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SREエンジニアが歩むキャリアパスを、経営者視点で紐解く

株式会社スリーシェイク

※このウェビナーは2023年5月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
キャリア座談会
  • 吉田 拓真 氏
    株式会社スリーシェイク 代表取締役社長
    2011年DeNA入社後、グループ会社のインフラを担当。2013年にスタートアップのソーシャルゲーム会社に参画。ベンチャー創業期の技術・事業・経営全般をリードした。2015年1月にSRE総合支援を主力事業とするスリーシェイクを設立。

近年、Google発祥のエンジニアリング手法であるSRE(Site Reliability Engineering)が注目を集めている。これは、信頼性の高い本番環境システムを構築・維持するための手法で、日本でもSRE組織を立ち上げる企業が増加。その中で重要性を増しているのが、SREエンジニアの存在だ。
そこでJAC Recruitment(以下、JAC)は、スリーシェイク社の代表取締役社長 吉田氏拓真氏をゲストに迎え、SRE領域におけるキャリア形成や将来性について聞いた。

―他のエンジニア職にはないスキルや経験を積めるSREエンジニア

JAC:まずSREエンジニアと一般的なエンジニアの違いについて、説明していただけますか?

吉田氏:SREエンジニアと他のエンジニアで異なる点は、関わる領域の広さです。
そもそも一般的なエンジニアの役割は、技術における課題解決なのに対し、SREエンジニアの場合はエンドユーザーの信頼獲得。対応領域が広くなるのです。

吉田氏
株式会社スリーシェイク
代表取締役社長
吉田 拓真 氏
JAC:SREエンジニアならではのキャリア形成や働く上での魅力についてはどうお考えですか?

吉田氏:SREエンジニアは、関わる領域が幅広いからこそ、キャリアとしての魅力も多いです。
大きく分けて3つほどあります。
まず、SREエンジニアはインフラエンジニアを起点とする職種なので、インターネットの根幹を知ることができます。ブラウザ上のWebシステムやSaaSの仕組みを理解し、知見を蓄積できる点は楽しいと思います。
次に、希少性の高さです。希少性が高いため、給与も高くなる傾向があります。
最後に、コミュニケーション力を高められる点です。裏を返せば必要スキルということでもあります。
SREエンジニアの存在意義は、エンドカスタマーの信頼にあります。そのためには、PM(プロジェクトマネージャー)や企画職といったビジネスサイド、開発エンジニアなどから課題や目的をヒアリングし、共にゴールを定義していく必要がある。目的達成のためには、技術力だけではなくコミュニケーション力も不可欠ですね。

JAC:SREエンジニアに必要な技術要素や経験は何でしょうか。

吉田氏:まずインフラエンジニアとしての技術力です。
LinuxやOS、TCP/IPのネットワークの基礎知識は重宝します。さらにPythonやJavaなど言語は問いませんが、プログラミングでスクリプトを組んだ経験やWebサイトの構築経験があるといいでしょう。
SREの仕事は上位システムの動きを把握することも求められるので、プログラミングやWebシステムの構築経験は必要です。
少し高度なスキルとしては、AWSやGCPといったクラウドや、Dockerと呼ばれるコンテナ技術の知識も活かすことができます。加えてセキュリティの経験があると、なおよいですね。これらの要素が、SREエンジニアに必要な基本的技術ラインです。
最初はUIでの操作から始めて、クラウド作業に慣れていき、徐々に自動化に取り組んでいくと、これらのスキルを蓄積できると思います。

JAC:LinuxやWindowsなどのOSの仕組みにしっかり触れることは、SREエンジニアに近づくために重要な要素なのですね。

吉田氏:そうですね、オンプレミスで高度なインフラエンジニアリングを経験している方は、クラウドの世界でも力を発揮できると思います。AWSやGCPの仕組みは、基本的にオンプレミスの環境を仮想的に動かしているものに近いです。これにより、オンプレミスでキャリアを積んできたエンジニアは、クラウドの全体像を早く把握し、スムーズに適応できる素質を持っていると思います。

―マネジメント視点を養えるSREエンジニア。CxOへのキャリアアップも可能

JAC:オンプレミスのインフラエンジニアやバックエンドエンジニアが、SREエンジニアのキャリアに進む際、克服すべき障壁はありますか?

吉田氏:2つあると考えています。
まず、ソフトウェアエンジニアリングの経験が浅いこと。アプリケーションなどの開発経験がない場合、インフラの構築や運用はできるが、アプリケーションの中身について理解ができず、SREの動きについていけないということになりがちです。開発者の視点で先読みして動くことができないと、大きな課題となります。実際に動作しているアプリケーションに深く介入もできませんね。

万が一、アプリケーションで遅延が発生している場合、アプリケーションの開発者に助けを求めるだけで終わってしまいます。しかしSREの場合、遅延が発生しているアプリケーションの具体的な問題箇所を探し出し、修正を行ったり、GitHub上にプルリクエストを作成して修正を提案したりすることが求められます。そのレベルがSREの最終目標となるため、ソフトウェアエンジニアリングの知識は必須でしょう。

そしてもう1つが、コミュニケーション力。ソフトウェアエンジニアリングの領域では、アジャイル開発が一般的となり、ビジネスサイドとの折衝が当たり前になっています。しかし、インフラの世界では、元々ビジネスサイドとの距離が遠く、対話する経験が少ない。そのため、オーナーシップや顧客視点を持つことが難しいケースも見受けられます。部門を跨いだ提案や議論をリードすることは自分の役割なのか、といった疑問やためらいがよく生じることもあるようですが、SREにおいては、自ら進んで責任を引き受けることも醍醐味の一つだと思います。

JAC:SREエンジニアになった先のキャリアについてはどうお考えですか?

吉田氏:あくまで一例ですが、インフラエンジニアとしてのステップを踏んだ後、自動化やソフトウェアエンジニアリングに触れることで、DevOpsエンジニアとしての役割を果たすようになります。
その後、アプリケーション開発をサポートし、オーナーシップを持ってフルスタックなプレイヤーとして活躍することが、SREエンジニアとしての地位を築くことにつながります。
さらにその先はエバンジェリストとして活動することや、特定の領域で専門家となること、あるいは企業のトップになることなど、多様なキャリアパスが存在すると思います。

JAC:開発者の理解やビジネス職との折衝の経験も積めるSREエンジニアは、組織をまとめたり他の組織とつなげたりするポジションも有力なのでしょうか。

吉田氏:大いにあると思います。SREエンジニアは技術だけでなく経営視点も必要となります。CxOやそれに近いポジションに就く方も少なくありません。SREと経営レイヤーは相性がいいですね。
もちろん最初から事業視点を持っている必要はなく、少しずつそういった思考を持てるようになるのだと思います。

JAC:SRE領域におけるマネジメントキャリア形成についても、ご意見をお聞かせください。

吉田氏:SREでマネジメントキャリアを形成するには、プロジェクトマネジメントスキルやコンサルティング要素が有益となると考えています。SREの導入や定着は、1人のエンジニアだけでは成しえません。SREチームを100%活かすマネジメント力はとても重要です。
さらにコンサルティング要素がある方がスムーズに進みやすい。なぜなら顧客の組織や経営の基盤にまで介入するケースもあるから。採用計画や開発体制の見直しなど、さまざまな取り組みをする中で、マネジメントの立場として関与し、顧客のビジネスサイドと協力しながら変革を進める力は、SREの定着に役立つと思います。

JAC:SREの構築や導入におけるPM・PMOは、具体的にどのような要素が求められるのでしょうか。

吉田氏:まずお客様に対して、現在の課題や目標について丁寧に伝える説明能力。また、SRE関連の課題が浮上した場合に、ディスカッションをリードし、解決策を見つけるファシリテーション能力も求められます。もちろん、相手の課題を解決し、SREの活躍を促進するためにも、基礎となる技術スキルや知識は欠かせないため、クラウドプラットフォームの理解や実践経験は習得すべきでしょう。PMとして、このような要素や知識を備えることで、信頼性の高いSRE環境を作ることができるのだと思います。

―顧客と伴走して、SRE環境の内製化を目指す

JAC:SREの展望について、経営者視点、採用視点からお聞かせください。

吉田氏:今後ますます、SREエンジニアは引く手あまたになると予想しています。エンジニアが50万人ほど不足する時代がすぐそこまで来ていますが、その中の5~6%はSREエンジニアと言われています。
正確なデータはありませんが、長年採用に携わる私の肌感覚では、現在SREエンジニアは2、3千人いるかいないか。つまりこの先、10倍ほどの人材が足りなくなるのが、実態です。
SREのニーズは、エンタープライズや金融、スタートアップ企業などを中心に増えていくと思います。特に小売や製造業は、クラウド導入が進み、従来のインフラ体制やウォーターフォール型開発から改革を試みている分野。SREとアジャイル開発を組み合わせて、SREを内製化する動きも活発化していくのではないでしょうか。

JAC:SREエンジニアの給与面については、いかがでしょうか。

吉田氏:一般的なエンジニアに比べて、年収が100~150万くらいは高い印象です。ですので、ジュニアクラスの場合、ミニマムで年収500万前後、ミドルクラスでは800万、900万は当たり前だと思います。1500万前後も珍しくありません。日本よりSREが浸透する海外企業でも、SREエンジニアの給与も希少性も高い傾向です。今後需要がなくなることは、ないと思います。

JAC:SREエンジニアのキャリアは、今後どのように進化していくと思いますか?

吉田氏:当社は長い間SREのサービスを担ってきましたが、SREエンジニアのカバー領域はとても広いです。すべての領域にプロフェッショナルとして対応するのは、不可能でしょう。今後は、さらなる細分化が進むのではないかと考えています。「データベースに特化している」「セキュリティに強い」など、より専門的な職種が増える可能性も高いと思います。

JAC:貴社で提供されているSREサービスについても詳しく教えてください。

吉田氏:当社では、企業内でSREを内製化するお手伝いをさせてもらっています。具体的には、クラウドネイティブな環境の構築、運用に関わりながら、DevOps整備し、徐々にSREを実践していく流れを作っていきます。最終的には、お客様のエンジニアと協力し、教育や採用にも伴走して、内製化のゴールを迎えるという流れです。

昔からSREはアウトソースに不向きだと言われてきました。なぜなら、SREは継続的な改善を前提にし、さらに動いているアプリケーションが担うビジネスについても理解が必要になるものだから。例えば顧客理解のない状態で単にリソースをアウトソースすると、継続的な取組に繋がらず実用に耐えないシステムが出来上がります。また内製化を意識しない場合、属人化した仕組みがSREやDevOpsの継続性を阻みます。要するに外部の人がどこまで開発やビジネスに食い込めるかという問題なのですが、ここが従来SRE自体のアウトソースはありえないと言われた要因です。

今でもSRE支援を行っている企業はありますが、多くの場合は請け負いというビジネスモデルで、一時的なリソース補助という側面が強いです。そうすると実行面でどうしても関係性を築きづらくなる。そうした点を加味した上で、当社では、オーナーシップと内製化をテーマに、SREの構築をサポートしています。お客様と密接に連携し、最終的には担当者様や担当チームにハンドリングしてもらうことで、持続性を確保しています。ここにSREの本質をしっかりと組み込んでいくことが、私たちの事業にとって不可欠な要素だと考えています。

JAC:本日は貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。ありがとうございました。

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