に画期的だと感じました。
例えば、海外出張のため高額な費用がかかる場合、一般的な企業では課長→部長→本部長の決裁といった、いわゆる「スタンプラリー」が発生するでしょう。しかしアラップでは、プロジェクトに予算があり、必要な出張であれば、プロジェクトマネジャーが承認できます。
私自身、アラップに入社後、まだ管理職ではないときにプロジェクトマネジャーにアサインされました。前職では、予算の使い方ひとつひとつに対し上司に伺いを立て、承認をもらわなければならなかったので、そのころと同様に、予算の使い方をプロジェクトダイレクターに聞いたのです。すると「なぜ聞くのですか。あなたがプロジェクトマネジャーとして管理しているのだから自分で判断しなさい」といわれました。
このように、管理職になる前からさまざまなことを管理・判断する機会が与えられるのは、少なくとも私がこれまで経験してきた企業にはありませんでした。こうした成長機会があるのは、アラップならではだと思います。
グローバルの知見を生かし、新たな産業領域への価値提供を目指す
――日本での取り組み、今後の展開についてお聞かせください。
日本では35年以上の歴史がありますが、これからもビジネスを広げ、さまざまなお客さまに価値提供していくことを成長戦略として描いています。
建築分野は国内案件が中心ですが、鉄道分野では日本企業をお客さまとし、海外で展開する案件のサポートが中心です。鉄道にフォーカスすると、ゆくゆくはグローバルな知識や経験を日本にもち込み、優位性のある分野について、エンジニアリングやコンサルティングサービスを国内市場に提供していきたいという強い思いがあります。
こうした動きは、日本において、鉄道産業に限らず幅広い産業に継続的に貢献していく上で重要だと考えています。現在、日本では鉄道・エネルギー・建築の3つを柱としていますが、今後は、これら以外の分野でも日本の産業に貢献することを視野に入れています。その取り組みに、グローバルの知見・経験が生かせます。
――応募・入社を考える方にメッセージをお願いします。
鉄道分野に関しては、「海外案件を経験したい」「グローバルネットワークを生かした仕事をしたい」と希望する方に、これまで多数応募・入社していただきました。実際、海外プロジェクトや海外スタッフとの交流を通じてスキルアップしたいと考える方にとっては、適した環境だと思います。
そして、分野を問わず、新しいアイデアや有望な市場などの提案があれば、海外と連携しながら挑戦できる環境が整っています。挑戦への意欲をもつ方をお迎えし、一緒に成長を目指したいと思います。
ハイクラス転職のJAC3つの強み
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