未経験から宇宙業界への転職は難しい?宇宙業界の魅力や転職市場動向も解説

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公開日:2025/10/30 / 最終更新日: 2025/10/30

宇宙業界は、未開拓領域への挑戦と最先端技術による社会基盤の変革が期待される分野で、転職先として非常に魅力的です。政府主導に加え、民間企業やベンチャーの参入が進み、異業種で培ったスキルを活かしたい方や技術革新の最前線でキャリアを築きたい方にとって、大きな可能性が広がっています。

本記事では、宇宙業界の転職市場動向や最新求人情報に加え、未経験(異職種・異業種)からの転職難易度や求められる人物像まで、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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未経験から宇宙業界への転職は難しいのか


宇宙業界への転職は高度な専門性が求められるため難しいと感じられがちですが、実際には異業種で培った経験を応用しやすい環境が整っており、未経験からの転職は不可能ではありません。未経験から宇宙業界への転職が可能な理由や必要なスキル、成功させるための工夫を解説します。

  • ●宇宙業界は裾野が広く幅広い業種から参入しやすい
  • ●宇宙業界で歓迎されやすい異業種での経験・スキル
  • ●未経験から宇宙業界への転職を成功させるための努力や工夫

宇宙業界は裾野が広く幅広い業種から参入しやすい

宇宙業界は専門性が求められる領域ですが、開発や運用の枠組みなどの裾野が広いため、未経験からでも比較的参入しやすい分野です。多彩な業種で培った知見が活かせる業界といえます。

その背景には、宇宙ビジネスがロケットや人工衛星の開発にとどまらず、通信ネットワークの構築、観測データの解析、製造工程の最適化、ソフトウェア開発、サービスの提供など、複数の要素が複雑に関わり合いながら進行していることが、その理由です。例えば、自動車業界での機械設計や品質評価の経験は、宇宙業界の機体開発や構造設計にも応用できます。また、通信業界でのネットワークや信号処理の知識は、衛星通信分野で応用可能です。こうした類似性があるため、異業種出身の専門性を受け入れる下地が形成されています。

加えて、国や企業が異業種からの参入を積極的に受け入れている姿勢を明示していることも重要です。JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、「文系・理系を問わず幅広い分野からの応募」を呼びかけており、プロジェクトの多様化にともなって必要な専門性が拡張していることがわかります。こうした動向が、多様なバックグラウンドをもつ方にとって参入のしやすさを支える要因となっています。

宇宙業界で歓迎されやすい異業種での経験・スキル

宇宙業界で歓迎されやすい経験やスキルは、技術領域と事業推進・経営戦略領域の二つがあります。いずれも既存の宇宙企業が直面する課題と密接に関わっており、未経験からの転職を目指す方の強みとなり得ます。

技術領域では、航空機や自動車分野で培った設計や解析の経験が、高く評価される傾向にあります。また、機械工学や電気工学に基づく知識は、人工衛星やロケットの構造設計に直接結び付きます。加えて、IT業界でのソフトウェア開発やAI・データ解析の経験も注目されています。これは、宇宙分野では制御ソフトや衛星データの高度な処理が不可欠となっており、これらの知識を活かせる場面が増えているためです。

一方で事業推進・経営戦略領域では、新規事業開発やプロジェクトマネジメントの実績が歓迎されます。宇宙ベンチャーを中心に新しい事業が次々と立ち上がっているため、構想段階から実行フェーズまでをリードした経験が役立ちます。加えて、海外営業や経営企画の経験も重要視されています。国際的な市場展開を目指す企業や、株式公開を視野に入れるスタートアップにおいては、これらの経験者が即戦力として迎え入れられます。

未経験から宇宙業界への転職を成功させるための努力や工夫

未経験から宇宙業界への転職を成功させるための努力や工夫には、学習を通じた基礎力の習得と、実績を可視化するための取り組みの二つがあります。いずれも未経験というハンデを補い、採用企業に熱意と適性を示す要素です。

学習の面では、宇宙工学やプログラミングを体系的に理解することが出発点になります。独学やオンライン講座で知識を得るだけではなく、小型ロケットやCanSat(模擬人工衛星)の開発プロジェクトに加わることで、設計や検証といったプロセスを実地で体験でき、理解を深めることができます。

実績づくりの観点では、宇宙関連のハッカソンへの参加が効果的です。衛星データを利用したサービス開発やローバー制御ソフトの競技に挑戦することで成果を出し、入賞すればスキルの証明にもなります。

さらに、自身の取り組みを発信する姿勢も評価につながりやすいです。ブログやGitHubで活動内容を公開すれば、技術や知識に加え、継続力を示すことが可能です。

宇宙業界への転職の魅力


宇宙業界への転職には、ほかの業界では得られない大きな魅力があります。宇宙業界の主な魅力は、次のとおりです。

  • ●未開拓の巨大市場に挑戦できる醍醐味
  • ●最先端技術と壮大なミッションに関われる
  • ●成長産業に身を投じるキャリア価値と将来性の高さ

未開拓の巨大市場に挑戦できる醍醐味

未開拓の巨大市場に挑戦できる醍醐味は、宇宙業界に転職する大きな魅力の一つです。既存の産業では成熟が進み新規性の余地が限られていますが、宇宙業界は依然として手付かずの領域が多く残されており、参入すること自体が挑戦となります。

宇宙業界は、「最後のフロンティア」と呼ばれるように、商業利用の可能性が大きく広がっています。民間による宇宙旅行や宇宙資源の採掘、月面開発、さらには衛星コンステレーションを活用した地球規模の通信網構築など、構想段階から実用化に近づきつつある分野は多岐にわたります。

こうした環境にある宇宙業界での経験は、ほかの業界では得がたい達成感をもたらします。ゼロから市場を築き、「誰も成し遂げていないことを実現する」役割を担えるのは、まさに宇宙業界ならではの魅力です。

最先端技術と壮大なミッションに関われる

宇宙業界へ転職する魅力の一つは、最先端技術と壮大なミッションに携われることです。この業界では、ほかの分野に先駆けて開発される技術や、人類全体に影響を及ぼす大規模なプロジェクトに携わる機会が多くあります。

日常的に触れられる技術には、ロケットエンジンや人工衛星の設計・運用といった代表的な業務があり、新素材の開発や精密制御工学、AIを活用した衛星データ解析、量子通信なども含まれます。極限環境での確実な動作が求められる宇宙分野だからこそ、最新の知見を踏まえた研究と実用化が、同時に進められています。

こうした継続的な技術的挑戦の積み重ねが、ミッション達成に直結しています。国際宇宙ステーションでの科学実験、月や火星探査計画、地球観測衛星を用いた気候変動の監視など、こうした社会全体に影響を及ぼすプロジェクトに関わることができる点が、大きな魅力です。

成長産業に身を投じるキャリア価値と将来性の高さ

宇宙業界へ転職する魅力は数多くありますが、特に成長産業に身を投じることには大きな価値があります。急速に拡大している市場でキャリアを築くことは、自らの将来に大きなチャンスをもたらすと考えられるからです。

実際、宇宙ビジネスは各国政府の支援と民間投資の拡大を背景に、長期的な成長が見込まれています。日本政府も国家戦略として産業振興を進めており、企業参入や新規プロジェクトの立ち上げが活発です。こうした環境下では、大規模な開発プロジェクトのリーダーや、新規事業の推進役に抜擢される可能性があります。

成長局面にある産業で経験を積むことで、自身の市場価値を高める効果もあります。技術革新が続く状況の中で専門性を深めると希少性が増し、国際協力の広がりによってキャリアの選択肢も柔軟に広がる点が大きな魅力です。

宇宙業界の転職市場動向


宇宙業界の転職市場は、国家主導で限られた組織が担ってきた時代から、大きく変化しています。現在ではベンチャー企業や異業種の大手が次々に参入し、新しい雇用機会を生み出している状況です。

市場規模についても成長が期待されており、内閣府の「宇宙基本計画」では、2020年に約4兆円だった国内宇宙ビジネス市場を、2030年代初頭までに、その倍となる約8兆円へ拡大する目標が掲げられました。この実現に向けて、予算の拡充や関連法整備、資金供給策が次々と導入されています。

実際の求人の傾向を見てみると、衛星開発・運用やロケット開発といったエンジニアリング職が、特に高い需要を集めています。また、成長を支えるため事業開発や営業、経営企画、法務・知財などの総合職の需要も強まっています。例えば、地理的制約が少ない宇宙ビジネスでは海外営業経験者が重宝され、上場を視野に入れる宇宙ベンチャーではIPO準備の経験者が求められるなど、具体的なキャリアの評価ポイントも明確になりつつあるのが現状です。

出典:内閣府「宇宙基本計画(令和5年6月13日 閣議決定)」(p.10)

宇宙業界の主要企業と特徴


宇宙業界で活躍する主要プレーヤーは、国の宇宙機関から民間の大手メーカー、新興スタートアップまで多岐にわたります。それぞれの企業には、以下のような特徴があります。

  • ●公的機関・宇宙関連団体(JAXAなど)
  • ●大手重工・電機メーカー(ロケット・衛星開発)
  • ●通信・衛星運用企業
  • ●宇宙ベンチャー・宇宙スタートアップ

公的機関・宇宙関連団体(JAXAなど)

公的機関・宇宙関連団体は、日本における宇宙開発の中心的役割を担い、国家戦略のもとで活動を展開しています。ロケット打ち上げや人工衛星の開発・運用に加え、有人活動や基礎研究など幅広い領域をカバーし、国際宇宙ステーションや惑星探査といった国際共同プロジェクトにも積極的に参画している点が特徴です。国家的ミッションを遂行するための技術力と、国際機関との連携を通じたグローバルな視野が備わっていることが大きな特色といえます。

代表的な組織には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、政策立案を担う内閣府宇宙開発戦略推進事務局、衛星利用推進センターなどが挙げられます。

大手重工・電機メーカー(ロケット・衛星開発)

大手重工・電機メーカーは、長年培った高度な製造技術と大規模開発体制を強みに、日本の宇宙産業を支える屋台骨となっています。高い信頼性を前提とする宇宙分野において、材料工学・精密加工・制御技術を総合的に統合できる点が最大の特徴です。膨大な人員や研究設備を活用した体制により、国家プロジェクトや国際的な共同開発でも中心的な役割を担っています。

代表的な企業には、H-IIA/H3ロケットの主契約企業である三菱重工業、通信・観測衛星の製造で実績をもつ三菱電機やNEC、液体ロケットエンジンや固体ロケット「イプシロン」の開発を担うIHIエアロスペースなどが挙げられます。

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通信・衛星運用企業

通信・衛星運用企業は、人工衛星を活用して通信・放送サービスやデータ提供を行う企業であり、宇宙と地上をつなぐインフラを担っていることが大きな特徴です。衛星の運用や地上局ネットワークの管理に加え、サービス設計や営業・マーケティングまで幅広く関与するため、ITや通信事業の知見を活かせる領域でもあります。近年はグローバル規模での衛星コンステレーション構築も進んでおり、宇宙と情報通信産業が一体化する流れを牽引しています。

代表的な企業には、衛星通信・放送の最大手であるスカパーJSATが挙げられるでしょう。そのほかには、NTTドコモやKDDIは衛星携帯やIoT通信の実証に参画し、ソフトバンクはHAPSを用いた非地上ネットワークに投資しています。地球観測分野では、衛星画像を活用した高精度3D地図「AW3D」を世界展開するNTTデータが有名です。

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宇宙ベンチャー・宇宙スタートアップ

宇宙ベンチャー・スタートアップは、大企業にはない機動力と独創性を武器に、新しい宇宙ビジネスを切り拓いているのが特徴です。少人数で開発から営業・広報まで幅広い役割を担うことが多く、社員一人ひとりの裁量が大きい点も際立ちます。大胆な目標を掲げながら事業を推進する姿勢や、資金調達を通じた急成長フェーズにある点から、組織基盤の整備と事業拡大を同時に進めている状況も特徴的です。

代表的な企業には、月面着陸船の開発を手掛けるispace、小型ロケット「MOMO」の打ち上げに成功したインターステラテクノロジズ、小型SAR衛星による地球観測事業を展開するSynspective、超小型衛星の量産・運用で知られるAxelspaceなどがあります。そのほか、人工流れ星を計画するALE、宇宙用ロボットアームを開発するGITAI、軌道上インフラ構築を目指すOrbital Engineeringなど、多様なスタートアップが台頭しています。

宇宙業界の主な職種・仕事内容と求められる経験・スキル


宇宙業界には多岐にわたる専門職種が存在し、それぞれ役割や求められるスキルセットが異なります。主な5つの職種とその仕事内容、および必要とされる経験・スキルを解説します。

  • ●衛星開発エンジニア
  • ●ロケット開発エンジニア
  • ●ソフトウェアエンジニア(宇宙システム)
  • ●品質保証・テストエンジニア
  • ●宇宙機運用エンジニア・管制官

衛星開発エンジニアの仕事内容と求められる経験・スキル

衛星開発エンジニアは、人工衛星の設計から打ち上げ前の試験まで一連の工程を担う職種です。ミッションに応じた全体設計を行い、観測センサーや通信機器などのペイロードと、電源・推進・姿勢制御・熱制御といったバス系サブシステムを統合します。これらの設計・統合に加え、機械構造の設計や電気回路の実装、制御ソフトの構築など、その業務は多岐にわたります。最終段階では組み立てや振動・熱真空試験を通じて、宇宙環境で確実に機能するかを確認する役割も担います。

衛星開発エンジニアで求められる経験やスキルは、宇宙工学や機械・電気電子・ソフトウェアに関する幅広い知識と、全体を調整するシステムズエンジニアリング力です。衛星開発経験だけではなく、航空機や自動車など複雑なシステム開発経験も評価される傾向にあります。

そのほか、真空や温度差といった特殊環境への対応力、CAD設計や軌道シミュレーションのスキルも強みとなります。大規模プロジェクトを推進するためのマネジメント力や分野横断的な協調力も重要なスキルの一つです。

ロケット開発エンジニアの仕事内容と求められる経験・スキル

ロケット開発エンジニアは、人工衛星や宇宙船を宇宙へ送り出す打ち上げロケットの設計・開発を担います。機体構造やエンジン・燃料系統の推進系、誘導制御システムなどの設計に加え、発射設備との調整も担当し、複数分野の専門知識を統合する役割を担います。試作品の製造、燃焼試験や風洞試験を重ねて性能を確認し、打ち上げ当日は最終チェックやカウントダウン手順の策定にも関与するなど、開発から運用まで一貫してロケットのライフサイクルに携わるポジションです。

この職種では、機械工学・材料工学・熱力学・流体力学といった理工学の基礎知識に加え、燃焼工学や低温推進剤の取り扱い、振動や制御についても高度な理解がもとめられます。さらに、有限要素法による構造解析やCFD(数値流体力学)による流体解析、MATLAB/Simulinkを用いた軌道や誘導シミュレーションなど、これらの解析スキルも高く評価されます。

加えて、ロケットや航空機エンジンの開発経験は大きな強みとなります。大学や研究機関での研究実績や、モデルロケットの開発経験も評価対象です。リスクが高く失敗の許されない分野であるため、問題解決へ冷静に取り組む姿勢や、改良を重ねる探究心も欠かせません。

ソフトウェアエンジニア(宇宙システム)の仕事内容と求められる経験・スキル

宇宙システムのソフトウェアエンジニアは、ロケットや人工衛星に搭載される制御ソフトから地上管制システムやデータ処理基盤までを幅広く担当します。主な業務は、人工衛星では姿勢制御や通信制御用ソフト、ミッションデータ処理プログラムを設計・実装し、地上局では衛星を監視・操作する管制ソフトや受信データを解析・可視化するアプリケーションの開発です。ロケット分野では自動飛行制御や安全装置向けソフトが対象となり、限られた計算資源や高い即時性、信頼性を前提にプログラミングとテストを行います。

必要とされる経験・スキルは、C/C++やPythonといった基礎的なプログラミング言語に加え、リアルタイムOSでの組込み開発やマイコン・FPGA向けのファームウェア開発の経験です。人工衛星は長期間の無停止運用が求められるので、冗長化やエラーハンドリングを含む高信頼ソフト設計力が重視されます。

さらに、通信規格(CCSDSなど)や暗号・セキュリティの知識も必須です。地上システムではサーバーサイド開発、データベース、クラウド環境の活用が必要となり、衛星データ解析では画像処理やAIの応用も期待されます。リアルタイム制御ソフトの開発実績や論理的思考、徹底したデバッグ能力、チームでのドキュメント作成力も重要であり、確実に動作するソフトウェアを開発する技術力とシステム全体を見通せる広い視野が不可欠です。

品質保証・テストエンジニアの仕事内容と求められる経験・スキル

品質保証・テストエンジニアは、ロケットや人工衛星をはじめとする宇宙機器の品質管理と試験を専門に担い、ミッションの成功を左右する重要な役割を担います。開発初期から品質保証計画を策定し、部品単体試験やサブシステム統合試験、システム総合試験といった各段階での確認を実施します。

具体的には、人工衛星では振動・熱真空・電磁両立性といった環境試験を行い、ロケットではエンジン燃焼試験や分離機構の地上試験、模擬打ち上げ試験などの実施を行います。そのほか、試験手順の作成から設備準備、データ解析、是正措置の立案までを担い、外部部品の検収や品質監査も担当します。

これらのポジションで求められるのは、「宇宙品質」を守るための高い注意力と体系的な知識です。ISO 9001やJIS Q 9100といった品質規格や、NASAやJAXAの開発標準を理解することは、試験工程を適切に設計・運用するために不可欠です。さらに、航空宇宙や自動車といった品質要求の厳しい分野で培ったQA経験は、不具合の兆候を早期に見抜き、改善へとつなげる実践力として活かされます。

宇宙機運用エンジニア・管制官の仕事内容と求められる経験・スキル

宇宙機運用エンジニア・管制官は、打ち上げられた人工衛星や探査機を地上から監視・制御し、計画どおりにミッションを進める役割を担います。地上管制センターではテレメトリーデータを常時監視し、異常を早期に発見して対応します。

主な業務は、必要に応じて姿勢制御や軌道変更のコマンドを送信し、観測衛星なら観測対象に合わせた調整、通信衛星なら通信リンクの維持を行うことです。こうした運用を円滑に進めるため、日々の観測スケジュールやデータ取得計画を策定することも重要な役割です。

求められるスキルには、衛星の各システムに関する基礎知識とデータから状況を即座に読み解ける能力が挙げられます。また、軌道力学の理解は運用判断に直結し、運用ソフトやスクリプトで解析や自動監視を行えるスキルも役立ちます。

衛星管制の経験があると理想的ですが、航空機管制やプラント監視といったリアルタイム運用の経験があると高く評価されやすくなります。国際共同プロジェクトでは英語の使用も多いため、技術英語を理解しやり取りできる力も重要です。

宇宙業界の最新転職・求人情報


宇宙業界における直近の求人動向を見ると、技術系からビジネス系まで幅広いポジションで採用ニーズが伸びています。引き続き衛星開発・ロケット開発・ソフトウェア・制御系などのエンジニアリング系職種の募集が多数を占めますが、それに加えて新規事業開発系のポジションも目立っています。

特に、宇宙ビジネスに新規参入した大手企業を中心に、宇宙領域の事業立ち上げメンバーを募集するケースが増えています。また、宇宙ベンチャー・スタートアップ各社も、事業拡大にともない採用を強化している状況です。

さらに特徴的なのは、宇宙関連プロジェクトを支援するコンサルティング系ポジションの募集が出ている点です。ITコンサルティング企業や総合コンサルティングファームが、宇宙産業向けの戦略策定やシステム導入支援を行う部門で、コンサルタントを募集する事例も見られます。

ここで、JACが保有する、宇宙業界の最新求人情報を紹介します。

株式会社ElevationSpace:Director, Thruster System【東北大学発ベンチャー 人工衛星 大気圏再突入】

宇宙産業を創出するスタートアップ企業:教育事業開発

宇宙ベンチャー:エンジニア

株式会社本田技術研究所:宇宙技術研究開発

株式会社デジタルブラストコンサルティング:【宇宙事業×ITコンサルティング】コンサルタント

大手総合ファーム:防衛・宇宙領域:戦略コンサルタント(防衛・宇宙関連業界)

株式会社本田技術研究所:人の活動領域を宇宙へと拡げる水電解・燃料電池システムの研究開発

三菱電機株式会社:宇宙/防衛向けの通信システムの新規提案/開発/設計業務【鎌倉製作所】

社名非公開:【神奈川県川崎市】宇宙建築ロボットベンチャー経営企画・事業開発

上記は、公開求人の一例であり、実際には非公開求人も多数存在します。JACでは、企業戦略上公にできない非公開求人を豊富に取り扱っています。より多くの選択肢を得たい方は、転職コンサルタントに相談することをお勧めします。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

※掲載されている求人の中には、募集が終了している場合がございます。あらかじめご了承ください。(2025年9月現在)

宇宙業界への転職で求められる人物像


宇宙業界で活躍する方に共通する人物像として、次のような資質やマインドが求められます。

  • ●宇宙への強い情熱と好奇心
  • ●粘り強く長期間にわたるチャレンジを続けるマインド
  • ●絶え間ない学習意欲と業界トレンドへの高い感度

宇宙への強い情熱と好奇心

宇宙業界では、宇宙そのものに強い情熱と好奇心を抱いていることが重視されます。宇宙開発は未知への挑戦が多く、計画どおりに進まない場面も少なくありません。新しい技術をゼロから生み出すことや、予想外のトラブルに直面することが日常的に起こり得るということです。その状況を乗り越える原動力となるのが「宇宙が好きだ」という純粋な気持ちです。

実際に活躍している方の多くは、幼少期から宇宙や天体に関心をもち、学び続けてきた方がほとんどです。その思いがあるからこそ、難題にも粘り強く取り組み、革新的な発想を生み出すことができます。

企業も、面接などで転職希望者の宇宙への関心が本物なのかを確認する傾向があります。そのため、日頃からニュースを追うだけではなく、関連イベントに参加する、専門書籍や論文を読むといった行動で情熱や好奇心を示すことが大切です。

粘り強く長期間にわたるチャレンジを続けるマインド

宇宙業界では、粘り強く長期的に挑戦を続けられる姿勢が欠かせません。宇宙開発は短期間で成果が出る分野ではなく、数年から数十年単位の取り組みが一般的だからです。

実際に、ロケット開発では基本設計から試験、打ち上げ成功までに10年以上かかる場合があります。人工衛星においても、コンセプト立案から運用終了までを含めると数十年におよびます。その過程では打ち上げ失敗や設計変更など不測の事態が繰り返し発生し、心が折れそうになる場面も少なくありません。

こうした状況で求められるのが、諦めずに改善を重ねるマインドです。企業は、困難に対し前向きに取り組み続けられる方を高く評価するため、面接でも過去に直面した壁をどう乗り越えたかを聞かれる傾向にあります。

絶え間ない学習意欲と業界トレンドへの高い感度

宇宙業界では、絶え間ない学習意欲と業界トレンドへの高い感度を備えた方も求めています。技術革新が非常に速く、国際的な動きも目まぐるしく変化するため、一度身につけた知識や経験だけでは通用しなくなることが多いからです。

事実、新しいロケットエンジンの理論や人工衛星のプラットフォーム、海外ベンチャーの新サービスなどは日々更新されており、今日までの常識が明日には通用しなくなることもあります。そのため、自ら情報を取りに行き、それを業務にどう活かすかまでを考えられる方が高く評価されます。

こうした学習意欲と情報感度を備えた人物は、変化の激しい宇宙業界において信頼されやすく、長期的に活躍できる存在とされています。

未経験から宇宙業界へ転職した場合の年収相場


2023年1月~2025年9月までにJACが転職をサポートした事例を見ると、宇宙業界へ転職された方の平均年収は780.2万円です。年代別に見ると、20代後半では約544.6万円と全体の平均水準に近い金額ですが、30代後半では800.5万円に到達しています。さらに40代前半では905.1万円に達し、経験を積むことで高度な設計力やプロジェクト推進力が評価され、年収に反映されやすい傾向が見られます。

また、JACの事例の中には1,200万円を超える高水準オファーが提示されたケースもあり、マネジメント層や先端技術を担う方には大幅な年収アップのチャンスが広がっています。宇宙業界は新規事業や国家プロジェクトに関わるケースも多いので、実力が直接的に評価されやすい業界です。

役職平均年収
メンバークラス755.0万
管理職923.3万
平均年収
日系企業779.1万円
外資系企業788.9万円

※当社実績(2023年1月~2025年9月、想定年収)より

宇宙業界に関連する職種の一般的な平均年収は、航空機関連を含む製造業・輸送用機械器具製造業や、製造業の研究開発職のデータをもとにすると、おおよそ600万円~800万円前後だと考えられます。企業規模や参画するプロジェクトの内容によって水準は変動しやすいものの、技術力と専門性が高く評価される領域である点が特徴的です。

未経験から宇宙業界への転職事例


JACが提供する転職支援サービスを利用し、転職を成功させた宇宙業界の転職事例を紹介します。

航空宇宙業界の宇宙プロジェクトマネージャーへ転職した事例

Sさん(50代前半/男性)

業種職種年収
転職前エネルギー業界事業企画・事業開発/PM1,000万円
転職後航空宇宙業界プロジェクトマネージャー1,050万円

Sさんは国内外の大規模プラントにおける設計・工程管理・リスク対応を一貫して担い、海外拠点での多国籍チームマネジメントや顧客表彰などの実績をもつ方です。長期のPM経験に加え、英語での会議運営・技術文書の作成にまで対応できる強みがあり、宇宙分野への強い志望動機も明確でした。

JACのコンサルタントは、宇宙機開発のプロジェクトでは、設計・試験・審査会運営を横断するPM能力が鍵になる点に着目。Sさんの「品質・コスト・スケジュール・リスク」のすべてを同時に最適化してきた経験を、宇宙ミッションのマイルストーン管理・ゲートレビュー運営にダイレクトに転用できるスキルとして再定義。加えて、海外エンジニアリング組織との協業経験やサプライヤーマネジメントを、宇宙機サブシステム間を横断して調整できる力として構造化し、応募ポジションの要件との適合性を、具体的なプロジェクト事例で提示しました。

結果として、設計部門と開発チームを束ねるプロジェクトマネージャーとして内定に至り、年収も微増で着地しました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

宇宙関連専門商社の国内外に広く対応する営業へ転職した事例

Rさん(30代後半/男性)

業種職種年収
転職前自衛隊幹部/輸送・企画600万円
転職後航空宇宙業界営業(国内外・官公庁対応)800万円

Rさんは重車両輸送の指揮・長距離輸送計画の立案、災害時の初動統制などを経験し、英語での調整・通訳・資料作成までを担ってきました。組織の意思決定プロセスを理解し、行政文書・会議運営に精通している点が特長です。精力的に業務に取り組む中で、民間でのスキルアップとグローバル環境を希望し、宇宙・防衛分野のキャリアへ舵を切りました。

JACのコンサルタントは、官公庁・防衛関連の商流では、「計画立案力」「エビデンスに基づく説明責任」「多国間調整」が営業成果を左右することを踏まえ、Rさんの実務を営業プロセスにマッピング。英文メール運用や会議ファシリテーションの実績を、海外メーカー・顧客との折衝能力として具体化しました。さらに、官公庁調達の文書ルールへの理解を評価ポイントに据え、専門商社の営業職へと橋渡しを行いました。

結果、即戦力のポテンシャルを高く評価され、今までの経験やスキルを活かして、組織体制を強化しつつ海外と関われるポジションに就くことができました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

宇宙実験装置開発の電気系エンジニアへ転職した事例

Iさん(50代後半/男性)

業種職種年収
転職前IT業界弱電回路設計/PJT管理750万円
転職後航空宇宙業界電気系エンジニア(宇宙実験装置)900万円

Iさんは携帯・車載・監視領域のカメラモジュールなどで回路設計から画質評価、量産立ち上げまでを横断して携わり、PLとしてチームを率いた経験を有します。また、今後は宇宙分野への事業展開も視野に入れ、これまで以上に専門性の高い電気設計に従事できる環境を希望していました。

JACのコンサルタントは、宇宙実験装置の開発で重視されるEMC/耐放射線設計や電源特性などの要件に対し、Iさんの回路設計・解析・試験の知見を職務要件に照らし合わせて評価しました。さらに、量産における設計品質の確保や故障解析の経験を、宇宙機器の信頼性要求に合致する強みとして整理しました。加えて、英語での仕様協議・資料化の実績を用い、国際規格文書の読解・運用力を補強ポイントとして提示。

結果、宇宙ステーション搭載装置の開発支援を担うポジションで内定・年収アップにつながりました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

異業種から宇宙業界への転職なら、JAC Recruitment


異業種からの宇宙業界転職は、官民連携の拡大や技術革新、グローバル展開が同時進行する変化の激しい環境です。そのため、衛星・ロケットに直結する設計/品質の専門性に加え、事業開発・国際営業・上場準備などの経験・スキルが求められます。

こうした背景から、宇宙業界への転職を成功させるには、各社の採用背景やプロジェクトの進度などを深く理解したエージェントの支援が重要になります。

その点、JACには宇宙領域の最新動向に精通したコンサルタントが在籍し、個々の強みを踏まえた最適なキャリアを提案します。さらに、一般には公開されていない非公開求人も取り扱っているため、新たなキャリアの可能性に出会える機会が広がります。

宇宙業界への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

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当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。