ストラクチャードファイナンスとは、企業の資金調達方法を多様化し、自己資本利益率(ROE)の向上を支援する重要な金融手法です。企業の信用力を直接利用せずに、保有資産や事業の価値を活用して資金を調達することで、企業の財務指標を改善します。特に、低金利環境や資産多様化のニーズが高まる中で、ストラクチャードファイナンスの需要は増加傾向です。金融機関や機関投資家にとっても重要な役割を果たし、革新的な商品や技術の進展が期待されています。
ここでは、金融業界に詳しいJAC Recruitment(以下、JAC)が、ストラクチャードファイナンスとはどのような職種なのか、仕事内容や年収、最新の転職・求人情報などをご紹介します。
目次/Index
ストラクチャードファイナンスの転職動向

ストラクチャードファイナンスの転職動向は、現在も積極的に求人が出ている状況であり、採用ニーズが高いことがうかがえます。新規求人数は前年よりも2倍以上に増加しており、金融機関や投資関連企業が採用を強化している状況です。
特に、ESG投資やSDGsに対応した新しい金融サービスが増加しており、その領域のスペシャリストの求人が目立つ傾向です。
また、ストラクチャードファイナンスの主な募集背景は、以下のとおりです。
・業務拡大による増員:ストラクチャードファイナンスの市場規模拡大に伴う、企業の人員増強
・法人営業RM(リレーションシップマネージャー)能力の向上:取引先企業のニーズ分析や課題解決のためのスペシャリストの需要増加
・サステナブルビジネスの強化:ESG投資やSDGsに関連したファイナンス分野の成長による、専門家の需要増加
ストラクチャードファイナンスの仕事内容
ストラクチャードファイナンスの主な仕事内容は、以下のとおりです。
・プロジェクトファイナンス
・コーポレートファイナンス
・サステナブルファイナンス(ESG・SDGs関連)
・事業戦略・リレーションシップマネジメント
・証券化・ストラクチャードファイナンス組成
・グローバル金融戦略
ここから、それぞれの内容を解説します。
プロジェクトファイナンス
国内外のプロジェクトにおける資金調達の検討・実行・借り入れ後のモニタリングは、ストラクチャードファイナンスの仕事です。例えば、風力・太陽光発電などの再生可能エネルギー事業に対するプロジェクトファイナンス組成、金融機関との折衝、融資関連契約の交渉・締結(キャッシュフローモデルやデューデリジェンス対応)などを担います。また、事業のライフサイクル全般に対するファイナンス戦略の策定も仕事の1つです。
コーポレートファイナンス
シンジケートローン、ハイブリッドファイナンス、社債発行など、企業の資金調達手法の提案や、事業拡大にともなうリファイナンス戦略の立案・実行もコーポレートファイナンスの仕事です。また、M&Aや事業承継に関連する資金調達ソリューションの提供、海外進出支援、クロスボーダーM&Aのファイナンス設計なども行います。

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サステナブルファイナンス(ESG・SDGs関連)
ESG投資やサステナブルファイナンスの組成・推進も、ストラクチャードファイナンスが担います。また、SDGsを考慮した資金調達戦略の策定(環境省主催のESGファイナンスアワード受賞事例あり)、環境負荷低減を目的としたグリーンボンドやポジティブ・インパクト・ファイナンスの導入、サステナブル投資基準の策定と関連部署との調整業務なども重要な仕事です。
事業戦略・リレーションシップマネジメント
金融機関の法人営業RM(リレーションシップマネージャー)としての業務を、ストラクチャードファイナンスが担うケースもあります。例えば、企業の資金調達・財務戦略の最適化支援をはじめ、顧客のニーズに基づいた金融商品・サービスの提供、企業価値向上に向けたコンサルティングなどが主な仕事です。
証券化・ストラクチャードファイナンス組成
証券化・ストラクチャードファイナンス組成も重要な仕事です。不動産や企業・事業価値を裏付けとしたファイナンスの提供や証券化案件の組成、キャッシュフローモデルの構築、リスク分析、資産価値評価、モニタリング、金融機関や弁護士との調整業務などが含まれます。さらに再生可能エネルギーや不動産投資、プライベートエクイティファンド向けのストラクチャリングも行うことがあります。
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グローバル金融戦略
海外プロジェクトファイナンスの資金調達スキームの策定・交渉も、ストラクチャードファイナンスの仕事です。国内外の金融機関や投資家との折衝、資本調達戦略の立案、海外事業のM&Aや合弁事業のファイナンス支援などを行うほか、グローバルなサステナブルビジネスにおける金融ソリューションの開発を担うこともあります。
ストラクチャードファイナンスの平均年収は1,055.3万円
JACがご支援したストラクチャードファイナンスの平均年収は1,055.3万円で、ボリュームゾーンは年収900万円~1,200万円です。各年代の平均年収は下記のとおりです。

また、スキル・経験によって大きく変わる点が特徴です。マネージャー以上の場合、企業にもよりますが1,000~1,500万円前後、部長以上の場合2,000万円以上になることもあります。
なお、一般的にはストラクチャードファイナンスの平均年収は720万円程度といわれています。
ストラクチャードファイナンスの最新転職・求人情報
本章では、外資系製薬会社の最新転職・求人情報を紹介します。
● 大手総合証券:買収ファイナンス・プロジェクトファイナンスのアレンジャー
● 三菱HCキャピタル:【MEI】太陽光発電事業の事業推進担当・技術担当者
● 三菱UFJ信託銀行:受託財産/再エネ・インフラ案件の開発・投資
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年3月最新)
JACでは取り扱う求人の約7割が非公開求人であり、本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。非公開求人も含め自身の適性やキャリアビジョンに合う求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。転職支援のプロであるコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて適性やご希望に沿う求人をご紹介いたします。
ストラクチャードファイナンスに求められるスキルや経験
ストラクチャードファイナンスへ転職する場合、以下のようなスキルや経験が求められます。
・金融業界での実務経験
・財務・会計の専門知識
・ストラクチャードファイナンス関連の知識・スキル
・英語力(グローバル対応)
・リスク分析・ファイナンスモデリング
ここから、それぞれの内容を確認しておきましょう。
金融業界での実務経験
ストラクチャードファイナンスへ転職する場合、金融業界における実務経験が必要です。銀行や証券会社、投資銀行、VC/PEファンド、監査法人、コンサルティングファームにおいて、3年以上の勤務経験があることが望ましいでしょう。
財務・会計の専門知識
ストラクチャードファイナンスには、財務会計やコーポレートファイナンスに関する高度な知識も不可欠です。財務諸表(BS、PL、CF)を分析し、事業の実態を把握する能力や、M&Aアドバイザリー、プロジェクトファイナンスに関する経験があると有利だといえます。
ストラクチャードファイナンス関連の知識・スキル
ストラクチャードファイナンスには、特定の金融商品や手法に関する深い知識とスキルが求められます。例えば、プロジェクトファイナンスや証券化、LBO(レバレッジド・バイアウト)ファイナンスなどの理解が重要です。これらの手法を活用して、企業の資金調達を支援するための戦略を設計し、実施する能力が求められます。
英語力(グローバル対応)
近年、企業のグローバル化が加速しているため、ビジネスレベルの英語力もストラクチャードファイナンスには求められます。TOEICであれば800点以上が推奨されていますが、実際には海外プロジェクトやクロスボーダーM&A案件に対応可能な語学力が不可欠です。さらに、英文契約書の読解・交渉経験があると望ましいでしょう。

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リスク分析・ファイナンスモデリング
複雑な財務モデルの構築・分析能力も、ストラクチャードファイナンスに不可欠のスキルです。また、キャッシュフローのモデリングやデューデリジェンス対応経験、ストラクチャードファイナンスにおけるリスク評価や資金調達戦略の策定スキルの有無も重要なポイントだといえます。
ストラクチャードファイナンスへの転職に生かせる資格
ストラクチャードファイナンスへの転職する場合、取得していると有利になる資格がいくつかあります。ここでは、主な資格を5つご紹介します。
CFA(Chartered Financial Analyst)
CFAは財務・投資分析の国際的な資格で、ストラクチャードファイナンスの業務に必要な金融知識を網羅しています。CFAプログラムは、投資ツール、資産評価、ポートフォリオ管理、富裕層計画などを包括的にカバーし、M&Aや資金調達、リスク管理などに強みをもつことが可能です。
CFA資格を取得することで、投資管理業界における信頼性と専門性が高まり、キャリアアップや高収入の職に就く可能性が増すでしょう。
参考:一般社団法人日本CFA協会「CFA(Chartered Financial Analyst)概要」
公認会計士
公認会計士の資格は、財務会計や監査の専門知識が必要なため、企業の資金調達戦略や財務分析に役立ちます。特に、企業財務やストラクチャードファイナンスの案件では、リスク管理やキャッシュフロー分析時に重宝する資格です。
公認会計士は、会計基準や税法に関する深い知識をもち、企業の財務計画やリスク管理に重要な役割を果たします。ストラクチャードファイナンスでは、複雑な財務構造を分析し、企業の財務健全性を維持するために不可欠です。
TOEIC 800点以上/英検準1級以上
近年、ストラクチャードファイナンスはグローバルな案件が多く、英文契約書の読解や海外金融機関との折衝が求められます。そのため、英語力が重視される傾向で、TOEIC 800点以上や英検準1級以上の英語力は、国際的なビジネス環境で活躍するために不可欠です。
海外との取引や契約交渉において、英語を使った実務経験が重視されます。未経験の場合でも、英語力の向上はキャリアアップに寄与します。
参考:IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)「toeic」
参考:公益財団法人 日本英語検定協会「英検」
宅地建物取引士(宅建)
宅地建物取引士の資格は、不動産ファイナンスや証券化商品(REITなど)を扱う際に有利です。不動産を担保にしたファイナンス案件や、SPC(特別目的会社)を活用したスキーム構築に関連する知識が求められます。
宅地建物取引士の資格をもつことで、不動産関連の金融商品の分析や取引に強みをもち、ストラクチャードファイナンスのプロジェクトで活躍できるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士の資格は、企業の財務・経営戦略のアドバイスに活用できます。ストラクチャードファイナンスの主な顧客である中堅・中小企業向けのファイナンス案件で有利です。
中小企業診断士の資格を取得することで、企業の財務状況を分析し、適切な戦略提案を行えるようになるのがメリットです。中小企業が直面する財務課題に対する解決策を提供する際、診断士の知識が役立ちます。
ストラクチャードファイナンスの転職を成功させるポイント

ストラクチャードファイナンスへの転職において、まず履歴書や職務経歴書では、これまでの実務経験や案件実績を具体的な数値や結果とともに記載することが重要です。例えば、プロジェクトファイナンスでのクロージングの件数や取引総額を具体的に示すことで、自身のスキルをアピールできます。また、使用可能なツールやシステムの活用による業務効率化への貢献度も強調するとよいでしょう。
面談では、これまでの専門知識や経験を分かりやすく伝えることが重要です。特に、ストラクチャードファイナンスにおける実績やプロジェクトへの具体的な貢献について、説得力のあるエピソードを用いて説明することが欠かせません。
企業ごとに異なる課題や事業目標があるため、事前に企業情報を調査し、自分のスキルをどのように生かし、企業に貢献できるかを明確に述べることが求められます。しかし、転職における履歴書や面談の準備を1人で行うのは困難でしょう。そのため、JACのような転職エージェントの活用がおすすめです。
ストラクチャードファイナンスのキャリアパス
ストラクチャードファイナンスのキャリアパスは多岐にわたりますが、主なものは以下のとおりです。
・投資銀行家
・PM(プロジェクトマネージャー)
・不動産ファイナンス
・ビジネスコンサルティング
ここから、それぞれの内容を解説します。
投資銀行家
投資銀行では、ストラクチャードファイナンスを通じて企業に資金調達の手法を提供します。例えば、MBSやABSの発行を通じて資金を調達し、企業の財務構造を改善する業務を行うことが一般的です。投資銀行家としてのキャリアは、プロジェクトファイナンスやM&Aなど、幅広い金融業務に携わる機会を提供します。

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PM(プロジェクトマネージャー)
PMとは、特定のプロジェクト(例:再生可能エネルギー施設やインフラプロジェクト)に対する資金調達と管理を担当する職種です。プロジェクトの全体的な計画、実施、監視を行い、プロジェクトを成功へと導きます。ストラクチャードファイナンスのスキルを生かし、プロジェクトのリスク管理や資金調達戦略を立案します。
不動産ファイナンス
不動産ファイナンスとは、不動産の証券化やリースファイナンスを通じて資金調達を行う職種です。ストラクチャードファイナンスのスキルを生かし、不動産の評価やリスク管理を行い、投資家に魅力的な投資機会を提供します。不動産金融のキャリアでは、不動産市場の動向を把握し、適切な資金調達戦略の立案が求められます。
ビジネスコンサルティング
企業に対して財務構造の改善や資金調達戦略の提案を行うビジネスコンサルティングも、ストラクチャードファイナンスのキャリアパスの1つです。企業の財務分析や課題解決を行い、企業の成長をサポートします。ビジネスコンサルティングのキャリアでは、企業とのコミュニケーションや問題解決能力が不可欠です。
ストラクチャードファイナンスの転職事例
ここからは、JACを活用してストラクチャードファイナンスへ転職した事例をご紹介します。
Rさん(男性/30代後半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 日系金融機関 | ストラクチャードファイナンス | 950万円 |
| 転職後 | 日系金融機関 プロジェクトファイナンス部門 | ストラクチャードファイナンス | 1,200万円 |
Rさんは、日系金融機関においてストラクチャードファイナンス業務に10年以上従事してきました。これまでの経験を生かしながら新たな環境での成長を求め、転職活動を開始。特にメガバンクや信託銀行でのシンジケートローンやストラクチャードファイナンスの業務に強い関心をもち、より専門性を高められる環境を希望していました。
前職では年間500時間以上の残業が常態化しており、同じ働き方であってもよりキャリアアップが望める環境を模索。また、契約書業務の半分以上が英語であることから、英語を用いた業務にも対応できる強みをもっていました。
JACのコンサルタントは、Rさんのこれまでの経験や希望に合致する企業を厳選し、最終的に日系金融機関のプロジェクトファイナンス部門への転職を提案しました。このポジションでは、航空業界やリース業界向けの金融アレンジメントをはじめ、さまざまな投資業務やファンド組成など幅広い業務に携わります。さらに、海外拠点との連携を深めながら、グローバルなマーケットプレイヤーとリレーションを築く機会も豊富でした。
転職により年収は950万円から1,200万円にアップ。航空機ファイナンスのスペシャリストとしてのキャリアを確立しつつ、ストラクチャードファイナンス全般においてさらなる成長の機会を得ることができたと喜ばれています。
ストラクチャードファイナンスへの転職なら、JAC Recruitmentへ
ストラクチャードファイナンスは、投資家や金融機関、アセットマネジメント会社などの関係者と関わることが多く、契約書の作成や案件の精査、融資の実行など、さまざまな立場の人と関わる仕事です。また、プロジェクトファイナンスや不動産ファイナンス、LBOファイナンスなど、多様な案件を担当するため、業務の責任も大きく、やりがいを感じられるでしょう。
JACは、金融業界に特化したコンサルタントが多数の転職希望者をサポートしてきた実績が多数あります。特に、外資系投資銀行やアセットマネジメント、不動産金融など、ストラクチャードファイナンスに関連する分野での転職を支援することが得意です。
JACのコンサルタントは、転職希望者のキャリアや市場価値を深く理解し、転職先に求める優先順位を明確にすることで、適切な求人を提案します。ストラクチャードファイナンスへの転職を希望する方は、ぜひJACへご相談ください。

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