DXやクラウドの本格普及が進む中、IT業界ではビジネス構造そのものが変革期を迎えています。こうした潮流の中、豊富な経験と高い視座をもつ50代のベテラン層に、再び注目が集まっています。
本記事では、JAC Recruitment(以下、JAC)のIT専門コンサルタントが、最新の市場動向を踏まえ、50代ITの年収水準、求められるスキルや経験、そしてキャリアアップにつながる転職のポイントを解説します。
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目次/Index
50代IT転職の現状
広がりを見せる、IT業界の50代雇用。考えられる要因を以下に解説します。
ビジネス拡大・組織再編の加速
多くの企業でデジタルシフトを進める中、公共分野のDX推進や大手グループ企業における事業再編など、経験豊富なITスペシャリストを求める動きが強まっています。既存顧客基盤を守りつつ、新領域へ挑戦できる方は、成長戦略の要として注目されています。
システム刷新とDX推進のリーダーシップ
基幹システムやインフラの刷新、システム開発の強化において、単なる実務者ではなく「組織を率いる役割」を担える方が重視されています。経営層に近い立場でDXを推進し、事業全体を牽引するマネジメント力が求められているのが特徴です。
外資系企業における存在感
グローバル企業での採用も盛んで、英語による高度なコミュニケーション力を備えた方は特に評価が高まっている傾向です。外資系ベンダーやグローバルIT企業では、国際的な事業展開を支える即戦力として、50代の活躍が広がっています。
キャリアの多様化と上位職への登用
転職先はプロジェクトマネジメントや営業管理職だけでなく、経営企画やCSOなど経営に直結するポジションにも広がっています。長年の経験を背景に、実務と経営の双方に関与できる方であれば、多彩なキャリアパスを切り拓くことが可能です。
IT業界における50代の転職市場では、拡大するDX需要や組織変革を背景に、これまで培った経験を活かし、経営と実務の橋渡し役となるスペシャリストが強く求められています。 。特に、グローバル市場でのプレゼンスを発揮できる方は、企業の持続的成長を支える重要な存在として高く評価されるでしょう。
50代IT転職で求められるスキル・経験・マインド
IT業界では、急速な技術革新とビジネスモデルの変化に対応できる「実務経験 × マネジメント力 × 経営視点」の三位一体が重視される傾向です。特に50代では、次の3つの観点が重要となります。
・大規模プロジェクトマネジメント経験とDX推進力
・専門性の深化と新技術へのキャッチアップ
・ビジネス志向と経営企画力
ここから、それぞれについて解説します。
1.大規模プロジェクトマネジメント経験とDX推進力
企業の基幹システム刷新や全社的なDX推進において、50代には大規模案件をリードできる力が求められます。特に、以下の経験は高く評価される傾向です。
| ・ERPや基幹システムの導入・再構築を主導した実績 ・複数ベンダーを束ね、要件定義から運用保守まで管理した経験 ・部門横断型のDXプロジェクトにおける推進リーダーとしての役割 |
「単なるマネージャー」ではなく、経営層と一体となって事業変革を牽引する立場が期待されています。

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2.専門性の深化と新技術へのキャッチアップ
クラウド、AI、データ活用といった分野が急速に進化する中、50代であっても新技術を理解し、組織に実装できる力が不可欠です。注目される分野は、以下のとおりです。
| ・AWSやAzureなどクラウド基盤の構築・移行経験 ・データ分析や機械学習を活用した新サービス開発 ・サイバーセキュリティやゼロトラストの導入・強化に関する知見 |
「深い専門性」と「最新技術への柔軟な適応力」の両立こそが、IT業界における50代の市場価値を高めています。
3.ビジネス志向と経営企画力
ITが経営の中枢に位置づけられる時代において、技術に精通するだけでは不十分です。50代には以下のような「事業を推進する視点」が求められます。
| ・IT戦略と事業戦略を統合し、経営層に提言できる力 ・SaaSやデジタルサービスを活用した新規事業立ち上げ経験 ・海外拠点を含むグローバルなシステム統合・運営のマネジメント |
50代は、IT部門の枠を超え「企業の成長を牽引する存在」としての役割が強く期待されています。
50代の方がIT業界へ転職する際には、大規模プロジェクトを統率するマネジメント力、クラウドやAIなど最新技術への適応力、さらに経営に直結する企画力も求められています。長年の経験を基盤にしつつ、新しいテクノロジーと経営をつなぐ橋渡し役となることが、これからの市場で評価されるポイントです。
50代IT転職の平均年収は1,069.2万円
■50代全体の平均年収
| 1,069.2万円 |
JACの実績データによると、内部監査職における50代の平均年収は1,062.9万円。こちらは一般的な40代平均(700万円)と比較して約350万円高く、マネジメント経験や専門性の深化が報酬に反映されていることがうかがえます。
■役職別平均年収
| 役職区分 | 平均年収 |
| 課長未満 | 971.0万円 |
| 課長以上 | 1,084.3万円 |
| 部長以上 | 1,317.5万円 |
| 本部長以上 | 1,372.1万円 |
IT業界で50代の役職別給与水準は、役職が上がるごとに年収が大きく伸びる傾向がみられます。特に部長・本部長クラスでは、1,300万円を超える水準も珍しくありません。
IT業界における50代のキャリアでは、役職ごとに期待される報酬額や求められる業務範囲が大きく変わります。経営層に近づくほど、高度なマネジメント力や戦略推進力が求められ、その分年収もいっそう高くなる傾向です。
■企業属性別平均年収
| 企業タイプ | 平均年収 |
| 外資系 | 976.4万円 |
| 日系 | 1,359.2万円 |
IT業界で50代が所属する企業属性による年収相場には明確な違いがあります。外資系企業は成果主義が徹底されており、プロジェクト単位での貢献や個人の実績が報酬に直結するのが特長です。一方、日系企業は安定した昇進制度と職責拡大による報酬体系が特徴で、50代の平均年収は約1,350万円に達します。
実力に応じた高待遇を狙うなら外資系、長期的なキャリア形成・組織貢献を重視するなら日系企業が適しているでしょう。
■転職者が多い職種別平均年収(抜粋)
| 職種名 | 平均年収 |
| CTO・VPoE | 1,500.1万円 |
| ERP導入コンサルタント | 1,328.6万円 |
| ITコンサルタント | 1,216.2万円 |
| IT営業 | 1,453.3万円 |
| IT系プロジェクトマネージャー | 973.2万円 |
| プリセールス・ポストセールス | 1,365.3万円 |
| 事業企画・事業開発 | 1,291.1万円 |
このデータからは、IT業界内でも経営に近い上位役職や、企業変革・収益に直結する高付加価値職種(CTO/VPoE、ERP導入コンサル、ITコンサル、プリセールス・ポストセールス、IT営業、事業企画・開発)に高年収が集中していることが読み取れます。
特に、CTO/VPoEやIT営業、プリ・ポストセールスは1,300~1,500万円超の水準が目立つ一方、IT系プロジェクトマネージャーは約970万円と相対的に抑えめです。

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50代IT転職を成功させる5つのポイント
50代の方がIT業界への転職を成功させるには、以下のポイントを押さえることが重要です。
・レガシー刷新経験と技術継承力を活かす
・プロジェクト全体統括・部門横断リーダー経験を示す
・若手育成・技術伝承について具体的にアピールする
・DX推進・新技術導入プロジェクトの実績を示す
・転職エージェントを活用する
ここから、各ポイントについて解説します。
1.レガシー刷新経験と技術継承力を活かす
50代の方は、長年にわたり基幹システムやレガシー環境の運用・保守に従事した実務経験や課題対応のノウハウが、DXやシステム移行プロジェクトにおいて非常に高く評価されます。
COBOLや汎用機、オンプレ運用など現場で培った知識に加え、新旧システムの橋渡し、継承すべきナレッジの整備・ドキュメント化、さらには社内教育の仕組みづくりといった「次世代への技術伝承力」も含めて、実績を数値やエピソードを交えて具体的にアピールすることが重要です。
2.プロジェクト全体統括・部門横断リーダー経験を示す
50代では、大規模開発やグループ横断型プロジェクト、IT戦略策定など「複数部署と連携しながら進めた統括経験」が強力な差別化要素となります。技術面だけでなく、全社予算の管理やベンダー選定・交渉、業務改善の実現、部門間の利害調整、リスクヘッジ策など、経営視点でのリーダーシップやマネジメント実績を明確に伝えましょう。階層組織での意思決定スピードを上げた事例なども有効です。
3.若手育成・技術伝承について具体的にアピールする
IT業界では若手の採用や定着が課題となっており、50代の知見や指導力が社内の競争力向上に直結します。 実際の現場で「新人オンボーディングや教育プログラム設計」「ペアプログラミング・レビュー体制整備」「技術ドキュメントの標準化」など、具体的な育成施策を自ら立案・主導した実績があれば重点的にアピールしましょう。成果の数値化(例:新入社員の離職率低減、チーム全体の生産性向上)も信頼性を高める要素となります。
4.DX推進・新技術導入プロジェクトの実績を示す
近年のIT業界は生成AI、クラウド移行、RPA、ローコード開発など新領域への適応力が問われます。50代がDX推進の最前線で新旧技術を融合し、新規システム導入やプロセス改革をリードした経験は、非常に市場価値が高い傾向です。「プロジェクトでの苦労、課題解決方法、成功要因分析」まで具体的なエピソードや数値成果を交えて説明することで、変革期の“中核的存在”として期待されることが多くなります。
5.転職エージェントを活用する
IT業界で50代が転職を目指す際には、転職エージェントの専門的なサポートを利用することが、成功への近道となります。エージェントは、一般には公開されていない求人情報にもアクセスできるため、希望や経験に合致した案件と出会いやすいのがメリットです。
また、これまでのキャリアを活かせる求人のご紹介だけでなく、職務経歴書の作成アドバイスや面接対策、年収や条件交渉まで幅広くサポートしています。 JACのようなIT分野に強いエージェントを活用することで、市場での自分の強みや活躍できるポジションを客観的に見つけやすくなり、納得感の高い転職活動が実現できます。
50代IT転職の成功事例
ここからは、JACを活用した50代ITの転職事例をご紹介します。
Kさん(男性/50代前半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | ITコンサルティング | シニアアーキテクト | 1,900万円 |
| 転職後 | システムインテグレーター(SI)/ソフトウェア開発 | プロジェクトマネージャー | 2,300万円 |
Kさんは、長年ネットワークエンジニアとしてキャリアを積み、運用・設計・検証・サポートまで幅広い業務を経験してきました。ネットワーク関連製品の知見を豊富にもち、セキュリティ領域のコンサルティングにも携わり、企業のシステム基盤強化に貢献してきました。近年は大手コンサルティング会社においてシニアアーキテクトとして活躍し、金融業界向けのサイバーセキュリティ支援など上流工程をリードしてきました。
Kさんは「技術責任をもつ立場」を志向し、人事管理よりも専門性を発揮できるポジションを希望。将来的にはセキュリティとインフラ双方を理解するスペシャリストとして市場価値を高めていきたいと考え、キャリアアップを目的に転職を決意しました。
JACのコンサルタントは、Kさんのセキュリティとネットワーク両面での豊富な知識と、上流工程をリードできる実行力を高く評価。その強みを活かせる環境として、大規模プロジェクトをリードできるプロジェクトマネージャーのポジションを提案しました。結果として、これまでの経験を活かしつつ、さらに市場価値を高められる新たなキャリアを実現しています。
50代IT転職ならJAC
JACは、IT業界をはじめとするハイクラス・ミドルクラスの転職支援で豊富な実績があり、50代ITプロフェッショナルのキャリアチェンジにも強みを持っています。業界や業務内容ごとに専門性の高いコンサルタントが多数在籍しており、IT技術者や管理職の強みや希望を的確に見極め、経営層や部門トップクラスへの転職もサポート可能です。
特に、事業部長や統括責任者、ITエグゼクティブなど、高度な知見やマネジメント能力を要する求人の紹介に強みがあります。国内外に拠点をもち、グローバルなIT領域へのチャレンジを志向する方にも質の高い情報とキャリアアップ支援を提供しています。これまで培ったIT経験やプロジェクト実績を活かし、50代ならではの専門性を評価する体制が整っているのがJACの大きな魅力です。
50代でIT業界への転職をお考えの方は、ぜひJACにご相談ください。

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