管理職40代の転職事情｜平均年収や求められるスキル経験を解説    

40代になると管理職のポジションに就任するケースが増加しますが、「転職は難しい」「失敗の恐れがある」といった声も聞かれます。では、40代の管理職への転職は本当に可能なのでしょうか。

本記事では、 JAC Recruitment（以下、JAC）の転職サポート事例をもとに、40代の管理職経験者の転職事情や平均年収、求められるスキルなどについて解説します。

管理職40代の現状と転職動向 

40代の管理職の転職市場は現在活況であり、求人は増加傾向にあります。本章では、JACが取り扱う求人事例をもとに、その現状についてご説明します。

40代の管理職希望者の転職は増加傾向

40代の転職は、一般的に難易度が高まるといわれています。しかし、40代を募集する求人がまったくないわけではありません。企業は求める分野のスペシャリスト採用に限定する傾向があり、募集要件が具体的になることで応募の間口が狭くなり、これが転職難易度が増す要因とされます。

一方、管理職の求人ではマネジメント経験者が優遇されるため、経験の浅い20代・30代よりも40代の求人が多い傾向にあります。さらに、少子高齢化や働き方改革の推進により、ジョブ型雇用が広がりを見せ、社内リソースでは補えない分野の管理職を外部から迎えるケースも増加中です。

このような背景により、40代管理職の転職市場は活況となっており、実際にJACのサポート事例を見ても、転職機会は以前と比べて確実に拡大しています。

あらゆる業界で採用活動は活発化

JACがサポートした事例を見ると、多くの40代転職希望者が、さまざまな業界の管理職ポジションへの転職を成功させています。
40代管理職の転職が最も多かった業界は、EMC業界です。EMC業界は、積極的に人員の募集を行っていることから管理職の募集も多く、転職事例が最多になっていると推測できます。

EMC業界の中では、特に化学メーカーへ転職された事例が目立ちます。高齢化社会の今、化学メーカーでは、ニーズの高い医薬品や医療材料などの分野へ進出を進めており、採用活動が活発になっているのです。

メディカル・バイオ業界の伸長と管理職の募集増

EMC業界に続き、メディカル・バイオ業界への転職事例も増加中です。高齢化による医療ニーズの増加にともない、医薬品や医療機器のメーカー、関連業種での求人が大きく伸長しています。
また、バイオテクノロジーを応用したバイオ医薬品の開発も積極的に進められており、メディカル分野での管理職求人が急増しています。
特にバイオメディカル企業などは、特定分野に特化した医薬品の開発を進めるなど、成長著しい企業が多く、企業が急成長するスピードに育成体制が追いつかず、外部から管理業務を任せられる方を募集するケースが増えています。

中規模企業・スタートアップ企業でのニーズの高まり

大手企業の場合、新規事業開発部門やDX化推進部門、グローバル事業部門では、一定の管理職のニーズが見られます。
しかし、JACが保有する求人では、中規模企業やスタートアップ企業の管理職の募集割合が増加中です。

中規模企業やスタートアップ企業では、新卒から人を育てるのではなく、特定分野における高い専門性を誇るスペシャリストを採用するケースが多く見られます。
その理由は、社内の人的リソースが不足しているだけではありません。さまざまな技術開発など進む今、外部からスペシャリストを徴用することで、スピード感をもって効率よく事業を軌道に乗せたいと考える企業が増えているのです。

40代管理職への転職を検討している場合には、企業規模にこだわるのではなく、これまでの経験やスキルを存分に生かせる環境への転職を視野に入れた方がよいでしょう。

管理職40代で求められるスキル・経験・マインド

40代を歓迎する管理職の求人内容を分析すると、次のようなスキルや経験、マインドを備えた方のニーズが高くなっています。

経営戦略に基づいた事業戦略立案の経験

さまざまなプロジェクトの管理者として、経営戦略に基づき、担当部門の事業戦略を立案できる方の求人が増加中です。戦略の立案には、目標設定から市場の動向、顧客ニーズの分析、自社の予算や人的資源に合わせた具体的な施策の策定など、さまざまなステップが必要になります。

企業によって事業分野や自社の状況は異なるものの、これまでに何らかの事業において戦略を立案し、実行してきた経験は40代の転職にあたって大きなアドバンテージとなります。

IT技術や医薬品開発などの技術的知識

経営や事業企画、営業、マーケティングといった部門だけでなく、技術系の部門における管理職の募集も多く見られます。
特に、ITシステムや医薬品、プロダクト開発部門における募集が目立ちます。技術分野における管理職には、その分野における技術的な知識とプロジェクトの進捗やメンバーを管理するマネジメント能力の両方が必要です。
マネジメント経験がない場合でも、技術部門のリーダーとしてチームを率いた経験がある場合は、管理職としての採用可能性が高まるでしょう。

AIやデジタル技術に関する知識とDXの推進経験

多くの企業がAIをはじめとしたデジタル技術の導入により、業務効率の改善や品質改善を目指したDXを推進しています。日本において、DX人材は不足傾向にあり、さらにDX推進の責任者としてプロジェクト全体の管理ができるマネジメント経験者となると、よりその希少性は高まります。
そのため、最新のデジタル技術に詳しく、業務効率向上や品質改善に向けたDX化の推進経験は、管理職への転職時に高く評価されるでしょう。

新規事業の立ち上げ経験と事業企画力

技術革新のスピードが高まり、顧客ニーズも多様化していることから、従来の商品やサービスだけでは持続的な成長は望めません。企業が成長を続けるためには、社会の変化に合わせ、常にビジネスモデルや提供する製品、サービスを進化させ続ける必要があります。

このような背景から、多くの企業はかつてないほど新規事業開発に注力し、新たなビジネスチャンスを模索しながら、競合他社との差別化を進めています。新規事業立ち上げのスキームは、業界ごとに大きく異なることはありません。そのため、管理職として新規事業の立ち上げに関わった経験や、事業を企画・運営する能力をもつ方を歓迎する求人が目立ちます。

グローバルビジネスで培った実績とチャレンジ精神

人口減少による国内市場の縮小を見据え、海外進出を進める企業も増加中です。
海外進出にあたっては、現地の市場ニーズや競合の分析、現地パートナーの確保、現地の法制度の理解などが必要になります。
また、異なる文化の土地で事業を進めるうえでは、失敗を恐れずにチャレンジする精神力も必要です。
海外事業におけるマネジメント経験は、高く評価される傾向にあります。

管理職40代の平均年収は1,081.1万円       

JACのサポート事例を見ると、40代で管理職へ転職された方の平均年収は、1,081.1万円です。
40代前半の方の平均年収は1,052.1万円であるのに対し、40代後半の方の平均年収は1,103.0万円となっています。それほど大きな差は生じていないことから、能力重視の採用が行われていると推測されます。

40代平均年収	40代前半の方の平均年収	40代後半の平均年収
1081.1万円	1052.1万円	1103.0万円

また、外資系企業と日系企業の平均年収の差を見ると、外資系企業の平均年収は1,215.9万円、日系企業は1,042.8万円と、外資系企業の方が平均年収は高くなる傾向にあるようです。

区分	日系	外資系
平均年収	1,042.8万円	1,215.9万円

当社がサポートした事例では、6,000万円を超える年収で転職を決定された方など、2,000万円超の年収で転職された方も非常に多くなっています。高いスキルと豊富な経験をもつ40代の管理職経験者の場合、高年収が期待できるでしょう。

管理職40代の転職を成功させる4つのポイント

40代で管理職へ転職を成功させた方の事例から、転職にあたってアピールすべきポイントや転職の成功率を高めるポイントを4つご紹介します。

企業や事業のフェーズを意識した求人への応募

新規事業の開発に向けた管理職の募集であるか、事業が軌道にのっている安定期における管理職の募集であるかによって、求められるスキルや経験は変わってきます。新規事業の立ち上げのタイミングであれば、アイデアを具現化するコンセプチュアルスキルやチームを率いて事業を前進させる推進力が必要です。
一方、安定期には経営戦略を実行に移すための指導力や組織の運営力、部下の能力を引き出し、組織全体の成長を促す人材育成スキルが重視されます。

よって、転職活動の際には求人の内容を詳細に把握するとともに、自身の経験や実績を生かせるフェーズの管理職求人に応募することが成功のカギとなるでしょう。

中長期的な視点での転職活動

JACの事例を見ても、40代の管理職求人は増加傾向にあります。しかし、即戦力を求める管理職求人は特定のスキルや経験を求めるものが多く、メンバークラスと比べると応募できる求人は限定されます。そのため、管理職を目指す転職の場合は短期的な決着を求めるのではなく、中長期的な視野で求人の動向を見つめることが大切です。

日ごろから転職動向や求人状況を確認し、自身の能力やスキルを生かせる求人に出会ったときにチャンスを逃さないことが重要です。そのためにも、自身のスキルを棚卸し、職務経歴書などの準備も進めておきましょう。

管理職としての実績と適性のアピール

管理職求人では、それまでの管理職としての実績が評価に大きく影響します。
管理職の実績がある場合には、部下の人数やその成果をアピールする必要があります。具体的には、管理職として直面した課題、その解決方法、課題解決により学んだこと、学びを生かした結果などです。
これらを、論理的な自己分析結果とともに示すと、自身の管理職の適性について、より具体的にアピールできるようになります。

管理職の転職サポート実績が豊富な転職エージェントの活用

メンバークラスに比べ、管理職に求められるスキルや実績の条件は厳しくなります。
また、高いスキルが求められる管理職の募集は、求人サイトでは少なく、多くの場合、管理職採用には転職エージェントが活用されています。

なぜなら、転職エージェントが転職希望者の経歴やスキルを見極め、自社のニーズに合った希望者が紹介されるため、効率よく優秀な方を採用できる可能性が高いからです。管理職への転職を希望する際には、40代や管理職の転職サポート実績を豊富にもつ転職エージェントの活用をおすすめします。

管理職40代の転職成功事例     

JACでは、40代の転職希望者を多数サポートしてきた実績があります。ここでは、当社のサポートによって管理職への転職を成功させた40代の方の事例をご紹介します。

 総合商社の管理職から専門商社の管理職への転職

Hさん（男性/40代後半）

	業種	職種	年収
転職前	総合商社	管理職	1,500万円
転職後	食品専門商社	管理職	2,500万円

Hさんは、総合商社の海外法人の経営トップとして既存事業の強化や新規事業の開拓に従事し、営業や法務、生産管理、輸入販売など、さまざまな職務に就き、海外ビジネスにも携わってこられました。
多様な事業に携わってきた中でも食料事業への関心が強く、海外での食料ビジネスに関わる仕事への転職を希望し、JACに相談されました。

当社では、Hさんの海外での豊富なビジネス経験、食料事業における新規事業開発の経験を存分に生かせる求人として、食品専門商社の海外事業推進責任者候補としての求人を紹介。
事業利益の最大化のみならず、事業の持続的な成長に向けた戦略の立案・実行が実現できる経営的な視点が求められ、難易度の高い求人でもありました。
しかし、Hさんの経営トップとしての経験、食料事業における実績が高く評価され、見事、1,000万円アップの年収提示で転職を決定されています。

管理職40代の転職ならJAC Recruitment

JACは、管理職など、ハイクラスの転職サポート実績が豊富な転職エージェントです。
40代は管理職としての経験も積んでいるうえ、まだまだ新たな環境への適応性も高い年代であり、管理職の転職には最適なタイミングであるといえます。
しかし、40代の管理職経験者を対象とした求人は多く見られるものの、採用条件は厳しい傾向にあります。そのため、まずは自身のスキルや経験が転職市場でどのような価値をもつのかを的確に見極めることが重要です。そのうえで、管理職としての能力を最大限に発揮できる企業を選び、慎重に見極める必要があるでしょう。

JACでは、転職希望者のスキルや経験、転職にあたっての希望を丁寧に伺ったうえで理想のキャリアの実現に向けて、最適な求人のご紹介を行っています。
また、求人企業と転職希望者の双方を同じコンサルタントが担当しているため、求人企業が求める人物像や組織文化についての情報提供も可能であり、ミスマッチの少ない転職活動を実現できます。
さらに、書類作成や面接時の対応など、応募先企業に合わせた的確なアドバイスを行い、転職活動を力強くバックアップしてまいります。

40代で管理職への転職をお考えの際には、ぜひJACにご相談ください。