メーカー営業の転職事情｜年収相場や求められるスキル経験を解説

技術革新とグローバル展開が進む中、メーカー営業職は単なるモノ売りではなく、事業成長を支える役割へと変化しています。採用は自動車業界や新規事業領域を中心に活発化し、部門横断の調整力や市場視点を持つ提案力が重視される傾向です。

では、メーカーの営業職にはどのようなスキルや経験を求められる傾向が強いのでしょうか。本記事では、JAC Recruitment（以下、JAC）が、メーカー営業の転職事情について分かりやすくご説明します。

メーカー営業の転職動向

近年、製造業界の事業構造が変化する中で、メーカー営業職の転職市場にも新たなニーズが生まれています。特に、以下の傾向が顕著です。

業界の広がりと職種の多様化

JACが取り扱うメーカー営業職の求人は、前年対比で約1.12倍に増加。EMC（エレクトロニクス・メカトロニクス）系、メディカル・バイオ系、消費財系など、業界の裾野が広がっており、機械・装置、電機、化学、医療機器などの伝統的な領域も依然として高いボリュームを維持しています。

職種面では、MR、法人営業、海外営業、営業管理職、技術営業など、営業スタイルや役割の幅が広がっており、顧客課題の解決を担うソリューション営業や、技術的知見を活かした提案型営業へのニーズが高まっています。

事業拡大・新規事業・海外展開を背景とした採用

求人票からは、事業拡大や新規事業、海外展開を背景とした採用が増加傾向にあります。特に、グローバル市場への進出や新製品開発に伴い、営業部門の体制強化や次世代リーダーの登用が進んでいます。

上場企業や外資系企業では、リーディングカンパニーとしてのポジション強化や、社内プロジェクトの立ち上げを担う営業職のニーズが高まっており、単なる補充ではなく「戦略的タレントマネジメント」の文脈で求人が設計されています。

求められるスキル・経験

「営業経験3年以上」が多く見られ、業務の高度化に対応できるビジネススキルが歓迎されています。加えて、製品領域別の専門知識（自動車部品、医療機器、電子部品、産業機械など）、プロジェクトマネジメント力、データ分析力、マーケティング的発想、語学力（特に英語）などがアドオン要素としてあるとさらに評価される傾向に。

「ソリューション営業ができる人」「技術バックボーンを持ちながら顧客価値向上を追求できる人」といった記述も多く、複数部門を横断する案件推進力や、数値に基づいたアクションが打てる方が歓迎されています。

業種別では「装置・電機・化学・医療機器」が中心

求人が集中しているのは、以下の業種です：

これらの業界では、製品の専門性が高く、営業職にも技術的な理解や業界経験が求められます。

メーカー営業で求められるスキル・経験・マインド

メーカーの営業には次のようなスキルや経験、マインドをもつ方が歓迎される傾向にあります。

営業経験と業界知識や技術的バックボーン

メーカーの営業職では、営業経験者を募集する求人がほとんどです。また、業界によって構造や規制などが異なるため、業界経験者を歓迎する求人も多く見られます。例えば、メディカル業界であれば、メディカル業界での実務経験や薬機法、GMPガイドラインなどについての知識を有する方が厚遇されます。

他方では、産業用ロボットを取り扱う機械・装置メーカーでは、自社製品の強みを顧客へ的確に伝達できる技術的バックボーンが求められます。営業経験に加え、同業界での経験は、転職時に大きなアドバンテージとなるでしょう。

自社製品の活用によるメリットを訴求する提案力

JACが取り扱う求人を見ると、メーカーの営業には、単に製品を販売するだけではなく、自社の製品を導入することで「顧客にどのようなメリットをもたらすのか」を伝える、高い提案力を求めるものが多くなっています。

顧客の価値向上までを見据えた提案を行うためには、自社製品の特徴や強みの理解はもちろん、顧客の抱える課題を丁寧にヒアリングし、自社製品の導入メリットについて、ストーリー性をもって提案する課題解決力が必要です。

グローバル対応力とビジネスレベルの英語力

現在、大手メーカーの多くが、海外展開を積極的に推進しています。よって、国際取引や国際規格などの知識を有する、海外営業経験者への求人が増加中しています。

また、海外子会社や現地クライアントとの調整・交渉の経験に加え、ビジネスレベルの英語力を備えていれば、転職時に優遇される傾向が強く見られます。

メーカー営業の想定平均年収は801.9万円

JACの2023年1月～2025年8月までの転職サポート実績によると、メーカーの営業職へ転職された方の想定平均年収は801.9万円です。
また、ボリュームゾーンは650万円～850万円程度となっています。

管理職の平均年収は1,055.5万円となり、メンバークラスに比べるとその差は、約300万円にも上ります。特に、本部長以上のポジションとなると平均年収は1,800万円と、その差はさらに広がります。個別に見てみると、30代でも約2,400万円の年収に到達している事例や、50代以上でも平均年収930万円と高水準を維持しており、年齢ではなく実力が評価に結びつく傾向を見て取ることができます。

さらに、プレイヤーとして高年収を得ている事例を見てみると、医薬品メーカーのMRの場合、マネジメントポジションに就いていない方でも1,000万円を超える年収での転職が目立ちます。

また、日系企業と外資系企業を比較すると外資系企業の年収が高くなる傾向が見られます。

役職	平均年収
メンバークラス	733.7万円
管理職	1,055.5万円

	平均年収
日系企業	720.7万円
外資系企業	900.1万円

※当社実績（2023年1月～2025年8月、想定年収）より

メーカー営業の最新求人情報

JACが取り扱う多数のメーカー営業の中から一部をピックアップしてご紹介します。

●建材メーカー：営業職

●食品メーカー：営業職

●大手飲料メーカーグループ会社：食品・健康食品原料の提案型営業

●青葉化成株式会社：食品加工メーカーへの営業

●スズキ株式会社：日本国内向け補給部品・用品の販売業務

●大手電機メーカー：海外顧客向け光ファイバケーブル営業技術

●東証プライム上場　大手製造業：BtoB商材　営業

※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。（2025年9月最新）

JACでは、上記以外にもメーカー営業の求人を多数取り扱っています。より多くの選択肢の中から希望に合った求人を選ぶことで、キャリアを最大限に生かせる企業に巡り合う確率は高められます。当社が取り扱う求人の約7割は、当社にご登録いただいている方だけにご紹介が可能な非公開求人です。メーカー営業職への転職をお考えの際には、ぜひ、メーカー営業の豊富な求人を保有するJACにご相談ください。

>>非公開求人について詳しく知りたい方はこちら

メーカー営業への転職で有利となる資格

メーカーの営業職の場合、業界によって専門知識が歓迎される場合もあります。また、EMC業界やメディカル業界、消費財業界など、メーカー全体を通してみた場合には、次のような資格を保有していると転職時に有利に働く可能性があります。

普通自動車第一種免許

メーカー営業の募集では、車を運転できる方を歓迎する求人が多く見られます。業種によるものの、広いエリアを担当するケース、商材やサンプルなどを運搬するケースもあり、社用車を利用する機会は多くなります。クライアントへの訪問営業を希望する場合は、普通自動車第一種免許を保有しておいた方がよいでしょう。

TOEIC

グローバル展開にともなう海外営業の募集も増加傾向にあり、その場合、ビジネスレベルの英語力は必須となります。企業によっては応募時のTOEICのスコアを示しているケースも見られます。実務で英語を使用していた場合でも、TOEICのスコアがある場合、英語力の客観的な証明となりうるものです。海外営業を希望する場合などは、TOEICのスコアを取得しておくと、より転職時に英語力をアピールしやすくなります。

参照：TOEIC

メーカー営業のキャリアパス

メーカー営業の場合、次のようなキャリアパスが考えられます。

トップセールスを目指す

自社製品に関連する技術的な知識を高め、クライアントとの強固な信頼関係を構築できる営業職は、営業のスペシャリストを目指すことが可能です。クライアントのニーズに寄り添った的確な提案ができ、顧客の課題改善に喜びを見出せる人は、営業のスペシャリストでもあるトップセールスを目指す方向性が考えられます。

マネジメント職を目指す

部下の営業スキルや提案力の向上をサポートしながら、組織の目標達成を目指すマネジメント職は、大きな責任を負うものの、その分やりがいも大きなポジションです。プレイヤーとして現場に立つだけでなく、営業戦略の立案や部下の育成にも関心が強い方は、マネジメント職のビジョンが描けます。

海外駐在やグローバルマネジメントのポジションを目指す

グローバルビジネスに携わりたい方の場合、海外営業としての実績を積み、海外駐在員として現地でのマーケット拡大やマネジメントに携わるポジションを目指すことも可能です。さらに、海外駐在経験を生かし、海外拠点全体のマネジメントを目指すこともできるでしょう。

メーカー営業の転職を成功させる3つのポイント

メーカー営業の転職を成功させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

営業実績を具体的な成果でアピールする

メーカー営業の求人では、営業経験者を求めるケースが多く見られます。前職での目標達成率や新規顧客数など、具体的な数字で営業実績を示すと、担当者に営業能力の高さがより具体的に伝わります。実績を伝える際には、顧客とのリレーションシップ構築のために実践した取り組みなど、成果につながった工夫も併せて伝えることで、より説得力が増します。また、海外営業に携わった経験がある場合は、担当した国や地域、担当業務の内容、営業成果について分かりやすく説明できるよう準備を進めておきましょう。

特定分野の業界知識や技術的な知識をアピールする

営業経験だけでなく、特定の業界の構造や特徴を把握している場合、即戦力としての活躍が期待できます。また、技術革新が進む中、技術的な知識をもつ営業担当者のニーズも高まりを見せています。志望業界の経験がない場合でも、近しい業界での経験や技術的な知識を有していれば、転職後にも経験を生かせる可能性があるため、積極的に専門性をアピールすることが大切です。

マネジメントの経験と成果をアピールする

メーカーの営業部門のマネジメント職を希望する場合、採用にはマネジメント経験の有無が大きく関わります。マネージャーやリーダーとして組織を率いた経験がある場合は、部門の人数や具体的な業務内容、得られた成果などを具体的に示すようにしましょう。

マネジメント経験がない場合でも、チームが抱える課題改善案の提案や後輩指導の経験など、マネージャーの素地のアピールにつながるエピソードを示すと採用につながる可能性もあります。未経験からマネジメントのポジションを目指す場合には、組織全体を見る俯瞰的な視野と人を動かすリーダーシップ、マネージャーを希望する理由を論理的に示すことが重要です。

メーカー営業の転職事例

JACのサポートによって、メーカー営業職への転職を成功させた方の事例を３例ご紹介します。

①   鉄鋼業界の海外営業から電気機器業界の海外営業への転職

Jさん（男性/40代後半）

	業種	職種	年収
転職前	鉄鋼	海外営業	1,000万円
転職後	電気機器	海外営業	1,500万円

Jさんは、大手鉄鋼会社の溶接事業部において、溶接材料や溶接ロボットの国内営業に携わった後、東南アジアの現地子会社に出向し、プレイングマネージャとして同商材の新規顧客開拓に従事されてきた方です。帰任後、海外現地法人への製品提案や納期管理、出荷管理など幅広い業務に対応されていましたが、自身の経験をより生かせる環境でチャレンジしたいとの思いが強くなり、転職を希望されました。

当社では、Jさんの溶接ロボットの海外営業経験を存分に生かせる、電気機器メーカーの海外営業職をご紹介しました。溶接ロボットだけでなく、さまざまな産業用ロボットを取り扱う業務であり、事業拡大に向け、海外子会社との密なコミュニケーションを図れる方を募集する求人でした。

溶接ロボットの豊富な海外営業経験はもちろん、現地の駐在経験やマネジメント経験が高く評価され、年収500万円アップの条件で採用が決定しました。

②   製薬企業MRから製薬企業MRへの転職事例

Mさん（男性/40代前半）

	業種	職種	年収
転職前	製薬企業	MR	1,100万円
転職後	製薬企業	MR	1,650万円

Mさんは、大手製薬会社のMRとして個人医院から大学病院まで幅広い医療機関を担当し、多様な医薬品の提案営業を行ってきた方です。患者志向を忘れず、担当製剤の価値を考えながら、医師との信頼関係を構築し、高い成果を残してこられました。しかし、新薬パイプラインをもつ企業で新規開拓に取り組み、MRとしてより成長したいとの意向が強くなったと当社にご相談をいただきました。

当社がご紹介したのは、MR部門のマネージャーとして、営業活動だけでなく、主要なステークホルダーとの協働、シナジーを生み出しながら、チームの目標達成を目指す求人です。先駆的な取り組みによってさまざまな新薬候補を構築している企業であり、何より患者支援を重視されている点が、Mさんの志向にも合致しました。

結果、Mさんの医療に対する真摯な考え、これまでの豊富な実績が高く評価され、すぐに採用が決定しています。

③   食品メーカーの地域営業統括・ブランド推進から食品メーカーの法人営業への転職事例

Hさん（女性/30代後半）

	業種	職種	年収
転職前	食品メーカー	地域営業統括・ブランド推進	1,050万円
転職後	食品メーカー	法人営業	1,200万円

Ｈさんは、大手食品メーカーの営業としてインバウンド向けの商品開発にも携わり、大幅な売上アップに貢献され、マネジメントのポジションにも就任された方です。順調にキャリアを重ねてきたものの、将来に向け、これまでの経験を生かしながら新たなステージに進んだ方がよいのではと悩み、当社にご相談をいただきました。

当社からは、大手食品メーカーの法人営業のマネジメント職をご紹介しました。コンサルティング要素を含む職で、自社製品の売上アップだけでなく、自社ブランドを通じた顧客の売り場価値向上を目指すソリューション営業です。Hさんからは、顧客の価値向上までを見据えた業務であることから、ぜひ応募したいとの返事をいただきました。採用の過程において、Hさんの営業としての十分な実績、面接時のポジティブかつ分かりやすいプレゼンテーション能力が評価され、見事、採用の運びとなっています。

メーカー営業への転職ならJAC Recruitment

JACには、これまでに多くのメーカー営業志望の方の転職をサポートしてきた実績があります。当社には、各業界に精通したコンサルタントが多数在籍しており、転職希望者の経歴や適性、今後の希望を踏まえたうえで、理想のキャリアの実現につながる最適な求人を提案しています。

各企業を担当するコンサルタントが、直接求人の紹介を行うため、企業風土や職場の雰囲気、年齢構成など、求人票だけでは把握できない詳細な情報の提供が可能です。さらに、求人紹介時には、応募企業に合わせ、強みをよりアピールできる書類作成の方法や面接の対応方法などのアドバイスも行っています。

メーカー営業職への転職をお考えの際には、ぜひ、実績豊富なJACにご相談ください。