商社から転職したい方へ｜主な転職先や評価されやすい経験を解説

グローバルなビジネスの最前線で活躍する商社は、業界・業種を問わず幅広い取引先との折衝や、複雑な商流の管理、事業開発などを通じて、多様なスキルを磨ける環境です。一方で、組織の構造や業務の特性から、キャリアの方向性に悩みを抱える方も少なくありません。「もっと専門性を高めたい」「意思決定の近いポジションで働きたい」「より自分の強みを活かせる環境に移りたい」といった理由から、転職を検討されるケースも増えています。

では、商社での経験を持つ方は、どのような業界や職種に転職する傾向があるのでしょうか。また、転職市場において評価されやすいスキルや経験には、どのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、商社出身者の転職を検討されている方に向けて、JAC Recruitment（以下、JAC）がこれまでの支援実績をもとに、主な転職先や評価されやすい経験、転職活動のポイントについて詳しく解説します。

商社出身者の主な転職先

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商社出身者の主な転職先を5つご紹介します。

EMC（電気・機械・化学）業界

JACの事例を見ると、商社出身者の半数近くがEMC業界へ転職しています。業種を細かく見ると、化学メーカー、機械・装置、金属・素材、自動車・部品、電機・電気、半導体、エネルギー・プラント、コンピューターハード・周辺機器などへの転職が多く見られます。

職種を見ると、多いのは、法人営業や海外営業、営業管理職、営業推進・企画など、営業に関わる職種です。商社ではさまざまな商材を扱っており、電機や機械、化学に関わるものを扱うケースも多いため、商社における提案営業の経験は、EMC業界で存分に活用できるといえるでしょう。

商社

商社出身者の経験・スキルは、当然、商社で生かすことができます。また、経験のある業界だからこそ、スキルや経験が評価されやすく、転職時には高い評価を得やすく、スムーズに転職活動を進めやすくなります。

JACのサポート事例では、特に総合商社と工業系商社への転職が多く見られ、海外営業や法人営業、営業管理職などでの転職が多くなっています。EMC業界の転職傾向と同様に、クライアントのニーズに沿った商品の提案ができる商社出身者の営業スキルや営業経験は、転職時に大きなアドバンテージになるといえます。

消費財

消費財メーカーも商社出身者の転職先候補です。JACのサポート事例では、特に食品・飲料メーカーへの転職事例が目立ちます。また、消費財メーカーへの転職の事例を見ても法人営業や海外営業、流通営業など、営業関連職へ転職した方が多くなっています。

そのほか、SCM、プロダクトマネージャー、経営企画、経理、事業企画、品質管理・品質保証などへの転職事例も多いです。特に、商社時代に消費財メーカーと関わった経験をもつ場合には、消費財メーカーは活躍しやすいフィールドだといえます。

IT・通信業界

IT・通信業界も商社から転職しやすい業界です。JACの事例を見ると、システムインテグレーターやソフトウェア開発会社への転職が多く、職種を見るとIT営業や法人営業、アカウントエグゼクティブ・アカウントプランナーなど、営業関連職が多く見られます。そのほか、ITコンサルタント、IT系プロジェクトマネージャー、インフラエンジニアなどに転職した事例もあります。

IT業界は、現在、積極的にスタッフの採用を進めている業界です。従って、商社でIT関連の業界に携わった経験がある場合やIT関連の技術職に従事していた場合などは、IT業界も転職先候補として検討すべきでしょう。

メディカル・バイオ

医薬品メーカーや医療機器メーカー、診断薬開発メーカーなど、メディカル分野も、商社の経験を生かして転職しやすい業界です。JACの事例を見ると、医療機器営業や法人営業の職に転職されている事例が多くなっています。

医療機器や医薬品などの営業も、商社同様、クライアントの課題をどのように解決できるか、提案を行う能力が求められます。そのため、商社で培った営業力は、メディカル・バイオ業界でも生かすことが可能です。

商社からの転職で評価される経験・スキル

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JACが取り扱う求人情報を見ると、商社出身者が転職をする際は、次のような経験やスキルが評価される傾向にあります。

提案営業の経験と折衝能力

商社で培った提案営業力や顧客折衝の実績は、どの業界でも高く評価される傾向にあります。商社では、規模の大きなプロジェクトに関わるケースも多く、取引規模が大きなプロジェクトほど、クライアントを納得させられる提案力が求められます。また、クライアントや関係各所と話し合いを重ね、合意形成を目指す折衝能力も、商社の提案営業経験者の大きな魅力です。

転職時には、関わったプロジェクトや取り扱った商品、担当した業界などを具体的に説明したうえで、営業活動でどのような成果を上げたのかもアピールすることが大切です。

グローバルプロジェクトの関与実績、海外サプライヤーとの取引経験

グローバルプロジェクトに関与した経験や海外サプライヤーとの取引実績は、グローバル展開を推進している企業にとって非常に魅力的な経験です。経済のグローバル化にともない、英語をはじめとした、外国語での交渉経験や文化の異なる地域でビジネスに関わった経験をもつ方を求める企業は増加しています。

転職時には、担当した地域などを含め経験を具体的に説明し、入社後にその経験をどのように生かせるのか、活躍するイメージが伝わるよう経験・実績をアピールしましょう。

サプライチェーン領域のマネジメント経験

商社は、調達から流通、販売までに関わり、効率的なサプライチェーンを構築する役割を担っています。原材料の調達から販売、物流までのプロセスを最適化するサプライチェーンに関連する経験は、製造業や流通業などにおいて大いに役立てることが可能です。

特に、サプライチェーン領域のマネジメントに関わった経験を求める企業は多く、転職時にプラスに働きます。サプライチェーンに関連する経験がある場合には積極的にアピールし、最適化にあたってどのような工夫をしたのか、また得られた成果についても説明できるよう準備を進めておきましょう。

【年代別】商社からの転職事情

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商社出身者の転職事情を年代別に分けてご説明します。

20代｜今後の活躍の期待値＋商社的素養が武器に

20代はまだ実務経験が浅いものの、商社での若手時代に培われる「高いコミュニケーション能力」「スピード感ある業務遂行力」「業界横断的な視点」は、他業界でもポテンシャルとして評価されます。

特に、法人営業や海外営業の経験がある場合、グローバル展開を目指す企業やスタートアップなどで即戦力として期待されることも。転職時には、商社での業務を通じて得た「交渉力」「調整力」「語学力」などを具体的にアピールすることが重要です。

30代｜専門性と業界知見を活かす転職へ

30代になると、商社での業務経験が蓄積され、業界知識や専門性が明確になってきます。特に、トレーディング業務や事業投資、海外拠点での実務経験などがある場合、同業界や関連業界への転職が有利になります。

また、商社では複数業界を横断して担当するケースも多いため、業界間の橋渡しができる「業界横断型人材」としての価値も高まります。経理・財務・法務などのコーポレート部門に従事していた場合は、専門職としての転職も視野に入ります。

40代｜マネジメント経験と事業推進力が鍵

40代では、商社でのマネジメント経験や事業推進力が転職市場で強く求められます。特に、海外拠点の立ち上げや事業投資の実行責任者としての経験がある場合、事業開発や経営企画などのポジションで高く評価されます。

また、商社特有の「多様なステークホルダーとの調整力」や「リスクマネジメント力」は、事業再編や新規事業立ち上げを行う企業にとって貴重なスキルです。転職時には、具体的なプロジェクトや成果を数字で示すことが成功の鍵となります。

50代｜専門性×経営視点で企業課題を解決

50代になると、商社で培った専門性と経営視点を活かし、企業の課題解決に貢献できる人材が求められます。特に、資源・エネルギー・食品・インフラなどの分野で長年の経験を持つ方は、業界の知見と人脈を活かして、顧問や経営幹部としての転職も可能です。

また、グローバル事業の統括経験や、複数国にまたがるプロジェクトのマネジメント経験がある場合は、海外展開を加速させたい企業にとって非常に魅力的な人材となります。

商社からの転職を成功させるためのポイント

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商社出身者が転職を成功させるために重要となる3つのポイントをご紹介します。

応募先企業での貢献分野を明確に示す

商社は、幅広い商材を取り扱っており、担当する業務もさまざまです。そのため、商社出身者が転職を成功させるためには、自身が商社で培ったスキルや経験を応募先企業でどのように生かせるのか、具体的に示すことが重要になります。

面接時には、自分のキャリアやスキルを入社後にどのように生かすことができるのか、応募企業の状況に合わせ、入社後のビジョンを示すことが重要です。また、実績をアピールするためにも具体的な数字を示し、商社での業務成果を伝えるようにしましょう。

商社出身者ならではのチャレンジ精神をアピールする

商社では、前例のないプロジェクトに取り組んだり、未開拓のエリアへの進出を目指すケースも多く、チャレンジ精神旺盛な方が好まれます。困難を自分の力で乗り越える精神的なタフさや、課題解決に向けて粘り強く取り組む姿勢は、どの業界においても高く評価されるものです。

商社での実務経験を踏まえ、難しいことにも粘り強く取り組んだ実績を伝えたうえで、新たな環境にも積極的に挑戦するチャレンジ精神をアピールすると転職活動を有利に進められる可能性があります。

商社に詳しい転職エージェントの活用

商社から転職する際には、商社出身者の転職サポート実績を豊富にもつ転職エージェントの活用もポイントとなります。転職活動では、求人検索から応募書類の作成、面接の調整など、さまざまなステップが必要です。商社での業務を続けながら転職活動を進めることは簡単ではありません。転職エージェントを活用すると、希望に近い求人の紹介を受けられ、面接の調整などもエージェントが行ってくれるため、効率の良い転職活動が可能です。

さらに、商社出身者の転職をサポートしてきた実績が豊富にあるエージェントであれば、商社出身者の強みを発揮しやすい業界も把握しているため、的確なアドバイスも得られます。転職時には商社出身者のサポート実績が豊富な転職エージェントを活用してみましょう。

商社からの転職事例

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実際にJACが転職をサポートし、商社からの転職を成功された方の事例を3件ご紹介します。

1．商社から不動産会社への転職事例

Oさん（男性/30代前半）

	業種	職種	年収
転職前	商社	事業開発マネージャー	800万円
転職後	不動産会社	総合職	1,300万円

Oさんは、商社において建築設備の営業、工場向けの提案営業などを経験された後、海外でのスマートシティ開発プロジェクトにおけるマネジメント業務に従事されてきました。事業開発に携わった経験を生かし、さらにステップアップできる環境への転職を希望され、当社にご相談いただきました。

当社からは、オフィスビルや商業施設、ホテルなど、国内外の不動産開発・仕入・営業の業務に携わる将来の幹部候補生としての求人をご紹介しました。同社には、海外事業部門もあり、Oさんの海外でのプロジェクトマネジメント経験が高く評価され、面接後すぐに採用が決定しました。

2．商社から重工業メーカーへの転職事例

Fさん（女性/40代前半）

	業種	職種	年収
転職前	商社	調達業務	550万円
転職後	重工業メーカー	調達業務	950万円

Fさんは、商社においてヨーロッパやアジアから、コンプレッサーなどの調達業務を担当されてきた方です。TOEIC900点以上、フランス語も日常会話レベルが可能など、語学も堪能な方ですが、外資系ではなく、国内資本の企業を希望され、転職を決意されました。

JACからは、大手重工業メーカーの調達業務をご紹介しました。英語の能力に加え、英語以外の外国語の知見が必要であり、調達業務の実務経験を求める求人であったことから、まさにFさんのスキルや経験が生かせるポジションだったのです。面接後は、これまでの経験やスキルに加え、質問に対するFさんの的確かつ明確な回答も大きく評価され、前職の年収を400万ほど上回る金額の提示を受け、入社が決定しています。

3．商社から食品メーカーへの転職事例

Pさん（男性/30代後半）

	業種	職種	年収
転職前	商社	法人営業	450万円
転職後	食品メーカー	法人営業	800万円

Pさんは、専門商社において、大手食品メーカーの法人営業を担当されていました。これまでの課題解決型の提案営業のスキルを生かし、よりキャリアアップできる環境への転職を希望され、JACにご相談をいただきました。

JACからは、Pさんの食品業界の深い知識を生かせる、大手食品メーカーの法人営業の仕事をご紹介したところ、法人営業の経験、面接時における高いコミュニケーションスキルが評価され、面接後はすぐに採用が決定しました。

同社では、業務用事業を成長部門と位置付けており、将来、Pさんには業務用の営業部門の中心的な役割を担ってほしいとの期待から、2倍近い年収が提示されました。現在、Pさんは前職で培ったスキルや経験を最大限に発揮し、営業部門で意欲的に業務に取り組んでおられるとのことです。

実際、商社出身者はどのような業種/職種に転職している？

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JACが転職をサポートした商社出身者は、どのような業種や職種に転職しているのでしょうか。商社出身者の転職先の業種と職種のトップ10を以下の表にまとめました。

【商社出身者が転職先として選んだ業種トップ10】

商社出身者の転職先を見ると、半数に近い48.6％の人がEMC業界に転職しています。一方で、他業界の場合、スキルや経験を評価されやすい同業界に転職するケースが多いものの、商社出身者が再び商社に転職するケースは12.2％とそれほど多くありません。商社の場合、経験やスキルを生かし、新たな業種で活躍したいと考えるチャレンジ精神の強い方が多いと考えられます。

順位	業種	割合（％）
1	EMC	48.6％
2	商社	12.2％
3	消費財	8.5％
4	IT・通信	5.3％
5	メディカル・バイオ	5.3%
6	建設・不動産	5.1％
7	サービス	3.8％
8	流通	3.1％
9	コンサルティング・シンクタンク・事務所	2.9％
10	WEB	1.5％

【商社出身者が転職先として選んだ職種トップ10】

商社出身者が転職した職種を見ると、最も多い職種は営業となり、その割合は34.2％に上ります。続いて、経営・事業企画が多く、商社で培った法人営業の提案力やプロジェクト企画の経験は、他業種においても高く評価されることが分かります。

順位	業種	割合（％）
1	営業	34.2％
2	経営・事業企画	24.3％
3	経理・財務	11.8％
4	技術系	6.1％
5	購買・物流・生産管理	5.8％
6	人事・労務	4.6％
7	IT	4.1％
8	コンサルティング・アドバイザリー	3.7％
9	マーケティング・商品開発	2.3％
10	総務・広報	1.8％

商社からの転職なら、JAC Recruitmentへ

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JACでは、これまでに多くの商社出身者の転職活動をサポートしてきました。当社の特徴は、企業と転職を希望される方の双方を同じコンサルタントが担当する点です。

一人での転職活動は、得られる情報にも限りがあります。しかし、JACでは、コンサルタントが企業の内情を詳しく把握しているため、業務内容だけでなく、組織文化や企業の特徴、募集背景までを事前に伝達できるため、面接前に、応募先企業の詳細な情報を確認できます。そのため、転職活動を効率よく進められるとともに、転職後のミスマッチも防ぐことが可能です。

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