海外転職には、ビザ・退職・税金・住民票・健康保険など多くの手続きが伴います。特に専門職や高年収の方は、資産や税務対応が複雑になりやすいため、計画的な準備が不可欠です。
本記事では、海外転職の手続きを時系列に分け、それぞれの段階でやるべきことと注意点をJAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。
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目次/Index
海外転職に必要な手続きの全体像【時系列別チェックリスト付き】
海外転職では、応募や面接などの選考フェーズに加え、内定後から渡航・現地生活開始までの一連の手続きを正しく理解することが極めて重要です。パスポート・ビザなどの渡航準備だけでなく、退職・税務・保険・引越し・現地での生活基盤整備まで、すべてが連動して進行します。
本記事では、特に「内定取得後から渡航・現地定着までの手続き」に焦点を当て、フェーズごとに必要な行動を整理しています。以下のチェックリストは、各段階で何をすべきかを時系列で俯瞰できる構成です。詳細な手続きは、リンク先の章から確認してください。
海外転職の準備は、1つの手続きが次の工程に影響する「連鎖的なプロセス」です。
どの国でも、ビザ申請と退職手続きのタイミング管理が成否を分ける最重要ポイントとなります。まずはこの全体像を把握し、スケジュールを逆算して進めることで、余裕をもって出国・就労開始を迎えることができるでしょう。
| No | フェーズ | 手続き |
|---|---|---|
| 1 | 内定直後〜ビザ申請期(渡航約3〜6ヶ月前)に必要な手続き | パスポートの有効期限確認・更新 / 就労ビザの申請準備開始 / 雇用契約書の確認・最終締結 |
| 2 | ビザ取得〜退職交渉期(渡航約2〜3ヶ月前)に必要な手続き | 現職への退職交渉・退職日の決定 / 航空券の手配・現地での仮住まいの確保 / 運転免許証の確認・国際運転免許証の取得 |
| 3 | 各種手続き実行期(渡航約1〜2ヶ月前)に必要な手続き | 年金の手続き / 健康保険の手続き / 税務・資産関連の手続き / クレジットカードや銀行口座の手続き・海外送金準備 / 予防接種 |
| 4 | 最終準備期(渡航1ヶ月前〜直前)に必要な手続き | 海外転出届・マイナンバーカードなど行政手続き / 引越し・荷物の発送 / 各種インフラ・サブスクリプションの解約 |
| 5 | 渡航直後(現地)で必要な手続き | 現地での居住・滞在登録 / 銀行口座の開設 / 現地の納税者番号(TIN)の取得 / 住居や各種インフラ契約 |
【フェーズ1】内定直後〜ビザ申請期(渡航約3〜6ヶ月前)に必要な手続き
内定が確定した段階から海外転職に向けた最重要タスクが始まります。この時期に行うべきことは、大きく三つあります。「パスポートの有効期限確認」「就労ビザの申請準備」「雇用契約書の最終締結」です。いずれも審査や発行に時間を要するため、一つの遅れが全体スケジュールを崩す原因になります。
特にビザ関連の手続きは、取得に1〜3ヶ月の審査期間がかかることが一般的です。必要書類の取得にも予想以上の時間が必要となるため、全体スケジュールを「逆算」で設計することが重要です。
このフェーズでは、渡航の約3〜6ヶ月前を目安に、各種手続きを同時並行で進めることが求められます。
- ●パスポートの有効期限確認・更新
- ●就労ビザの申請準備開始
- ●雇用契約書の確認・最終締結
パスポートの有効期限確認・更新
海外転職準備の最初のステップは、パスポートの有効期限確認です。就労ビザの申請にはパスポート情報が必須であり、期限が不足している場合は申請そのものが進みません。
多くの国では「入国時点で残存有効期間が6ヶ月以上」であることを条件としています。渡航予定日から滞在期間を加え、さらに6ヶ月以上の余裕があるかを確認します。もし基準を満たさない場合は、ただちに更新手続きを行う必要があります。更新には通常1週間ほどかかりますが、繁忙期は2週間以上要することもあります。このタイムラグがビザ申請の開始を遅らせる要因となるため、早期の確認が不可欠です。
進め方は三段階です。まず、有効期限を確認し、渡航先国の入国条件を大使館や公的サイトで調べます。次に、更新が必要な場合は速やかにパスポートセンターまたは市区町村窓口で申請します。必要書類は、一般旅券発給申請書・戸籍謄本・写真・パスポートです。最後に、受領までの期間を考慮し、ビザ申請スケジュールに組み込みます。目安として、内定直後(渡航6ヶ月前)に確認を行い、遅くとも渡航4ヶ月前までに新しいパスポートを取得しておくことが望まれます。早期対応により、後続の書類申請やデータ整合の手間を大幅に削減できます。
タイムライン
- [内定直後] → 有効期限確認
- ↓
- [渡航6か月前] → 入国条件確認
- ↓
- [渡航4か月前] → パスポート更新完了
- ↓
- [渡航準備] → ビザ申請・その他手続き
就労ビザの申請準備開始
次のステップは、就労ビザの申請準備です。内定通知を受け取った時点で、即座に着手することが推奨されます。就労ビザの審査には国やビザ種別によって1〜3ヶ月かかります。そのため、書類準備の遅れが渡航時期全体を後ろ倒しにする可能性があります。特に卒業証明書や無犯罪証明書、健康診断書などは、発行元の対応や予約状況によって入手までに時間を要するため、優先的に取りかかることが重要です。
書類準備の基本手順は次のとおりです。まず、転職先企業の人事・法務部門から必要書類のリストを入手し、最新情報を確認します。次に、大使館や領事館の公式情報を参照し、国別の要件を整理します。一般的に必要となるのは、パスポートのコピー、証明写真、最終学歴の卒業証明書・成績証明書、職務経歴書(英文または現地言語)、内定通知書、招聘状などです。加えて、国によっては英語能力証明、無犯罪証明書、健康診断書、学位の公証手続きが求められます。
優先度の高い書類(無犯罪証明書、健康診断書、海外大学の証明書など)は、取得に2〜3週間を要するため、真っ先に着手します。戸籍謄本や職務経歴書の翻訳・公証はその次の段階で進め、パスポートコピーや申請フォームなど短期で完了するものは並行して行います。理想的には、ビザ申請予定日の2週間前までにすべての書類をそろえることです。早期準備を徹底すれば、不備対応の余裕を確保でき、審査延長や渡航延期のリスクを最小化できます。
書類準備の基本手順のまとめ
- STEP 1:必要書類の確認(渡航6か月前)
• 転職先企業の 人事・法務部門から必要書類リストを入手
• 最新情報を確認(企業側の要件) - STEP 2:国別要件の確認(渡航5〜6か月前)
• 大使館・領事館の公式サイトで入国条件を調査
• 国別の追加要件を整理
(例:英語能力証明、無犯罪証明書、健康診断書、学位の公証手続き) - STEP 3:書類の準備(渡航4〜5か月前)
- 【 一般的に必要な書類】
- ・ パスポートのコピー
- ・証明写真
- ・ 最終学歴の卒業証明書・成績証明書
- ・職務経歴書(英文または現地言語)
- ・内定通知書
- ・招聘状
- • 国別追加書類
- ・ 英語能力証明(TOEFL/IELTSなど)
- ・ 無犯罪証明書
- ・ 健康診断書
- ・学位の公証手続き
雇用契約書の確認・最終締結
海外転職において、雇用契約書の内容確認は極めて重要です。国内転職と異なり、契約内容がビザ承認条件に直結するため、不明点を残したまま署名することは避けるべきです。
まず確認すべきは、ビザスポンサーシップの明記です。企業がスポンサーであるか、申請費用の負担者が誰か、ビザ取得に失敗した場合の取り扱い、家族帯同の可否、更新サポートの範囲などを明確にしておきます。これらは就労可否を左右する最も重要な要素です。
次に給与・報酬体系を確認します。支払通貨と為替リスクの負担者、最低給与基準の充足状況、賞与の支給回数と条件、株式報酬や昇給制度の有無などを細かく把握します。生活コストやビザ基準の整合性を取るうえで不可欠です。福利厚生面では、家賃補助、引越し費用、一時帰国費用、医療保険、教育支援などを具体的に確認します。これらは実質的な手取り金額や生活の質に大きく影響します。
さらに退職金制度や年金制度、勤務条件、契約終了時の取り扱いも見逃せません。退職金の算出方法や支給条件、試用期間中の待遇、解雇時の通知期間・手当、競業避止義務の範囲などを事前に理解しておくことで、将来的なトラブルを防げます。
実務的には契約書を受領後48時間以内に全体を確認し、3営業日以内に質問事項をまとめて企業へ照会する流れが理想です。その後必要に応じて現地の労働法専門家に確認し、2週間以内に最終合意・署名を完了させます。このプロセスをビザ申請開始前に完了させることで、提出書類間の整合性が保たれ、申請後の修正リスクを防止できます。結果として、渡航準備全体を安定的に進めることが可能になります。
タイムライン
- [契約書受領後] → 全体確認(48時間以内)
- ↓
- [3営業日以内] → 質問事項照会・給与・福利厚生確認
- ↓
- [〜2週間以内] → 労働法確認・最終合意・署名
- ↓
- [ビザ申請前] → 書類整合性チェック
【フェーズ2】ビザ取得〜退職交渉期(渡航約2〜3ヶ月前)に必要な手続き
この時期は、ビザの取得目処が立ち渡航日や入社時期が現実的に確定する段階です。ここからは現職での退職交渉や生活基盤の確保など、国内での準備を一気に進める必要があります。特に、退職日の確定、航空券や仮住まいの手配、運転免許関連の対応は、すべての工程の基盤となる重要項目です。どれか一つでも遅れると渡航スケジュール全体に影響するため、順序とタイミングを意識して進めることが求められます。
- ●現職への退職交渉・退職日の決定
- ●航空券の手配・現地での仮住まいの確保
- ●運転免許証の確認・国際運転免許証の取得
現職への退職交渉・退職日の決定
【POINT】
- ●退職交渉はビザ承認の目処と入社時期合意後に行う
- ●円満退職・現職との信頼維持を最優先する
- ●退職の意思は上司に1on1で直接伝える
- ●退職日は渡航日・有給消化・引継ぎから逆算する
- ●海外転職では前職の評価・人脈が将来に影響することを意識する
退職交渉は、ビザ承認の確度が高まり内定先と入社時期の合意が得られた段階で行うのが理想です。早すぎる報告はスケジュール変更時の混乱を招き、遅すぎる報告は引継ぎに支障をきたします。最も重要なのは現職との信頼関係を保ちながら円満に退職することです。特に海外転職では前職の推薦や人脈が将来的に生きる場面も多いため、丁寧な進め方が望まれます。
直属の上司へは対面またはオンラインの1on1で退職の意思を明確に伝えます。理由は「キャリア成長」や「新しい挑戦」といった前向きな内容とし、希望退職日と引継ぎ協力の意思を合わせて伝えることが基本です。メールでの一方的な通知は避け、誤解を生まない対話の機会を設けましょう。
退職日は、渡航日と有給消化期間、引継ぎに必要な期間をもとに逆算して決定します。一般的には「退職日=渡航日−2週間−有給消化期間」が目安です。社会保険料や年金の算定単位を考慮し、月末か月中のどちらで退職するかも判断します。引継ぎ計画では業務リストを作成し、重要度と緊急度を整理したうえで後任者への資料共有や関係者への引継ぎあいさつを計画的に行います。上司への報告は渡航3ヶ月前、退職日確定はその2週間以内、最終出社日は渡航2週間前を目安に進めるとスムーズです。
航空券の手配・現地での仮住まいの確保
【POINT】
- ●渡航日確定後、航空券と仮住まいは早めに押さえる
- ●航空券は企業サポート範囲(手配方法・補助・承認フロー)を必ず事前確認
- ●個人手配の場合、航空券は渡航約3ヶ月前を目安に予約する
- ●ビザ遅延を想定し、変更・キャンセル条件が柔軟な航空券を選ぶ
- ●仮住まいは2週間〜1ヶ月を想定し、渡航1.5〜2ヶ月前に確保する
渡航日が確定したら航空券と現地の仮住まいを早期に確保します。どちらも予約時期によってコストや選択肢が大きく変わるため、計画的な行動が不可欠です。航空券については、まず企業側のサポート範囲を確認します。企業手配か個人手配か、費用補助の上限、承認フローの有無を整理したうえで、指定代理店の利用や精算条件を確認します。個人で手配する場合は渡航3ヶ月前を目安に予約するのが理想です。直行便と乗継便を比較し、移動時間や荷物制限、変更・キャンセル条件を確認します。ビザ発給が遅れる場合を想定し、柔軟な運賃条件を選ぶことが安全です。
仮住まいは渡航直後の生活立ち上げを支える重要な要素です。ホテル、サービスアパートメント、短期賃貸など選択肢は多く、それぞれに利点があります。ホテルは柔軟性が高い一方、長期滞在ではコストがかさみます。サービスアパートメントはキッチン付きで生活コストを抑えやすく、中期滞在に適しています。滞在期間は2週間〜1ヶ月を目安とし、この間に本住居探しや銀行口座開設、各種登録を進めるのが現実的です。
予約のタイミングは航空券を渡航3ヶ月前までに、仮住まいを渡航1.5〜2ヶ月前に確定するのが目安です。これにより、コスト最適化と希望条件の確保を両立できます。また、一部の国ではビザ申請時に航空券予約証明を求められる場合があるため、申請スケジュールとの整合も確認しておきましょう。
運転免許証の確認・国際運転免許証の取得
【POINT】
- ●日本免許の有効期限を確認し、滞在中に失効する場合は6か月前から期限前更新(即日交付)。
- ●国際免許は渡航1〜2か月前に取得、有効期間は1年間。
- ●申請に必要な書類は免許証・パスポート・写真、手数料約2,350円(発行30〜60分)。
- ●渡航先の免許切替条件を国・州ごとに確認(米国・英国・豪州・シンガポールなど)。
- ●出発2〜3か月前に免許更新と国際免許申請を並行して準備。
現地で車を運転する可能性がある方は、渡航前に運転免許に関する手続きを整理しておく必要があります。海外滞在中に日本の運転免許証が失効すると、再取得が煩雑になり、現地免許への切替にも支障をきたします。まず、有効期限を確認し、滞在期間中に切れる場合は「期限前更新」を申請します。住所地の警察署または免許センターで、パスポートや航空券の控え、雇用契約書などの渡航を証明する書類を提示すれば、6ヶ月前から更新できます。更新は通常即日交付で、所要時間は数時間程度です。
次に、国際運転免許証を取得します。ジュネーブ条約加盟国で有効なこの免許は、発給日から1年間有効です。申請は運転免許センターで行い、必要書類は免許証、パスポート、写真1枚(5×4cm)です。手数料は約2,350円で、発行まで30〜60分が一般的です。取得時期は渡航の1〜2ヶ月前が適切で、早すぎると有効期間を無駄に消費することになります。
国によって運転規定は異なるため、赴任先の制度も確認する必要があります。米国は州により条件が異なり、英国は1年以内の現地免許切替が義務です。オーストラリアは州ごとに3ヶ月前後、シンガポールは国際免許が無効で現地免許を取得する必要があります。これらの条件を踏まえ、出発2〜3ヶ月前に日本の免許を確認し、期限前更新や国際免許の申請を並行して進めると、出国直前の混乱を防げます。
【フェーズ3】各種手続き実行期(渡航約1〜2ヶ月前)に必要な手続き
退職日が確定すると、行政や金融に関する実際の手続きを進められる段階に入ります。年金・健康保険の対応を決め、証券口座や納税関連の準備を進め、海外利用に適したカードや銀行口座を整える必要があります。
また、予防接種などの健康管理もこの時期に着手することが求められます。これらはどれも準備期間を要するため、後回しにすると口座凍結や保険の空白期間といったリスクが発生します。影響範囲の大きい項目から順に、計画的に進めていくことが重要です。
- ●年金の手続き
- ●健康保険の手続き
- ●税務・資産関連の手続き
- ●クレジットカードや銀行口座の手続き・海外送金準備
- ●予防接種
年金の手続き
【POINT】
- ●退職で厚生年金は自動喪失/海外転出後は国民年金は任意加入(義務なしだが加入可)
- ●任意加入は受給額・受給資格期間の維持に有利(ただし月額保険料の負担あり)
- ●判断材料は「滞在期間・年齢・加入済期間・現地年金制度の有無」※短期滞在や資格年数不足の人はメリット大
- ●社会保障協定の有無を事前確認(二重払い回避・通算可能な国あり)
- ●手続きは出国前に市区町村/年金事務所で申出書提出+国内納付代理人を設定(口座振替が確実)※海外転出届と同時手続きが効率的
退職すると厚生年金の資格は自動的に喪失します。海外転出後は国民年金への加入義務もなくなりますが、希望すれば「任意加入」が可能です。任意加入の大きな利点は、将来の年金受給額や受給資格期間を維持できる点です。一方で毎月の保険料が発生し、海外生活費とのバランスを考える必要があります。
加入を検討する際は、滞在期間や年齢、加入済期間、現地の年金制度の有無を総合的に考慮します。特に短期滞在者や受給資格年数に満たない方は、任意加入を選ぶメリットが大きいといえます。また、社会保障協定を締結している国(米国・英国・ドイツなど)では、日・現地両国での保険料の二重払いを避けたり、加入期間を通算できたりします。渡航先が協定締結国かどうか、事前に確認しておきましょう。
加入を希望する場合は、出国前に市区町村役場または年金事務所で「国民年金任意加入申出書」を提出します。提出時に必要なものは、基礎年金番号通知書、パスポートなどの渡航証明書類、保険料を代理で納付する国内協力者の情報です。納付方法は、国内口座からの自動引き落としが最も確実です。手続きは海外転出届を提出する際に同時に行うと効率的です。
健康保険の手続き
【POINT】
- ●退職と同時に健康保険の資格は喪失するため、渡航先の保険選択を早期に決める
- ●基本は現地企業の医療保険に加入(保険料負担や保障内容が最適化されている)
- ●現地保険開始までの空白対策として、短期の海外旅行保険を日本で事前加入しておく
- ●国民健康保険・任意継続は海外長期滞在には不適切(利用制限・全額負担・自由診療リスク)
- ●医療保障に空白を作らないよう、渡航2ヶ月前に検討開始・旅行保険は渡航1ヶ月前〜2週間前に手配
健康保険は退職と同時に資格を失います。そのため渡航先でどの保険に加入するかを早めに決める必要があります。多くの場合、現地の勤務先が提供する医療保険に加入するのが一般的です。企業が保険料の一部または全額を負担するケースも多く、保障範囲も現地の医療環境に合わせて設計されています。
ただし渡航直後に現地保険が開始しない場合もあるため、出国前に短期の海外旅行保険に加入しておくと安心です。海外旅行保険は日本語サポートがあり、キャッシュレスで治療を受けられる点が利便性の高い選択肢です。
一方、日本の国民健康保険や会社の健康保険の任意継続は長期滞在者には適していません。海外転出届を出すと国民健康保険の資格は自動的に喪失します。任意継続は最大2年間有効ですが海外在住中は利用できないケースが多く、保険料も全額自己負担になります。一時帰国時には、日本での治療が自由診療扱いとなる場合がある点も考慮が必要です。
健康保険に関する検討は渡航2ヶ月前、海外旅行保険の加入は1ヶ月前から2週間前までに完了させるのが理想です。医療保障に空白期間を作らないよう時系列で管理することが重要です。
税務・資産関連の手続き
【POINT】
- ●日本で所得(不動産・配当など)がある場合は、納税管理人を出国前に必ず届出する
- ●証券口座は非居住者扱いに切り替え必須(未対応だと口座凍結リスク)証券会社ごとに対応が異なるため事前確認が必須(維持可/買付制限/解約必要など)
- ●NISA廃止・非居住者届出などの手続きは出国2ヶ月前に開始し、1.5ヶ月前までに提出
- ●出国直前の駆け込みは処理遅延・不備リスクが高いため、早期着手を徹底する
海外転出後は日本での税務上の扱いが変わります。日本国内で不動産収入や配当などの所得がある場合は、「納税管理人」を選任し出国前に税務署へ届出を行う必要があります。納税管理人は、確定申告や納税、税務署からの通知受領を代行します。家族や税理士など、日本に住所をもつ人を選ぶのが一般的です。
また証券口座を保有している場合は、非居住者の扱いに切り替える必要があります。この手続きを怠ると、出国後に口座が凍結される可能性があります。SBI証券やマネックス証券などは非居住者でも口座維持が可能ですが、買付は制限されます。一方で、楽天証券などは海外転出時に口座解約が必要です。こうした対応の違いを事前に確認し、必要に応じて資産を移管しましょう。
出国2ヶ月前には各金融機関に問い合わせ、非居住者届出書やNISA廃止の手続きを進めましょう。出国直前に完了しようとすると、書類不備や処理遅延が起こりやすいため、1.5ヶ月前までの提出を推奨します。
クレジットカードや銀行口座の手続き・海外送金準備
【POINT】
- ●海外利用しやすいカード(Visa/Master)を最低1〜2枚確保し、限度額や家族カードを出国前に整えておく
- ●非居住者でも利用継続できるよう、カード・銀行双方で国内住所を登録し、明細はオンライン化
- ●銀行口座は“非居住者でも維持可能か”事前確認し、必要なら非居住者届出書を提出
- ●維持不可の銀行やカードは、解約・切替・資産移動を出国前に完了しておく
- ●海外送金サービスは出国前に本人確認・口座連携を完了し、現地での資金移動をスムーズにしておく
海外生活ではクレジットカードと銀行口座の管理が日常的な決済や資金移動を左右します。まず保有するカードの海外利用可否を確認し、VisaまたはMastercardブランドの利用しやすいカードを最低1〜2枚確保します。出国前に限度額の引上げや家族カードの発行を済ませておくと安心です。
非居住者になると多くのカード会社は日本国内の住所登録を求めるため、実家など連絡が取れる国内住所を登録しておきましょう。また明細書をオンライン通知に切り替え、郵送物を減らすことでトラブルを防げます。
銀行口座は対応方針が銀行ごとに異なります。三井住友銀行やソニー銀行などは非居住者でも維持が可能ですが、ゆうちょ銀行や一部の地銀は原則として口座解約が必要です。非居住者届出書を提出し、国内の連絡先を登録しておくと安心です。
海外送金の準備も早めに進めましょう。手数料が低く為替レートの透明性が高いオンライン送金サービスは、多くの駐在者が利用しています。出国前に本人確認を済ませ日本の口座と連携しておくことで、現地での資金移動がスムーズになります。
予防接種
【POINT】
- ●渡航先で推奨されるワクチンを公的情報(FORTH・外務省)で必ず確認する
- ●A/B型肝炎・破傷風は多くの地域で基本、黄熱病は一部地域で“入国条件”になる
- ●複数回接種や免疫安定に時間が必要なため、遅くとも渡航1.5ヶ月前に接種開始
- ●証明書が必要なワクチン(例:黄熱病)は指定医療機関のみで接種可・発行に日数が必要
- ●情報収集→予約→接種の流れを2〜3ヶ月前から着手し、渡航までに必要な免疫と書類を確保する
予防接種は現地での感染症リスクを防ぐための重要な準備です。まず、厚生労働省「FORTH」や外務省の安全情報を確認して、渡航先で推奨されるワクチンを把握しましょう。A型・B型肝炎や破傷風は多くの地域で基本的な推奨項目です。黄熱病はアフリカや中南米の一部で入国条件となる場合があります。
複数回接種が必要なワクチンも多く、免疫が安定するまで1〜2ヶ月を要します。そのため遅くとも渡航1.5ヶ月前には接種を始めるのが望ましいです。トラベルクリニックを利用すれば、渡航目的に合わせた最適な組み合わせを提案してもらえます。費用は自費となるため、企業補助の有無も確認しておきましょう。
証明書が必要なワクチン(例:黄熱病)は、検疫所などの指定医療機関でのみ接種できます。証明書の発効には10日ほどかかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。渡航前の2〜3ヶ月で情報収集、2ヶ月前に予約、1.5ヶ月前から接種開始という流れで進めれば、渡航時点で必要な免疫と書類を確保できます。
【フェーズ4】最終準備期(渡航1ヶ月前〜直前)に必要な手続き
この時期は、国内の生活を締めくくり海外での新しい生活基盤へ移行するための最終調整段階にあたります。行政手続き、荷物の発送、各種契約の解約など、多岐にわたるタスクを短期間で完了させる必要があり、手順を誤ると余計な費用や手戻りが発生しかねません。
効率的に進めるためには、まず法的な期限が定められている行政手続きを最優先とし、その後に輸送期間を要する引越し関連を確定。最後にインフラや通信などの契約を整理する流れが理想です。この順序で進めることで、各種届出や住所情報の整合性を保ちながら、渡航準備を無理なく完了させることができます。
- ●海外転出届・マイナンバーカードなど行政手続き
- ●引越し・荷物の発送
- ●各種インフラ・サブスクリプションの解約
海外転出届・マイナンバーカードなど行政手続き
【POINT】
- ●海外転出届は出国14日前から提出可能で、これがすべての手続きの起点になる
- ●届出が受理されると住民票が除票となり、健康保険・国民年金の加入義務が消滅し“非居住者扱い”へ切替わる
- ●住民票が取得できなくなるため、必要な証明書(住民票・印鑑証明など)は事前に発行しておく
- ●住民税は“1月1日時点の居住地で課税”されるため、転出後は翌年度分が非課税になるが、出国年分は納税義務が残る
- ●関連手続き(納税管理人、国民年金任意加入、在外選挙人登録)は海外転出届と同日にまとめて進めると効率的
出国にあたり最初に行うべきは、現住所の市区町村で提出する「海外転出届」です。出国予定日の14日前から受付が始まり、届出が受理されると住民票は除票扱いとなります。これにより国民健康保険と国民年金の加入義務が消滅し、税務・社会保険上の取り扱いが「非居住者」に切り替わります。
提出は基本的に本人が窓口で行います。持参するものは、本人確認書類(パスポートや運転免許証)、マイナンバーカード、健康保険証。転出先は国名の記載で問題ありません。届出後は住民票の写しが取得できなくなるため、必要な証明書は出国前に発行しておくと安心です。
また住民税の課税タイミングにも注意が必要です。住民税は「翌年1月1日時点の居住地」で判断されるため、海外転出を行うと翌年度分は非課税となります。ただし出国年の税額(前年所得分)は課税済みのため、納税義務は残ります。納付は口座引落の継続もしくは「納税管理人」の指定で対応します。
マイナンバーカードは転出により電子証明書が失効します。返納が求められる自治体もありますが、今後は保有を継続できる運用に変わる見込みです。国民年金を任意加入する方は、海外転出届の提出と同日に申出を行うと効率的です。また海外から投票する予定がある場合は、在外選挙人名簿への登録もこのタイミングで済ませておくとよいでしょう。
引越し・荷物の発送
【POINT】
- ●荷物は輸送手段ごとの到着時期を踏まえ、船便(1〜4ヶ月)・航空便(1〜2週間)を使い分ける
- ●用途と必要時期に応じて「手荷物/航空便/船便/日本に残す荷物」の4区分で整理する
- ●引越し業者は複数見積もりを取り、梱包範囲・通関代行・現地配送体制を比較して選ぶ
- ●電圧・プラグの違いから電化製品は現地購入が合理的な場合が多い
- ●船便は渡航2ヶ月前、航空便は2週間前に集荷するなど、輸送スケジュールを逆算して計画する
荷物の整理と発送は輸送手段と到着時期を踏まえた計画性が求められます。船便は費用が安く、大量輸送に適していますが、到着まで1〜4ヶ月かかります。航空便は高額ながら1〜2週間で届くため、現地到着後すぐに必要なものを送るのに適しています。
荷物は用途と必要時期に応じて、「手荷物」「航空便」「船便」「日本に残す荷物」の4区分で整理します。すぐに使う衣類や電子機器、重要書類は手荷物に、生活の初期に使う日用品は航空便にまとめます。家具や季節外の衣類、使用頻度の低いものは船便に回し、日本でしか使わないものは実家などに預けるのが合理的です。
引越し業者は2〜3社に見積もりを依頼し、料金だけでなく梱包サービスの範囲や通関代行の有無、現地配送体制なども比較します。特に通関手続きは国ごとに異なるため、現地事情に詳しい業者を選ぶことがポイントです。電化製品は電圧やプラグ形状の違いにより使用できない場合も多く、現地購入へ切り替えたほうが費用対効果が高いケースもあります。
スケジュールは逆算で立てます。船便は渡航2ヶ月前、航空便は2週間前の集荷が目安です。手荷物は出国前日に確定し、生活立ち上げに必要なものが確実に手元にある状態を整えます。早めの手配によって、現地到着後の待機や追加費用を抑えることができるでしょう。
各種インフラ・サブスクリプションの解約
【POINT】
- ●賃貸住宅は1〜2ヶ月前の解約予告が一般的なため、契約書の予告期間を必ず確認して早めに通知する
- ●電気・ガス・水道は退去1〜2週間前に停止手続きを行い、最終請求の支払方法を事前に確認する
- ●インターネットや固定電話は解約時期により違約金が発生するため、更新月を確認しレンタル機器の返却も忘れない
- ●携帯電話は「解約」「番号保管」「海外対応SIM」など選択肢を比較し、渡航後の利用状況に合う形で整理する
- ●サブスク・郵便・住所関連は抜け漏れが起きやすいため、不要契約の解約と郵便物転送設定をまとめて行う
最後に、住居や通信、公共料金などの契約を整理します。これらは契約内容によって予告期間が異なり、特に賃貸住宅は解約通知が遅れると違約金が発生する場合があります。
賃貸契約は1〜2ヶ月前の解約予告が一般的です。通知は書面で行い、退去日は出国数日前に設定しておくと、荷物搬出や清掃、立会いに十分な時間を確保できます。敷金の返還には時間がかかるため、返金先として日本の銀行口座を維持しておくと安心です。
電気・ガス・水道は退去の1〜2週間前に停止を依頼し、最終請求の支払方法を確認します。インターネットや固定電話は契約期間中の解約で違約金が発生する場合があるため、更新月を確認してから手続きを行いましょう。レンタル機器の返却期限を守らないと追加費用がかかるため、こちらも早めの対応が必要です。
携帯電話は「解約」「番号保管」「海外対応SIMへの切替」の3つの選択肢があります。一時帰国の予定がある場合は海外ローミング対応の格安SIMへ切り替えると利便性が高く維持費も抑えられます。長期滞在が確定している場合は番号保管や解約を選ぶのが現実的です。
また、サブスクリプションサービスは見落とされやすいので注意が必要です。動画・音楽配信などは地域設定を変更することで継続利用できますが、紙媒体や定期配送は解約をしましょう。住所変更やクレジットカードの明細確認を行い不要な契約を把握すると良いでしょう。郵便物の転送届を設定しておくと、重要書類の受け取り漏れを防げます。
【フェーズ5】渡航直後(現地)で必要な手続き
日本での出国準備を終えた後は、現地での「法的地位の確立」と「生活基盤の整備」が次の課題となります。国によって制度や手続きは異なりますが、全体の流れはおおむね共通しています。
まずは、滞在登録や身分証明などの行政手続きを最優先で進めること。これがすべての基礎になります。続いて、給与受け取りのための銀行口座開設と、納税・社会保障に必要な納税者番号の取得を完了させます。最後に、住居契約やインフラ整備を行えば、現地生活を安定して始めることができます。
これらを順序立てて進めることで、手続き同士の依存関係による停滞を防ぎ、無駄なく生活を立ち上げることができます。
- ●現地での居住・滞在登録
- ●銀行口座の開設
- ●現地の納税者番号(TIN)の取得
- ●住居や各種インフラ契約
現地での居住・滞在登録
【POINT】
- ●入国後の居住登録・身分証取得は法的義務の場合が多く、就労許可や更新に影響するため到着後すぐ着手する
- ●必要書類(パスポート、就労ビザ、入国記録、雇用契約書、住所証明など)を現地要件に合わせて準備する
- ●身分証(例:英国BRP、ドイツのAnmeldung、シンガポールのEPカード)は銀行口座・住宅契約など他手続きの前提となる
- ●住所確定後は日本大使館・領事館へ在留届を早めに提出し、緊急時の領事支援に備える
- ●身分証発行まで数日〜数週間かかるため、到着報告や生活準備を並行して進める
入国直後にまず行うべきは居住登録と身分証の取得です。多くの国では入国後一定期間内に登録を行うことが法的に義務付けられています。この手続きを怠ると就労許可やビザの更新に影響が出るおそれがあります。到着後1週間を目安に準備をはじめましょう。
必要書類は国によって異なりますが、一般的にはパスポート、就労ビザ、入国記録、雇用契約書、住所証明が求められます。英国ではBRPカードの受取、ドイツでは住民登録(Anmeldung)、シンガポールではEmployment Passカードの発行が該当します。いずれも現地での「身分証明」としての役割をもち、これがなければ銀行口座の開設や住宅契約などほかの手続きが進みません。
住所が確定したら日本大使館・領事館への在留届も忘れずに提出します。これは災害やトラブル発生時の安否確認、領事支援の前提となるものです。オンラインで申請できるため、到着後早めに済ませておくと安心です。
身分証が発行されるまでには数日から数週間を要する場合があります。その間は、企業人事への到着報告や生活準備を並行して進めると効率的です。
銀行口座の開設
【POINT】
- ●給与受取のために現地銀行口座は必須のため、身分証取得後すぐに開設手続きを進める
- ●銀行は支店・ATMの利便性、手数料、オンラインバンキングの使いやすさで比較し、可能なら勤務先提携行を利用する
- ●必要書類(パスポート、就労許可、現地ID、雇用証明、住所証明)は国・銀行ごとの要件に合わせて準備する
- ●キャッシュカードは到着まで1〜2週間かかるため、暫定的にデジタルカードやプリペイドカードを活用する
- ●開設後はオンラインバンキング設定、給与振込情報の提出、自動引落設定、最低残高・手数料条件の確認を忘れず行う
給与を受け取るためには現地銀行口座が不可欠です。多くの企業では国内口座への振込しか対応していないため、身分証の取得後すぐに手続きを行う必要があります。
銀行を選ぶ際は支店やATMの利便性、手数料体系、オンラインバンキングの使いやすさを基準に比較します。勤務先と提携している銀行がある場合は、開設サポートを受けられることもあります。
口座開設に必要な書類は、パスポート、就労許可、現地ID、雇用証明、住所証明が一般的です。住所証明がまだ揃っていない段階では、企業が発行するレターや仮住まいの契約書で代替できる場合もあります。
手続きは事前予約のうえで窓口を訪問し、当座用(Checking)と貯蓄用(Savings)のどちらを開設するかを選びます。口座番号は即日発行される場合もありますが、キャッシュカードは通常1〜2週間後に郵送されます。カード到着までの間は、デジタルデビットカードやプリペイドカードを利用すると便利です。
開設後はオンラインバンキングの設定、給与振込情報の提出、公共料金の自動引落設定を行います。最低残高の条件や維持手数料は銀行によって異なるため、契約時に確認しておくことが大切です。
現地の納税者番号(TIN)の取得
【POINT】
- ●納税者番号(Tax Identification Number)は給与支払い・納税・社会保障の前提となるため、身分証取得後すぐ申請に着手する
- ●番号未取得のまま勤務を始めると、給与保留や高率の税控除が発生する場合がある
- ●申請方法(オンライン・郵送・窓口)や必要書類は国ごとに異なるため、事前に確認して準備する
- ●取得には数日〜数週間かかるため、給与支給サイクルに間に合うよう逆算して申請する
- ●取得後は速やかに企業へ通知し、番号は将来の行政手続きにも紐づくため、安全に保管する
納税者番号(Tax Identification Number)は、現地での給与支払い、納税、社会保障登録などの前提となる番号です。国によって呼称は異なります。例えば、米国ではSSN、英国ではNIN、オーストラリアではTFN、ドイツではSteuer-IDと呼ばれています。
この番号がない状態では、給与支払いが保留されたり、高率の税金が一時的に控除されたりすることがあります。そのため、身分証の取得後できるだけ早く申請に着手することが望ましいです。
申請は国によってオンライン・郵送・窓口のいずれかで行います。基本的に、パスポートや就労許可、住所情報が必要です。住民登録と連動して自動的に番号が発行される国もあるため、手続き方法を事前に確認しておくとスムーズです。
取得には通常、数日から数週間かかります。給与支給サイクルに間に合わせるよう逆算して申請スケジュールを立てるとよいでしょう。番号を取得したら、速やかに人事担当者へ通知し、給与計算や税控除が正しく設定されるよう手続きを進めます。
将来的には、この番号がクレジット履歴や各種行政サービスの利用にも紐づきます。紛失時の再発行は時間を要するため控えを安全に保管しておくことが重要です。
住居や各種インフラ契約
【POINT】
- ●住居選定は通勤距離・治安・家賃補助の上限・家具有無・学区など主要条件をもとに候補を絞る
- ●物件探しは不動産エージェントや主要プラットフォームを活用し、契約条件(保証金・更新条件・修繕範囲)を必ず確認する
- ●契約時に必要な書類(パスポート、就労許可、収入証明、銀行情報)を整えておき、初期費用は余裕を持って準備する
- ●住居が決まったら電気・ガス・水道・ネット・携帯を順に契約し、インターネット開通まではモバイル回線で代替する
- ●支払い方法は銀行自動引落で統一し、請求サイクルや解約条件をメモに残して管理する
給与を受け取るためには現地銀行
生活を安定させるためには住居とインフラの整備が欠かせません。現地での本格的な生活を始める前に、通勤距離や治安、家賃補助の上限、家具の有無、学区などを基準にして候補を選定します。
物件探しでは、不動産エージェントやオンラインプラットフォーム(例:Rightmove、Zillow、PropertyGuruなど)を活用すると効率的です。企業のリロケーションサービスを利用できる場合は、契約条件の確認やトラブル防止にもつながります。契約時には、パスポート、就労許可証、収入証明、銀行情報、保証金(1〜2ヶ月分の家賃)が必要です。契約期間や更新条件、修繕責任の範囲も必ず確認しておきましょう。
住居が決まったら電気・ガス・水道・インターネット・携帯電話を順に契約します。電力やガスは自由化されている国もあり、料金体系や解約条件を比較して選択します。デポジットが必要なケースも多く、初期費用には余裕をもっておくと安心です。
インターネットは申し込みから開通まで1〜2週間程度かかるのが一般的です。開通までの間はポケットWi-Fiやモバイルルーターを一時的に利用する方法もあります。携帯電話は、空港で購入できるプリペイドSIMを使い、住所と身分証が揃い次第ポストペイド契約に切り替えるとコストを抑えられます。
これらの契約は支払い方法を銀行口座の自動引落に統一しておくと管理が容易になります。請求書の送付先と支払いサイクルを明確にし、解約手続きもメモに残しておくと後の転居時に役立ちます。
海外転職の税金・資産関連の手続きで失敗しないためのポイント
海外転職で年収が高い層ほど出国に伴う税金や資産管理の影響は大きくなります。退職や渡航の時期、各種届け出の有無によって、税負担が数十万〜数百万円単位で変動することもあります。特に、住民税や所得税の扱い、出国税の対象可否、退職金の受け取り方、そして証券・銀行口座の整理は、出国前に戦略的に判断すべき項目です。本章では、制度の原則と失敗しやすいポイントを整理し、最も合理的な対応方針を示します。
- ●住民税・所得税の「非居住者」の扱い
- ●「国外転出時課税(出国税)」の対象であるか
- ●退職金の受け取り方
- ●日本の証券口座・銀行口座の取り扱い
住民税・所得税の「非居住者」の扱い
住民税は「1月1日に日本に住所があるかどうか」で翌年度の課税が決まります。従って、12月31日までに出国すれば翌年6月以降の住民税は発生しませんが、1月1日を過ぎると翌年度分を丸々負担することになります。
また、出国後の所得税手続きでは「納税管理人の選任」または「準確定申告」のいずれかを選ぶ必要があります。納税管理人を設定すれば、代理人が日本国内で申告・納税を行えるため、現地からの書類対応が最小限で済みます。これを怠ると、税務署からの通知が届かず、期限後申告や延滞税が発生するおそれがあります。
典型的な失敗は、退職日と出国日をずらしてしまい「1月1日居住扱い」となったケース、あるいは納税管理人を選任せず通知を受け取れないケースです。対策としては、出国の2〜3ヶ月前に退職日を確定し、同時に納税管理人を決めて届出書を提出することが確実です。
「国外転出時課税(出国税)」の対象であるか
有価証券や株式、投資信託などの時価合計が1億円を超える場合、「国外転出時課税(出国税)」の対象となる可能性があります。過去10年のうち5年以上を日本居住として過ごしている方が該当し、出国時点で保有資産の含み益に課税されます。
課税方式には「即時納税」と「納税猶予」の2種類があります。猶予を選ぶ場合は資産を担保として提供し、税務署長の承認を得る必要があります。5年間(最長10年)猶予を受けられますが、帰国せずに資産を売却するとその時点で納税義務が発生します。担保評価が間に合わず猶予が認められないまま出国を迎えるケースが多いため、最低でも3ヶ月前には税理士と相談し、資産一覧と含み益を可視化しておくことが重要です。
特にストックオプションや未上場株を保有している場合、出国直前の上場や増資によって時価が急上昇し、想定以上の税額になるケースもあります。出国税は適用基準を超える資産を保有していないかを確認する段階から、早めに専門家を交えて計画的に対応する必要があります。
退職金の受け取り方
退職金は受け取るタイミングによって課税額が大きく変わります。居住者のまま受け取る場合は、退職所得控除後の金額に対してさらに1/2課税が適用され、実効税率は5〜10%前後に抑えられます。一方、非居住者になってから受け取ると控除がなく、20.42%の源泉徴収が行われるため、負担が数百万円単位で増えることがあります。
最も注意すべきは「支給日が出国後にずれ込む」ケースです。例えば退職が12月末でも支給が1月末であれば、出国後に非居住者扱いで課税されます。回避するには、退職日や支給日を調整し、出国日を支給後に設定することです。
また、ストックオプションの行使時期も税負担に直結します。出国前に行使すると総合課税(最大55%)ですが、出国後の行使は20.42%で済む場合があります。どちらが有利かは株価の変動リスクによって異なるため、税率だけで判断せず複数パターンを試算しておくとよいでしょう。
日本の証券口座・銀行口座の取り扱い
非居住者になると、多くの証券会社では新規の買付や積立が制限されます。放置したまま出国すると、後日ログインはできても取引が停止され、相場変動への対応ができないケースが多く報告されています。
対応策は、出国前に「非居住者でも保有可能な証券会社」へ移管することです。SBI証券、楽天証券、マネックス証券などは保有継続が可能で、新規買付のみ制限されます。手続きには1〜2ヶ月かかるため、出国の3ヶ月前には移管準備をはじめておくのが理想です。
銀行口座は維持できる場合が多いものの、住所変更と非居住者届を怠ると凍結リスクがあります。納税や国内支払いに使う口座はオンライン化し、国内連絡先を登録しておくと安全です。また、NISA口座は非居住者になると自動的に廃止扱いになるため、課税口座への移行手続きを出国前に完了させておきましょう。
海外転職の手続きに関してよくある質問・疑問
海外転職の準備では、時間・費用・語学の3点を正確に把握しておくことが重要です。どの要素も「想定外」が起きると計画全体が遅延するため、あらかじめ標準的な目安を理解しておくことが成功の第一歩となります。
- ●海外転職の手続きは全部でどれくらい時間がかかりますか?
- ●海外転職の手続きにかかる費用は総額でいくら必要ですか?
- ●語学力(英語力)は海外転職の手続きにどれくらい必要ですか?
海外転職の手続きは全部でどれくらい時間がかかりますか?
全体の目安は「標準6ヶ月、安全に進めるなら9〜12ヶ月、最短でも3ヶ月」が現実的です。就労ビザ取得には通常2〜3ヶ月、退職調整と引継ぎに1〜2ヶ月、住居・荷物の準備に1〜2ヶ月を要します。これらは並行処理が可能ですが、ビザ審査と退職日の確定が最も遅延要因となりやすい工程です。
出国スケジュールは、まず「渡航日」を決め、そこから逆算して各手続きを組み立てます。退職日は3ヶ月前、ビザ申請は2〜3ヶ月前、引越しや荷物発送は1〜2ヶ月前に着手するのが目安です。特に家族帯同や学校調整が必要な場合は、1年単位で準備期間を確保するのが望ましいでしょう。
海外転職の手続きにかかる費用は総額でいくら必要ですか?
費用の目安は「単身で30〜80万円、家族帯同で100〜200万円程度」です。主な項目は、航空券(10〜30万円)、初期住居費(10〜30万円)、ビザ申請(3〜10万円)、引越し・荷物輸送(5〜15万円)です。家族帯同の場合、航空券と住居費が増え、家具や荷物量に応じてさらに上振れします。
費用を抑えるには、荷物を最小限にして現地調達する、航空券を平日や経由便にする、渡航初期は短期賃貸で生活を始めるなどが有効です。また、勤務先が負担してくれる項目(航空券、仮住まい、引越し費用など)を早めに確認し、自己負担額を正確に把握しておくことも大切です。
語学力(英語力)は海外転職の手続きにどれくらい必要ですか?
手続き段階では高度な英語力は不要です。役所や保険、引越し関連は日本語または定型英文で対応でき、Google翻訳や行政書士のサポートを活用すれば十分です。出国準備期間中は、書類対応に集中し、英語学習は最小限で構いません。
ただし、現地生活や勤務開始後は英語が不可欠です。生活手続きや買い物にはTOEIC600点前後、職場コミュニケーションには700〜800点、マネジメント層や海外顧客との折衝には800点以上が目安です。出国6ヶ月以上前に余裕があれば、基礎文法とリスニングを中心に学習し、渡航後は実践的な会話力をオンライン英会話などで鍛えると効果的です。
海外転職ならJAC Recruitment
海外転職を成功させるには、各国のビザ制度や税制、生活インフラなど複雑な手続きを正確に把握し、同時にキャリア面での最適な選択を行う必要があります。特に現地就労の条件や赴任時期の調整は個人だけでは判断が難しく、専門的な知見をもつ支援が不可欠です。
JACには、海外転職支援に特化したコンサルタントが多数在籍し、各国の採用事情や企業文化、ビザ要件までを一貫してサポートしています。現地法人とのネットワークを生かし、即戦力ポジションからグローバルマネジメント層まで幅広い選択肢を提示できる点も強みです。
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