2020年 転職市場予測

当社プリンシパルアナリストの黒澤敏浩が、2020年の市場を予測します。
1. 循環要因:景気に左右される転職市場 - 巡航速度か
2. 構造要因:資金調達が容易なベンチャー - 給与は6年前の2倍
3. 構造要因:地方企業の幹部ニーズ急増 - 2年前の2倍に
1. 循環要因:景気に左右される転職市場 - 巡航速度か
転職市場にとって重要な要素は景気動向です。無期雇用(いわゆる正社員)の中途採用は、採用後長期の在籍・活躍が多くの場合前提になります。
従って、採用意欲は今後数年の自社の業績見込に左右されます。(cf.新卒は超長期なので採用数は安定。)
企業の採用意欲は、求人数に影響すると共に、経営者による最終面接の難易度にも影響します。
特に製造業では2019年前半から停滞(※)が続いており16~17年のような超積極採用は進まないと予想されますが、景気が持ちこたえればいわゆる巡航速度での採用が続くでしょう。
特に製造業では2019年前半から停滞(※)が続いており16~17年のような超積極採用は進まないと予想されますが、景気が持ちこたえればいわゆる巡航速度での採用が続くでしょう。
(※19年4-9月期の首都圏製造業の当社含む人材紹介大手三社経由採用実績は前年同期比+6.6%にとどまり、前半期の+24.7%からは-18.1ポイントと大きく減速。日本人材紹介事業協会調べ)
2. 構造要因:資金調達が容易なベンチャー - 給与は6年前の2倍
現在の転職市場が昔と異なる点の一つは、ベンチャー企業の給与が必ずしも低くはない点です。
例えば、2019年のベンチャー企業(※)への当社経由の決定年収は、6年前に比べ2.3倍に上昇しています。
(※設立10年未満の日系企業。)
背景に、VC、エンジェル、CVC等からの資金調達が好調で、事業収益性がまだ低い先行投資の段階から高い給与が支払可能となった点があります。
こちらも、IPO価格の変動を含め、景気循環の影響を大きく受けることは予想されます。しかし、Start –upへの資金流入自体は構造的な変化であり、昔とは異なる地平に来たといえます。
3. 構造要因:地方企業の幹部ニーズ急増 - 2年前の2倍に
オーナー企業の世代交代に伴い、地方企業での幹部採用のニーズが高まっています。
以前であれば、中・高額の給与の求人は皆無に近かったものが、年収600-800万円台以上など、それなりの金額で採用する例が増加傾向にあります。
例えば、人材サービス産業協議会「転職賃金相場2019」では、地方企業の管理職(課長職以上)は、275-1,200万円で求人されています。実際の採用決定も19年は2年前と比べても2.1倍と急増しています。(当社実績。課長以上。)
以上、先の予測は大変難しいものですが、過去からのトレンドである程度分かることはあります。お役に立てれば幸いです。
大都市圏との求人数の差は極めて大きいため過大な期待は禁物ですが、地域面でのキャリアの選択肢が生まれた点は良いニュースです。
以上、先の予測は大変難しいものですが、過去からのトレンドである程度分かることはあります。お役に立てれば幸いです。
(2020年1月)