電気通信工事の転職市場は、5G・6Gインフラ整備やスマートシティ、IoTの普及を背景に急成長中。施工管理やプロジェクトマネジメントなど、専門性を生かしたキャリアアップのチャンスが広がっています。
本記事では、電気通信工事分野の転職市場動向や最新求人情報に加え、未経験からの転職難易度についても、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。
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目次/Index
電気通信工事の転職市場動向
電気通信工事の転職市場は、社会のデジタル化を背景に拡大基調が続いています。需要の中心は通信キャリア、大手建設会社、公共機関に大別されますが、その広がりは建設・不動産・電機・IT通信・商社といった多様な業界に波及しており、とりわけデータセンター設備や大規模プロジェクトマネジメント関連の求人が顕著です。施工経験に加え、企画や管理を担える方の需要が高まっています。
JACが保有する求人データによると、求人の中心となる職種は施工管理や現場代理人、PM(プロジェクトマネージャー)、設計、保守といった技術系ポジションです。特に通信インフラの構築やネットワーク設備の施工経験が重視されています。採用背景には、体制強化や新規事業の拡大、さらにはグローバル展開が明確に見られ、社会インフラの支援と技術革新を推進するための戦略的な採用が進んでいることが特徴です。
足元の市場規模を示すデータも拡大傾向を裏付けています。国土交通省の「設備工事業に係る受注高調査」によれば、令和6年度(2024年度)の全設備工事受注高は前年度比7.7%増の4兆388億円に達し、4年連続の増加となりました。背景には、5G基地局の全国展開、光ファイバー網の拡充、ビルのデジタル設備投資の拡大、さらにはテレワークやクラウド利用の定着による通信需要の底堅さがあります。
こうした中で特に高く評価されるのは、施工管理技士資格や電気工事士資格を保有し、3年以上、場合によっては5年以上の実務経験をもつ方です。また、通信システムと建築設備の両方を理解できる方は、スマートビルやIoT施設の普及によって需要が増加しています。さらに、外資系やグローバル案件では英語力を備えた方が歓迎され、海外拠点のPM候補など国際案件への関与機会も広がっています。
一方で、業界には課題も残されています。情報通信インフラは高度化・複雑化しており、従来型の工事経験だけでは不十分です。IoTやAI、クラウド、セキュリティ要件を理解した施工管理が求められる一方、技術者の高齢化や不足が顕著であり、企業はM&Aや事業承継を通じて組織力の強化を進めています。この構造的な変化により、技術スペシャリストとマネジメントに特化した方の二極化が進行している点も特徴的です。
今後の市場予測としては、デジタル社会を支える通信投資は持続的に拡大すると見込まれます。特に、5Gから6Gへの移行、IoTネットワーク整備、災害対策インフラやスマートシティ推進などの成長分野が中心となり、企業は新規事業や次世代技術への対応を目的に戦略的な採用を加速させています。そのため、電気通信工事分野における転職市場は、今後も堅調な需要を維持し、実務スキルと先端技術対応力を兼ね備えた方にいっそう評価が集まると考えられます。
出典:国土交通省「令和7年6月分(速報)設備工事業に係る受注高調査結果ー記者発表資料」(総計表の各年合計値を参照)
電気通信工事が求められる主な転職先候補
電気通信工事に携わる方が転職を検討する場合、主な選択肢は通信キャリア・関連企業、大手ゼネコンやサブコン、通信システム商社・SIer、そして建設コンサルタントや官公庁の4領域です。
それぞれが担う役割は異なります。通信キャリアは社会インフラを直接構築し、ゼネコンやサブコンは建物や都市開発に通信網を組み込みます。商社やSIerは企業や自治体のニーズに合わせてシステムを設計し、官公庁やコンサルタントは公共事業の上流工程で企画・監理を担います。
本章では、下記4領域における具体的な業務内容や企業の特徴、そして転職希望者にとっての評価ポイントを解説します。
- ●通信キャリア・関連企業
- ●大手ゼネコン・サブコン
- ●通信システム商社・SIer
- ●建設コンサルタント・官公庁
通信キャリア・関連企業
通信キャリアやその関連企業は、電気通信工事の最前線を担う代表的な転職先です。携帯電話の基地局や光ファイバー網を整備し、通信サービスの品質と安定性を確保しています。
業務範囲は広く、新規局の設置や既存設備の増強、災害復旧の迅速対応まで多岐にわたります。特に5G・6Gへの移行や都市部での高密度ネットワーク構築など、新技術導入に伴うプロジェクトでは施工管理力と最新規格への理解が不可欠です。
この領域で採用ニーズが高いのは、施工から保守まで一貫して担うグループ会社や、屋内無線設備を多く手がける企業、地方展開に注力している企業です。いずれも短期間で高品質な成果を求める点が共通しています。
転職を考える方にとっては、現場の安全・品質・工程を統合的に管理する力や、自治体や物件オーナーとの調整力が強みとなります。また、新規格や運用方針を現場へ落とし込む推進力を示せれば、上位職へのキャリアアップも十分に期待できます。

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大手ゼネコン・サブコン
大手ゼネコンやサブコンは、大規模建築や都市開発における通信設備工事を担う主要な転職先です。建物の完成度や利便性を左右する重要な要素として、電気通信の知識と施工力が求められています。
具体的には、光配線やLANの敷設、監視カメラや入退室管理といった弱電システムの導入、さらにスマートビルやデータセンターに対応した高信頼性通信設備の構築が業務の中心です。建築・電気・空調・防災など他設備との調整を前提に進めるため、施工力に加え、統合作業を遂行する力が不可欠です。
採用が活発な企業は、BIMを活用して設計施工を一体で推進するゼネコン、データセンターや病院など高度な規格案件を扱うサブコン、全国に複数現場を展開できる体制をもつ企業です。いずれも、品質管理と同時に効率性を追求する傾向があります。
この分野に転職する場合は、大規模建築プロジェクトでの調整経験や、図面変更・現場制約に柔軟に対応できる実績が評価されます。技術力とマネジメント力の双方をアピールできる方は、ゼネコンやサブコンの中核的な存在として期待されるでしょう。

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通信システム商社・SIer
通信システム商社やSIerは、顧客企業や自治体に対して最適な通信インフラを設計し、導入から運用までを支援する立場です。電気通信工事は、提案したシステムを現場に確実に実装するための重要なプロセスとなります。
案件はオフィスのネットワーク構築からスマートシティ向けの通信基盤整備まで幅広く、機器調達・配線工事・設定・試験・切替といった一連の流れを統括します。商社やSIerにとって、施工現場を理解した上で顧客要件を満たす設計を行える方は極めて貴重です。
採用が目立つのは、マルチベンダーを扱い自社施工体制をもつ企業、先進通信技術を積極的に取り込む企業、運用契約を通じて継続的な改善を提供する企業です。これらの組織では、施工の知識と顧客折衝力を兼ね備えた方が重宝されます。
転職希望者は、設計と現場を橋渡しできるスキルを強調すると効果的です。さらに、クラウド接続やセキュリティ強化など最新の技術を理解し、顧客に対して具体的な改善策を提案できる力を示すことで、上位職やプロジェクト統括への道が開かれるでしょう。

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クライアント企業の業務を分析し、課題解決に適したシステムの設計や開発、運用、保守を一貫して担う企業をSIerといいます。最近では、クラウドサービスの普及にともない、プラットフォームによるインフラ構築サービスの提供が開始さ… 続きを読む SIerの転職事情|年収相場や求められるスキル・経験を解説
建設コンサルタント・官公庁
建設コンサルタントや官公庁は、電気通信工事の上流工程を担う転職先です。公共インフラや都市基盤整備の計画段階から関与し、設計・積算・入札・監理を通じて通信設備の品質を確保します。
代表的な案件は、交通管制システム、防災通信網、公共Wi-Fi、行政庁舎のネットワーク更新などです。施工を担当するのは民間企業ですが、コンサルタントや官公庁はその全体計画を立案し、品質・コスト・工程を管理する役割を果たします。
採用が活発な組織は、通信分野の専門部門をもつ大手建設コンサルタント、災害対応やスマートシティ推進を重点政策とする自治体、セキュリティ要件を政策的に推進する省庁・外郭団体です。いずれも、公共性と技術力の両立を重視します。
転職者に求められるのは、公共調達や関連法規の理解に加え、プロジェクトマネジメントスキルです。特に、計画段階から施工までを一貫して俯瞰できる力や、ステークホルダー間で合意形成をリードする力をもつ方は高く評価されます。これにより、公共領域における信頼性の高い専門家としてのキャリアを築くことができます。

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建設コンサルタント業界の転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説
建設コンサルタント業界では、2023年以降、IT・戦略系職種の採用が急増しインフラの老朽化対策や災害・防災分野の需要拡大、都市再開発や最新技術の導入などを背景に、国内外で市場ニーズが高まっています。高度な専門知識と技術力… 続きを読む 建設コンサルタント業界の転職事情|年収相場や求められるスキル経験を解説
電気通信工事の最新転職・求人情報
電気通信工事分野における最新の求人情報を確認すると、従来の施工管理ポジションに加えて、新分野や複合スキルを求める動きが目立っています。特に「スマートファクトリー」「IoT」「スマートビルディング」といったキーワードは求人票にも登場し、通信工事が単なる設備導入にとどまらず、DXや生産性向上プロジェクトの一部として位置付けられていることがわかります。
近年の傾向として、現場監督や施工管理の経験だけでなく、CAD操作やOfficeソフトの活用能力が要件に含まれるケースが増えています。現場での調整力に加えて、施工図面の作成・修正、報告資料の作成といったオフィスワーク能力が重視されている点は注目に値します。また、光ケーブル工事や電気通信機器の施工管理経験を必須条件とする求人も多く、即戦力としての専門性を前提にしていることがうかがえます。
公開されている求人の一例は以下のとおりです。
●株式会社修成建設コンサルタント:発注者支援(土木・電気通信)
これらは公開されている求人の一部です。JACが保有する求人の多くは非公開求人となっております。より詳細な案件や個別相談をご希望の方は、下記のリンクをご参照ください。
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年12月最新)
未経験から電気通信工事への転職は難しいのか
未経験からの転職は難易度が高めです。多くの求人は即戦力を求めており、現場経験を問わない募集はごく限られています。電気通信工事は専門知識や高い安全意識が必要であり、さらに工期管理やコスト調整など責任の大きい工程も含まれます。そのため、未経験者向けの教育体制を整えた企業は現在ごくわずかです。
ただし、関連分野の経験があれば転職の可能性は大きく高まります。例えば電気工事や通信工事の施工管理経験をもつ方は即戦力と見なされやすく、現場知識を生かして早期に成果を上げられると評価されます。また、ネットワークエンジニアやシステム運用の経験者も一定のニーズがあります。通信機器やインフラ運用の知見を現場管理に応用できるため、技術的背景をもつ方として歓迎されるケースが増えています。
加えて、IoTやスマートシティ、クラウド連携といった新しい領域では、ITや情報システムの経験をもつ方が通信工事分野に移行する事例も出てきています。社会全体のデジタル化にともない、通信インフラとIT領域が密接に結びついているため、従来の電気通信工事出身者に限らず、隣接分野からキャリアチェンジを図る方への期待も高まりつつあります。
そのため、未経験から挑戦したい方は、まず電気工事士資格や施工管理技士補などの基礎資格を取得し、関連する分野で経験を積むことが有効です。基礎的なスキルを身につけたうえで通信工事にステップアップすることで、転職成功の可能性が大きく広がります。
電気通信工事への転職で求められる経験・スキル・マインド・資格
電気通信工事の転職市場においては、専門的な現場経験やマネジメントスキル、さらには安全意識や責任感といったマインド面が高く評価されます。加えて、業務を担保するための資格は、キャリア形成や案件受注の条件として重要な意味をもちます。
ここでは、特に評価される下記4つの要素について整理します。
- ●通信設備や電気設備工事の現場管理経験
- ●顧客折衝力・プロジェクト管理力
- ●安全・品質を最優先する責任感や粘り強さ
- ●電気工事士や電気通信工事施工管理技士などの資格
それぞれについて、なぜ求められるのか、その背景と評価されるポイントを解説します。
通信設備や電気設備工事の現場管理経験
電気通信工事における転職で最も重視されるのは、現場管理の実務経験です。通信設備や電気設備の工事は、単なる作業ではなく、多数の作業員・協力会社を束ね、工程・コスト・安全を同時に管理する総合的な役割を担います。施工図面に基づいた工事計画の策定、進捗確認、現場調整、引き渡しに至るまで、幅広い工程を統括する力が必要とされます。
この経験が評価される理由は、通信インフラが社会基盤として「止められない」特性をもつからです。工期遅延や品質不良は、通信サービス全体に影響を及ぼす可能性があり、現場を熟知した方の存在は不可欠です。特に、光ファイバー敷設や基地局工事、ビル内LAN整備など、幅広い分野で現場経験をもつ方は即戦力として高く評価されます。
国土交通省の調査によると、令和6年度(2024年度)の設備工事受注高は4兆3,882億円に上り、4年連続で増加しました。これほど市場が拡大している中で、工事の需要は増す一方であり、現場経験のある方は企業にとって非常に希少価値の高い存在といえます。
顧客折衝力・プロジェクト管理力
電気通信工事の現場は、技術力だけで完結するものではありません。クライアントとの調整や、複数の協力会社をまとめ上げる力が成果を大きく左右します。そのため、顧客折衝力やプロジェクトマネジメント力は転職市場で高く評価されます。
顧客折衝力とは、発注元である通信キャリアや自治体、あるいは民間企業の担当者と、工事内容・納期・予算・仕様変更などを的確に合意形成へ導く力を指します。単なるコミュニケーションではなく、相手の要望を正確に理解し、実現可能な解決策を提示する姿勢が重視されます。
プロジェクト管理力は、工程表の作成と進捗管理、リスク把握と対策、品質検証、報告書作成までを一貫して遂行する能力を意味します。複雑化する通信工事の現場では、一人の管理者が多面的な判断を迫られる場面が増えています。こうした力をもつ方は、大規模案件の統括や若手技術者の育成においてもリーダーシップを発揮でき、企業から高い信頼を得られるでしょう。
安全・品質を最優先する責任感や地道な作業も粘り強く続ける姿勢
電気通信工事は、常に安全と品質を最優先に考える姿勢が求められる仕事です。現場では高所作業や電気設備の取り扱いが日常的に行われるため、一瞬の油断が重大事故につながりかねません。従って、責任感をもってルールを徹底できる方は、どの企業からも信頼されます。
同時に、通信工事の多くは「見えない部分」で行われる作業です。ケーブル敷設や配線、接続確認といった地道な工程の積み重ねが、最終的なサービス品質を支えています。このため、地道な作業を着実に遂行できる姿勢が、プロフェッショナルとして高く評価されます。
企業がこうしたマインドを重視する背景には、工事の高度化があります。5G基地局の密集設置やIoTネットワークの導入は、従来以上に精度と信頼性を求められます。その現場を支えるのは、日々の小さな作業を確実に積み上げている方であり、粘り強さと責任感はキャリアを築く上で欠かせない資質といえるでしょう。
電気工事士・電気通信工事施工管理技士・工事担任者(AI・DD)など
資格は、電気通信工事分野でのキャリア形成において大きな差別化要素になります。特に「電気工事士(第一種・第二種)」「電気通信工事施工管理技士」「工事担任者(AI・DD)」は代表的な必須資格といえます。
電気工事士は、電気設備の施工に必要な国家資格であり、通信設備の基盤工事を行ううえで不可欠です。電気通信工事施工管理技士は、施工計画の作成、品質・安全管理、現場指導を担える資格で、管理職への登用や大規模案件の受注条件として指定されることもあります。工事担任者(AI・DD)は、通信回線や宅内設備を接続する際に必要な資格であり、特に法人向けネットワーク案件やビル設備工事で重視されます。
資格が求められる背景には、業務の信頼性を担保する役割があります。大手通信キャリアや官公庁案件では、入札条件として特定資格の保有を必須とするケースが一般的です。加えて、資格保有者は法的に工事を監督できるため、企業にとっては事業展開の幅を広げる存在でもあります。
このため、転職希望者は実務経験と併せて資格取得を戦略的に進めることが重要です。特に若手層は資格を強みとし、中堅以上は経験と資格を組み合わせることで市場価値を最大化できます。資格は単なる条件ではなく、キャリアを押し上げる確かな武器となるのです。
電気通信工事へ転職した場合の年収相場
電気通信工事は社会インフラを支える専門性の高い分野であり、JACが取り扱う求人データをもとにした平均想定年収は全体で730.0万円となっています。高度な技術力と現場マネジメント力が必要とされるため、一般的な施工系職種と比較しても安定的に高い水準に位置しているのが特徴です。

| 役職 | 平均年収 |
|---|---|
| メンバークラス | 700.6万円 |
| 管理職 | 899.3万円 |
役職別に見ると、メンバークラスの平均年収は700.6万円であるのに対し、管理職クラスでは899.3万円に達します。工事全体を統括する責任の重さが明確に収入へ反映されており、管理職を目指すことで大幅な年収アップが期待できます。
| 平均年収 | |
|---|---|
| 日系企業 | 731.0万円 |
| 外資系企業 | 725.0万円 |
企業属性別では、日系企業が平均731.0万円、外資系企業が725.0万円と大きな差は見られません。電気通信工事の領域は、グローバルな業務環境よりも国内の法規制や施工基準への対応力が重視されるため、外資系であっても日系とほぼ同水準である点が特徴です。
| 平均年収 | |
|---|---|
| EMC(設備・通信) | 726.7万円 |
| 建設・不動産 | 755.7万円 |
| 商社 | 725.0万円 |
業種別にみると、EMC(設備・通信)が726.7万円、建設・不動産が755.7万円、商社が725.0万円となっています。建設・不動産系の案件では総合的な設備投資に関連する大規模案件が多く、比較的高い水準が示されています。
以上のように、電気通信工事分野の年収相場は年代や役職によって大きく変動する一方、全体として安定した高水準を維持しています。キャリア形成の方向性次第で、昇進や異業種連携を通じた年収の伸長が十分に見込める分野であるといえるでしょう。
※当社実績(2023年1月~2025年10月、想定年収)
電気通信工事の転職事例
電気通信工事分野へ品質管理職として転職した事例
Oさん(40代後半/女性)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
| 転職前 | 医療機器メーカー | 品質管理・品質保証 | 650万円 |
| 転職後 | 素材・部品メーカー | 品質管理・品質保証 | 900万円 |
40代後半の女性Oさんは、これまで医療機器メーカーにおいてソフトウェア評価や品質保証を中心にキャリアを積んできました。鉄道設備の保守やカーナビ開発など、幅広い技術領域に携わり、直近では医療機器のテスト・評価に従事し、リーダー経験も積んでいます。技術的な知識だけでなく、マネジメント力も身につけていましたが、現職では組織風土や人事制度の制約により昇進や異動が難しく、キャリアの将来に限界を感じて転職を決意しました。
転職活動において、Oさんが希望したのは「これまでの品質管理・保証の経験を生かしながら、新たな分野に挑戦できる環境」でした。JACのコンサルタントは、Oさんがもつ医療・自動車・鉄道といった多領域での品質保証経験と、システムやネットワークに関する素養を評価し、通信機器やケーブルテレビ関連のプロジェクトを担う大手メーカーの求人を提案しました。具体的には、CATV放送システムの設計・構築や電気通信工事における施工管理ポジションなど、通信インフラに直結する案件でした。
結果としてOさんは、素材・部品メーカーの品質管理・品質保証部門へ転職を果たしました。年収は650万円から900万円へと大幅に上昇し、キャリアの広がりとともに待遇面でも大きく向上しました。新しい環境では、電気通信工事に関連する製造ラインの監査や不良発生時の改善対応、さらには海外拠点との調整業務も担っており、これまでの経験と新しい領域の専門性を組み合わせたキャリアを築いています。
今回の事例は、異業種で培った品質管理・保証のスキルが、電気通信工事分野においても高く評価されうることを示しています。とりわけ、現場改善や国際的な調整力といった普遍的なスキルをもつ方にとっては、業界をまたいだキャリア拡張の可能性が開かれている好例といえるでしょう。
※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。
電気通信工事へ転職後のキャリアパス
電気通信工事に携わった後のキャリアパスは多岐にわたります。施工管理職として現場経験を生かして昇進を目指す道、設備設計やプロジェクトマネージャーといった企画・上流工程に移行する道、さらには設備管理や保守といった隣接業界に転身する道があります。それぞれのキャリアは、現場で培った知識とマネジメント力を基盤にして展開していくことが可能であり、将来的な方向性を考えるうえで重要な選択肢となります。
本章では、下記3つのキャリアパスについて解説します。
- ●設備管理や設備保守など隣接業界へ転身
- ●施工管理職としての昇進
- ●設備設計部門やPMにキャリアチェンジ
施工管理職としての昇進
電気通信工事に従事した方がまず目指す代表的なキャリアは、施工管理職としての昇進です。施工管理は現場の工程・品質・安全を統括し、協力会社やクライアントとの調整を行う中核的なポジションです。転職後は、現場監督や主任技術者としてスタートし、経験を積むことで現場全体を統括する所長や部門マネージャーへとステップアップしていきます。
このキャリアの強みは、現場経験がそのまま昇進の評価基準となる点にあります。工程短縮や品質改善の実績、安全対策の徹底といった成果は数値化されやすく、評価に直結します。また、国土交通省の調査によれば設備工事受注高は年々増加しており、施工管理を担える方の需要は引き続き高水準を維持しています。需要の裏付けがあるため、施工管理職としてのキャリアアップは安定した選択肢といえるでしょう。
加えて、資格取得によって昇進の道が広がる点も特徴です。電気工事士や施工管理技士といった資格は、大規模案件の受注や主任技術者への任命条件になることが多く、取得すればキャリアの幅が一気に広がります。こうした資格と現場経験を組み合わせることで、将来的には部門全体を統括するポジションへと進むことも可能です。

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施工管理職の転職事情|難易度や成功のポイントとは
施工管理職は、経験や資格が重視される分建設業界外からの転職はハードルが高く、業界内の高齢化などにより需要も高い職種になります。 この記事では、施工管理職の最新転職事情や仕事内容などを解説していきます。 業界のプロがあなた… 続きを読む 施工管理職の転職事情|難易度や成功のポイントとは
設備設計部門やPMにキャリアチェンジ
現場での経験を積んだ後、設備設計部門やプロジェクトマネージャー(PM)へキャリアチェンジする道も選択肢の一つです。設備設計部門では、建築物やインフラに組み込まれる通信設備の計画・設計を担当し、施工現場で培った知識を上流工程に反映させる役割を担います。一方、PMは複数の案件を横断的に管理し、予算・工期・品質をバランスさせながらプロジェクトを推進します。
このキャリアが可能となる背景には、電気通信工事の現場で得られる「設計と施工の橋渡し力」があります。現場を熟知しているからこそ、設計上の課題や施工時のリスクを事前に把握でき、実効性の高い設計や計画を作成できます。さらに、プロジェクトを複数の関係者と調整しながら進める経験は、そのままPMの資質として評価されます。
特に近年は、スマートシティやデータセンターといった先端分野で設計やPMの需要が増しています。こうした案件では、施工現場に根ざした知識をもつ方が少ないため、電気通信工事のバックグラウンドをもつ方は重宝されます。キャリアチェンジを狙う場合には、CADスキルやプロジェクトマネジメント資格(PMPなど)を取得することで可能性が広がるでしょう。

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設備設計の転職事情|仕事内容や年収、転職・求人情報を解説
建物によって用途は異なりますが、どのような用途の建物であっても人が利用するにあたっては必ず電気や上下水道、空調などの設備が必要です。そのため、建築物の設計にあたっては設備に関する設計も欠かせません。近年、建物の構造は複雑… 続きを読む 設備設計の転職事情|仕事内容や年収、転職・求人情報を解説
設備管理や設備保守など隣接業界へ転身
電気通信工事の経験を生かし、設備管理や設備保守といった隣接業界へ転身する道もあります。設備管理は、ビルや工場などの建物全体を対象に、電気・通信・空調・防災など各種設備を統合的に監視・運用する役割を担います。一方、設備保守は通信インフラやシステムを安定稼働させるために、定期点検や障害対応を行うポジションです。
このキャリアの強みは、施工現場で培った知識を維持・運用分野にも応用できることです。例えば、光ファイバーや無線設備の施工経験があれば、障害の原因を迅速に特定する力として評価されます。また、施工段階で培った図面読解力や調整力も、設備管理の現場で役立ちます。
さらに、社会のデジタル化とともに設備管理・保守の重要性は年々高まっています。スマートビルやデータセンター、IoT関連設備では、日常的な管理とともに高い信頼性が求められるため、施工経験のある方は「即戦力」として評価されやすい傾向にあります。転職先としては、ビルメンテナンス会社、設備管理専門企業、データセンター運営企業などが挙げられます。
電気通信工事から設備管理・保守へのキャリアチェンジは、技術力を生かしながら安定したキャリアを築ける現実的な選択肢です。長期的に安定した働き方を求める方にとって魅力的な進路といえるでしょう。
電気通信工事への転職なら、JAC Recruitment
電気通信工事分野は、社会インフラの中核を担い、5GやIoT、データセンターなど新しい領域の拡大によって需要が高まり続けています。その一方で、高度化する技術に対応でき即戦力になれる方は限られており、経験やスキルに応じたポジションに出会うことが容易ではありません。そのため、電気通信工事への転職を成功させるには、業界特有の採用動向や企業ニーズを正確に把握している転職エージェントのサポートが重要です。
その点、JACには通信・建設業界に精通したコンサルタントが多数在籍しています。施工管理や設備設計、保守管理といった多様なキャリアパスを熟知しており、転職希望者一人ひとりの強みやキャリアビジョンを踏まえたうえで、最適なポジションを提案します。さらに、非公開求人を数多く保有している点もJACの大きな強みです。公開情報では得られない、特定プロジェクトや大規模案件に直結するポジションに出会える可能性があります。
電気通信工事の現場で培った技術力を、より大きなフィールドで発揮したい方や、新たな分野へキャリアチェンジを考えている方にとって、JACの支援は満足いただける価値を提供します。専門性と将来性を両立した転職を実現したい方は、ぜひJACにご相談ください。

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メーカー転職情報
メーカーの転職市場においても、JAC Recruitmentは多くの方々の転職を成功させてきました。JACは業界専任制のコンサルティングを行っているため、高い専門性や業界の知識を豊富に蓄積しており、また市場動向についても… 続きを読む メーカー転職情報



