生命保険業界は、従来の保障提供に加え、近年では事業開発やM&A、インシュアテック領域への進出など、事業の多角化が進み、より専門的なスキルをもつ方へのニーズが急速に高まっています。
特に2024年以降、日系・外資系を問わず生命保険業界会社における中途採用が拡大。代理店営業やミドルバック、事業開発・M&Aといった専門性の高いポジションでの採用が活発化しており、金融・コンサル・事業会社での経験を持つプロフェッショナルにとっては、キャリアの選択肢が広がる好機となっています。
背景には、就職氷河期世代の人手不足や、異業種との連携による新規事業創出の加速があり、今後も保険業界は、専門性と戦略性を兼ね備えた方にとって、挑戦と成長のフィールドであり続けるでしょう。
ここでは、JAC Recruitment(以下、JAC)のコンサルタントが生命保険業界の年収相場や求められるスキル・経験を解説します。
目次/Index
生命保険業界の転職動向
前年求人比2.6倍以上。
背景にデジタル戦略強化や内部体制の整備
生命保険業界の新規求人数は2023年と比較して2.6倍以上に増加しており、特に即戦力として中途採用ニーズが急速に高まっています。特に営業促進、IT系プロダクトマネージャー、金融システム領域、そしてミドルバックオフィス系の職種で求人増加が顕著で、企業のデジタル戦略強化や内部体制の整備にともない、専門性の高い即戦力への需要が背後にあるとうかがえます。
「リスク管理」「IT戦略」 など。
経営直結ポジションでの増加が顕著
仕事内容としては「リスク管理」「IT戦略」「コンプライアンス」「人事制度設計」「サイバーセキュリティ」などが多く、いずれも経営課題と直結したポジション。求められるスキルは、システム開発や要件定義などの上流工程経験、保険制度や規制への理解、プロジェクトマネジメント力などが挙げられます。
生命保険業界では、少子高齢化や市場成熟に対応するための構造改革が続いており、今後もこうした変革を推進できる方が求められます。特に、デジタル化・業務効率化・新規事業開発といったテーマを軸に、従来の枠組みを超えた変革が求められており、複数部署を横断するプロジェクトや業務改善に携わった経験がある方は、歓迎される傾向にあります。
生命保険業界で求められるスキル・経験・マインド
損害保険業界の転職を目指す場合、以下のようなスキル・経験・マインドが求められます。
・システム開発経験(保険・金融業界向け)
・リスク管理・内部統制に関する知識
・プロジェクトマネジメント能力(PM/PL)
・データ分析・BIツール活用経験
・IT系資格(基本情報技術者・ITIL・PMPなど)
ここから、それぞれの内容を解説します。
システム開発経験(保険・金融業界向け)
多くの生命保険業界会社では、契約管理、顧客情報管理、営業支援など、複数の基幹システムを常に改善・刷新しており、システム開発経験者へのニーズが非常に高まっています。特に、生命保険業界でのシステム開発経験があれば理想的ですが、金融機関全般(銀行、証券、損保など)での経験も評価対象です。
要件定義や外部設計といった上流工程の経験にくわえ、ベンダーコントロールや複数プロジェクトの同時進行管理などの実務能力も重視されます。また、アジャイル開発やDX推進プロジェクトの経験があると、より高い評価につながるでしょう。
ビジネスレベルの英語力
外資系損害保険業界会社やグローバル展開を進める日系企業では、英語を用いたコミュニケーション能力が求められます。会議やレポーティング、海外拠点との調整業務などでの使用が前提となるため、TOEIC800点以上や英語でのプレゼン経験があると優位です。
特に、英語を第一言語とする方と、対等に議論できる「実務で使える英語力」が重要視され、書類作成や会議ファシリテーション能力も問われる傾向にあります。
リスク管理・内部統制に関する知識
近年、金融業界におけるガバナンス強化の流れを受け、リスク管理や内部統制に関するニーズが増加傾向です。生命保険業界会社でも、コンプライアンス遵守、情報セキュリティ対策、BCP(事業継続計画)、内部監査対応など、あらゆる面でのリスクコントロールが求められます。
特に、法令対応や行政当局(金融庁)との折衝経験をもつ方は重宝されます。また、FSAガイドラインや保険業法に関する理解、社内規程策定・運用経験があれば、即戦力としての評価が高まります。監査法人やリスクコンサルティングファーム出身者も親和性があります。
プロジェクトマネジメント能力(PM/PL)
生命保険業界では、商品開発、営業基盤のデジタル化、IT刷新など、複数の部門を巻き込む横断的プロジェクトが常に進行しています。そのため、システム開発や業務改革プロジェクトにおけるマネジメント経験者が高く評価される傾向です。
特にPL/PM経験、あるいはPMOポジションでの推進・支援経験は重視されており、進捗管理、予算・品質管理、リスク管理、ステークホルダーとの合意形成など、全体を俯瞰できるマネジメント力が求められます。また、SIerやコンサルティングファームでの実績も評価対象となり、保険会社側の立場に立った折衝力があればより強い武器となるでしょう。
保険商品・業務プロセスに関する知識
保険商品開発や契約管理などの業務においては、損保商品の特性や約款、販売チャネルなどに関する深い理解が必要です。特に、火災保険・自動車保険・企業向け保険などの分野での実務経験は高く評価されます。
さらに、保険数理・アクチュアリー資格の基礎知識がある場合は、商品部門や企画部門でのキャリアの幅が広がるでしょう。業務フローの改善提案や制度改定対応などにも対応できることが望まれます。
データ分析・BIツール活用経験
保険業界においても、デジタルマーケティングや収益管理の高度化により、データ分析スキルの重要性が年々増加傾向です。特に生命保険業界会社では、契約データ、顧客行動、営業成果、保険金支払履歴など、多様なデータを用いた施策立案が求められる場面が多くあります。
例えばExcelでの集計スキルにくわえ、SQLによるデータ抽出、PythonやRを用いた分析、さらにはTableauやPower BIなどのBIツール活用経験がある方は有利でしょう。また、単なる分析だけでなく、経営層向けレポート作成や改善提案まで行える提案力も評価の対象です。
IT系資格(基本情報技術者・ITIL・PMPなど)
生命保険業界では、IT戦略の実行力が企業競争力に直結するため、一定レベルのITスキルと体系的な知識を証明する資格保有者が優遇されます。特に、基本情報技術者や応用情報技術者は、システム開発職における前提スキルとして広く認知されており、評価が高まる可能性が高いでしょう。
また、ITIL(ITサービスマネジメント)やPMP(プロジェクトマネジメント資格)などの国際的資格も有効です。これらは実務能力にくわえてマネジメント志向があることの証となり、IT部門だけでなく企画・統括部門での登用も視野に入ります。
生命保険業界の平均年収は1,076.8万円
JACの実績※では、生命保険業界の平均年収は約1,076.8万円です。年収のボリュームゾーンは700万円~1,300万円となっています。下記の表は年代別の平均年収ですが、企業規模や担当する領域、これまでのご経験によって、20代でも年収が800万円を超えるケースや30代・40代で年収3,700万円以上となるケースもあります。

| 役職 | 平均年収 |
|---|---|
| メンバークラス | 926.5万円 |
| 管理職 | 1,587.8万円 |
| 平均年収 | |
|---|---|
| 日系企業 | 1,119.6万円 |
| 外資系企業 | 850.4万円 |
なお、一般的な生命保険業界の平均年収は676万円前後です。大手企業や管理職では1,000万円を超えるケースもあり、経験や役職によって大きく異なります。営業職はインセンティブ報酬が多く、成果次第で年収が大きく変動するのが特長です。全体として、キャリアアップや努力次第で高収入を目指せる業界といえます。
生命保険業界の最新転職・求人情報
本章では、生命保険業界の最新転職・求人情報を紹介します
●SOMPOひまわり生命保険業界株式会社:新ビジネス開発・DX要員
●急成長を続ける生命保険業界会社:経理
●日系生命保険業界会社:代理店営業
●三井住友海上あいおい生命保険業界株式会社:財務(スペシャリスト)
●非公開:ストラクチャードファイナンス業務
●外資生命保険業界企業:経営企画
●外資系生命保険業界企業:関連事業部メンバー(M&A / グループ会社設立 / グループ戦略・ガバナンス)
※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年5月最新)
JACでは取り扱う求人の約7割が非公開求人であり、本章で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。非公開求人も含め自身の適性やキャリアビジョンに合う求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。転職支援のプロであるコンサルタントが、丁寧なヒアリングを通じて適性やご希望に沿う求人をご紹介いたします。
生命保険業界への転職で有利となる資格
生命保険業界への転職を目指す場合、以下の資格を取得していると有利です。
・ファイナンシャル・プランナー(FP)
・生命保険募集人資格
・トータル・ライフ・コンサルタント(TLC)
ここから、各資格の内容を解説します。
ファイナンシャル・プランナー(FP)
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、顧客のライフプラン設計や資産形成のアドバイスを行う専門家です。生命保険業界では、顧客のニーズに応じた保険提案を行う上で、FP資格の知識が非常に役立ちます。特にFP2級以上を取得していると、金融知識の基礎があると評価され、営業職やコンサルティング職での選考通過率が高まります。
難易度は初級〜中級で、FP3級は独学でも2〜3カ月で合格可能。FP2級は実務経験または3級合格が必要ですが、保険業界未経験者でも十分に目指せる資格です。
生命保険募集人資格
生命保険募集人資格は、生命保険を販売するために必須の資格です。生命保険会社や代理店に勤務する場合、入社後に取得が義務付けられていますが、事前に取得しておくことで即戦力として評価されやすくなります。
試験はオンライン(CBT方式)で実施され、比較的短期間の学習で合格可能です。保険業界への転職を本気で考えているなら、まず取得しておきたい資格の一つです。
トータル・ライフ・コンサルタント(TLC)
TLCは、生命保険協会が認定する上級資格で、FPと保険の専門知識を兼ね備えたプロフェッショナルの証です。生命保険の提案力やコンサルティング力を高めたい人にとって、非常に有効な資格です。
取得には一定の実務経験と、生命保険募集人資格の上位資格である「専門課程」「応用課程」の修了が必要です。営業職でキャリアアップを目指す人に特におすすめです。
参考:TLC公式サイト
生命保険業界のキャリアパス
生命保険業界には、どのようなキャリアパスが実現できるのでしょうか。ここでは、生命保険業界のキャリアパスを5つご紹介します。
総合職(ゼネラリスト)
総合職は生命保険業界会社の中核を担う職種です。全国規模の異動や多様な部署での経験を積みながら、マネジメントや企画、商品開発、資産運用など幅広い業務に携わります。幅広い視野で会社全体の経営に関わりたい方や、将来的に役員や経営層を目指す志向の方に向いたキャリアパスです。
入社後は営業研修を経て各部署に配属され、3年ごとに異動しながら多様な経験を積み、配属先での実績を重ねることが昇進やキャリアアップの鍵といえます。
営業系総合職(営業マネジメント)
営業系総合職は、営業現場での経験を積みながら、将来的には営業支店長や営業部門の責任者を目指すキャリアパスです。営業力やチームマネジメント力を高めたい方、数字で成果を出すことにやりがいを感じる方に適しています。
新規開拓や既存顧客対応を経て、数年後には内勤やマネジメント業務に携わり、早期に管理職への昇進を目指すことが可能です。営業現場での実績やリーダーシップが評価され、キャリアアップにつながります。
専門職(商品開発・リスク管理・アクチュアリー)
専門職は、商品開発やリスク管理、アクチュアリーなど特定分野の専門性を高めていくキャリアパスです。分析力や論理的思考力、専門知識を生かしたい方に向いており、保険数理や市場分析、リスク評価など専門的な業務に従事します。
新卒や異動で専門部署に配属された後、資格取得や研修を重ねて専門性を高めることで、スペシャリストとしての地位を確立できます。長期的なキャリア形成を志す方におすすめです。
バックオフィス・管理部門スペシャリスト
バックオフィスや管理部門のスペシャリストは、総務・経理・人事・保険金支払い・契約管理などの業務を通じて、組織運営や業務効率化に貢献するキャリアパスです。安定した環境で専門性を高めたい方や、組織全体を支える役割にやりがいを感じる方に向いています。
現場での実務経験を積みながら、必要な資格や専門知識を習得し、管理職や部門長を目指すステップを踏むことが一般的です。
コンサルティングファーム・異業種への転身
生命保険業界で培った営業力や論理的思考力、顧客対応力を生かし、コンサルティングファームやIT・不動産など異業種に転職するキャリアパスもあります。より広いフィールドで課題解決に取り組みたい方や、業界を超えた成長を目指す志向の方に適しているでしょう。
まず生命保険業界会社で実績を積み、コミュニケーション力やプロジェクト推進力を磨いたうえで、専門性や資格をアピールし転職活動を行うことで、新たなキャリアを切り開けます。
生命保険業界への転職を成功させる5つのポイント
生命保険業界での転職を成功させるためには、以下5つのポイントを押さえることが大切です。
・上流工程の業務経験をアピールする
・リスク管理やコンプライアンス対応の姿勢を示す
・保険業界特有の制度や業務知識への理解を深める
・DX・IT戦略への関心を具体的に伝える
・転職エージェントを活用する
ここから、各ポイントについて解説します
上流工程の業務経験をアピールする
生命保険業界会社では、業務全体を俯瞰し、改善提案ができる即戦力が求められています。特にIT企画や業務改革プロジェクトにおいては、要件定義、業務設計、ベンダーコントロールなどの上流工程の経験が高く評価されます。
開発経験だけでなく、業務とITを橋渡しするスキルが重視されるため、職務経歴書では「どのような課題に対し、どのような改善を行ったか」を定量的に記載することが重要です。
リスク管理やコンプライアンス対応の姿勢を示す
生命保険業界では、法令遵守と社会的信頼性が不可欠です。内部統制や情報セキュリティ、ガバナンス対応の経験は、業界未経験者でも高く評価されます。
当社の実績でも、保険業界未経験者でも監査法人やSIerでのガバナンス対応経験がある方の内定実績が多く見られます。面接では「どのようなリスクに直面し、どのように対応したか」「透明性をどう確保したか」といった具体的なエピソードを交えて語ることで、信頼性と実行力をアピールできます。
保険業界特有の知識・業務理解を深めておく
業界未経験者であっても、契約管理、代理店チャネル、商品設計などの基本知識を事前に習得しておくことで、面接での説得力が格段に高まります。
特に、営業支援システムや契約管理業務の理解は即戦力としての評価に直結します。業界用語や商品構成を押さえ、自身の経験とどう結びつくかを明確に伝えることが重要です。
DX・IT戦略への関心を具体的に伝える
生命保険業界では、DX推進にともない「システム企画」「セキュリティ統括」「AI・データ活用」などのポジションが増加しています。
応募時には「どのような課題に対し、どのような技術を用いて、どのような成果を出したか」を具体的に整理し、再現性のある実績として伝えることが、選考突破の鍵となります。
転職エージェントを活用して、選考通過率を高める
生命保険業界会社の中途採用では、非公開求人や戦略ポジションが多く、転職エージェント経由での採用が主流です。
JACのような専門エージェントを活用することで、単に求人情報を得るだけでなく、企業が求める人物像や過去の通過事例、面接傾向といった戦略的な情報を得ることが可能です。職務経歴書の添削、模擬面接、企業ごとの個別対策も受けられるため、独力での応募に比べて選考通過率が格段に高まります。ご自身の経験がどのような企業に刺さるかを、客観的に整理したい方には特におすすめです。

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保険業界への転職を成功に導く職務経歴書の書き方〜ハイクラス転職向けサンプル付き解説〜
近年、保険業界ではデジタル化やリスク管理の高度化を背景に、即戦力の採用が活発化しています。特に、資産運用、経理・財務、ストラクチャードファイナンス、広報・ESG領域など、専門性の高い職種では、実績と再現性のあるスキルが求… 続きを読む 保険業界への転職を成功に導く職務経歴書の書き方〜ハイクラス転職向けサンプル付き解説〜
生命保険業界の転職事例
ここからは、JACを活用して生命保険業界へ転職した事例をご紹介します。
専門性の高いITスキルとマネジメント能力を生かし生命保険業界への転職に成功
Oさん(男性/40代後半)
| 業種 | 職種 | 年収 | |
|---|---|---|---|
| 転職前 | 日系大手・生命保険業界系企業 | サイバーセキュリティ担当 | 920万円 |
| 転職後 | 日系大手・損害保険系企業 | ITガバナンス担当 | 1,200万円 |
Oさんは、大学卒業後、金融業界の基幹系システム運用を皮切りに、通信ベンチャーでのISP事業や信用金庫での勘定系システム管理、仮想基盤の移行プロジェクト、サイバーセキュリティ業務など、多様な業務を経験。その中で培ったシステム運用やサイバーセキュリティの知見を生かし、グループ全体のITガバナンスや企画業務に携わりたいという強い意志から転職を決意されました。
JACのコンサルタントは、OさんのITインフラとセキュリティにまたがる幅広いスキルと管理能力を生かせるポジションを提案。結果として、ITガバナンス業務に本格的に取り組める環境への転職を実現し、年収も920万円から1,200万円へと大きく向上しました。自身の専門性を戦略的業務に生かしながら、組織全体に貢献できるフィールドで新たなスタートを切っています。
生命保険業界への転職なら、JAC Recruitmentへ
生命保険業界では、顧客や社内外の多様な関係者と連携しながら、高い専門性と責任感を持って業務を遂行することが求められます。JACは、保険業界に精通した専任コンサルタントが在籍し、各社の注力分野や社風、仕事の進め方など、表面的な情報にとどまらない詳細な業界知識をもとに、転職希望者の志向やキャリアビジョンに合った選択肢を提案できるのが強みです。
また、企業の採用責任者や部門トップとの信頼関係を築いているため、他社では得られない独自の情報やポジションのご紹介が可能です。さらに、ハイクラス・ミドルクラスの転職支援に特化し、管理職や専門職など幅広いキャリアパスに対応できる点もJACならではの特長といえます。業界動向やキャリア形成に関するアドバイスも充実しており、単なる求人紹介にとどまらない質の高いコンサルティングを受けられます。
生命保険業界への転職を検討している方は、ぜひJACへご相談ください。



