40代の海外転職事情｜平均年収や求められるスキル経験を解説  

社会・経済のグローバル化にともない、グローバル企業では積極的に海外で活躍できる方の採用を進めています。では、40代の方が海外転職を検討する場合、どのようなキャリアやスキルが評価される傾向にあるのでしょうか。

本記事では、 JAC Recruitment（以下、JAC）が、40代の方が海外転職を希望する際に求められるスキルや経験、平均年収などについて解説します。

海外転職を希望する40代の現状と転職動向  

国内の少子高齢化が進んでいることから、マーケットの拡大を目指し、海外進出を目指す企業が増加中です。まずは、JACが取り扱う求人から、40代の方を対象とした海外求人の傾向や転職動向についてご説明します。

EMC業界での積極的な採用が目立つ

JACが扱う求人を見ると、海外駐在ができる方を多様な業種で募集していますが、特に、EMC業界での積極的な募集が目立ちます。機械・装置メーカーや化学メーカー、自動車・部品メーカー、電気・電気機器メーカーの求人が増加中です。

また、EMC業界に次ぎ、商社でも海外駐在者の募集を積極的に行っており、なかでも、工業系商社での募集が多くなっています。そのほか、建設・不動産業界の海外進出も増加傾向にあります。

募集職種の中心は、技術系職種と営業、経営・事業企画職、経理・財務

業界を見るとEMC業界、工業系商社での海外求人が増加中ですが、職種を見ると、技術職と営業職、経営・事業企画、経理・財務の職種の募集が目立ちます。

技術系の職種の募集はEMC業界に偏っており、現地工場のマネジメントや技術指導に関わる業務がほとんどです。営業職は、EMC業界、商社をはじめ、あらゆる業界で募集されています。そのほか、海外での新規事業開発の推進を目指す経営・事業企画職、海外事業所で予算管理や経営管理などを担う経理・財務職の募集も見られます。

現地法人のマネジメントや責任者のポジションの募集が中心

40代を歓迎する求人の場合、海外現地法人の責任者や工場責任者、技術責任者といったポジションでの募集が中心です。本社の経営方針を理解し、事業戦略や生産計画の立案や実行に関わる業務、現地スタッフの育成やマネジメント、本社との連携などの業務経験者に対する求人が増加しています。

海外転職を希望する40代に求められるスキル・経験・マインド

業界によって多少の違いはあるものの、海外業務に40代を積極的に採用する企業では、次のような経験やスキル、マインドを求める傾向があります。

海外での駐在経験と異文化対応力

海外での就業希望者を募集する求人のほとんどが、海外駐在経験者を優遇しています。これは、海外と日本では文化や価値観が異なり、それらを十分に理解していることが求められるためです。駐在員はときに、考え方や価値観の違いによって生じるトラブルの仲介役や調整役が求められます。現地スタッフと信頼関係を構築するためには、その国の文化や慣習を尊重する姿勢が不可欠です。

文化に合わせた柔軟な対応ができない場合、業務が円滑に進まないだけでなく、ストレスが増し、海外生活そのものが困難になる可能性もあります。

それぞれの国の文化を理解し受け入れたうえで、状況に応じた柔軟な対応ができる力は、海外転職を目指す方にとって不可欠な資質です。

生産技術や品質管理に関わる専門的知識

EMC業界では、海外工場の管理責任者や生産技術指導者としての求人が目立ちます。海外工場においても、自社が求める水準の製品を、効率よく製造するための指導力がある方を求める募集が多くなっています。また、技術職においては、生産技術や品質管理、設計開発などの専門知識も求められます。

さらに、現地スタッフに技術を伝えるだけでなく、スタッフの作業手順を守る意識を向上させることも必要です。そのためにも、密にコミュニケーションをとり、業務の進め方を丁寧に教育する能力も必要になるでしょう。

人材マネジメント経験や組織運営の経験

管理職ポジションで海外駐在をする場合、本社と離れた環境で、異なる文化の中、現地スタッフの採用や育成などの人材マネジメントや目標達成に向けた組織運営を実行していかなかなければなりません。さらに、本社や現地サプライヤー、クライアントなど、多方面のステークホルダーとの調整も必要です。

こういった理由から、海外でマネジメントや組織運営に携わった方を求める求人は、非常に多くなっています。

前向きなチャレンジ精神と経営者意識

海外では、予期せぬトラブルの発生は少なくないため、スムーズに業務が進まないことも多いでしょう。そこで、トラブルも成長のチャンスと捉え、試行錯誤しながら進めていく前向きなマインドが、海外駐在には求められます。

さらに、管理職ポジションでは、高い目標達成意識をもち、主体的に業務に取り組む姿勢と、メンバーのマネジメントだけにとどまらない経営者意識が求められるでしょう。

海外転職をした40代の平均年収は1,007.3万円    

JACのサポート事例によると、海外への転職を成功させた方の平均年収は1,007.3万円となります。さらに詳しく見てみると、40代前半の平均年収は1,004.7万円、40代後半の平均年収は1,008.6万円となっており、年齢による差はほとんどありません。

40代平均年収	40代前半の平均年収	40代後半の平均年収
1,007.3万円	1,004.7万円	1,008.6万円

また、職位別の平均年収を見ると、メンバークラスは926.9万円、管理職は1,044.4万円と、100万円ほどの差が見られます。

職位	メンバークラス	管理職
平均年収	926.9万円	1,044.4万円

さらに、日系企業と外資系企業を比較すると、外資系企業の平均年収は、日系企業に比べて200万円ほど高くなっています。

職位	日系	外資系
平均年収	999.8万円	1199.2万円

職種別の平均年収を比較すると、現地法人での運営や新規事業開発に関わる、経営・事業企画職の年収が最も高くなっています。

職種	平均年収
技術系	840.6万円
営業	869.1万円
経営・事業企画	1,336.0万円
経理・財務	1,105.0万円

40代の海外転職を成功させる4つのポイント

40代での転職では、特定分野の専門スキルや豊富な経験により培われた課題解決力、異なる価値観を持つ人々の間に立ち、組織の一体感を生み出す調整力などが、大きな武器となります。40代で海外転職を希望される場合、経験豊富な40代だからこそ有するスキルや能力の価値提示が、転職成功の大きなポイントとなります。

即戦力としての専門性と海外駐在経験のアピール

40代の転職希望所に対しては、即戦力を求める傾向が非常に強く見られます。海外での駐在経験は、特に優遇される傾向にあり、赴任予定の国やエリアの商慣習の把握が、転職時の大きなアピールとなります。さらに、現地でのサプライヤーやクライアントとの交渉、プレゼン経験も高い評価につながります。

海外駐在経験をアピールする際には、どのような業務でどのような実績を上げたのか、具体的な数字を交えながら成果を提示することが重要です。

40代ならではのマネジメント力と柔軟性を強調

現地スタッフや駐在員をまとめ、メンバーが自律的に動けるような環境作りなど、マネジメント力は、多くの企業に求められる能力です。日本の考え方や手法を押し付けず、現地の文化に合わせたビジョンを掲げ、全員が同じ目標に向かって進めるように導く、柔軟な思考と強いリーダーシップは、経験豊富な40代だからこそ、もち得る強みです。具体的なエピソードとともに、積極的にアピールしましょう。

英語＋αの語学力のアピール

海外転職では、英語によるコミュニケーションは必須です。交渉やプレゼン、契約締結のシーンにおいて、実践的な英語力が欠かせません。

さらに、英語だけでなく、赴任地の言語についての知識や使用経験がある場合、現地スタッフとのコミュニケーションが図りやすくなるため、より高い評価につながる可能性があります。特に、近年アジア圏への進出が盛んに行われており、中国語やインドネシア語、タイ語、ベトナム語などの素養は歓迎されるでしょう。

海外転職支援実績が豊富なエージェントの活用

海外転職を希望する場合、グローバル企業の案件を多数取り扱うエージェントの活用は欠かせません。海外ビジネス戦略の実行者として海外に駐在できるグローバルビジネスの経験者を募集する企業は、一般に公開されていないケースも少なくありません。

また、海外転職にあたっては、現地の文化や生活環境についても事前に把握しておいた方が安心です。海外転職に強いエージェントを利用すると多数の求人の中から自身のキャリアを生かせる求人が紹介されるだけでなく、生活面の情報も得やすく、安心して準備を進められる点もメリットです。

40代の海外転職の成功事例

JACでは、グローバル展開を進める企業の求人を多数保有しており、40代の方の海外転職をサポートしてきた実績も豊富です。ここでは、その中から40代前半の男性の事例をご紹介します。

電気機器メーカーの経営管理から建設業の海外管理責任者（経理）への転職

Dさん（男性/40代前半）

	業種	職種	年収
転職前	電気機器メーカー	経営管理	1,100万円
転職後	建設業	海外管理責任者（経理）	1,500万円

Dさんは、住宅メーカーや電気機器メーカーにおいて、工場経理、海外子会社やグループ全体の業績管理・分析業務などに従事されてきた方です。また、経理を含めた管理部門の責任者として、海外の現地法人で勤務された経験もおもちです。現地スタッフのマネジメントにも関わるなど、大きなやりがいをもって業務に臨んできたものの新たな環境でさらに自身のキャリアを高めたいとの希望が強くなり、当社にご相談いただきました。

当社からご紹介したのは、大手不動産会社の海外管理責任者の求人です。海外に駐在し、経理部門だけでなく株主総会や取締役会の対応、許認可申請、駐在員の勤怠管理、在留許可手続き、人材育成、労働安全衛生の管理など、管理部門全体の管理者の募集でした。

経理業務の経験と知識が必須とされる中、Dさんの豊富な経理経験はもちろん、海外でのマネジメント実績や業績管理の取り組みなどが高く評価され、面接後、すぐに採用が決定しています。

40代海外転職に関するQ&A

Q.海外転職に強いエージェントを選ぶ際のポイントは？

A.海外転職を目指す40代にとって、エージェント選びは成功の鍵を握る重要なステップです。まず、希望の業界や職種、希望するエリアや国の求人を扱っているかどうかが一つの判断基準となります。さらに、現地にもサポート拠点をもつエージェントであれば、現地の情報も入手しやすく、手厚いサポートを受けやすいでしょう。加えて、海外転職に精通したコンサルタントが在籍しているかどうかも重要です。

企業との信頼関係が強く、非公開求人の紹介や選考対策までサポートしてくれるエージェントであれば、安心して転職活動を進めることができるでしょう。

Ｑ.海外への転職を希望する場合、転職期間はどのくらいを想定すべき？

海外への転職を希望する場合、転職期間は3カ月から6カ月程度が目安になるとされています。赴任する国によって異なるものの、ビザの取得に時間を要するケースもあります。また、現地の住まいの確保や転居準備など、国内での転職に比べ、手続きも複雑になるため、ある程度余裕をもったスケジュールを立て、中長期的な視点で転職活動を進めることが大切です。

Ｑ.40代で海外転職を成功させるために準備すべきことは？

A.40代での海外転職では、語学力の強化と過去の駐在経験の棚卸しが欠かせません。英語はもちろん、赴任先の言語にも触れておくことで、現地スタッフとの信頼構築がスムーズになります。また、異文化への理解と柔軟な対応力を示すことも重要です。家族帯同の場合、生活面の準備も含めて早めに情報収集を行いましょう。

転職をキャリアの延長線として捉え、将来のビジョンを明確にしておくことで、企業からの評価も高まります。

海外経験や専門性を活かす転職ならJAC        

JACはこれまでに数多くの海外転職をサポートしてきた実績をもつ転職エージェントです。40代の海外駐在者を求める企業は数多く、特に、現地スタッフや駐在員を束ねることができるマネジメント経験をもつ方のニーズが高まっています。

JACでは、日系企業はもちろん、外資系企業の海外転職希望者を求める求人も多数保有しており、世界各国に転職サポート拠点も保有しています。当社では、コンサルタントが求人企業と転職希望者の双方を担当する点に大きな特徴があります。担当コンサルタントが、企業から直接募集の詳細をヒアリングするため、求人募集の背景や企業文化、今後の戦略、採用の目的、選考プロセスなど、子細な情報まで的確に把握しており、求人票だけでは読み取れない繊細な情報まで提供することが可能です。また、英文レジュメ作成時のポイントや面接時の対応方など、転職時に役立つアドバイスも行っています。

40代ならではのキャリアを生かし、世界を舞台にさらに大きく羽ばたきたいとお考えの場合には、ぜひ、40代の海外転職サポート実績を豊富にもつJACにご相談ください。