ヘルステックとは?業界の将来性や市場規模・課題・注目企業と高年収を狙う転職戦略

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公開日:2026/01/27 / 最終更新日: 2026/01/29

ヘルステック(Health × Technology)は、医療・健康領域にテクノロジーを融合し、診療・予防・創薬・介護などのプロセスを革新する産業です。医療DXの推進や大手・スタートアップ双方の投資拡大を背景に、今まさに急成長フェーズにあります。

本記事では、ヘルステック市場の動向や注目される理由、主要企業の特徴から、今後の将来性や高年収を目指すための転職戦略までをJAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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ヘルステックとは?注目される4つの理由

ヘルステックは、健康管理から診断や治療まで幅広い医療領域でテクノロジーを応用する取り組みを指します。ここでは、ヘルステックの定義と、注目度が高まっている4つの理由を解説します。

  • ●ヘルステックは「Health(健康)」×「Technology(技術)」の造語 
  • ●注目理由1:超高齢社会の到来と医療費の増大
  • ●注目理由2:国策としての医療DX推進
  • ●注目理由3:個人の健康意識の高まりとウェアラブル端末の普及 
  • ●注目理由4:AI・データ解析技術の飛躍的な進化

ヘルステックは「Health(健康)」×「Technology(技術)」の造語

ヘルステックは「健康・医療 × テクノロジー」により、診断・治療・予防・創薬・介護のイノベーションを生む領域です。
注目される背景は以下の4点に整理できます。

  1. 高齢化による医療需要の急増と財政負担
  2. 国策としての医療DX・データ連携の推進
  3. 健康意識の高まりとウェアラブル普及
  4. AI・データ解析技術の高度化

注目理由1:高齢化による医療需要の急増と財政負担

ヘルステックが国策レベルで重視される背景には、日本の人口構造の急速な変化があります。団塊世代が後期高齢者に達する時期が目前に迫っており、医療や介護の需要は今後さらに増加します。加えて、公的医療保険を支える現役世代が減少しているため、現行の医療提供体制はこれまでの仕組みでは持続が難しくなっています。医療費が国家予算を圧迫している現状では、効率化と予防医療の強化が不可欠です。

課題解決には、テクノロジーの活用が不可欠です。例えば、遠隔での健康モニタリングやAIを用いた診断支援は、医療アクセスの改善と医療リソースの適正利用につながります。また、疾患の早期発見や日常的な健康管理が進むことで重症化を防げれば、医療費増加の抑制にも寄与します。

結果として、超高齢社会の中で医療の質を維持しながら財政負担を抑える仕組みづくりに、ヘルステックが欠かせない要素として位置付けられています。

注目理由2:国策としての医療DX・データ連携の推進

ヘルステックが加速するもう一つの理由は、政府が医療DXを国家方針として強力に推進している点です。厚生労働省が掲げる「医療DX令和ビジョン2030」では、医療のデジタル化を社会全体で進めるための方向性が示されています。

具体的には、オンライン資格確認の全国的な導入、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定に関するDXなどが進められています。医療機関ごとに異なる仕様で管理されていた情報を統一する取り組みは、医療データの共有や予防医療の高度化を推進する基盤となります。

こうした政策の後押しによって、医療領域におけるデジタルサービスの導入機運は一段と高まっており、民間企業がヘルステックに参入する動きも加速しています。国策として制度面が整備されている点は、業界そのものの成長を支える重要な要因といえます。

出典:厚生労働省「医療DX令和ビジョン2030」

  • 国の方針・動きから読み解く「DX」でどこを目指すべきか

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注目理由3:健康意識の高まりとウェアラブル普及

コロナ禍を経て、個人が健康状態を主体的に管理しようとする意識は大きく変化しました。感染症リスクの可視化を経験したことで、日常的に体調を把握したいという意識が広がりました。その結果、予防医療への関心が高まり、健康管理アプリやオンライン診療サービスの利用も一般化しています。

また、ウェアラブル端末の普及が、この流れを加速させています。スマートウォッチなどのデバイスが一般化し、日常的な健康データの取得が容易になったことで、予防医療やセルフケアの重要性がいっそう高まっています。

個人の行動変容とデジタルサービスの融合により、予防中心の医療モデルが広がりつつあります。この流れは、ヘルステック企業にとって新たなサービス創出の大きな機会となっています。

注目理由4:AI・データ解析技術の高度化

ヘルステックの発展を支える技術要素として、AIやデータ解析技術の進化が挙げられます。医療領域では、画像診断支援AIやゲノム解析、新薬開発の効率化など、多くの場面でAIが活用されています。特に画像診断では、膨大な過去データから学習したAIが、病変を高精度で検出し、医師の診断を補完するケースが増えています。

また研究開発分野においても、創薬プロセスにAIを取り入れる動きが広がっています。従来は、数年単位でかかっていた候補化合物の探索工程を短縮できる可能性があり、製薬企業にとってもAIを導入するメリットが明確です。加えて、ゲノム解析のコストが低下し、個人の遺伝情報をもとにした治療選択も現実味を帯びています。

ヘルステック業界の市場規模と将来性

ヘルステック業界は、公的統計として独立した区分が存在しないものの、隣接領域である「ヘルスケア」「デジタルヘルス」の市場推計からも、その成長余地が極めて大きい領域とわかります。特に、ヘルスケアサービスや医療機器などのテクノロジー活用が進む分野では、市場拡大が長期的に続く見通しが示されています。

  • ●ヘルステックの市場規模は拡大傾向
  • ●海外のヘルステック市場から見る日本市場のポテンシャル

ヘルステックの市場規模は拡大傾向

経済産業省が公表する「ヘルスケア産業」の将来推計を見ると、関連市場の成長見込みは非常に大きく、ヘルスケアサービス領域では、2020年に18.5兆円規模だった市場が2050年には59.9兆円へ拡大すると予想されています。健康維持や予防医療に関するサービスが多様化し、デジタルヘルスやウェルビーイング関連のサービスが普及することで、今後さらに裾野が広がることが予測されます。

医療機器を含む「医療」領域も、2020年3兆円から2050年には21兆円規模まで成長が見込まれています。画像診断装置、遠隔医療端末、治療支援プログラム(医療機器プログラム)など、テクノロジーを核とする医療機器は、ヘルステックの中核を担う領域であり、AI診断、ロボティクス、モバイルデバイス活用といった進展が成長を後押ししています。

これらのデータは、ヘルステックが医療・予防・健康管理を横断する巨大産業へ成長する可能性を示しています。社会課題の深刻化を背景に、関連市場は長期的な需要基調を維持し続けるでしょう。

出典:経済産業省「新しい健康社会の実現に資する経済産業省における施策について」(p.5,6 – (参考)健康づくり・介護産業の市場規模拡大)

海外のヘルステック市場から見る日本市場のポテンシャル

海外市場、とりわけアメリカのデジタルヘルス領域は成熟度が高く、日本市場の将来性を考える際の重要なベンチマークとなります。公的データとして「ヘルステック」そのものの統計は存在しませんが、電子カルテ(EHR)、ヘルスケアAI、手術支援ロボット、デジタル治療(DTx)といった隣接領域を参照すると、世界市場の成長速度が際立っていることがわかります。

EHR市場は、2030年までに約2倍規模へ拡大すると予測されており、医療ソフトウェアの高度化とデータ連携を軸に、継続的な需要が見込まれます。AI領域では、特に画像診断が高成長を牽引しています。複雑な画像パターンを高精度で解析できる技術の登場が、普及を後押ししているためです。手術支援ロボットの市場も、低侵襲手術のニーズ拡大を背景に大きく伸びており、安全性・効率性の向上という明確な価値が評価されています。さらに、慢性疾患の行動療法を支援するDTxは治療領域ごとに導入が広がり、デジタルヘルス市場全体の成長を押し上げています。

これらの動きを踏まえると、海外市場は「すでに実装フェーズに入っている領域」が多い一方、日本は規制やデジタルインフラの整備が、まだ途上にあります。電子カルテの標準化やAI活用のガイドライン整備が遅れているため、市場全体の立ち上がりが緩やかになっているのです。

しかし、この遅れはそのまま「伸びしろの大きさ」を示す指標ともいえます。超高齢社会の日本では医療DXの必要性が極めて高く、海外で成果が実証された領域は、制度が整い次第一気に拡大する可能性があります。世界市場の成長性と比較することで、日本がこれから大きく変化し得るポテンシャルを客観的に捉えられるのです。

出典:米国におけるデジタルヘルス市場動向調査(2022年3月) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ

ヘルステックが活躍する主な分野

ヘルステックは、医療のあらゆる領域に広がっています。ここでは、代表的な分野ごとに、ヘルステックがどのような価値を生み出しているのか整理します。

  • ●予防・健康管理(ウェアラブル、健康管理アプリ)
  • ●診断・検査(AI画像診断、オンライン診断、遺伝子検査) 
  • ●治療(治療用アプリ、遠隔医療・オンライン診療)
  • ●医薬品・創薬(AI創薬、ゲノム編集)
  • ●介護・リハビリ(介護ロボット、見守りシステム)
  • ●医療プラットフォーム(電子カルテ、医療ビッグデータ)

予防・健康管理(ウェアラブル、健康管理アプリ)

予防・健康管理の分野では、ウェアラブル端末と健康管理アプリが、日常の行動をデータ化し、健康状態の把握を支援します。心拍数や睡眠、歩数などの情報を自動取得し、アプリで分析することで、体調変化の兆しを早期に察知しやすくなります。

アプリでは、バイタルデータに加えて食事や運動の記録を分析し、生活習慣改善を支援します。睡眠不足や高い心拍が続く場合に休息を促すアラートを出すなど、具体的な行動提案が可能です。疾患リスクをスコア化し、医療機関の受診を促すサービスも登場しています。

このように、予防・健康管理のヘルステックは、医師の診療が始まる前の「未病」の段階から介入できる点に特徴があります。日々のデータに基づいた生活習慣の調整ができるため、慢性疾患の発症や重症化を防ぎ、中長期的には医療費の抑制にも寄与する仕組みといえます。

診断・検査(AI画像診断、オンライン診断、遺伝子検査)

診断・検査の分野では、AIとデジタル技術が診断精度と効率の両方を引き上げています。AI画像診断では、CT・MRI・レントゲンなどの画像を解析し、がんや脳卒中などの病変を高い精度で検出します。大量の画像データを学習したAIが候補箇所を提示することで、医師は確認すべきポイントを絞り込みやすくなり、読影時間の短縮と見逃しリスクの低減につなげることができます。

オンライン診断やAI問診も重要な役割を担います。問診システムが症状や既往歴を事前に整理することで、医師は診察時に診断と説明に専念できるようになります。また、適切な診療科の案内や緊急度の判定を行う仕組みは、救急外来の混雑緩和や医療資源の適正配分にもつながります。

さらに、遺伝子検査やゲノム解析では、疾患リスクやがんの遺伝子変異を把握し、その方に合った治療方針の選択を支援します。こうした技術が組み合わさることで、診断のスピードと質が高まり、個々の状態に合わせた精緻な医療を実現しやすくなっています。

治療(治療用アプリ、遠隔医療・オンライン診療)

治療の領域では、デジタル技術そのものが「治療手段」に位置付けられつつあります。治療用アプリ(デジタルセラピューティクス)は、疾病の治療や再発予防を目的として開発されたソフトウェアであり、一部は保険適用も進んでいます。例えば、ニコチン依存症や不眠症などに対して、アプリが認知行動療法に基づいたプログラムを提供し、継続的な行動変容を支援するケースがあります。

遠隔医療・オンライン診療は、地理的な制約や通院負担の軽減に大きく貢献します。慢性疾患で定期的なフォローが必要な方や、地方在住で専門医へのアクセスが限られる方にとって、オンラインで医師とつながれる価値は大きいといえます。診察前に問診や検査結果を共有しておくことで、診療時間を有効に使うことも可能です。

これらの取り組みは、単に通院を置き換えるだけではありません。アプリから取得される生活データと診療情報を組み合わせることで、薬物療法と行動療法を一体的に設計できるようになり、治療の継続率や効果の向上に寄与します。治療のプロセス全体をデジタルで支援する仕組みとして、ヘルステックの存在感は今後さらに高まると考えられます。

医薬品・創薬(AI創薬、ゲノム編集)

医薬品・創薬の分野では、AIとゲノム編集技術が新薬開発の在り方を変えつつあります。AI創薬では、膨大な化合物データと生物学的情報を解析し、有望な候補物質を高速で抽出します。従来は時間とコストがかかっていたスクリーニング工程を効率化できるため、開発期間の短縮や成功確率の向上が期待されます。

一方、ゲノム編集技術は、疾患の原因となる遺伝子に直接アプローチする手段として注目されています。希少な遺伝性疾患や難治性疾患に対し、原因となる遺伝子変異を修正したり、がん免疫療法を高度化したりする試みが進んでいます。これにより、従来の薬剤では十分な効果が得られなかった領域に、新しい治療オプションが生まれつつあります。

これらの技術は、どの方にどの治療を提供するかという選択の精度を高めます。ゲノム情報やリアルワールドデータを組み合わせることで、より的確なターゲット設定と用量設計が可能になり、医療の個別化を一段と進める基盤となっています。

介護・リハビリ(介護ロボット、見守りシステム)

介護・リハビリの分野では、ヘルステックが現場の負荷軽減と高齢者の自立支援に寄与しています。移乗支援ロボットやパワーアシストスーツは、介護職の身体的負担を抑えながら、安全な移乗動作をサポートします。移動支援機器や歩行アシストロボットは、転倒リスクを抑えつつ運動機会を確保できるため、リハビリテーションの質の向上にもつながります。

見守りシステムでは、センサーやカメラを用いて居室内の行動や睡眠状態を把握し、転倒や徘徊などの異常を検知すると通知するという仕組みが活用されています。職員が常に付き添うことが難しい環境でも、一定の安全性を担保しやすくなる点は、夜間帯や少人数シフトの施設にとって大きなメリットです。

一方、機器導入のためのコストや運用負荷などの課題もあります。そのため、全てをテクノロジーに置き換える発想ではなく、人が行うケアを補完し、限られたリソースを本当に必要な対応に振り向けるための手段として設計されるケースが増えています。介護・リハビリ領域のヘルステックは、現場の安全性と働きやすさの両立を支えるソリューションとして、今後も発展が見込まれます。

医療プラットフォーム(電子カルテ、医療ビッグデータ)

医療プラットフォームの分野では、電子カルテと医療ビッグデータの活用が医療システム全体の基盤を形づくります。電子カルテの標準化が進むことで、医療機関ごとに分断されていた情報を連携しやすくなり、紹介先の病院でも過去の検査結果や処方履歴を確認できる環境が整いつつあります。これは、診療の重複を減らし、切れ目のない医療提供につながる重要な動きです。

一方で、レセプトデータや健診データなどを統合した医療ビッグデータは、疾患の発症傾向や治療アウトカムの分析に活用されています。製薬企業はこのデータをもとに創薬テーマを検討し、保険会社は疾患予測モデルや新たな保険商品の設計に役立てています。行政側でも、医療提供体制の最適化や予防施策の立案にデータ分析を用いるケースが増えています。

ただし、データ連携にはプライバシー保護やセキュリティ確保などの課題もともないます。そのため、技術と制度の両面から信頼性の高いプラットフォームを構築することが不可欠です。医療プラットフォーム領域のヘルステックは、個々のサービスを支える土台として、医療全体の質と効率を底上げする役割を担っています。

ヘルステック業界の主要企業一覧

ヘルステック業界では、医療プラットフォームやビッグデータ、画像診断機器、AI問診など領域ごとに強みをもつ企業が存在します。ここでは、代表的な企業群の事業内容と、医療現場や社会にどのような価値を提供しているのかを整理します。

  • ●業界を牽引する上場企業・メガベンチャー
  • ●技術力を生かし異業種から参入する大手企業
  • ●注目の急成長スタートアップ

業界を牽引する上場企業・メガベンチャー

上場企業やメガベンチャーは、医療プラットフォームやビッグデータ基盤を提供し、ヘルステックの土台を形成しています。株式会社メディカルシステムネットワークは、全国の保険薬局向けに医薬品ネットワーク事業を展開し、仕入れや在庫管理を効率化するとともに、地域薬局事業や訪問看護事業も組み合わせて、地域ヘルスケアを支えるエコシステムを構築しています。

エムスリー株式会社は、医師向け会員制サイト「m3.com」を軸に医療情報提供や製薬企業のプロモーション支援を行い、オンライン診療やクラウド電子カルテなど、診療支援ソリューションにも事業を広げています。医師が、日常的に利用するプラットフォームを押さえることで、デジタルサービスを医療現場へ浸透させている点が特徴です。

医療ビッグデータ領域では、株式会社JMDCが健保組合から収集したレセプトや健診データを、匿名化してデータベース化し、製薬企業や保険会社向けに分析サービスを提供します。リアルワールドデータに基づく治療成績の評価や疾患予測モデルの構築を支援し、エビデンスに基づく医療や保険設計を後押ししています。

株式会社メドレーは、オンライン診療と予約機能を備えたクラウド電子カルテ「CLINICSカルテ」や、医療機関と生活者をつなぐ医療プラットフォーム事業を展開しています。診療所の基幹業務をクラウド化し、予約や決済、診療データを一体で扱える環境を提供することで、医療機関の業務効率化と患者の体験向上を同時に実現している点が強みです。

技術力を生かし異業種から参入する大手企業

異業種出身の大手企業は、画像処理やITインフラなどの既存の技術力を医療分野へ展開し、ヘルステックの高度化に貢献しています。キヤノンメディカルシステムズ株式会社は、CTやMRIなどの画像診断装置を提供し、ディープラーニングを用いた画像再構成技術「AiCE」や超解像技術「PIQE」によって、高精細な画像と撮像時間短縮を実現しています。これにより、医師は診断の精度を高めつつ検査負荷を抑えやすくなります。

富士フイルムヘルスケア株式会社は、X線や内視鏡などの医療機器に加え、AIを活用した診断支援やヘルスケアIT、医療クラウドサービスを展開しています。クラウド上で画像診断システムやAI機能を提供することで、初期投資を抑えつつ高度な診断環境を整えたい医療機関を支援し、地域間格差の是正にもつなげています。

株式会社NTTデータは、電子カルテシステムや医療情報ネットワーク、検査データ連携サービス「L-AXeS」などを通じて、医療情報インフラを支えています。さらに、分散型臨床試験(DCT)に向けた治験支援システムを大学病院などと検証する取り組みも進めており、医療機関間のデータ連携や治験プロセスのデジタル化を促進しています。

これらの企業は、通信や画像処理の技術を生かし、医療DXの基盤となるソリューションを提供しています。

注目の急成長スタートアップ

スタートアップ各社は、AIやクラウド技術を活用し、特定領域に特化したサービスで医療の在り方を変えようとしています。Ubie株式会社は、AI問診プロダクト「ユビーAI問診」や、生活者向け症状検索エンジンを提供し、患者がスマートフォンで質問に答えるだけで、症状に関連する病名候補を提示する仕組みを展開しています。医療機関向けには問診業務の効率化と診療の質向上を支援し、患者側には適切な受診行動を促す役割を担っています。

株式会社AIメディカルサービスは、内視鏡画像を対象とした画像診断支援AIを開発し、胃がんや大腸がんなど消化管がんの見逃しを減らすことを目指しています。内視鏡医の負担が大きい検査にAIが補助的に関わることで、早期がんの発見率向上と診断の平準化を図るアプローチです。がん死亡者の多くを占める消化管領域に焦点を当てることで、医療へのインパクトが大きい領域に集中投下しています。

株式会社iCAREは、企業向け健康管理クラウド「Carely」を提供し、従業員の健診結果や面談記録、ストレスチェックなどを一元的に管理できる環境を整えています。産業医紹介や健診業務支援、健康経営コンサルティングまで組み合わせることで、企業が抱える健康課題を包括的に支援するモデルです。

このようなスタートアップは、大手では手が届きにくい業務の隙間やユーザー体験の課題に切り込み、AI問診や画像診断、企業の健康管理といった特定領域において、独自のポジションを築きつつあります。業界構造が変化する中で、今後も提携や資本業務提携を通じ存在感を高めていくことが予想されます。

ヘルステック業界の乗り越えるべき3つの課題

ヘルステック業界は、社会的意義の大きさから注目を集めていますが、参入すれば自動的に成長できるわけではありません。ここでは転職を検討される方に向けて、現場で直面しやすい3つの課題を整理します。

  • ●課題1:法規制とガイドライン(医療の安全性担保)
  • ●課題2:医療データの活用とプライバシー保護 
  • ●課題3:マネタイズの難易度 

課題1:法規制とガイドライン(医療の安全性担保)

ヘルステック企業は、「医療の安全性と倫理性を最優先にする」という前提から逃れられません。医薬品医療機器等法(薬機法)や医師法、医療広告ガイドラインなど、関係する法令は多岐にわたり、生命に関わるサービスである以上、違反は許されない領域です。特にソフトウェアやアプリであっても、診断や治療に直接関与する場合には、医療機器プログラムとして薬機法の規制対象となる可能性があり、プロダクト企画の初期段階から法務・薬事の観点を織り込むことが求められます。

一方で、ヘルステックの価値はイノベーションのスピードに支えられる側面があります。オンライン診療や治療用アプリ、AI画像診断などは、ユーザーや医療機関のニーズを踏まえた迅速な改善が重要です。しかし、安全性と有効性の検証には一定の時間とプロセスが必要になります。このギャップが、企画や開発に関わる方にとって大きなジレンマになりがちです。

転職を検討する際は、法令遵守を前提としながら、どこまでチャレンジングな発想を許容する企業なのか、また薬事・法務・医療現場との連携体制がどの程度整備されているのかを、見極めることが重要です。スピードを優先するあまりグレーゾーンに依存する企業もあれば、必要以上に慎重で事業が進みにくい企業もあります。自分のリスク許容度やキャリア志向に合う企業なのかどうかを確認しておくとよいでしょう。

課題2:医療データの活用とプライバシー保護

ヘルステックの多くは、データを起点とした価値創出を目指します。しかし、日本では電子カルテの仕様が医療機関ごとにばらついており、病院やクリニック、自治体のシステムが分断されているケースが多のが現状です。その結果、診療データや健診情報を横断的に活用しづらく、理想的なパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)や医療ビッグデータの利活用は、まだ十分に進んでいるとはいえません。

一方で、医療・健康データは極めて機微性の高い個人情報です。匿名加工やアクセス権限の設計、クラウド利用時のセキュリティ対策など、技術面と運用面の両方で慎重な設計が不可欠です。PHRサービスを展開する企業にとっては、「どこまでデータを統合すればユーザーにとっての利便性が高まるか」と「どの範囲までなら社会的に受容されるか」のバランスを取り続けることが大きなテーマになります。

転職希望者は、自身が扱うプロダクトがどの程度センシティブなデータを扱うのか、どのようなガバナンス体制やセキュリティポリシーを敷いているのかを、事前に確認することが重要です。エンジニアやプロダクトマネージャーであれば、医療情報システムの標準規格やプライバシー関連法令への理解が求められます。また、ビジネスサイドの場合にも、データの利活用とプライバシー保護のトレードオフを踏まえた提案力が問われます。データを「もっているだけ」ではなく、信頼を損なわない形で「価値に変える」視点がキャリア上の大きな差別化要素になります。

課題3:マネタイズの難易度

ヘルステックは社会的意義の高さに比べて、事業としてのマネタイズは容易ではありません。特にBtoC領域では、健康な方ほど「今すぐ使わなければならない理由」が弱く、アプリの継続利用が途切れやすい傾向があります。ダイエットや運動習慣の定着支援など、一時的なブームは生まれやすいものの、長期的な利用を前提としたサブスクリプションモデルの構築には、高いプロダクト体験と継続的な価値提供が欠かせません。

加えて、日本の医療は公的保険制度に支えられているため、保険適用されるかどうかが、ビジネスモデルに直結します。治療用アプリやオンライン診療のように、保険適用が認められれば一気に普及が進む可能性がある一方で、適用までにはエビデンスの構築や制度との整合性確認など、時間とコストを要します。保険適用外のサービスであれば、自費で支払う価値をどのように訴求するかが最大の論点になります。

企業側は、BtoB(医療機関、保険者、企業)とBtoCのどちらを軸に収益モデルを設計するか、あるいは両者をどう組み合わせるかを慎重に検討しています。転職を検討される方は、対象顧客セグメント、売り上げの主なドライバー、保険制度との関わりを把握したうえで、自身の経験がどの部分に生かせるかを整理しておくとよいでしょう。社会課題の解決と事業性の両立が必要であると理解しておくことで、入社後のギャップを最小限に抑えられます。

ヘルステック業界の最新転職・求人情報

ヘルステック業界の求人は、医療DXの加速と各企業の事業拡大を背景に、プロダクト開発から事業推進、データ活用まで幅広い職種で増えています。特に、クラウド型電子カルテ、オンライン診療、医療ビッグデータ、健康管理SaaS、AI診断支援といった領域では、新規サービスが次々と立ち上がっており、事業成長に向けた即戦力採用が活発です。

求人票を見ると、医療知識の有無よりもプロジェクト推進力や事業構築の経験、部門横断で調整を進める力が重視される傾向があります。また、IT、コンサル、SaaS、事業企画など異業種のバックグラウンドが評価されやすく、医療業界未経験でも応募可能な求人が多い点は特徴的です。技術的素養があれば、プロダクトマネージャーやBizDev、データ関連職などへの転身を目指しやすい環境が整っています。

スタートアップでは、ゼロイチの事業づくりに関わるポジションが増加し、大手企業でも新規事業部や医療DX部門の採用が強化されています。社会課題解決への思いをもち、学習意欲と実行力を兼ね備えた方にとって、キャリアの選択肢が広がっている市場です。

ここからは、ヘルステック分野の最新求人動向をご紹介します。
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ヘルステック企業:フロントマーケティング

株式会社Splink:【脳科学×AI/ヘルステックベンチャー】プロダクトマネージャー

非公開:【国内初の治療アプリ開発を進めるヘルステックベンチャー】医療系スタートアップで新規事業をグロースさせる事業開発

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非公開:【事業プロデューサー/ライフサイエンス事業部】

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