診断薬業界の転職動向や最新求人、未経験からの転職難易度も解説

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公開日:2025/10/26 / 最終更新日: 2025/10/27

診断薬業界は、医療知識と技術を活かせる専門性の高い魅力的な転職先です。未経験からの転職は難しいものの、医療系資格や理系知識・医療機器業界での経験があれば、キャリア機会は広がります。

特に分子診断やPOCT(迅速検査)分野で需要が拡大しており、本記事では転職市場動向や、未経験からの転職難易度をJAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

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診断薬業界の転職市場動向


診断薬業界の転職市場は、新型コロナウイルスによる一時的な需要増が収束したことで、市場規模が横ばいから緩やかな成長へと移行しています。背景には、パンデミック期に急拡大した需要が落ち着いた一方で、慢性疾患や高齢化にともなう検査需要が着実に増加していることがあります。

実際に、一般社団法人日本臨床検査薬協会の事業報告によると、2021年度の体外診断用医薬品の売り上げは4,902億円(前年比141.2%)に達しましたが、SARS-CoV-2関連試薬の特需が一巡した2023年度は前年比82.5%と大きく減少しました。一方で、生化学検査や自己血糖測定といった分野では105%以上の成長が見られ、市場は構造変化の局面にあるといえます。

今後は、高齢化社会の進展により、がんや生活習慣病に関連する検査の需要が拡大することが見込まれます。加えて、アジアを中心とした海外市場の拡大や規制整備の進展が、新たな成長を後押しする可能性があるのです。

さらに、AIを活用した診断やPOCTの普及といった技術革新は、企業にとって新しい事業機会をもたらし、転職市場でもこれらの領域に強みをもつ方を求める声は、今後さらに増えていくと考えられます。

出典:日本臨床検査薬協会「事業報告(2022年度に行った事業の概要)」(p.4ー市場規模等実態調査部分)

診断薬業界の主要企業と特徴


診断薬業界における、日系・外資系などのそれぞれの特徴と主な企業について解説します。

  • ●日系診断薬メーカー
  • ●外資系診断薬メーカー
  • ●製薬・化学系企業・検査機器メーカー

日系診断薬メーカー

日系診断薬メーカーは、国内医療機関のニーズに即した製品開発やアフターサポートに強みがあります。検査機器と試薬を一体で展開する総合ソリューションを提供し、免疫検査や生化学分野で世界的シェアを誇る企業も多いです。

国内外のネットワークと長年の研究蓄積を背景に、高品質な製品と信頼性の高いサービスで医療機関から高い評価を得ています。

代表的な企業には、血液計数機器や検体検査分野でグローバルに展開するシスメックス、化学分析技術を活かした試薬開発に力を入れている富士フイルムグループがあります。ほかにも、栄研化学は大腸がん検査やLAMP法開発で知られ、富士レビオは腫瘍マーカーが強みです。積水メディカルも主要な日系企業の一つです。

外資系診断薬メーカー

外資系メーカーは、グローバルで高いシェアと最新技術をもち、日本市場にも積極的に参入しています。外資系企業は最新技術導入の速さやグローバルな知見が特徴で、日本でも先進的な製品を提供しています。また、社内公用語が英語でグローバルプロジェクトの機会も多いのが特徴です。

ロシュやアボット、シーメンスヘルスケア、ベックマン・コールターなどは多領域の検査ソリューションを提供し、検査システムからPOCTまで幅広く対応しています。ロシュは体外診断薬売上で世界首位を維持し、医薬品と診断薬の両輪戦略でコンパニオン診断にも注力しています。そのほか、バイオメリューは微生物検査、サーモフィッシャーサイエンティフィックは遺伝子検査技術に、それぞれ強みがあります。

製薬・化学系企業・検査機器メーカー

製薬や化学メーカー、検査機器メーカーも診断薬分野に参入し、独自技術を活かした差別化製品を開発しています。これらの企業は異業種で培った技術力で、業界の技術革新をリードしています。

東ソーは化学技術で自動分析装置と免疫診断薬を展開し、国内で高いシェアを占めています。デンカは、迅速診断薬の分野に実績がある企業です。がん診断薬や糖尿病関連試薬では、日本化薬や旭化成ファーマが代表的です。ほかにも、検査機器と試薬ビジネスを展開するホリバやアークレイも有名です。富士フイルムやコニカミノルタも画像診断技術やバイオ計測技術をもとに診断薬領域に参入しています。

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診断薬業界の主な職種・仕事内容と求められる経験・スキル


診断薬業界では扱う製品の専門性が高く、職種ごとに明確なスキルセットが求められます。それぞれの職種で求められる主な経験やスキルを解説します。

  • ●営業職(DMR)・販売
  • ●研究・開発職
  • ●薬事・品質管理職
  • ●マーケティング・企画職
  • ●生産・技術サポート

営業職(DMR)・販売の仕事内容と求められる経験・スキル

診断薬業界の営業職(DMR)は、医療機関や検査センターを訪問し、自社の診断薬や検査機器に関する情報提供や導入提案を担います。主な業務は、臨床検査技師や医師に対し、製品の特徴や操作方法を説明して、課題に応じた解決策を提示することです。新規施設には導入メリットを訴求し、既存施設には定期的なサポートを行うことで、検査精度や運用効率の改善につなげます。こうした活動は診断の信頼性を支え、医療の質の向上に寄与しています。

この職種で求められるのは、診断薬や関連疾患に関する専門知識です。医療従事者と同じ立場で議論するためには、製品原理や医学的背景を理解していることが不可欠です。そのうえで、顧客との信頼関係を築くコミュニケーション力が成果に直結します。検査センターや医療機器業界での営業経験者、あるいは臨床検査技師資格を有している方は、実務を理解しているとみなされ評価されやすい傾向にあります。

加えて、製品改良や新規開発が相次ぐ分野であることから、最新の情報を常に把握し顧客に正しく伝える力も求められます。その際に必要なのは、広い地域を効率的に訪問しながら顧客のニーズを的確に把握する行動力とヒアリング力です。こうしたスキルを兼ね備えた方は、適切な情報を提供し続ける存在として重宝されます。

研究・開発職の仕事内容と求められる経験・スキル

研究・開発職は、新しい診断薬や検査機器の開発、既存製品の改良を担う専門職です。主な業務には、バイオマーカーの探索や試薬の開発、装置の試作・評価、臨床試験の実施などが含まれます。近年では、遺伝子診断薬やコンパニオン診断薬の研究に加え、AIやデジタル技術と連携した開発プロジェクトも増加しており、職務の幅は拡大しています。

この職種に求められるのは、理系分野の高度な知識と実験スキルです。特に、生化学・分子生物学・分析化学といった専門性が重要視され、修士号や博士号をもつ方が歓迎されます。また、実務経験として5年以上の業界勤務や、特定領域での開発実績を求められるケースも少なくありません。

加えて、開発を実用化につなげるためには、規制対応や品質管理に関する知識も必要です。薬機法やISO規格などの法令・基準に精通していることは、製品化に向けた信頼性確保に直結します。また、研究の過程では想定外の課題が発生するため、課題解決力や論理的思考力、最新知見を学び続ける姿勢も欠かせません。

薬事・品質管理職の仕事内容と求められる経験・スキル

薬事・品質管理職は、診断薬の承認取得や製造販売後の品質維持を担う職種です。薬事担当(RA)は行政当局への申請や届出を行い、製品が適切に流通できるよう制度面を整えます。一方で品質保証(QA)や品質管理(QC)は、原材料の検査や製造工程の管理、出荷判定や監査対応を通じて製品の安全性と信頼性を確保する役割です。

これらの職種では、診断薬が医薬品と医療機器の両方の性格をもつことから、広範な規制知識が必要です。具体的には、薬機法やGMP省令、ISO13485といった法規制や国際基準への理解が欠かせません。

実務では、承認審査対応、SOP(標準操作手順書)の策定、バリデーションや監査準備といった経験が重視され、薬剤師資格や海外規制に対応できる語学力を備えた方も評価されます。さらに、規制要件や品質活動は、研究・製造・営業など複数部署と連携して進める必要があるため、調整力やプロジェクト管理スキルも重要です。

マーケティング・企画職の仕事内容と求められる経験・スキル

マーケティング・企画職は、診断薬の市場戦略を立案し、製品価値を医療部門に適切に伝える役割を担います。市場分析や販売データに基づき、価格や販促計画を設計するのが主な業務です。さらに、学会やセミナーでの情報発信を通じて医療従事者の評価や臨床部門のニーズを収集し、新製品の企画や既存品の改良に反映させる業務も担います。単なる販売支援にとどまらず、研究開発や事業戦略に橋渡しする役割である点が特徴です。

この職種で求められるのは、診断薬の専門性を理解したうえで戦略を描ける力です。製品が臨床でどのように使われ、どの検査領域で需要が高まっているかを把握できることが、戦略の精度につながります。

そのため、医療業界でのマーケティングやプロダクトマネジメント経験は、戦略の実効性を高める要素として高く評価されます。また、生化学や分子生物学の学位や臨床検査技師資格を有する方は、学術的な裏付けをともなった情報発信が可能となり、専門家への説明力に直結します。さらに、営業や研究開発など複数部門と連携して計画を実行に移す調整力や進行管理能力も不可欠です。

生産・技術サポートの仕事内容と求められる経験・スキル

生産職は、診断薬の製造部門で安定供給を支える役割を担います。具体的には、生産ラインの管理や設備保守、原材料やロットを管理し、GMP基準に基づく品質確保を徹底して行います。加えて、工程改善やコスト削減の取り組みも、重要な業務です。

技術サポート職は、製品が正しく使われるように支援する役割です。新規導入時には、操作説明や試薬の測定精度確認を行い、使用中に発生するトラブルへの対応や顧客からの問い合わせに応じます。顧客の課題を解決し、継続的な利用を支える点が特徴です。

生産職では、医薬品・診断薬工場での生産管理経験やGMP遵守の実績、分析装置の操作スキルが評価されます。技術サポート職では、製品知識に基づいた顧客対応力が求められ、臨床検査技師資格やアプリケーションサポート経験が強みとなります。いずれの職種も、品質を最優先としつつ、効率的に業務を遂行する姿勢が重視される傾向です。

診断薬業界の最新転職・求人情報


診断薬業界の最新の転職傾向として、ライフサイエンス分野や診断薬原料が増えています。また、グローバル展開の強化にともない、海外規制対応の経験を活かせる求人も見られる状況です。戦略的採用やリーダー候補など、育成前提のポジションも多くみられます。

では、JACが保有する、診断薬業界の最新求人情報の一部を紹介します。

予防医療 診断薬日系企業:研究開発(診断薬)

社名非公開:診断薬営業担当者(DMR)

大手日系メーカー:体外診断機器・試薬の商品企画/学術

ナガセダイアグノスティックス株式会社:研究開発(診断薬)

体外診断薬・分析 医療機器メーカー:品質本部

日系体外診断企業:営業責任者

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社:ソリューション営業_(DMR)「免疫・生化学検査」「病理検査」「遺伝子検査」埼玉、名古屋

日系ライフサイエンス商社:ライフサイエンス原料営業

上記は公開求人の一例であり、実際には非公開求人も多数存在します。JACでは企業戦略上公表できない、非公開求人を豊富に取り扱っています。より多くの選択肢を得たい方は、転職コンサルタントに相談されることをお勧めします。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

※募集が終了している場合もございます。あらかじめご了承ください。(2025年9月現在)

未経験から診断薬業界への転職は難しいのか


診断薬業界は高度な専門性が求められるため、未経験からの転職は難しいのが実情です。ただし、医薬品や検査薬に関連する学歴や資格を有していれば、活躍の可能性は広がります。

具体的には、薬事や品質関連の職種では薬剤師や臨床検査技師といった医療系資格が評価されます。営業職であれば、臨床検査センターや医薬品情報担当者(MR)の経験、あるいは医療機器業界での営業経験が活かせます。さらに、医療従事者や技術者と折衝した経験や高いコミュニケーション力も強みとなります。

一方で、職種を問わず理系知識は不可欠です。分析化学や分子生物学、医療機器や検査薬の基礎知識を備えることは、業務理解を深めるうえで重要です。業界セミナーや認定講座を通じて学びを深めておくと、知識の裏付けだけでなく意欲のアピールにもつながります。

また、企業研究の徹底も欠かせません。製品ラインナップや研究開発体制を把握し、志望動機に一貫性をもたせることが評価につながります。しかし、検査項目数の減少や特定製品への依存といった業界特性は将来のキャリアに影響する可能性がある要素です。志望企業がどの領域に強みをもち、どのような事業ポートフォリオを形成しているかを確認して、自身の強みと照らし合わせることが未経験からの転職を成功に導くポイントです。

診断薬業界への転職で求められる人物像


診断薬業界では専門知識だけでなく、仕事への姿勢や資質も重視されます。ここでは、求められる人物像を詳しく解説します。

  • ●理系思考・探究心
  • ●コミュニケーション能力・チームワーク
  • ●応用力・課題解決能力
  • ●医療機器や検査・薬品に関する基礎知識や規制知識

理系思考・探究心

診断薬業界で求められる人物像は、科学的な思考に基づいて課題に取り組み、常に探究心をもって学び続けられる方です。検査薬は臨床の診断に直結するため、日常業務においてもデータを根拠に検証や分析を行う姿勢が欠かせません。論理的に現象を捉え、科学的アプローチで解決策を考えられる方が、より活躍できます。

加えて、「なぜこの結果になるのか」「どうすれば精度を高められるか」と問い続ける探究心を備えていることも重要です。診断薬は、新しい検査法や技術改良が絶えず求められる分野であり、正解のない課題に挑み続ける粘り強さが成果を左右します。さらに、医療技術が日進月歩で進化するなかで、自ら知識を更新し成長する意欲をもつ方ほど、新しい検査手法や技術動向に対し、柔軟に対応できます。

コミュニケーション能力・チームワーク

診断薬業界で求められる人物像の一つは、周囲と円滑に物事を進めるためのコミュニケーション能力とチームワーク力のある方です。製品は研究開発から製造、薬事、営業、マーケティングまで多くの専門職が関わって形になるため、部門横断で協力する姿勢が欠かせません。

なぜなら、診断薬は医療部門での活用を前提とした高難易度の製品であり、一部署だけで完結できる業務は少ないからです。自分の専門分野にとどまらず、他部署との調整や情報共有をスムーズに行える柔軟性が成果を左右します。

この資質は、営業やマーケティング職が医療従事者との信頼関係を構築する上でも、薬事担当者が行政当局や海外拠点とやり取りする場面でも、必要になります。実際の採用においても「チームで成果を上げた経験」や「社内外での調整力」が重視されており、協調性と積極的なコミュニケーション力は、診断薬業界では必須といえるでしょう。

応用力・課題解決能力

診断薬業界で求められる人物像には、状況に応じて柔軟に知識を応用し、課題解決に取り組める方も含まれます。医療や研究において想定外の課題やトラブルが日常的に発生するため、マニュアルに従うだけでなく、最適かつ本質的な解決策を導き出せる力が欠かせません。

こうした能力が求められる背景には、診断薬が高度な科学技術を基礎とし、臨床での正確な検査結果に直結する性質があります。課題に対して柔軟かつ論理的に対応できる方ほど、品質や信頼性を維持しながら改善を進められます。

具体的には、研究職での実験プロトコルの改良や新手法の提案、品質管理職での不具合原因の究明と是正策の立案が挙げられます。また営業職においても、顧客からの技術的な質問に、的確に応答できることが信頼につながります。応用力と課題解決能力をもつ方は、あらゆる職種で重視される存在です。

医療機器や検査・薬品に関する基礎知識や規制知識

医療や検査、薬品に関する基礎知識と規制知識を備える方も、診断薬業界では求められています。診断薬は、医療行為に直結する製品であり、全職種共通の前提として、これらの知識が欠かせません。体外診断用医薬品は、医薬品と医療機器の両方の性質をもつため、幅広い理解が必要になります。

これらの知識が重要とされるのは、業務の多くが法規制や安全基準に基づいて進められるものだからです。薬機法やGMP、ISO13485などの規制は、製造販売や品質管理だけではなく営業やマーケティングなど、いずれの職種でも遵守が求められます。こういった規制知識を備えている方ほど、正確かつ安全に業務を遂行できます。

さらに、グローバルに展開する企業では、CEマーキングやFDA規制など海外ルールに精通していることも高い評価につながります。医療や検査に関する基礎知識と業界特有の規制を理解しているスペシャリストは、どの職種でも即戦力として期待されます。

診断薬業界へ転職した場合の年収相場


2023年1月~2024年12月までにJACが診断薬業界への転職をサポートした事例を見ると、想定平均年収は718.9万円です。

年齢別では20代後半で559.3万円、30代前半で617.6万円、30代後半で660.7万円と段階的に上昇し、40代前半では962.1万円に達する水準です。

30代から年収600万円台~700万円台での転職が決定するケースが多く、早期から高待遇を得られる可能性があるのが診断薬業界の特徴です。成果や専門性が明確に評価されやすい分野であるため、経験やスキルを着実に積み重ねることで、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。

また、役職別に見ると、メンバークラスでは平均665.4万円、管理職クラスでは平均1067.1万円と、組織内での立場が変わることで、約400万円程と大きく差が出てくることがわかります。

一方で、外資系企業では705.2万円、日系企業は773.7万円と、大きな差は確認できません。診断薬業界での年収アップのポイントは、マネジメント職を目指すことにあるとわかります。

役職平均年収
メンバークラス665.4万円
管理職1067.1万円
平均年収
日系企業773.7万円
外資系企業705.2万円

※当社実績(2023年1月~2024年12月、想定年収)より

一般的に、医薬品製造業を含む分野の平均年収は400万円~600万円が中心です。その中でも診断薬業界は製品特性上、薬事や品質保証など高度な専門知識を扱う職務が多いため、特定の経験がある方は相場を上回る年収を得やすい傾向があります。

診断薬業界の転職事例


JACが提供する転職支援サービスを利用し、転職を成功させた診断薬業界の転職事例を紹介します。

診断薬業界の営業へ転職した事例

Aさん(30代前半/男性)

業種職種年収
転職前医療機器メーカー営業750万円
転職後診断薬メーカー営業(免疫診断領域)800万円

Aさんは医療機器メーカーで基幹病院・在宅クリニックまで幅広い施設を担当し、新規開拓とアフターフォローを両立してきました。夜間呼び出しをともなう対応や突発案件が多く、計画的に成果を積み上げられる営業スタイルへの志向が高まったことから転職を検討。伸長する免疫・アレルギー診断領域で、製品優位性の高い商材を扱い、テリトリーを俯瞰した提案活動に挑戦したいという思いが明確でした。

そこで、JACのコンサルタントは、Aさんの「医療部門の業務理解」と「多拠点を横断する関係構築力」に着目。高い市場シェアをもつ免疫診断薬・全自動免疫分析装置を扱う企業を提案。病院・クリニック・検査センターを包括するテリトリーマネジメント型の営業にフィットすることを示しました。

結果として、Aさんは、年収アップを実現しつつ、製品優位性を背景に、戦略的な面積拡大と継続的な顧客教育に注力できる環境を得られました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

診断薬業界の薬事責任者候補へ転職した事例

Bさん(40代後半/男性)

業種職種年収
転職前メディカル・バイオGQP/QA(品質保証・品質管理)950万円
転職後化学メーカー薬事申請責任者候補1,100万円

Bさんは研究開発・薬事・品質の領域で幅広く経験を積まれ、直近では、国内外拠点の製造所監査、変更・逸脱管理、委託先マネジメントを統括。グローバル連携の要となる部門で、高いパフォーマンスを発揮してきました。しかし、高いプレッシャーのかかる運用体制と長時間化しやすい業務特性に課題を感じていました。この状況を受け、マネジメント責務と意思決定に近い立場で、持続可能な働き方を実現できる環境を志向していました。

Bさんとの面談後、JACのコンサルタントは、Bさんの「薬剤師資格」「監査・品質システム運用の実務統率力」「薬事開発~申請の知見」に注目し、体外診断薬・医療機器の薬事を中核とする化学メーカーの薬事部門を提案。選考では、監査設計や是正予防措置(CAPA)の実行プロセスを成果ベースで可視化し、規制当局対応の実績を定量・定性の両面で打ち出す戦略で挑みました。

結果、採用となり、年収は950万円から1,100万円へ増額。部門の中核として責任領域を拡大する転機となりました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

診断薬業界の商品企画・プロダクトマネージャーへ転職した事例

Cさん(30代後半/男性)

業種職種年収
転職前診断薬メーカー生産技術550万円
転職後化学メーカー商品開発・プロダクトマネージャー(体外診断薬用薬品)650万円

Cさんは体外診断薬メーカーで、市場調査から処方設計、スケールアップ、商用生産への落とし込みまで一連のプロセスを牽引。かくはん・洗浄のバリデーション設計、設備自動化の検討など、生産技術をコアに、実践的な問題解決力を培ってきました。英語技術文書の作成も経験しており、社内外ステークホルダーとの交渉・合意形成を推進できる点も強みです。

そこで、JACのコンサルタントは、Cさんの「上流から下流までの製品ライフサイクルの理解」を、診断薬向け中間体・原材料の企画に活かす設計でポジションを再定義。製品ロードマップの構築、社内外連携を要する開発プロジェクトの進捗統括、QMS/GMP観点を踏まえた品質要件の仕様化といった職務要件に対し、スケールアップと実装の知見が価値の源泉になることを企業側へ明確化しました。

その結果、商品企画・プロダクトマネージャーとしての採用が決定。年収も引き上げられ、顧客価値と事業性の両立を担う立ち位置でキャリアの幅が広がりました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

診断薬業界へ転職後のキャリアパス


診断薬業界で得た経験は、社内での昇進や他業界への転職など、多様なキャリアパスにつながります。転職後のキャリアパスについて詳しく解説します。

  • ●各職種で組織運営や経営視点を獲得し、部門長や製品戦略に関わるポストに昇格
  • ●CROや医療機器メーカーへの転職
  • ●バイオベンチャーやスタートアップに参画し、新製品開発に取り組む

各職種で組織運営や経営視点を獲得し、部門長や製品戦略に関わるポストに昇格

診断薬業界では、研究・開発職や営業職での実務経験を基盤に、一般的な企業と同様、管理職や経営層へ昇格するキャリアパスがあります。研究・開発職では、プロジェクトリーダーやチームマネージャーを経て、R&D部門長やCTOに近い役割に進むことが可能です。営業職の場合は、フィールドでの成果が評価され、営業部長や事業部長として事業戦略の立案に携わるケースも少なくありません。

このようなキャリアが描ける背景には、診断薬の高度な専門性が組織運営や経営判断に直結すること、また少数精鋭の企業が多いことから、早い段階で新規事業や経営領域に参画する機会があることが挙げられます。

CROや医療機器メーカーへの転職

診断薬業界で培った知識や経験を基盤に、CRO(医薬品開発業務受託機関)や医療機器メーカーへ転職するキャリアパスがあります。CROは、医薬品や医療機器の治験・研究を支援する企業であり、臨床検査値の解析や試験実施を担うポジションでは、診断薬分野での実務経験が強みになります。

医療機器メーカーも、診断薬と密接に関わっている業界です。検査装置の開発職や営業職では、試薬の知識や検査プロセスを理解していることが求められるため、診断薬メーカー出身者は装置と試薬を橋渡しする役割として評価されます。

一見すると異業種に見えるCROや医療機器メーカーですが、診断薬で培ったスキルが十分に通用します。特に、CROでは臨床検査値の解析や精度管理に直結する知識が重視され、医療機器メーカーでは装置開発で不足しがちな試薬の知識が補完要素として評価されることも少なくありません。

  • CROの転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説 

    直近10年間で、売上高が約1000億円以上増加し、今度もその成長が見込まれているCRO業界。高い社会貢献性と専門家として成長できる土壌、フレックスや在宅制度を積極的にとりいれた柔軟な働き方など、他の業種と一線を画す魅力や… 続きを読む CROの転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説 

バイオベンチャーやスタートアップに参画し、新製品開発に取り組む

キャリアパスとして注目されているのが、バイオベンチャーやヘルスケア系スタートアップに参画し、新製品開発に取り組む道です。遺伝子診断やAI医療といった先端領域では、新興企業が次々と誕生しており、診断薬業界を経験している方が、創業メンバーや主要ポジションに迎え入れられる事例が増えています。

このキャリアが広がる背景には、大手企業とは異なるスタートアップ特有の環境があります。機動力を武器に、ゼロからイチを生み出す製品開発に挑戦できるほか、研究開発にとどまらず事業開発や資金調達など、経営に近い領域に携われる点も特徴です。

診断薬業界で積み重ねた知識や経験は、ベンチャーにおいて高く評価されます。臨床検査の仕組みや規制要件を深く理解し、品質や安全性を担保したうえで新しい技術を形にできる点は、創業段階の企業に不足しがちな部分だからです。

診断薬業界への転職なら、JAC Recruitment


診断薬業界は、厳格な規制運用や品質保証、臨床部門との連携、さらに分子診断・POCT・デジタル化といった技術進化が同時並行で進む領域です。

そのため、GxPや薬機法・IVD規制の理解、品質・薬事・開発いずれでも再現性とリスク管理を担える実務力、プロジェクト推進力、医療機関やKOLとの折衝経験、英語を含む多拠点協業のスキルが求められます。

こうした背景から、診断薬での転職を成功させるためには、製品ポートフォリオや承認戦略、検査市場・学会動向に関する最新情報と、各社の組織設計への理解が不可欠です。よって、業界特性や採用要件を熟知したエージェントの支援が重要となります。

その点、JACには診断薬の最新動向に精通したコンサルタントが多数在籍し、個々の専門性や成果を踏まえて最適なキャリアを提案します。さらに、一般には公表されていない非公開求人も取り扱っており、新たなキャリアの可能性に触れられる機会が広がります。

診断薬業界への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

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当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。