薬剤師の転職事情|求められる経験や年収相場、成功のポイントを解説 

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公開日:2025/05/09 / 最終更新日: 2025/06/16

調剤薬局を中心とした薬剤師の求人が増加しています。ビジネスモデルやキャリアパスが多様化し、転職を考える薬剤師の方々にとって選択肢が広がっています。また、薬剤師資格を生かし、異業界へ転職するチャンスもあります。薬剤師の転職市場動向、求められるスキル・経験、年収相場、転職を成功させるポイント、転職成功事例などについて、JAC Recruitment(以下、JAC)の医療業界専任コンサルタントが解説します。

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薬剤師の転職動向・求人の傾向とは?


現在、調剤薬局を中心に、薬剤師の求人が増え続けています。背景には、処方箋枚数が右肩上がりで増えていること、薬剤師国家試験の合格者数がここ数年1万人を割り、有資格者数が不足していることがあります。

また、新たなビジネスモデルも登場しています。病院ではなく、施設や自宅で療養を行う患者さまを訪問する「在宅専門」の調剤薬局、薬局まで薬を取りに来られない方々に対し、Web上で服薬指導を行い、即日~1日で薬を宅配する「オンライン調剤薬局」などでも、薬剤師のニーズが増えています。

このような背景から、薬剤師の方々の転職先の選択肢は、以前よりも多彩になっているといえます。

薬剤師転職で求められるスキルや経験・マインド、アピールすべきポイントについて


調剤薬局の薬剤師の求人で求められることが多いのは、下記の3点です。

● 調剤薬局での勤務経験

● 店舗スタッフのマネジメント経験

● 患者さんに対応するコミュニケーション能力

DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)活用の波は調剤業界にも押し寄せています。薬剤師はこれまでのように処方箋を受け付け、薬のピッキング処方・監査をして渡すだけではない存在価値が問われる時代となりつつあります。患者さまとのコミュニケーションスキルやホスピタリティなどが高いレベルで求められるようになってきました。

また、マインド面で重視されているのは、「企業の戦略に対する柔軟な対応姿勢」です。

調剤薬局の競争が激化するなか、新規出店やM&Aによる吸収合併など、新たな取り組みを進めています。薬剤師の方からは「店舗を異動したくない」「勤務時間は○時まで」といった希望の声をよくお聞きしますが、薬局個々ではなく企業への帰属意識を高め、自身の働き方を柔軟に変えて、企業の一員として経営戦略を支えていくマインドも求められています。

今後は、利益を高めていくための「数字」への意識、新たな患者さんや取引先施設を開拓する営業力なども求められるようになるでしょう。

薬剤師の年収相場は400万台後半~600万円台前半、年収アップを目指すには


都市部の調剤薬局に勤務する薬剤師の年収相場は以下のとおりです。

スタッフクラス400万円台後半~500万円台前半
管理者クラス550万~600万円台前半

なお、転居をともなう転勤ができる場合、特に人口が少ない地域に赴任する場合、住宅補助や地域手当が付与されます。年収にして、上記より100万円以上多くなるケースが多数見られます。薬剤師が極端に不足している過疎地域などに管理薬剤師として転職したケースでは、年収800万~900万円でのオファーを受けている事例があります。

なお、ドラッグストア併設の調剤薬局に勤務する場合、営業時間の長さや異動の頻度・距離などの理由により、年収水準が高めです。上記の年収相場より数十万円高い相場となっています。 

年収アップを目指すには

転職で年収アップを実現できるかどうかは、現在の勤務先の年収額にもよりますが、年収水準が比較的高めの企業を選ぶことで年収アップを図りやすいでしょう。下記の業態に注目してみてください。

ドラッグストア併設の調剤薬局

ドラッグストア併設の調剤薬局は、一般的な調剤薬局と比較すると年収水準が高めです。全国展開している大手ドラッグストアであれば、管理薬剤師、薬局長、さらにその上のブロック長、エリアマネジャーなどのポストも豊富であるため、昇進によって年収を上げていけるチャンスがあるでしょう。

在宅専門の調剤薬局

在宅専門の調剤薬局は、ドラッグストア併設調剤薬局と同等か、さらに数十万円高い年収相場となっています。在宅医療に関わる場合、「在宅療養支援認定薬剤師」資格の取得が推奨されますが、資格を保有していなくても転職は可能です。在宅医療への対応経験を求める企業もありますが、意欲を重視して採用する企業もあります。

薬剤師の転職理由とキャリアパス


薬剤師の方々はどのような理由で転職を図っているのか、転職後にどのようなキャリアパスの可能性があるのかをお伝えします。

薬剤師はどのような転職理由が多いのか?

薬剤師の方々から転職のご相談を受けるとき、多いと感じる理由は「ライフステージの変化」「ワークライフバランスの改善希望」です。結婚・出産を機に、夜勤がない職場や早い時間に勤務を終えられる職場への転職を希望するケース、配偶者と暮らす地域への転職を希望するケースがよく見られます。

このほか、「資格を生かした異業種へのキャリアチェンジ」や「年収を上げたい」、小規模の調剤薬局に勤務する方からは「昇進の機会がない」「今後のキャリアを見通せない」といったお悩みが聞こえてきます。

薬剤師のキャリアパス

複数店舗を展開している大手チェーンでは、企業ごとに役職の設定や各ポジションの役割が異なりますが、一例として次のようなキャリアパスが考えられます。

● 「薬局長」として店舗マネジメントを担い、さらに複数店舗を統括する「ブロック長」、複数ブロックを統括する「エリアマネジャー」(一般企業における部長級)として昇進

● 管理薬剤師として「スペシャリスト」の道を歩み、等級を上げていく

● 「在宅事業」など、新規事業の立ち上げを手がけ、事業部のマネジメントを担う

● 「店舗開発」「M&A」などに関わる組織で、事業拡大を支える

● 人事、商品開発(バイヤー)などへのキャリアチェンジ

このように、「マネジメント」「スペシャリスト」「キャリアチェンジ」など、それぞれの志向に合った選択が可能です。企業によっては「公募制度」を設け、自身が行きたい部署や職種に手を挙げて異動できるチャンスを提供しているケースも多く見られます。

異業種への転職の可能性について


薬剤師資格を生かすことで、次のような異業種企業に転職できる可能性があります。

●CMO(Contract Manufacturing Organization/医薬品製造受託機関)

●CRO(Contract Research Organization/開発業務受託機関)

●製薬企業

●バイオベンチャー

●製薬事業に進出している医療機器メーカー

●医薬品の材料を扱う化学メーカー

●一般医薬品のネット通販を手がける大手ネット企業

上記企業で薬剤師資格が生かせる職種としては、以下が挙げられます。

●治験(臨床開発モニター/治験コーディネーター/データマネジメント/品質管理など)

●メディカルサイエンスリエゾン(MSL)

●学術

●管理薬剤師

●製造管理責任者(候補)

●メディカルライティング

●カスタマーサポート(ネット通販企業の「お客さま相談室」など)

●DIDI(Drag Information)

異業種への転職を目指す場合、選考では次のようなポイントが見られていることが多いようです。チャレンジする場合、選考でアピールできるように対策することをおすすめします。

●幅広い業務に対応する柔軟性

●日々の業務で、どのような工夫をしてきたか

●最新知識を主体的にアップデートしていく姿勢

●クレームへの対応力

薬剤師の異業種転職についてはこちらをご覧ください

薬剤師転職で有利となる資格


薬剤師資格に加え、「認定薬剤師」の資格も保有していると評価される可能性があり、転職先の選択肢が広がるでしょう。

認定薬剤師には多様な種類がありますが、各社、学生の採用が重要課題となっていることから、薬学生の実務実習時の指導にあたれる「認定実務実習指導薬剤師」があると歓迎されます。

また、がん領域の認定薬剤師のニーズもあります(外来がん治療認定薬剤師・がん薬物療法認定薬剤師)。

「在宅療養支援認定薬剤師」を求める企業もあります。自宅での投薬が増えていく今後を見越し、在宅療養支援を手がける動きが広がっていますので、さらにニーズが高まるでしょう。

薬剤師転職を成功させる4つのポイント


薬剤師の方々が転職を成功させるために、意識しておきたいポイントをお伝えします。

「活躍の可能性」を感じられる経験・実績を伝える

●勤務していた店舗のスタッフ数、職種・雇用形態ごとの人数構成

●対応していた診療科目

●1日あたりの処方箋対応数

●(在宅支援の経験がある場合)訪問していた施設数、個人宅数

このような経験・実績が、応募企業が求める要件と一致すれば高評価につながりやすく、経験が生かせる職場で採用される可能性が高まります。

利用拡大の努力や工夫をした経験を伝える

売り上げ拡大のための「営業」的な視点・行動にも注目されます。患者さんの利用を促進し、処方箋取り扱い枚数を増やすための努力や、かかりつけ薬剤師の同意を増やすための工夫をしていたことがあれば、それを伝えるといいでしょう。

そうした経験がない場合、現職でこれから取り組むことによって、いずれ転職活動をする際にアピール材料となるでしょう。

「やりたいこと」「キャリアプラン」を明確にする

勤務時間や休日、場所など、条件面だけにこだわって転職すると、企業の戦略変更などでその条件を満たせなくなったとき、不満を抱いてしまうでしょう。

条件面だけでなく、自身の「やりたいこと」「キャリアプラン」などを整理し、明確化して企業を選ぶことで、納得感が高く働き続けられる可能性があります。

転職エージェントを活用する

ある大手薬局では、昨年採用した数百名の薬剤師のうち、約9割は転職エージェント経由で応募した方でした。このように、薬剤師の転職マーケットでは、転職エージェントの活用が一般的であるといえます。

転職エージェントからは、店舗の構造や使用機材など、ホームページや求人票だけでは分からない詳細情報を入手することができます。また、上記では「やりたいこと」「キャリアプラン」の明確化が重要とお伝えしましたが、転職エージェントでは対話を通じ、自身の考えや思いを整理するサポートも受けられます。転職エージェントをうまく活用することをおすすめします。

薬剤師転職で多い質問と回答


転職を考える薬剤師の方々からよくお受けする質問を取り上げてお答えします。

Q. 薬剤師の仕事は、AIに取って代わられるという話を耳にします。薬剤師の採用は減っているのでしょうか?

A. 調剤薬局業界もデジタル化やAI活用に取り組んでおり、一部業務の自動化が進んでいるのは事実です。しかし、「まだまだこれから」の状況です。薬剤師が不要なレベルまでに至っていませんし、対人業務については今後も薬剤師が必要でしょう。実際、薬剤師の求人は増えています。

Q. 資格を生かして、 別の職種にチャレンジすることは可能ですか?

A. 製薬企業や臨床開発受託機関といった医薬品業界のほか、医療機器、化学素材などのメーカー、医薬品の通販を行うネット企業などでも、薬剤師の有資格者を求めています。JACでは、幅広い業界担当のコンサルタントが在籍しているため、薬剤師専任コンサルタントが他部門とコンサルタントと連携して幅広い選択肢をご提案しています。

薬剤師の転職成功事例 


希望の転職を実現した薬剤師の方々の事例をご紹介します。

キャリアアップを目指し、中小調剤薬局から大手ドラッグストアチェーンへ

Kさん(男性/30代半ば)

業種職種年収
転職前中小規模の調剤薬局薬剤師480万円
転職後大手ドラッグストア併設調剤薬局薬剤師550万円

中小規模の調剤薬局に勤務していたKさん(男性/30代半ば)。上のポストが空く気配も、新たな戦略や事業に取り組む様子もなく、今後のキャリアに閉塞感を抱いていました。30代半ばを迎え、「マネジメントや責任ある立場を経験したい」「取り扱う処方を増やし、知識を高めたい」、それによって「年収を上げていきたい」と考え、転職を決意されました。

それらの希望を叶えられる転職先として「調剤薬局併設のドラッグストアチェーン」に注目。さらに、JACのコンサルタントとの対話を通じて「教育」への興味・志向が浮き彫りになったため、教育体制の強化に注力しているドラッグストアチェーンを選び、応募しました。

上昇志向、対顧客へのホスピタリティの高さ、研修・教育の経験などが評価され、年収70万円アップで転職を果たされました。

転職事例の詳細は下記をご覧ください。

病院から調剤薬局に転職し、やりたいことを実現

Yさん(女性/20代後半)

業種職種年収
転職前病院薬剤師400万円
転職後大手調剤薬局薬剤師500万円

Yさん(女性/20代後半)は病院勤務の薬剤師。結婚を機に、夜勤のない職場への転職を目指してJACに相談に訪れました。JACのコンサルタントと「これから何をやりたいか」について話し合ったところ、前職でやりがいを感じていたのは、NST(栄養サポートチーム)の活動だったとのこと。そこで、地域の方向けに「栄養相談会」を実施している大手調剤薬局チェーンをご紹介しました。

その企業では、治療中の患者さんや食欲不振の患者さんに対し、栄養相談だけでなく、レシピ開発や料理教室も行っています。患者さんとのコミュニケーションが好きで、料理の得意なYさんは、「したかったことのイメージに近い」と満足の転職を実現。夜勤がなくなることで年収ダウンを覚悟していらっしゃいましたが、年収100万円アップで転職を実現されました。

薬剤師転職ならJAC


JACでは薬剤師専任のコンサルタントがご相談に乗り、経験・スキルだけでなく「志向」「価値観」も深掘りします。生活背景を含め、「目指す将来像」を見据えた最適解を一緒に探り、選択肢をご提案します。「転職という選択肢が本当に正しいのか」という観点も持ち、ときには「現職にとどまった方が良い」という意見を伝えることもあります。

また、JACのコンサルタントは企業の経営者・採用担当者とも密にコミュニケーションをとっており、採用課題や求める人物像を理解しています。そのため、求人が出ていなくても「御社の課題解決につながる転職を希望されている方がいるので、会ってみませんか」といったように企業側に提案を行い、皆さんの強みを生かせる採用ポジションを作り出すこともあります。

まだ転職するかどうかの意思を決めていない段階でも、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した転職コンサルタント

西村写真

西村 尚志

ヘルスケアProfessionalディビジョン 部長

2007年より人材紹介業に従事 キャリアの過半を薬剤師の方の転職支援に従事する。
述べ400名以上の薬剤師の方の転職支援を実現。
また、関東だけでなく、関西や九州に赴任していた経験もあるためエリアに関わらないご支援が可能で、大手企業とのリレーションも豊富です。


今野写真

今野 大輔

ヘルスケアProfessionalディビジョン コンサルタント

2016年より医療、医薬業界にてご転職のサポートに携わってまいりました。
とくに調剤薬局、ドラッグストア企業領域を得意としております。
これまでの経験を生かし2025年にJAC Recruitmentに入社。
今後増々需要が高まってくる医療医薬品業界にてご納得のいくご転職となるよう私含め チーム一丸となってサポートいたします。



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業界における市場価値や、レジュメ、面接対策、企業傾向などJACのコンサルタントにご相談ください。
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