クラウドエンジニアとは? 年収相場や必要なスキル・資格など、ハイクラス転職のプロが徹底解説

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公開日:2024/02/15 / 最終更新日: 2024/03/12

さまざまな企業や組織がITインフラ環境にパブリッククラウドを採用する中、クラウド環境の構築から保守・管理までを担うクラウドエンジニアの需要が高まっています。

クラウドエンジニアの転職市場は依然として活況ですが、企業が求めるスキルや経験は年々目線が高くなっています。理想の転職を実現させるためにも、市場の動向を把握し、企業に評価される経験を積むことが重要です。

クラウドエンジニアの転職市場動向について、JAC Recruitment(以下、JAC)のデジタル職種の転職に特化したコンサルタントが解説します。

クラウドエンジニアの転職市場動向


コロナ禍に突入する前はオンプレミスでの実務経験のみでもクラウドエンジニアとして採用する求人が多かったのですが、昨今ではクラウドエンジニアとしての実務経験を必須とする求人が大多数です。

パブリッククラウドがあらゆる企業で普及したことで、クラウドエンジニアに求められる経験やスキルも多様化し、期待される水準も年々高まっています。

例えばクラウドサービスの保守・管理だけでなく、目的に応じたクラウドサービスの選定や予算に応じた課金体系の選定、どのようなAPIを活用するかといった業務経験を求めたり、クラウド上で機能するアプリケーションやDBに対する理解を求めるケースが増えています。

また、アーキテクトの検討や事業環境も視野に入れた技術提案など、ビジネス面にも直結する能動的なアクションができる方は、企業から高く評価されます。昨今は単純にコスト削減からクラウドを導入するのではなく、ビジネスモデルや意思決定のデジタル化を目的としたDXを実現するためにクラウドを選ぶ企業が増えています。そういった面ではオペレーション業務だけを淡々とこなすのではなく、事業の成長に貢献する提案ができるクラウドエンジニアのニーズは今後一層高まります。

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クラウドエンジニアの需要や将来性が高い理由


クラウドサービスのプラットフォームとしてはAWS、GCP、Azureの順に企業からの需要が高い傾向があります。近年はAI PlatformやBigQueryを活用した大規模データ処理などの需要から、GCPの経験を求める企業が増えています。とりわけAI PlatformはAIエンジニアが不足している組織でもAI関連の機能を容易に活用できる利点があります。

クラウドサービスのプラットフォーマーは先端技術のトレンドを掴みながら、各自のサービスへの応用に注力しています。単なるITインフラではなく、データやアプリケーションと連携した「攻めのDX」を展開するためにも、パブリッククラウドの活用が欠かせません。

昨今ではデータの利活用が進んでいなかった業界でもDXが進み、システム連携のためにインフラの共通化や、社内のシステムを一元化する動きが進んでいます。製造業では調達から製造に至るまでのデータを集約し、リアルタイムでモニタリングできる仕組みを導入したり、小売業では仕入れ、在庫、配達に至るまでの商品情報を一元化するなど、各業界でクラウドを活用したDXが進んでいます。

こうしたインフラを支えるのがクラウドエンジニアであり、その需要が下がることは当面の間はありません。一方でクラウドサービスが充実し、さまざまな導入事例が生まれていることから、クラウドエンジニアの数も増加しています。

そのため、単純な構築・保守・運用業務だけでは転職活動時に書類選考で不利になる可能性もあります。将来のステップアップに備えてクラウドサービス選定やクラウド戦略策定への関与、プロジェクト管理、メンバーのマネジメントなど、一歩踏み込んだ経験を積極的に積むようにしましょう。

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クラウドエンジニアの業務内容


  • ● サーバーの負荷対策やパフォーマンス改善
  • ● サービスの常時安定運用を目的とした負荷分散などの対策
  • ● CI/CDの導入と運用
  • ● 上記の業務を自動化するツールの開発・運用

また、障害発生時には復旧業務や再発防止策の提案から実行までを担います。

オンプレミスのサーバーエンジニアは役割毎に業務を切り分けますが、クラウドエンジニアは一人で複数の役割を担うことが一般的です。オンプレミスからクラウドへキャリアを移行する際には自分の得意領域だけでなく、未経験の業務にも積極的に携わったり、後述する資格を習得するなどして、スキルの幅を広げましょう。

クラウドエンジニアのキャリアパス

クラウドエンジニアのキャリアパスは、以下2方向に分かれます。

スペシャリスト

クラウドアーキテクト…技術毎の強みや特性を把握し、自社のクラウド領域の戦略策定から導入・推進までを担います

フルスタックエンジニア…クラウド環境の構築・運用だけでなく、アプリケーション開発などにも携わることで設計、開発、保守・運用までを一気通貫で担います

ITアーキテクト…経営戦略や事業計画に基づいて、システム全体のアーキテクチャを設計します

マネジメント

エンジニアリングマネージャー(EM)…エンジニアの採用、育成だけでなく、技術に関する意思決定にもマネージャーとして関わります。

VPoE…エンジニア組織のマネジメント責任者として、円滑に業務に取り組める環境構築や採用・育成、パフォーマンスを向上させるための人事体制の整備を担います

CDO(最高データ責任者)…自社のデータ戦略を担うトップとして、経営視点でデータ戦略や方針の意思決定を行います。技術部門全体の責任者であれば、CTO(最高技術責任者)へのキャリアパスも存在します。

クラウドエンジニアが求められている業界

クラウドサービスを導入している企業であれば、業界に関係なくクラウドエンジニアの需要はあります。その中でも主要な業界を4つに分類して、ご紹介します。

  1. Webサービス事業会社…WEBサービスプラットフォーマー、大手ポータルサイト、EC運営企業など
  2. 非IT事業会社…製造業、小売、物流、金融など
  3. 特定のクラウドサービスに特化したITベンダー
  4. 幅広いクラウドサービスに対応したSIer

4グループとも年収に大きな差はありません。転職時には現在保有しているスキルや今後伸ばしたいスキル、待遇やポジションなどを考慮して最適な求人を選ぶケースが一般的です。例えば、SIerで幅広くインフラエンジニアとしての経験を積んだ方がAWSの経験と実績を伸ばすために、AWSに特化したITベンダーを経て、AWSを採用するWebサービス事業会社に転職するというケースがあります。

また、大規模なWebサービスで負荷分散やコンテナ運用の経験を積んだ方が、非IT系事業会社に転職して、クラウドサービスのプラットフォームや技術選定など上流から携わるというキャリアパスもあります。

一方で昨今は働き方にこだわった転職をされる方も増えています。パブリッククラウドのみを活用しているITベンダーやベンチャー企業では、フルリモートワークの求人が多数あります。一方、大手のWebサービス事業会社や非IT事業会社は出社比率が高い傾向があります。ご自身のワークスタイルを重視したい場合には、企業の勤務条件も視野に入れて求人を選ぶようにしましょう。

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クラウドエンジニアに求められるスキルや知識


オンプレミスのサーバーエンジニアと比較して、クラウドエンジニアが一人で担う業務は幅広く、それぞれに求められる知識や経験も異なります。

1. クラウドサービスの知識や経験

パブリッククラウドの設計から構築・運用の経験は必須です。AWSを採用している企業であれば、AWSでの業務経験が求められるなど、企業が採用するクラウドサービスによって、求められる経験も異なります。

クラウドサービスに付随するサービスやアプリケーションの経験も重視されます。

代表的なものとしてはJenkins、CI/CD構築・運用の経験、Ansible やTerraformを活用したIaCツール(インフラのコード化)の導入経験、DockerやKubernetesによるコンテナ導入や仮想化技術の知見などが挙げられます。

2. オンプレミス型サービスの知識や経験

サーバーの構築やデータセンターでの運用経験はもちろんのこと、負荷分散対策やパフォーマンス改善の経験はクラウドエンジニアとしても生かせます。また、オンプレミス環境での技術選定やITインフラ構築の要件定義に携わる経験も企業から評価されます。

3. ネットワークやセキュリティの知見

コロナ禍以降、リモートワークなど働き方が多様化したことによって、ゼロトラスト・セキュリティに関する知見を持った方のニーズが高まっています。サイバー攻撃の検出や分析、対応策を行うSoC組織の重要性も近年高まっていますが、現状では圧倒的に人材が不足しています。将来的なキャリアアップの一つとして、セキュリティ関連のスキルを身につけることは非常に有効です。

4. ミドルウェアの知識や経験

クラウドサービス上で使用するデータベースや、データウェアハウスの設計・構築経験や、データ分析基盤の設計・構築経験はクラウドエンジニアに欠かせないスキルになりつつあります。GCP上のBig Queryでデータウェアハウスを構築し、リアルタイムでデータを解析する動きも、さまざまな業界に広がっています。DXが進む流れを考慮すると、ミドルウェアの知識に対する重要度が下がることはありません。

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クラウドエンジニアへ転職する際におすすめの資格


サーバーエンジニアやネットワークエンジニアから、クラウドエンジニアにキャリアチェンジする際に有効な資格を紹介します。多くの試験がオンラインに対応していますので、働きながら取得しやすいメリットがあります。

キャリアの選択肢を増やす上でも、ご自身の適性や今後のキャリアパスに見合った資格を取得しましょう。

  • ● クラウドサービス認定資格(AWS、GCP、Azure)
  • ● Linux技術者認定 / シスコ技術者認定
  • ● PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)

クラウドサービス認定資格(AWS、GCP、Azure)

3大クラウドサービスであるAWS、GCP、Azureの各認定資格は、それぞれのサービスに対する知識やスキルを証明する資格であり、転職でも有効なアピール材料になります。

初心者向けから実務経験半年程度の資格や、上級者向けの資格まで幅広く、通年で実施しています。本格的な転職活動前には可能な範囲で取得しておくことをお勧めします。

GCP認定資格のPROFESSIONAL CLOUD ARCHITECTやPROFESSIONAL DATA ENGINEER、AWSのCertified Solutions Architect Professionalなど、クラウドサービスの認定資格は海外でも「稼げる資格」として認められており、日本でもこれらの資格を取得することで、今後さらに年収や待遇アップが見込めます。

Linux技術者認定 / シスコ技術者認定

Linux技術者認定はLinuxサーバーの構築・運用やクラウドセキュリティ、仮想マシンの管理についての知識を証明する資格です。シスコ技術者認定はネットワーク関連の知識を証明する資格であり、いずれの資格もクラウドインフラの設計・構築にあたって必要な知識をカバーしています。

但し、これらの資格も保有しているだけではアピール材料としては乏しく、クラウドサービス認定資格とセットで保有することで価値を発揮します。これまでの知識や経験に偏りがある方は、これらの資格を取得することでオンプレミスからクラウドまで幅広い知識を持てるようになります。

クラウドエンジニアだからといってオンプレミス環境の知見が不要ということはありません。オンプレミス環境からクラウド環境へ移行やモダナイゼーションを目的としたプロジェクトではオンプレミス環境の知見が欠かせません。

また用途や目的、予算に応じてクラウド環境とオンプレミス環境を併用する企業も多数あります。オンプレミス環境の知見や資格も企業のアピール材料になりますので、積極的に資格を取得しましょう。

PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)

プロジェクトマネジメントの専門家としての認定資格です。大規模プロジェクトの経験を今後積みたい方向けの資格であり、業界や業種と選ばない汎用性の高さが特徴です。

この他にも各ツールの認定資格や応用情報処理技術者試験など、さまざまな資格がクラウドエンジニア向けの資格として挙げられます。企業によっては資格取得手当やお祝い金を出すケースもありますので、社内の人事制度も確認することをおすすめします。

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クラウドエンジニアの年収相場


クラウドエンジニアの年収はスキルと経験に応じて、概ね3段階に分類されます。

500〜800万円
基本的なクラウドサービスの構築・設計、保守・運用業務に加え、ネットワークやオンプレミス環境、分析基盤の知見や、難易度の高いプロジェクトの経験があると年収も上限に近づきます。

700〜1100万円
組織のマネジメントが業務に加わり、難易度の高いプロジェクトのインフラアーキテクトも担えるスキルや知見が求められます。またPMやアーキテクト、リードエンジニアといったスペシャリストとしてのキャリアを進める場合も、この年収帯へのステップアップが可能です。

1000〜1500万円
経営やビジネス面との結びつきも強くなり、技術のカバー範囲も広大になります。企業の経営視点も持ちつつ、最適な技術ロードマップを描ける能力が求められます。

クラウドエンジニア職関連の転職アドバイスQ&A


Q. 在宅でも勤務可能でしょうか?

A. クラウドの導入が進んでいる企業であればリモート中心の企業も多数あります。パブリッククラウドのみを使う企業の場合には、基本的には365日24時間体制の業務はありませんので、時間に縛られない働き方を得ることも可能です。

また、大手SIerの場合にはクラウド特化の部署もあれば、オンプレミスにも対応する部署もあり、組織の方向性や採用する技術によってリモートや客先常駐などの就業条件も変わります。

Q. 3大クラウドサービス間のスキル・知見の応用は、どこまで可能でしょうか?

A. AWSとGCPは比較的応用が有効な一方で、Azureは他の2サービスとの間にギャップがあり、スキルの応用が難しい場合があります。Azureの経験しかない場合には、AWSやGCPの初心者向け資格を取得するなどして、転職前にギャップを埋めるようにしましょう。

Q. オンプレミス環境の経験はクラウド環境でも活かせますか?

A. オンプレミス環境でサーバーやネットワークの基礎を把握していることは、クラウド環境でも有効です。双方の経験を持つことで、ステップアップの幅も広がります。

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クラウドエンジニアの転職成功事例


ここでは、JACからクラウドエンジニアとしての転職に成功した方の事例を紹介します。転職のきっかけ・応募した企業・採用に至った決め手・年収アップ金額など、実例を元にご紹介します。

より優秀な人材が集まる企業へ転職、年収アップと働き方改革を実現

Mさん(30代前半/男性)は中堅規模のWebサービス系事業会社でクラウドエンジニアとして6年間勤務。社内の優秀なメンバーが相次いで転職し、自身もよりレベルの高い環境を望んで、JACに転職支援を依頼されました。

「ITへの投資が積極的」で「子育てしやすい環境」を望んだ結果、大手広告代理店傘下のDX戦略企業へ転職。

クラウドの保守管理だけでなく、フルスタックエンジニアとして活躍されてきたMさんの技術力をJACのコンサルタントから企業に提案。年収も830万円から900万円にアップしました。

各企業の文化や課題、求める技術を熟知するコンサルタントが伴走することで、Mさんの希望を全て叶える転職が実現しました。

>クラウドエンジニアの転職を成功されたMさんの事例へ

クラウドエンジニアの転職ならJACへ


JACではCTOやVPoEなど開発部門のトップから中途採用のご依頼を受けています。また、現場の方からの直接ヒアリングをしているため、組織の課題や組織カルチャー、入社後のミッションなどもお伝えできるため、ミスマッチのない転職をご支援いたします。

クラウドエンジニアとして転職する際は、企業がどのような方を求めているのかをリサーチすることが重要です。JACではエンジニアの採用に特化したコンサルタントが、日々の情報収集を通じて、あなたにふさわしい求人のみをご紹介しています。転職をご検討の際には、ぜひJACにご相談ください。

この記事を監修した転職コンサルタント

中野

中野

デジタルテクノロジーディビジョン先端DXチーム プリンシパルコンサルタント


2021年JACRecruitmentに入社し、DXを軸に非IT事業会社、WEB企業、SaaS企業、システムインテグレーター、コンサルティングファームを担当。「人生のドライバーとなる転職」をモットーに、業務にしばられないキャリア提案を行う。DXに関わる幅広い職種において30代から50代、メンバークラスから役員クラスのご支援まで幅広く実績あり。前職より一貫してIT職種の転職支援に従事しており、ご支援させていただいた方の総数は200名を超えます。


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