電子デバイス研究開発職の転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説

  1. メーカー(電気/機械)
  2. メーカー(電気/機械)×転職マーケット

公開日:2025/05/28 / 最終更新日: 2025/06/17

半導体やセンサー、集積回路などの最先端電子部品の基礎研究や、新製品開発を担う専門職である、電子デバイス研究開発職。技術革新とグローバル競争の加速により、IoTやAI、5G通信など、社会や産業の高度化を支えるキーデバイスの需要が急増しており、それにより研究開発の市場ニーズはますます高まっています。

ここでは、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが電子デバイス研究開発の仕事内容や年収、最新の求人情報、採用動向について詳しく解説します。

業界のプロがあなたにあった転職支援を行います

今現在、

  • 経験を活かして異業界への転職を検討している
  • 業界内でより自分にあった企業へ転職したい
  • より年収を上げたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける

業界のプロがあなたにあった転職支援を行います

今現在、

  • 経験を活かして異業界への転職を検討している
  • 業界内でより自分にあった企業へ転職したい
  • より年収を上げたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

登録してプロの転職支援を受ける

電子デバイス研究開発職の転職動向


近年、電子デバイス研究開発の分野では、自動車の電動化や通信技術の高度化を背景に、各社で技術革新への対応が急務となっており、採用ニーズが拡大しています。当社実績では、機械装置・化学、プラント、半導体・電機業界を中心に、先端材料や次世代パワー半導体(SiCなど)を扱う企業での研究開発職の募集が活発です。特に「プロセス開発」「デバイス設計」「アナログ回路開発」などに関する業務が多く、業務内容は研究・設計だけでなく、量産化に向けた技術開発や検証・評価、顧客対応まで幅広い領域をカバーします。

また、募集背景では「世界トップシェアを目指すための増員」「新工場立ち上げに伴う人員拡充」「注力事業への戦略的投資」など、将来性の高いプロジェクトへの参画ニーズが強い傾向です。さらに当社の成約実績からも、30代後半から50代の技術者まで幅広い年齢層で採用されており、課長未満の現場リーダークラスから、課長・部長級の技術責任者まで多様なポジションでの需要がみられます。さらに、英語力を求める傾向も一定数みられ、グローバル案件への対応力も評価対象となる傾向です。

電子デバイス研究開発の分野では、技術革新を推進する即戦力のニーズが高まっており、専門性の高い経験をもつ方にとっては好機といえます。


電子デバイス研究開発職では、以下のようなスキル・経験・マインドが求められます。

・半導体デバイスまたはプロセス開発の経験
・高周波回路設計およびその評価経験
・FPC/PCB業界での開発経験
・パッケージ開発やモジュール設計の経験
・海外拠点との技術連携・マネジメント経験

ここから、それぞれの内容を解説します。

半導体デバイスまたはプロセス開発の経験

電子デバイス研究開発職では、半導体デバイスの製造プロセスや特性に精通していることが重視されます。特に、SiC(炭化ケイ素)やSi系パワーMOSFETのプロセス開発経験は高く評価されており、量産ライン立ち上げや工程改善への応用力が求められます。デバイス構造設計から実装・評価まで一貫して関われる経験は、即戦力として歓迎される傾向です。

通信モジュールやセンサーデバイスの小型化・高性能化が進む中で、高周波回路(RF)の設計スキルが求められています。特に、50GHz以上の周波数帯での回路開発・実装評価経験をもつ方は希少価値が高く、EMC/EMI対策やSパラメータの測定・解析ができる能力も重要視されている傾向です。

FPC(フレキシブルプリント基板)やPCB(プリント回路板)に関する業務経験は、電子デバイスの実装技術や高密度配線において不可欠です。再配線(RDL)工程や低誘電率材料、熱対策に関する知見を有することで、製品の信頼性向上に貢献できます。この分野での量産化対応や不具合解析の経験も、重要なアピールポイントです。

近年では、チップレベルの設計だけでなく、パッケージング技術への知識も求められています。特に、通信モジュールや車載向け高機能デバイスでは、パッケージ構造と熱設計、信号伝送特性の最適化が不可欠です。熱シミュレーションや構造解析の経験もあわせて有することで、研究開発の上流工程から参画できます。

グローバルに事業を展開する企業が多いため、英語での技術資料作成や、海外チームとのプロジェクト推進経験は高評価を得られる傾向です。例えば、海外工場や研究所との量産立ち上げ・技術指導を行った経験は、技術面に加えコミュニケーションスキルやマネジメント能力も証明できる要素となります。


製造業に特化したコンサルタントが、あなたの転職をサポート。
業界における市場価値や、レジュメ、面接対策、企業傾向などJACのコンサルタントにご相談ください。


電子デバイス研究開発の平均年収は855.4万円


JACの実績※では、電子デバイス研究開発職の平均年収は約855.4万円です。年収のボリュームゾーンは700万円~1,000万円となっています。下記の表は年代別の平均年収ですが、企業規模や担当する領域、これまでのご経験によって、20代でも年収が850万円を超えるケースや30代・40代で年収1,250万円以上のケースもあります。

役職平均年収
メンバークラス809.2万円
管理職1,078.2万円
平均年収
日系企業805.4万円
外資系企業993.9万円


本章では、デバイス研究開発職の最新転職・求人情報を紹介します。

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年4月最新)

JACでは取り扱う求人の約7割が非公開求人であり、本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。非公開求人も含め自身の適性やキャリアビジョンに合う求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。転職支援のプロであるコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて適性やご希望に沿う求人をご紹介いたします。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

電子デバイス研究開発職への転職で有利となる資格


電子デバイス研究開発職への転職を目指す場合、以下の資格を取得していると有利です。

・電気主任技術者(第三種)
・半導体技術者検定(SEAJ)
・TOEIC(600点以上)
・応用情報技術者試験(AP)
・技術士(電気電子部門)

ここから、各資格の内容を確認しておきましょう。

電気主任技術者は、工場や研究所における電気設備の保守・運用を担う国家資格です。電子デバイス研究開発では、高電圧を扱う評価設備や実験装置が必要となる場面が多く、設備面の知識や管理能力が評価されます。特に第三種は5万ボルト未満の設備を扱えるため、量産工場での工程設計や試作ラインの技術支援などでの貢献が期待されるでしょう。

当社の実績でも、保全や設備導入を伴う開発ポジションで本資格がプラス評価されたケースがみられます。資格取得には半年から1年程度の学習期間が必要で、理系バックグラウンドがあれば独学でも十分に取得可能です。試験の合格率は例年10~20%前後とやや難易度は高めといえます。

半導体技術者検定は、製造装置やデバイス構造、プロセス技術などに関する幅広い知識を測定する民間資格です。プロセス開発やデバイス試作、量産移管などに関与する職種において、専門知識を体系的に有している証明として有効でしょう。

試験は基礎・応用・上級の3段階があり、段階的にステップアップ可能です。1科目あたりの学習期間は3~6カ月程度で、特に上級は装置メーカーや開発リーダー経験者でも手応えがあるレベルです。

電子デバイス分野では、海外製装置の導入やグローバルR&D拠点との連携が不可欠であり、TOEICスコアはビジネス英語力の客観的指標として重視されます。当社の実績でも、TOEIC600点以上を応募要件とする求人がみられ、特に大手メーカーや外資系企業、海外展開のある企業で歓迎される傾向です。

読み書き中心のスコアとはいえ、英文マニュアルの読解、メール対応、TV会議での質疑応答など、実務での活用シーンは多岐にわたります。必要な学習時間は現在の英語力によりますが、スコアを100点伸ばすには平均で約200〜300時間の学習が必要といわれています。転職準備の一環として、早めの受験がおすすめです。

応用情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報系国家資格で、システム開発、ネットワーク、セキュリティ、マネジメントなど、ITに関する総合的な知識が問われます。電子デバイス開発においても、組み込みソフトウェアや制御アルゴリズムの開発など、ソフトとハードの融合が進む中で、情報処理スキルの証明として評価される場面が増えている傾向です。

当社の実績では、ハードウェア技術者でもデジタル設計や評価自動化に携わる方が、本資格を保有しているケースがあり、汎用的なITスキルの裏付けとして選考時の強みになっています。学習期間は2〜4カ月が目安で、合格率は20%前後です。

技術士は、技術者としての専門性・倫理性・マネジメント力を兼ね備えた高度専門職の証明となる国家資格です。電子デバイス研究開発においても、上流工程の技術戦略や品質評価、課題解決能力の証明として非常に高く評価されます。当社の実績では、管理職やプロジェクトリーダーなど、裁量の大きいポジションでの選考通過事例が多く、特に外部向けに技術的信用力が求められるケースで効果を期待できるでしょう。

受験には7年以上の実務経験が求められ、試験内容も筆記・口頭とハードルは高いものの、その分社会的信用力も抜群でしょう。中長期でのキャリア形成を見据えて、取得を検討する価値があります。

電子デバイス研究開発職のキャリアパス


電子デバイスの研究開発分野は、半導体や材料、回路、ソフトウェアなど多様な専門領域が融合し、最先端技術の進化を支えています。理系の基礎知識や探究心、ものづくりへの情熱が求められ、キャリアパスも多岐にわたるのが特徴です。ここから、デバイス研究開発のキャリアパスを5つご紹介します。

研究開発エンジニアは、新しい半導体デバイスやプロセス技術の開発を担い、技術革新の最前線で活躍します。探究心が強く、未知の課題にも挑戦したい方に向いており、論理的思考力や創造力が求められるキャリアパスです。

キャリアのスタートには理工系の学位取得が一般的で、企業の研究開発部門で実務経験を積みながら、シニアエンジニアやリーダー職へと進む道が開けます。継続的な学習と業界動向の把握が成長の鍵です。

  • 研究開発職の転職事情|難易度や成功のポイントとは

    化学メーカーでは、「SDGs/ESG対応」「半導体」「ライフサイエンス」といった新領域への事業展開を加速させていることから、研究開発職の求人が増えており、アカデミアからの転職チャンスも拡大しています。研究開発職の転職市場… 続きを読む 研究開発職の転職事情|難易度や成功のポイントとは

プロセスエンジニアは、半導体製造の工程設計や最適化、品質向上に取り組みます。細部に目を配り、安定した生産体制を築くことにやりがいを感じる方に適したキャリアパスです。

化学や物理、材料科学の専門知識が必要で、現場での経験を積むことで、プロセス開発リーダーや管理職へのステップアップできます。現場での課題解決力や、チームをまとめる力も重要な資質です。

組み込みエンジニアは、デバイスに内蔵されるソフトウェアやファームウェアの設計・開発を担当します。ハードウェアとソフトウェアの両面に興味を持ち、ものづくりの全体像を把握したい方に向いています。

情報系や電気電子系の知識を基礎に、現場での開発経験を積み、システムアーキテクトやプロジェクトマネージャーなど上流工程への道も開かれているのが特徴です。幅広い知識と柔軟な発想力が生かされます。

品質保証エンジニアは、製品の品質管理や検査、顧客対応を通じて高品質なデバイスの提供を支えます。緻密な作業や分析が得意で、責任感を持って業務に取り組む方に適しているでしょう。

理系の基礎知識に加え、現場での品質管理や評価の経験を積むことで、品質管理部門のマネージャーやディレクターへのキャリアアップが可能です。

  • QAエンジニアの転職事情|仕事内容や年収、転職動向を解説

    現在、さまざまなソフトウェアが開発される中で、他社との差別化を図り、ユーザー満足度を高めるためには、高品質なソフトウェアを提供することが不可欠です。ソフトウェアの品質向上には、単に不具合がないか確認するだけでなく、ユーザ… 続きを読む QAエンジニアの転職事情|仕事内容や年収、転職動向を解説

回路設計エンジニアは、デバイスやシステムの電気回路を構築・最適化する専門職であり、製品の安全性と信頼性を技術的に担保する重要な役割を果たします。高度な論理的思考力と設計センスを融合させ、技術の本質を見極めながら価値創出に貢献できる方にふさわしいキャリアパスです。

電気電子工学の知識を土台に、設計業務や検証を重ねることで、専門性を高めながらリーダーや開発戦略担当へとキャリアを広げられます。

  • 弱電回路設計職の転職事情|難易度や成功のポイントとは

    弱電というカテゴリーには、パソコンやスマートフォン、IoT機器など、商用電源かそれ以下の電圧の電池で動く製品が含まれています。JAC Recruitmentでは、民生品や業務用電気製品を扱う家電メーカー、電子機器メーカー… 続きを読む 弱電回路設計職の転職事情|難易度や成功のポイントとは


電子デバイス研究開発職の転職を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

・プロセス・回路設計などの専門性を明確化
・量産化・製品化への関与経験をアピール
・海外との連携・英語使用経験をアピール
・応募企業の注力技術・研究領域との接点を意識
・転職エージェントを活用

ここから、各ポイントについて解説します

電子デバイス研究開発では、半導体プロセス・高周波回路・パッケージングなど専門性が細分化されています。当社の実績では、これらの分野において具体的な開発テーマや使用技術、成果が明確な方ほど歓迎される傾向です。職務経歴書では「どの工程・領域で、どのような課題を、どのような技術で解決したか」を整理して記載しましょう。

当社の実績では、グローバル展開する企業ではTOEICスコアや英語での報告・折衝経験を重視する傾向です。特に海外工場や開発拠点と連携した開発、海外メーカーとの技術折衝経験は、即戦力として高評価に直結します。スコアだけでなく「どのような場面で英語を使ったか」を具体的に伝えることが重要です。

当社の実績では、グローバル展開する企業ではTOEICスコアや英語での報告・折衝経験を重視する傾向です。特に海外工場や開発拠点と連携した開発、海外メーカーとの技術折衝経験は、即戦力として高評価に直結します。スコアだけでなく「どのような場面で英語を使ったか」を具体的に伝えることが重要です。

企業ごとに注力するデバイス(SiC、GaN、高周波通信用モジュールなど)は異なります。当社の実績でも、企業の注力領域に対して経験が合致している方ほど歓迎される傾向がああります。求人票やニュースリリースなどで応募先の研究方針を把握し、自身の経験との接点を面接や書類で強調しましょう。

電子デバイス研究開発職は、企業ごとの技術要件や評価ポイントが異なるため、情報収集が非常に重要です。

JACのような専門性の高い転職エージェントを活用すれば、当社の実績をもとにマッチ度の高い求人を提案でき、書類添削や面接対策も個別に支援が可能です。企業との接点をもつ専門家からの推薦で、選考通過率も大きく向上します。

電子デバイス研究職の転職事例


ここからは、JACを活用してデバイス研究開発へ転職した事例をご紹介します。

Aさん(女性/40代前半)

業種職種年収
転職前日系大手・化学系企業自社および他社製品の分析800万円
転職後日系大手・電線・電子部品系メーカーデバイス研究開発1000万円

Aさんは、長年培ってきた高度な分析技術とデータ解析力をより広いフィールドで生かしたいという思いから転職を決意。大学院を修了後、化学・素材分野における2社でのキャリアを通じて、金属、半導体、電池材料、ポリマーなど幅広い素材の分析に従事されてきました。

電子顕微鏡や分光分析、放射光を用いた高度分析に加え、海外工場での設備改善や研究拠点の立ち上げなど、グローバルな経験も積み上げてきた方です。

前職では独学でPythonを学び、社内DX認定を取得。データのスクリーニングや画像解析、売り上げデータの自動集計など、デジタル技術を生かした業務改善にも積極的に取り組まれました。一方で、現職では扱える機器の種類が限られており、さらに分析スキルを高めていける環境を求めてJACに相談されました。

JACのコンサルタントは、Aさんがこれまで培ってきた高度な分析技術と、独学でPythonを習得するなどの成長意欲に強く共感。Aさんの「より広いフィールドで専門性を深めたい」という想いを受け止め、その挑戦を後押しする形で、幅広い装置を扱えるY社の分析部門をご提案しました。

Y社では、組織力の強化を進める中で、探究心と専門性を兼ね備えた方を求めており、Aさんの志向やスキルセットと高い親和性がありました。

結果として、年収は800万円から1000万円へとアップし、多様な分析領域で専門性を高められる新たなステージでのキャリアをスタートしています。


電子デバイス研究開発の分野では、専門性の高い知識や経験が求められ、企業の採用責任者や経営層と直接やり取りする機会も多い仕事です。

JACは、半導体や電子デバイス業界に精通した専任チームが在籍し、業界動向や技術トレンドを踏まえた的確なアドバイスが可能です。また、コンサルタントが企業と転職希望者双方を一貫して担当しており、企業の経営課題や現場のニーズを深く理解したうえで、転職希望者のキャリアや志向に合わせた求人提案を行っています。さらに、非公開求人や独自案件も豊富で、他社にはない質の高い転職サポートが受けられる点が大きな強みです。

電子デバイス研究開発職への転職を検討している方は、ぜひJACへご相談ください。

  • メーカー転職情報

    メーカーの転職市場においても、JAC Recruitmentは多くの方々の転職を成功させてきました。JACは業界専任制のコンサルティングを行っているため、高い専門性や業界の知識を豊富に蓄積しており、また市場動向についても… 続きを読む メーカー転職情報

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。