アクチュアリーへの転職は未経験でも可能?転職市場動向や最新求人を解説

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公開日:2025/05/20 / 最終更新日: 2025/06/20

確率や統計などの手法を用い、データをもとに不確実な事象やリスクの評価を行う専門職であるアクチュアリー。

本記事では、アクチュアリーの転職市場動向や転職で求められる主な転職先候補、経験・スキル・マインド・資格をJAC Recruitment(以下、JAC)が解説いたします。

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本章では、アクチュアリーの転職市場動向について、次の3つの観点から解説します。

• アクチュアリーは希少だが需要は高く、売り手市場といえる
• 急速な社会変化・DX化により、アクチュアリーの将来性も明るい
• ERMの重要性が高まり、リスク管理に精通したアクチュアリーの需要が増加

リスク評価や保険料の算定、財務モデリングといった専門性の高い業務を担うアクチュアリーは、転職市場でも高い評価を受けており、売り手市場が続いています。日本アクチュアリー会によると、2024年3月時点のアクチュアリー会員数は5,601人。米国などのアクチュアリー人口と比較して相対的に少ないといわれており、国内における数の少なさも、アクチュアリーの市場価値をさらに高めていると考えられます。

アクチュアリーの採用ニーズは、生命保険会社や損害保険会社を中心に、コンサルティングファーム、金融機関まで多岐にわたります。加えて、近年ではリスク管理やデータ活用を強化する一般の事業会社においても、アクチュアリーの専門性が注目されており、業界問わず需要が高まっています。

出典:「5分でわかるアクチュアリー」(公益社団法人 日本アクチュアリー会)

社会の変化とテクノロジーの進化は、アクチュアリーにとって新たな活躍の機会を生み出しています。
AI(人工知能)やデータサイエンスなどのテクノロジーの発展は、アクチュアリーの業務を代替すると懸念視する声もありますが、むしろその能力を補完し、より高度なシナリオ分析やリスクの多角的評価を可能にすることが期待されています。
一方で、アクチュアリーは、社会の変化とテクノロジーの進化にあわせ、AIなどの技術を活用し、これまで以上に高度な分析や複雑な事象の解釈に注力していく姿勢が求められるともいえるでしょう。

近年、企業を取り巻くリスクは多様化かつ複雑化しており、企業価値を左右する重要な要素としてERM(Enterprise Risk Management:統合型リスク管理)の重要性が急速に高まっています。
このような状況下において、組織全体の状況をあらゆる角度から評価するスキルを持つアクチュアリーは、企業の意思決定の質を高めるうえで不可欠な存在となっており、業界問わず、さまざまな企業で活躍の場を広げています。

実際、世界基準のERMに関する知識とスキルを証明するCERAの資格を持つアクチュアリーは、企業の経営層に対して的確なリスク情報を提供し、意思決定の質を向上させる役割を担うとして、金融業界に限らず、製造業やインフラ、通信、サービス業などの非金融業界にも、需要が拡大しています。


アクチュアリーが求められる転職先候補としては、主に次の5つの業種や企業が挙げられます。

• 生命保険会社
• 損害保険会社
• 監査法人(アドバイザリー)・コンサルティングファーム
• 信託銀行・銀行などの金融機関
• 非金融系の事業会社

本章では、各業種・企業がアクチュアリーにどのような経験や専門性を求めているのか解説します。

生命保険会社は、多くのアクチュアリーが活躍しており、主に保険商品の開発や保険料の算定、責任準備金の積み立て、リスク管理などの業務を担っています。
特に、少子高齢化が進む日本においては、死亡保障だけでなく、医療保険や介護保険、年金保険など、多様化するニーズに対応した商品開発が求められており、新商品開発においては、リスクと収益性のバランスを見極めた精緻なモデリングが求められ、数理的な裏付けのある商品設計が企業の競争力に直結します。

大手生命保険会社では高度な数理モデルを用いた構築力や保険数理ソフトを活用した分析スキルが求められ、実務経験やアクチュアリー試験の合格実績が高く評価される傾向にあります。一方、中堅・新興の生命保険会社では、商品戦略やビジネス企画にまで関与できる広範な業務領域を担うケースが多く、専門性とビジネス感覚の両方を示せる経験が必要となるでしょう。
生命保険会社への転職を検討する際は、自身のスキルやキャリアプランに併せて、最適な規模・特徴を持つ企業を選択することが大切です。

損害保険会社もアクチュアリーが求められる業態であり、主に新たな損害保険商品の開発や保険料の算定、支払備金の算出、再保険の手配などの業務を担います。特に自然災害や事故といった予測困難なリスクを扱う損保業界では、統計的・確率的なアプローチによるリスク評価が重視されており、アクチュアリーの専門性がそのまま企業の健全性や収益力に直結します。
大手損害保険会社では、海外事業や法人向け特殊保険を扱う部署でのニーズが高く、グローバルな視点と英語力が求められる場面もあります。また、アクチュアリー部門に限らず、データ分析を通じた商品戦略立案や営業支援にも関わるケースがあり、保険数理の知見を生かしながら事業全体を俯瞰する力が問われることもあるでしょう。

損害保険会社に転職を検討する際は、これまでの経験や得意な分野・領域を考慮し、自身の専門性を生かせる企業を選ぶことを意識しましょう。

監査法人やコンサルティングファームも、アクチュアリーの活躍の場として注目されています。特に、CERA保有者やビジネスレベルの英語力を持つアクチュアリーは、採用選考時に優遇されるでしょう。

監査法人では、主に保険会社や年金基金などのクライアント企業に対して、数理的な観点からのアドバイザリー業務やリスク評価、財務モデリングの検証などを実施します。コンサルティングファームでは、金融機関だけでなく、一般企業に対しても、リスク管理体制の構築や新規事業の数理分析、データ分析に基づいた経営戦略の策定など、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
監査法人やコンサルティングファームでは、高度な専門知識に加えて、クライアントとのコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、プロジェクトマネジメント能力など、高度なポータブルスキルも求められます。いずれの業態も業務の幅が広く、ときには事業戦略や新規サービスの設計に関与できる場合もあるでしょう。そのため、キャリアパスを広げたいと考える方にとって、魅力的な選択肢になる可能性が期待できます。

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信託銀行や銀行などの金融機関においても、アクチュアリーの需要は着実に増加しています。信託銀行では、年金信託や遺言信託、資産承継などの業務において、数理的な知識やリスク評価のスキルを持つアクチュアリーが活躍しています。銀行系の資産運用部門では、統計分析やストレステストを行うリスク管理職にアクチュアリーが配置されることもあり、モデリングスキルに加えて、経済指標や金融商品に対する深い理解が求められます。
金融機関に転職する際は、保険数理の知識に加えて、金融市場や金融商品の知識、規制への理解も必要になるでしょう。特に、ERMに関する知識や経験を持つアクチュアリーは、金融機関のリスク管理体制強化に貢献できるとして高く評価されることもあります。

近年では、製薬やヘルスケア、IT、エネルギーなど、非金融系の事業会社でもアクチュアリーの採用ニーズが拡大しています。
データドリブンな意思決定が重視されつつある昨今においては、アクチュアリーが持つ統計解析力やリスク評価能力が新たな価値を生み出すとして注目されています。例えば、ヘルスケア業界では保険連携サービスの設計や予防医療分野でのリスクスコアリング、IT企業ではサブスクリプション型サービスの顧客LTV(ライフタイムバリュー)の算出などにおいて、アクチュアリーが活躍しています。

非金融系の事業会社では、保険数理の直接的な応用よりも数理的な発想をビジネスに転換できる柔軟性が問われるため、金融以外の業界に対する好奇心や多様なバックグラウンドを歓迎する傾向があります。
非金融系の事業会社への転職は、アクチュアリーにとって新たなキャリアパスを開拓するチャンスであり、これまでの経験を生かしつつ、幅広い分野で活躍したいと考えるアクチュアリーにとって有益なキャリアパスとなるでしょう。


アクチュアリーは、その専門性の高さから、経験者が優遇される傾向にあります。しかし、未経験からアクチュアリー職を目指すことは、決して不可能ではありません。
アクチュアリートレーニーやジュニアアクチュアリーなどのポジションを設け、未経験者を受け入れるケースもあり、一定の条件を満たすことでアクチュアリーへの転職を果たすことができるでしょう。

異業種からアクチュアリーへの転身を目指すには、データ分析に関する知識と適性、数学に対する強い興味が必須です。また、実務未経験であっても、大学や大学院で数学・物理・経済・統計を学んだ経験や機械学習やデータ分析を業務に応用してきた経歴などがあれば、ポテンシャルが見込まれ採用に至ることもあります。

さらに、未経験からアクチュアリーへの転職を成功させるには、日本アクチュアリー会が実施する資格試験のうち、一次試験の科目合格を最低限の目標とすることが望まれます。1科目以上の合格で「研究会員」としての登録が可能となり、5科目すべてに合格すれば「準会員」となり、専門試験への受験資格が与えられ、将来的に正会員としてのキャリアを見据えることができます。転職活動前から資格取得に向けて積極的に学習に取り組む姿勢を示すことで、採用担当者にも熱意や意欲を伝えられるでしょう。

また、最初から正会員のアクチュアリーを目指すのではなく、まずはアクチュアリーアナリストやジュニアアクチュアリー、アクチュアリートレーニーなどのポジションに転職し、実務経験を積みながら日本アクチュアリー会の正会員資格取得を目指すキャリアパスも存在します。未経験からアクチュアリーへの転職を目指す際は、自身のスキルレベルやキャリアプランに併せて、最適な道筋を検討することが大切です。

出典:「アクチュアリーになるには」(公益社団法人 日本アクチュアリー会)


ここでは、アクチュアリーの最新求人・転職情報を紹介します。

なお、本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが取り扱う求人は、大半が非公開となっています。そのため、非公開求人も含めアクチュアリーに関する求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。
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非公開:アクチュアリー(保険数理/年金)
オリックス生命保険株式会社:アクチュアリー【ALM推進部:資産領域または負債領域、収益予測】
非公開:①商品開発業務アクチュアリー②保険負債計測業務アクチュアリー
非公開:【ジュニアアクチュアリー(商品企画)】未経験可/資格取得サポートあり/専門性を身に付けたい方/残業20-30時間程度
大手シンクタンク:アクチュアリー
非公開:保険会社向けアドバイザリー(アクチュアリー)
非公開:ジュニア/シニア プライシング アクチュアリー/JUNIOR PRICING ACTUARY
RNA Analytics株式会社:Actuarial Consultant / 保険数理コンサルタント(リモートワーク可)

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年5月最新)


ここでは、アクチュアリーへの転職で求められる、次の4つの要素について解説します。

• 強固な数理能力・統計知識・分析力がコアとして必須
• プログラミング言語やコミュニケーション能力・英語力
• 論理的思考力・問題解決能力・学習意欲
• 日本アクチュアリー会の資格取得(研究会員・準会員・正会員)

アクチュアリー業務には、数学的素養と分析力が必須になり、保険料の算定や責任準備金の積み立て、リスクの評価など、多岐にわたる業務において、高度な数学的知識と統計学的な思考力が求められます。また、実務では膨大なデータを分析しながらシナリオを構築していく場面が多く、数式を使って問題を解決する能力が日常的に必要とされます。

そのため、大学レベルの数学を即座に理解できる知識は不可欠であり、過去のデータから傾向を読み解き、将来を予測するための統計モデリングやデータ分析の経験も重視されます。各能力は、アクチュアリーが専門家として信頼され、精度の高い業務遂行を行うための基盤になるため、採用選考においても厳しく評価されるでしょう。

アクチュアリーの業務効率を高め、より高度な分析を行うためには、プログラミング言語のスキルも重要な要素となります。特に、RやPythonなど統計解析に特化したプログラミング言語の知識や実務経験は、データ処理や分析、シミュレーションを行う際に欠かせません。
一方、技術力だけでなく、社内外の関係者と円滑に連携するためのコミュニケーション能力も不可欠です。数値やモデルに強くても、導き出された結果を非専門家にわかりやすく伝える力がなければ、組織全体の意思決定に貢献することはできないでしょう。さらに、グローバルな基準が適用される保険数理の分野では、英文資料の読解や海外チームとの協働も日常的に発生するため、一定以上の英語力が求められるケースも珍しくありません。

アクチュアリーとして長く活躍するには、論理的思考力や課題解決志向などの思考体力が求められます。
アクチュアリーは、保険制度の設計や商品開発、企業の財務健全性評価など、答えのない問題に向き合うことが多く、根拠をもとに筋道を立てて考える力が不可欠です。また、法制度や会計基準が頻繁に変更される業界であることから、最新の知見を継続的にキャッチアップする学習姿勢も必須です。
このようにアクチュアリーは、一度資格を取得すれば終わりという職種ではありません。高い知的好奇心と自己成長に対する意欲は、アクチュアリーとして長期的に活躍・成長するうえで不可欠な素養といえるでしょう。

アクチュアリーとして専門性を確立し、キャリアを築いていくにあたり、日本アクチュアリー会の資格取得は重要な意味を持ちます。日本アクチュアリー会が実施する一次試験に1科目以上合格することで、研究会員として登録が可能になります。次に5科目すべてに合格することで準会員となり、さらに専門科目の二次試験に通過し、各種初期教育を修了することで正会員資格を取得できます。資格試験は、アクチュアリーとしての基礎知識から専門知識、実務能力までを幅広く評価するものであり、合格することで一定水準の知識とスキルを持つ旨を対外的に証明できます。

実務未経験でも、アクチュアリートレーニーやアナリストなどのポジションで採用され、業務と並行して正会員を目指すキャリアパスも存在します。アクチュアリーを目指す際は、計画的に日本アクチュアリー会の資格取得に取り組みましょう。


アクチュアリー試験に一部合格しているものの実務経験がない場合は、初年度の想定年収は450万円程度が相場です。ただし、アクチュアリーの年収は、経験の蓄積とアクチュアリー試験の合格科目の増加にともない大幅な上昇を見込むことができ、正会員資格を取得した場合は600万円から800万円程度に達するケースが一般的です。また、実務経験を積みシニアアクチュアリーに昇格すれば、年収1,000万円を超えることも珍しくありません。加えて、管理職レベルにまでキャリアアップすると、さらに高額な年収を得ることも可能です。

なお、年収の水準は、勤務する企業によって異なります。
一般的に、大手生命保険会社や損害保険会社、外資系の保険会社やコンサルティングファームは、高い報酬水準を提示する傾向があります。特に、コンサルティングファームは、成果報酬型の評価制度を採用しているケースが多く、個人のパフォーマンスが年収に直結するため、実績次第でさらなる高収入を目指せるでしょう。
加えて、CERAなどの国際的資格を保有していると、専門性の高さが認められ、より高い年収レンジでの転職が可能になります。

なお、JACが提供する転職支援サービスを利用し、アクチュアリーに転職した方の平均年収は900万円前後であり、最高年収は、1,600万円程度(ポジション:部長以上)でした。

年代別・役職別の平均年収は、次のとおりです。

【アクチュアリーに転職した方の年代別平均年収】

年代 平均年収
20代 500万円程度
30 850万円程度
40 1,200万円程度
50 1,050万円程度

【アクチュアリーに転職した方の役職別平均年収】

役職 平均年収
課長未満 750万円程度
課長以上 1,050万円程度
部長以上 1,600万円程度

※当社実績(2019年1月~2024年12月分データ)より


ここでは、JACが提供する転職支援サービスを利用し、アクチュアリーへの転職を成功させた事例を紹介します。

  業種 職種 年収
転職前 金融(生命保険) アクチュアリー 1,000万円
転職後 金融(損害保険) アクチュアリー 1,300万円

Tさんは、日系証券会社に新卒入社し、機関投資家向けデリバティブのセールス・トレーディングを経験した後、監査法人系コンサルティングファームで企業価値評価業務に携わりました。その後、生命保険会社に移り、市場リスク管理部門にて市場リスク計量化や経済シナリオ・ジェネレータの実装、変額保険関連のツール開発・ヘッジ計測といった高度なクオンツ業務を担当しました。数理ファイナンスと保険数理の融合研究にも取り組み、業界内でも先進的な活動を推進されてきました。

今回の転職は、アクチュアリーとしてのリスク計量化や数理モデリングに関する深い知見をさらに発展させ、キャリアの幅を広げたいという強い意欲に基づくものでした。

転職活動では、専門性をさらに高め、新たな技術や知識を習得できる環境を求めた結果、損害保険のリスク管理部への転職を決意しました。転職成功の鍵は、Tさんが持つ数理モデル開発や金融商品評価に関する深い専門知識と豊富な実務経験などが、募集ポジションの求める高度な要件と一致した点にあります。結果として、専門性をさらに深耕できる環境への移籍と、大幅な年収向上を実現しました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

  業種 職種 年収
転職前  IT・通信 ソフトウェア開発 900万円
転職後 銀行・信金・信組 アクチュアリー 950万円

Yさんは大学で情報工学分野の研究に取り組んだ後、電機メーカーにてLSI開発に従事してきました。当時は、アルゴリズム検討から設計、検証までを一貫して担当し、多様な規模のシステム開発経験を積んできたとのことです。その後、証券会社のフィナンシャルテクノロジー部門に活躍の場を移し、次世代アルゴリズム開発の主担当として実績を重ねました。主要な開発言語やツールにも精通しており、技術力の高さがうかがえます。

今回の転職は、これまで培ってきた高度なアルゴリズム開発スキルとソフトウェア設計技術を、数理的な専門性が求められる金融工学の分野で生かしたいという強い意欲から始まりました。次のステップとしては、金融商品のプライシングモデル開発やトレーディングアルゴリズム構築など、より高度な数理モデルが核となる領域への挑戦を目指し応募先企業を絞り込んでいきました。

最終的に、デリバティブなどのプライシングモデル開発やトレーディングアルゴリズム開発を担う、高度専門職への内定を獲得し、専門性を生かしたキャリアチェンジを実現しました。成功の鍵は、Yさんが持つアルゴリズム開発における深い経験と実績、幅広いプログラミングスキル、そして金融分野への強い関心と独学で得た知識が高く評価された点にあるといえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

  業種 職種 年収
転職前 その他(ITなど)  金融(審査) 750万円
転職後 商社(工業系) アクチュアリー 1,150万円

Sさんは、国内大手メーカーでの経理・マーケティング業務を経て、海外大学院に進学しました。その後は、政府系金融機関や国際開発機関において、インフラファイナンス関連の審査業務や国際協調推進業務に長年従事してきました。海外駐在経験も持ち合わせており、国際舞台でのプロジェクト推進に強みを持つキャリアを築いてきました。

転職活動では、これまでの経験を生かしつつ、新たなスキル習得や専門性の深化を目指す意向がありました。特にマクロ経済分析やデータを活用した予測モデル作成といった領域への興味が強く、分析業務に軸足を置いた職種への転向を目指し、応募求人を選定しました。
最終的に、これまで培ってきた国際金融機関での審査・調査経験や現地での折衝・分析スキルが高く評価され、工業系商社のアクチュアリー職への転職を果たし、希望に沿ったキャリアチェンジを実現しました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。


本章では、アクチュアリーからのキャリアパスとして、次の4つの例を紹介します。

• 年金・保険・ERMなど特定専門分野の深化
• アクチュアリー部門の管理職
• リスクマネージャー・金融アナリスト・データサイエンティストなどの他職種
• コンサルタントとして独立・起業

アクチュアリーのキャリアパス例として、特定の分野・領域を深く追求し、自身の専門性を高める道が挙げられます。
年金領域では企業年金の数理計算や制度設計、財政検証を専門とし、長期的な資金運用と制度の持続可能性を数理的に支える役割を担える可能性が高いでしょう。また、保険分野に特化することで、生保・損保を問わず、保険料率の設定や責任準備金の算出、保険商品の収益性分析といった高度な定量分析を行えるようになります。ERM(エンタープライズ・リスク・マネジメント)の分野では、企業全体のリスクを統合的に管理し、資本の適正配分を行うことで、企業の持続的成長を支える立場として事業の成長に寄与できるでしょう。

このように特定の分野における専門性を深めることで、その分野の第一人者として活躍したり、より高度な業務に携わったりすることが可能になります。

アクチュアリーとして実務経験を積み重ね、チームの中核的存在として活躍できるようになると、次なるキャリアとして管理職ポジションが視野に入ります。特に、生命保険会社や損害保険会社などのアクチュアリー部門では、主任・マネージャー・部長といった段階的なキャリアパスが存在し、チームマネジメントや戦略的意思決定に関与する機会が増えるでしょう。

管理職になると、単なる数理分析能力だけでなく、部門間の調整力や経営層とのコミュニケーション能力も重要視されるようになります。また、財務部門や経営企画部門と連携しながら、事業戦略とリスク評価の橋渡し役として組織に貢献するため、存在感や影響力も高まるでしょう。
管理職としての経験は、将来的に役員候補になるための足掛かりにもなるため、役員への昇進を目指す際は、視野に入れておきたいキャリパスといえるでしょう。

近年ではリスクマネージャーや金融アナリスト、さらにはデータサイエンティストとしてのキャリアを歩む例も増えています。
特にリスクマネジャーは、保険や金融リスクだけでなく、事業全体に関わるオペレーショナルリスクやレピュテーションリスクなども包括的に捉える必要があり、アクチュアリーとしての経験が大いに生かされるでしょう。また、金融アナリストとして投資分析やポートフォリオ構築を担う際にも、将来予測やシナリオ分析の能力が強みとなります。さらに、PythonやR、SASなどの分析ツールを使いこなせるアクチュアリーであれば、データサイエンティストとしてビッグデータの解析やAIモデルの構築に携わることも可能であり、キャリアの幅を大きく広げることができます。

アクチュアリーとしての豊富な経験と専門知識を持つようになれば、独立してコンサルタントとして活躍したり、自身のビジネスを立ち上げたりすることも視野に入れることができます。特に、保険設計や年金制度の見直し、リスク管理体制の構築支援などを行うコンサルタントとして、企業の外部アドバイザーとなる働き方は近年増加傾向にあります。また、CERA資格を持つ場合、グローバル企業へのリスクマネジメント支援やM&A案件における精緻な数理分析を提供するなど、専門性を生かしたビジネス展開も可能になるでしょう。

ただし、独立・起業には、専門知識だけでなく、営業力や経営手腕なども求められるため、十分な準備と計画が必要になることを理解しておきましょう。


アクチュアリーのような業界問わず多くの企業で求められる専門職は、選択肢が多様にある分、慎重に転職先を選ぶ必要があるため、職種理解に長けた転職エージェントからの支援が不可欠です。

その点、JACはハイクラス転職支援に特化した実績を持ち、アクチュアリーという高難度かつ希少性の高い職種に対する深い理解と企業ネットワークを備えています。特に外資系保険会社や保険会社、大手コンサルファームなどアクチュアリーの採用に積極的な企業との強固なリレーションを築いており、非公開求人を含め、さまざまな選択肢の中からアクチュアリー試験の進捗や取得資格、業界内でのポジショニングに応じた最適な求人を提案いたします。

また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策など転職活動を全面的にバックアップする体制も整っているため、採用選考では自身の強みや適性を効果的かつ的確にアピールできるでしょう。
アクチュアリーへの転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

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