CASEやSDVなどの構造変化が進む自動車業界で、電動化・自動運転・コネクテッド技術といった最先端領域に携われる自動車エンジニア。
業界の変革にともない、専門性を高めたい方やグローバルプロジェクトでキャリアを伸ばしたい方にとって、大きなチャンスが広がっています。
本記事では、自動車エンジニアの転職市場動向や最新求人情報に加え、未経験からの転職難易度などをJAC Recruitment(以下、JAC)が解説します。
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自動車エンジニアの転職市場動向
自動車業界は、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)を軸に、MaaS(Mobility as a Service)やSDV(Software Defined Vehicle)といった新潮流が加速し、新車開発のサイクルはかつてないスピードで進化しています。このような業界動向を背景に、各企業は、車両を制御するソフトウェア、バッテリーやモーターをはじめとする電動化技術、AIを活用した自動運転技術など、新たな分野の専門知識がより強く求められるようになっており、自動車エンジニアに期待される役割は、飛躍的に拡大しています。
JACが取り扱う求人を見ても企業の採用背景には、EV専用プラットフォームや自動運転コア技術の社内開発、MaaS事業の参入などが掲げられています。このように、外部委託から内製化へのシフトを進めることを目的とした採用が目立ち、多くの企業が新技術に対応できる自動車エンジニアを求めている様子がうかがえます。
加えて、完成車メーカーにとどまらず、ティア1・ティア2や電池・半導体・通信・クラウドなどの分野まで裾野が拡大している点も特徴として挙げられます。従来のエンジンや駆動系に強みをもつ自動車エンジニアだけでなく、車載OSやAUTOSAR、車載通信、機械学習に明るい開発者や、熱マネジメント・パワエレ・セル設計に精通した電動化スペシャリストへ需要が集中しています。さらに、カーボンニュートラル政策にともなう投資強化により、カーボンニュートラル関連の求人は、5〜10年のプロジェクト推進経験者をリーダー候補として厚遇する傾向が強まっています。
今後の見通しとしては、電池の次世代化やパワー半導体の材料転換、ソフトウェアアップデートによる機能進化が新たな収益源となるため、単一部品の設計スキルに閉じないシステム思考と、量産・品質・コスト・安全を同時に満たすアーキテクチャ設計力がより強く求められると考えられます。
総じて、革新を主導した実績を備えた方ほど、今後のモビリティ競争において中核を担うキャリアを築ける可能性が期待できます。そのため、転職活動時には、自律的にプロジェクトをけん引した実績や、サプライチェーン、規制、サイバーセキュリティまで視野に入れた全体最適を提案・実行した経験を整理し、応募先企業に合わせて、自身の強みを戦略的にアピールすることが重要です。
自動車エンジニアが求められる主な転職先候補
ここでは、自動車エンジニアが求められる、次の3つの転職先候補について解説します。
- ●完成車メーカー(OEM)
- ●自動車部品メーカー・Tier1サプライヤー
- ●自動車関連ソフトウェア開発企業
完成車メーカー(OEM)
完成車メーカーでは、車両企画から量産立ち上げ、アフターサービスに至るまでのバリューチェーンを内包しており、自動車エンジニアは商品企画や車両アーキテクチャ設計、機能安全・品質保証、生産準備など幅広い業務を担います。
近年は、CASEやSDVの潮流に加え、MaaS(Mobility as a Service)をはじめとする新しいモビリティサービスの拡大も進み、電動パワートレインやADAS、コネクテッド機能の横断統合が加速しています。そのため、自動車エンジニアには、パワエレや熱マネジメント、AUTOSARやOTAを前提としたソフトウェア/ハードウェア協調設計、HILS/SILSを用いたモデルベース開発など、システム全体を俯瞰する経験が強く求められる傾向にあります。
また、グローバル開発が標準の企業では、海外拠点やサプライヤーとの並行開発、試作段階から量産移管までのQCDマネジメントが必須であり、英語を用いた技術議論や設計変更審議、ゲート審査での合意形成力が評価の対象になるでしょう。加えて、大量生産の現場を背景に、商品性・安全・コストの3要素を高い次元で両立させる統合力も必須の素養になります。部門間の壁を越えてプロジェクトを成功に導いたご経験がある方や、量産後のフィールド品質改善を主導したご経験がある方は、全体最適の視点を備えているとして高い評価を受けるでしょう。

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自動車部品メーカー・Tier1サプライヤー
自動車部品メーカーやTier1サプライヤーでは、特定の技術領域を極めたいと考えているエンジニアにとって、非常に魅力的な転職先の一つです。デンソーやアイシン、ボッシュをはじめとする世界的に名の知れたメガサプライヤーでは、エンジンシステム、駆動システム、ブレーキシステムなど、特定のコンポーネントやサブシステムにおいて、完成車メーカーを凌駕するほどの高度な技術力と専門性を有しています。
近年は、E/E化とソフトウェアの比重が増し、AUTOSAR Classic/Adaptive、機能安全、サイバーセキュリティの知見をもち、車載通信やOTA、診断(UDS)に通じたエンジニアの需要が顕著です。また、グローバルに事業を展開するTier1サプライヤーでは、本社R&Dと日本顧客との橋渡し役を任されることもあり、英語での仕様合意、海外工場立ち上げ、現地サプライヤー監査などの経験があれば、年収面で優遇される場合もあります。
将来的には製品ラインの技術責任者やプラットフォーム統括、海外開発拠点のリーダーへとキャリアの幅を広げられる場合も多く、一つの技術を深く追究したい方にとって魅力的な転職先だといえるでしょう。
自動車関連ソフトウェア開発企業
自動車に搭載されるソフトウェアの開発を専門に手掛ける企業も、自動車エンジニアの新たな活躍の場として注目を集めています。自動車エンジニアが担う業務としては、自動運転を実現するためのAI認識アルゴリズムの開発、カーナビやオーディオを制御する車載インフォテインメントシステムの開発など、多岐にわたります。自動車ソフトウェア開発が主業務となるため、プログラミングの知識、AUTOSARやROSなどの車載システムに関する知見、CANやEthernetをはじめとする通信規格への理解などが前提として求められます。
採用選考では、開発の一連の流れ(実車評価・シミュレーター検証・クラウドテスト)を理解し、性能・安全性・セキュリティの指標を具体的な数値で説明できる方は、即戦力として高く評価されます。
自動車エンジニアの最新転職・求人情報
自動車エンジニアの最新の求人動向を見ると、電子制御ユニットや自動運転関連システム開発などの求人が目立ちます。近年のCASEを中心とした技術革新により、従来の機械設計から電子・ソフトウェア領域へと需要が大きくシフトしている様子がうかがえます。さらに、クラウドや通信技術を活用したコネクテッドカー領域では、クラウドエンジニアやネットワークエンジニアの募集も増加傾向にあります。
一方、環境技術関連の求人も目立ちます。特に「電池管理」「熱マネジメント」「カーボンニュートラル」などのキーワードを含む求人が急増しており、EVやHV向けの電池パック設計、BMS(Battery Management System)、冷却・加温制御の設計開発知見を有するエンジニアが強く求められています。加えて、再生可能エネルギーとの連携や水素燃料電池などの次世代エネルギー領域でも採用が進んでおり、エネルギーマネジメントやZEV(Zero Emission Vehicle)関連の開発経験をもつ方は今後ますます引き合いが強まるでしょう。
このように、自動車エンジニアの求人は、従来の機械分野中心からソフトウェア・電動化・環境技術分野へと、需要の軸が移りつつあります。転職を検討する際は、自らの専門性を発揮できる領域を見極めることが大切です。
ここからは、自動車エンジニアの最新求人・転職情報を紹介します。
●日産自動車株式会社:【SDV/ADAS】SDVアーキテクチャ開発エンジニア(アーキテクチャ戦略策定/機能配置、物理配置設計/API)
●日産自動車株式会社:e-POWER 燃費動力性能開発エンジニア(性能設計/実車評価/シミュレーション)
●トヨタ自動車株式会社:【パワートレーン】エンジンシステム、エンジン制御開発
●スズキ株式会社:四輪車の制動実車実験および性能開発エンジニア
●イーソル株式会社:車載ソフトウェア開発エンジニア/リーダー(自動車OEM直案件)
●いすゞ自動車株式会社:トラックの機構装置(ステアリング、ブレーキ、アクスル、サスペンション)開発・設計
●いすゞ自動車株式会社:電動車の統合制御ECU開発(プロジェクトリーダー)
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年12月最新)
なお、本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが取り扱う求人は、大半が非公開となっています。そのため、非公開求人も含め自動車エンジニアに関する求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。
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未経験から自動車エンジニアへの転職は難しいのか
自動車業界に転職する際は、高度な専門技術と長期にわたる開発経験が重視されるため、未経験からの転職は難易度が高いです。特に、完成車メーカーや主要サプライヤーでは、即戦力採用を基本としており、設計・解析・制御といった領域で即時に業務を遂行できるスキルが求められます。
しかし、自動車業界は100年に一度の変革期と呼ばれるほど構造変化が進行しており、電動化や自動運転、コネクテッドといった新技術領域が急速に進展しています。このような業界構造の変化により、特に次世代型の車両開発をはじめとする技術革新に対応できる異業種出身者は、高く評価され、採用に至ることもあります。例えば、クラウドやAI、データ分析、サイバーセキュリティといった分野では、IT企業出身のエンジニアがシステムアーキテクトや制御エンジニアとして活躍する事例が増えています。また、自動車に搭載される電子制御ユニットや各種センサー、バッテリーの制御システムを開発するポジションでは、電機メーカーや半導体メーカー出身者が高い評価を受けています。
未経験から自動車エンジニアを目指す場合には、「車が好き」という情熱に加え、自動車の構造や法規、安全規格など基礎的な知識を身につけることが重要です。このような基礎知識をもつことで、転職の可能性を高められます。
また、業界未経験者が自動車エンジニアへの転職を目指す場合、自動車構造や法規、安全規格など、自動車に関連する基礎知識が必須となります。独学や通信講座などで機械工学・電気工学の基礎を学び、加えて車両の機能安全規格(ISO 26262)やモデリングツール(MATLAB/Simulink)などを習得することで、採用選考での評価を高め、転職後の立ち上がりを速められるでしょう。

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自動車業界は未経験者採用が活況。動向や将来性についてハイクラス転職のJACが解説
自動車業界は変革期を迎えており、業界外から多様な職種を採用するなど、これまで自動車と関わりがなかった方々にもチャンスが広がっています。 自動車業界の転職市場の現在について、JAC Recruitment(以下、JAC)の… 続きを読む 自動車業界は未経験者採用が活況。動向や将来性についてハイクラス転職のJACが解説
自動車エンジニアへの転職で求められる経験・スキル・マインド・資格
ここでは、自動車エンジニアへの転職で求められる次の経験・スキル・マインド・資格について解説します。
- ●自動車業界での実務経験(特に、開発設計・評価実験・生産技術分野)
- ●シミュレーションツール操作スキル・デジタルスキル(AI・データ解析など)
- ●高い安全・品質意識、継続学習マインド
- ●自動車整備士・CAD利用技術者試験・E資格など
自動車業界での実務経験(特に、開発設計・評価実験・生産技術分野)
自動車エンジニアへの転職では、自動車業界や自動車部品業界における実務経験が求められます。JACが取り扱う求人にも「〇年以上の経験」と明記されていることが多く、年齢よりも担った役割や参画したプロジェクトの功績が問われる傾向にあります。また、「3〜5年程度」であれば即戦力、「5〜10年程度」であればプロジェクトリーダー、そして「10年以上」であれば部門マネジメントなど、経験年数に応じて期待される役割も変化するため、応募先ポジションに合致した経験を示すことが大切です。
開発設計では、要件定義からアーキテクチャ設計、部品設計、解析、試作まで一連のV字プロセスを経験しているかが問われ、評価実験ではHILS/SILSやテストベンチ、実車での妥当性確認を通じて、品質・安全規格に適合させる運用力が評価の対象になります。生産技術では、量産立ち上げや工程設計、治具設計、歩留まり改善、トレーサビリティなど、量産品質の担保に直結する経験が採否を左右します。
シミュレーションツール操作スキル・デジタルスキル(AI・データ解析など)
昨今の自動車開発は、コンピューター上でのシミュレーションを活用することで、開発期間の短縮と品質の向上を図っています。そのため、自動車エンジニアには、各種シミュレーションツールを高いレベルで使いこなすスキルが必須となります。
特に、次世代の車両開発では、MBD(モデルベース開発)が重要なスキルとされ、「MATLAB/Simulink」などのツールを扱った経験が高く評価されます。また、ソフトウェア分野では「C/C++」「Python」「AUTOSAR」、ハードウェア分野では「ECU設計」「センサー統合」「電源回路設計」、さらには品質・安全面に関して「ISO 26262」に関する知識が必要とされています。
ただし、採用選考では、ツールを活用できる旨の訴求に終始しないよう留意しましょう。開発リードタイムや手戻り率などのKPI改善を、ツールを活用しどの程度まで達成できたのか、即戦力として活躍し得る実績を示すことが大切です。
高い安全・品質意識、継続学習マインド
自動車は人命と社会インフラに直結する製品であり、品質基準の逸脱は企業存続リスクに直結します。そのため、高い安全・品質意識を徹底する姿勢が不可欠です。JACが取り扱う求人には、内製化や新規事業の立ち上げ、海外拠点連携、技術継承など、組織再編をともなうテーマが多く、多様な事業変化を迎えるなかでも標準を守りながら新技術を取り込む姿勢が強く求められています。
さらに、CASEやカーボンニュートラル対応は技術進化の速度を高めており、昨日まで最先端だった知識が今日には陳腐化してしまうことも珍しくありません。このような、変化の激しい環境で自動車エンジニアとして価値を発揮し続けるためには、常に新しい技術や知識を吸収し続ける継続学習マインドも不可欠な資質といえます。
自動車整備士・CAD利用技術者試験・E資格など
自動車エンジニアに応募する際、資格が必須になるケースは限定的です。しかし、資格の取得は、自身の専門性を客観的に証明したり、知識の幅を広げたりする際に有効です。
例えば、「自動車整備士」の資格は、車両構造や法規、安全点検の基礎素養を示し、評価・実験やサービス技術、フィールド品質などの職種で説得力をもちます。また、「CAD利用技術者試験」は、設計コミュニケーションの共通言語である図面解釈と3Dモデリングのリテラシー証明として、設計と生産技術の双方において評価の対象になります。また、E資格は、画像認識や時系列解析などを自動運転・監視・予兆保全へ実装する際の理論基盤を証明でき、近年需要が高まるAIエンジニアやHMI開発者、セキュリティエンジニアといった新職種の要件とも親和性が高い領域です。
近年、語学力は「あると望ましい」ではなく、「必須条件」として記載されるケースが増えており、技術力と同等に評価される傾向が強まっています。そのため、語学力を証明できる資格の取得も有効といえます。
自動車エンジニアへ転職した場合の年収相場
自動車エンジニアは、日本の基幹産業を技術の力で支える極めて重要な専門職であり、その年収水準も国内のエンジニア職と比較して、高い水準に位置しています。
JACが取り扱う自動車エンジニア求人全体の平均想定年収は、784.2万円です。年代別に見ると、20代で795.8万円と非常に高い水準からスタートし、30代で788.1万円、40代で784.2万円と安定して推移しています。年代別の水準に大きな差異がない理由は、近年のCASE革命を背景に、特にソフトウェアやAIなどの新しい領域で活躍する若手層が極めて高い報酬で迎え入れられているからと考えられます。

| 年代 | 平均年収 |
|---|---|
| 20代 | 795.8万円 |
| 30代 | 788.1万円 |
| 40代 | 784.2万円 |
| 50代 | 781.4万円 |
役職別で見ると、メンバー職は784.1万円、管理職は785.2万円と、ほとんど差がありません。これは「管理職=高年収」という単純な構図ではなく、プロジェクトの責任や希少スキルの有無、海外拠点との折衝の可否など、さまざまな要素が報酬に影響しているためです。
企業区分では日系企業が785.7万円、外資系企業が776.0万円と拮抗しており、企業区分問わず個人のもつ専門的なスキルそのものが、年収に直結している様子がうかがえます。
| 役職 | 平均年収 |
|---|---|
| メンバークラス | 784.1万円 |
| 管理職 | 785.2万円 |
| 平均年収 | |
|---|---|
| 日系企業 | 785.7万円 |
| 外資系企業 | 776.0万円 |
※当社実績(2023年1月~2025年9月、想定年収)
自動車エンジニアの転職事例
ここでは、JACが提供する転職支援サービスを利用して、自動車エンジニアへの転職を成功させた事例を紹介します。
自動運転レベル4開発へ挑戦|スマートモビリティ企業で車両制御エンジニアに転職
Hさん(40代後半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 自動車部品メーカー | エンジニアリングPM | 1,100万円 |
| 転職後 | スマートモビリティ関連企業 | 車両制御ソフトウェア開発 | 1,400万円 |
長年にわたり、自動車部品メーカーでソフトウェアエンジニアとして活躍してきたHさんは、海外拠点との連携経験もあり、ソフトウェア技術とマネジメント力の両軸で成果を残してきました。近年はプロジェクトマネジメント領域にも挑戦し、技術面に加えて組織マネジメント力を磨くなかで、「最後のキャリアとしてより先進的な開発環境に身を置き、社会実装に近い形で自動運転技術にかかわりたい」という思いが芽生え、転職を決意しました。
JACのコンサルタントは、Hさんのプレイングマネージャーとしての適性と高い技術力に着目し、自動運転レベル4の社会実装を目指すスマートモビリティ企業の開発責任者ポジションを提案しました。選考では、制御ソフトウェア開発やアジャイル開発でのチーム統率経験が高く評価され、内定に至りました。
今回の転職は、長年培ってきた技術やマネジメントスキルを次世代モビリティ開発へと昇華させた好例といえます。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
ECU開発の専門性を武器に|電子エンジニアが自動車部品メーカーでキャリアアップ
Fさん(30代前半/男性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 電気機器メーカー | 電子エンジニア | 850万円 |
| 転職後 | 自動車部品メーカー | 電子エンジニア | 1,050万円 |
Fさんは、建機メーカーでの機構設計から、光伝送モジュール製品の量産立ち上げ、そして外資系自動車部品メーカーでの自動車用ECU開発に至るまで、幅広い領域で電子エンジニアリングの実務を積んできました。特に、海外開発拠点と顧客のインターフェース業務を軸とし、各拠点で調整と遂行力を発揮するなど、技術力とグローバルなコミュニケーション能力の両面で豊富な経験を培ってきました。しかし、直近は企画寄りの比重が高まり、現場でモノに触れながら技術を磨く機会が減ったことから、技術実務の深掘りや英語を駆使して製品開発をリードできる環境を求めて、転職活動を開始しました。
JACのコンサルタントは、Fさんの電子回路設計における深い専門性と、海外拠点を含む複数のステークホルダーを束ねるグローバルリードとしての高い調整能力を高く評価し、自動車部品メーカーの自動車エンジニア職を提案しました。結果として、Fさんは、プロジェクト管理と技術提案を横断する技術窓口のポジションに着任しました。
今回の転職でFさんは、大幅な年収アップに加え、グローバルプロジェクトをリードするエンジニアとしてのキャリアアップを実現することができました。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
自動車エンジニアへ転職後のキャリアパス
本章では、自動車エンジニアへの転職後に考えられる4つのキャリアパスについて解説します。
- ●完成車メーカーでのキャリアパス
- ●部品メーカー・サプライヤーでのキャリアパス
- ●ソフトウェア開発企業でのキャリアパス
- ●自動車産業に特化したコンサルタントへ転職
完成車メーカーでのキャリアパス
完成車メーカーの自動車エンジニアに転職した後は、車両全体の開発を統括する立場を目指すことができます。入社後は、エンジンやシャシー、電装、車体設計などの特定領域で設計や評価を担当し、開発工程全体を理解した後、プロジェクトリーダーやチーフエンジニアとして、複数部門を横断的にまとめるポジションに昇格するルートが一般的です。近年は、CASEの進展にともない、電子制御やAI、通信技術を駆使した車両開発が主流化しており、ソフトウェア開発部門やEV関連部門へとキャリアを転換する動きも見られます。特に海外拠点をもつ完成車メーカーでは、グローバルプロジェクトに携われるチャンスが多く、英語力が評価の対象になることも珍しくありません。
将来的には技術企画・製品戦略・品質保証部門への異動や、マネジメント職への登用を通じて、製品ライフサイクル全体を俯瞰できる立場に進むことも可能です。技術を突き詰める専門職としてのキャリアと、全体統括を担う管理職としてのキャリアいずれも存在するため、個々の志向に応じたキャリアを形成しやすい環境が魅力です。
部品メーカー・サプライヤーでのキャリアパス
部品メーカーやTier1サプライヤーの自動車エンジニアは、完成車メーカーから委託される部品やモジュール開発の要を担います。そのため、機構設計、回路設計、材料開発、製造技術などの領域で専門性を高めるキャリアが中心となります。
キャリアの初期段階では特定部品の開発・改良に従事し、数年の経験を経てプロジェクトリーダーや製品責任者として、品質・コスト・納期を総合的にマネジメントするポジションを目指します。最近では、設計・評価だけでなく調達や品質保証にまで関与するエンジニアリングマネージャー職のニーズも高まっており、経営視点をもったキャリア転換も可能です。海外サプライヤーとの共同開発やグローバル購買網を通じて国際案件に関与できる機会もあり、将来的にはアジアや欧州拠点の技術統括職への昇進も視野に入ります。
ソフトウェア開発企業でのキャリアパス
SDVの台頭により、ソフトウェア開発企業でのキャリア形成も注目を集めています。ソフトウェア開発企業では、組み込みエンジニアや制御エンジニアとして、ECU開発や自動運転アルゴリズム、車載通信、HMI開発などに携わることが多く、C/C++、Python、MATLAB/Simulink、AUTOSARといった知識が基盤となります。一定の経験を積むと、アーキテクトとして車両全体の制御システムを統括する役割や、プロジェクトマネージャーとして顧客との要件定義や進行管理を担うポジションへと進む道が開けるでしょう。また、外資系開発ベンダーやIT系メガサプライヤーでは、海外OEMとの連携やAI・クラウド基盤を活用した自動運転データの解析など、モビリティとITの融合領域で成長できるチャンスも豊富です。
技術の更新サイクルが速いため、継続的なスキルアップが必要ですが、技術習得がキャリアアップに結びつきやすく、高収入を目指せる領域でもあります。

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ソフトウェア業界の転職事情|年収相場や求められるスキル・経験を解説
近年、クラウド環境の利用拡大やIoTなどの技術発展にともない、ソフトウェア業界では新たなニーズに対応するため、積極的に採用を進めています。しかし、多種多様な求人があるからこそ、ソフトウェア業界に転職する際にどのようなスキ… 続きを読む ソフトウェア業界の転職事情|年収相場や求められるスキル・経験を解説
自動車産業に特化したコンサルタントへ転職
実務経験を重ねた自動車エンジニアのなかには、開発や生産の知見を生かしてコンサルタントに転身するケースもあります。自動車産業特化型のコンサルタントは、メーカーやサプライヤーの経営課題を技術的な視点から支援し、業務改革や品質改善、サプライチェーン最適化など企業の事業課題解決や事業成長に資する施策の作成・実行に携わります。
プロジェクトによっては、顧客の研究開発部門や生産現場に入り込み、課題抽出からソリューション実装までを伴走することもあるため、技術理解とビジネス分析力の両立が不可欠です。その点、エンジニア出身者は、現場視点の提案が可能な点が高く評価されやすく、一定の成果を残すことができればマネージャーやパートナーへの昇進も視野に入ります。
また、コンサルタントを経て再びメーカーの経営企画・事業戦略部門へ戻るキャリアパスもあり、技術と経営の双方を理解するプロフェッショナルとして活躍することも可能です。
自動車エンジニアへの転職なら、JAC Recruitment
自動車業界は、CASEやSDVといった構造変化の波により、従来の機械系中心の開発から、電動化やソフトウェア化へと領域を拡大しています。そのため、自動車エンジニアへの転職を目指す際には、業界の構造的変化や企業の事業戦略を十分に理解している転職エージェントのサポートを受けることが大切です。
その点、JACは、自動車業界に精通した専門チームを有しており、企業の採用背景や技術ロードマップ、組織体制における課題を把握したコンサルタントが在籍しています。ヒアリングを通じて、一人ひとりのこれまでの経験や培ってきたスキルを丁寧に棚卸し、最適なキャリアをご提案します。
さらに、JACでは大手完成車メーカーのプロジェクトリーダーや、外資系Tier1サプライヤーのR&D責任者など、一般の転職サイトには掲載されていない非公開求人も多数取り扱っています。そのため、キャリアアップを実現できる非公開求人をご紹介します。
自動車エンジニアとしてさらなる成長や新しい技術領域への挑戦を志す方は、ぜひJACにご相談ください。

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メーカー転職情報
メーカーの転職市場においても、JAC Recruitmentは多くの方々の転職を成功させてきました。JACは業界専任制のコンサルティングを行っているため、高い専門性や業界の知識を豊富に蓄積しており、また市場動向についても… 続きを読む メーカー転職情報



