内部監査士は転職で有利に働く?内部監査士が生かせる最新求人も紹介

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公開日:2025/08/05 / 最終更新日: 2025/08/05

内部監査の理論と実務に関する専門的な知識と能力を証明する資格(称号)が、内部監査士(QIA)です。

本記事では、内部監査士が生かせる転職先候補や内部監査士が生かせる最新求人・転職情報をJAC Recruitmentが解説いたします。

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内部監査士は転職で有利に働くのか


一般社団法人日本内部監査協会が認定する内部監査士は、同協会が主催する内部監査士認定講習会を修了し、論文審査の合格を経て授与される資格であり、本資格を保有することで学識・実務経験・倫理観を備えた監査実務者であることを証明できます。

近年、企業のコンプライアンス意識の高まりや、J-SOXに代表される内部統制システムの強化が経営の重要課題となるなかで、多くの企業が内部監査部門や内部統制部門の拡充を進めています。このような背景から、内部監査に関する専門知識やスキルをもつビジネスパーソンへの採用ニーズは顕著に増加傾向を示しています。
そのため、内部監査の専門知識と能力を証明する内部監査士の資格があれば、多くの企業で高く評価されると考えられます。加えて、内部監査に関する実務経験があれば、即戦力として活躍できるとして、採用選考で優遇される可能性もあります。

ただし、内部監査士は日本国内に限定した資格であるため、グローバル企業や外資系企業への転職では、世界的に認知されているCIA(公認内部監査人)の方が、選考時により有利に働く場合があります。従って、今後より広範なキャリアを目指す場合は、内部監査士の取得を足掛かりとして、CIAやCISAなど国際資格の取得を目指すのもよいでしょう。

出典:一般社団法人日本内部監査協会

>> CIA(公認内部監査人)資格は転職で有利に働く?CIA資格が生かせる最新求人も紹介

内部監査士が生かせる転職先候補


本章では、内部監査士が生かせる、次の2つの転職先候補について解説します。

● 事業会社の内部監査部門
● 金融機関の内部監査部門(金融内部監査士の場合)

事業会社の内部監査部門

事業会社の内部監査部門は、内部監査士の知識と経験を直接的に生かせる代表的な転職先です。内部監査部門では、経営活動全般の妥当性や効率性を客観的に評価し、助言・勧告を行うなどの役割を担います。
内部統制やガバナンス強化の重要性が高まる昨今においては、製造業や小売業、サービス業、IT企業など、業種を問わず多くの企業が内部監査部門を設置しています。具体的な業務としては、年度監査計画の策定や各部門への往査、監査調書の作成、監査報告書の作成と経営層への報告などが挙げられ、一連の内部監査プロセスに主体的に関与します。

内部監査士は、認定講習会で得た体系的な知識や実務で培った監査スキルを生かして、業務プロセスの改善、リスク管理体制の強化、コンプライアンス遵守の徹底など、企業価値向上に不可欠な業務に貢献できるため、多くの企業から求められています。
特に、内部統制制度(J-SOX)への対応強化を図る企業では、経理・財務・IT領域にまたがる広範な知見をもち、改善提案まで行える内部監査士へのニーズが高まっています。企業規模や業種によって監査の重点項目や進め方は異なりますが、経営の健全性と効率性を追求するという本質的な役割は共通しており、内部監査士としての専門性を存分に発揮できる環境があります。

>>内部監査の転職事情

金融機関の内部監査部門(金融内部監査士の場合)

金融機関における内部監査部門は、リスク管理体制や法令遵守体制の整備・運用に対する評価を通じて、ガバナンスを強化する役割を担います。特に銀行・証券・保険などでは、業務の公共性や社会的影響の大きさから、極めて高度なリスク管理体制と内部統制システムが厳格に求められます。
このような環境下において、金融内部監査士の資格は高い専門性と信頼性を裏付ける要素となり、監査ポジションへの転職を目指す際に有利に働くと考えられます。

実際の業務では、ローン審査プロセスの適正化や顧客情報管理の法令遵守、マネーロンダリング対策の体制評価など、複雑かつ機微なテーマを扱う場面が多く、監査における倫理観・分析力・報告力が問われます。また、金融業界は業務が細分化していることが多いことから、市場リスクや信用リスク、オペレーショナルリスクなどの特定領域において高度な専門知識をもち合わせていると、採用選考で優遇されることがあります。
また、コンプライアンス強化やシステム監査ニーズの増加を受けて、IT監査やデジタル分野との連携経験をもつ金融内部監査士の需要も増加しています。資格取得後のキャリアアップ先としては、システムリスク監査や外部監査法人との橋渡し役など、キャリアの広がりが期待できます。

内部監査士が生かせる最新求人・転職情報


近年、企業統治やリスク管理の重要性が一段と高まるなかで、内部監査士資格を保有するビジネスパーソンに対する需要は着実に拡大しています。特にJ-SOXの改正を受けて、単なる監査手続きの遵守ではなく、「リスクベースアプローチ」に基づいた監査経験も重視されるようになっており、形式的なチェックだけでなく、企業が抱える重要なリスクを識別し、それに対応する監査計画を策定・実行できる能力が評価の対象になりつつあります。
加えて、ITシステムへの依存度が高まっていることから、情報システム監査(IT監査)のスキルや経験、さらにはサイバーセキュリティや個人情報保護など、クロスファンクショナルな専門性を備えるビジネスパーソンへの採用ニーズも顕著に表れています。

また、監査実務経験者の慢性的な不足を背景に、近年では育成を前提に未経験者を採用する企業も増えています。特に大手企業では、内部統制や情報セキュリティに関連する経験者を異分野から迎え入れるケースもあり、情報システム部門の管理者や社内システム開発の経験者が、その専門性を生かして社内監査部門へ未経験で転職する事例なども見受けられます。

ただし、転職においては、必ずしも内部監査士の資格が求められるわけではない点には、留意が必要です。内部監査士の資格を歓迎要件と明記している求人もあり、採用選考では、資格の保有だけに限らず、ポテンシャルやポータブルスキル、業界知識など、総合的に採否が判断されることを理解しておきましょう。

ここからは、内部監査士の資格が生かせる最新求人・転職情報を紹介します。
なお、本記事で紹介している求人は、JACが取り扱う求人の一部です。JACが取り扱う求人は、大半が非公開となっています。そのため、非公開求人も含め内部監査士の資格が生かせる求人の紹介を受けたい方は、ぜひJACにご登録ください。
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※求人の募集が終了している場合もございます。ご了承ください。(2025年6月最新)

内部監査士を生かした転職後の年収目安


厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、内部監査人の平均年収は約513.5万円とされています。ただし、本数値はあくまで統計上の平均値であり、実際には大手企業や金融機関を中心に、より高い報酬を提示する求人が多数見られるなど、企業規模や経験などに応じて得られる年収額は異なります。特に上場企業や外資系企業では、J-SOX対応やグローバルガバナンス強化への対応が急務となっており、実務経験と専門性を備えた内部監査人に対しては、高額の年収を提示するケースも少なくありません。

具体的な年収相場としては、メンバークラスで700万〜900万円、課長クラスで800万〜1,300万円、さらに部長クラスになると1,000万〜1,800万円程度が目安となります。
また、職務内容やプロジェクトの責任範囲が年収に影響することもあります。さらに、近年は非財務情報やESG関連の監査ニーズも高まりつつあるため、トレンド領域の知見に長けている場合、報酬が上がる可能性もあります。

出典:「内部監査人」job tag(厚生労働省職業情報提供サイト)

【年代別】内部監査士を生かして転職を成功させるポイント


ここでは、内部監査士を生かして転職を成功させるために意識したいポイントを、年代別に解説します。

20代で内部監査士を生かして転職を成功させるポイント

20代で内部監査士の資格を生かして転職を目指す場合、企業は転職希望者の基礎的な素養や今後の成長性に期待を寄せます。そのため、採用選考では、なぜ内部監査の仕事に興味をもったのか、内部監査士の資格取得を通じて何を学び、今後どのように生かしていきたいのかを明確に伝えることが重要です。また、柔軟な適応力や新しい業務への積極性も評価の対象になることを理解しておきましょう。

転職先を選定する際は、研修制度が充実している企業や、OJTを通じてじっくりと実務を学べる環境がある企業を選ぶことを推奨します。また、規模の大きな企業であれば多様な監査業務に触れられる機会があり、中小企業やベンチャー企業であれば若いうちから責任ある業務を任されるなど、企業規模によっても環境が大きく異なります。そのため、自身のキャリアプランと照らし合わせて、どのような環境で専門性を高めていくべきかを、じっくり考えることが大切です。

30代で内部監査士を生かして転職を成功させるポイント

30代は、これまでの職務経験で培ってきた専門性と、即戦力としての実務遂行能力が主に問われます。
転職活動では、自身の監査スキルをどう活用して組織に付加価値をもたらすかを具体的に示すことが重要です。特にJ-SOX対応やリスクアセスメント、業務フロー見直しに関与した実績があれば、選考での説得力は格段に高まると考えられます。

転職先を選定する際は、自身の専門性をより深められるか、あるいはマネジメント経験を積む機会があるかなど、キャリアアップの視点をもつことが重要です。監査だけにとどまらず経営企画やリスク管理といった周辺領域にも挑戦できる機会を提供する企業を選ぶのも一つの方法です。
30代はキャリアの幅を広げるか、専門性を深めるかの分岐点でもあるため、自身のキャリアビジョンを明確に描き、思い描いたビジョンに即した企業選びを意識しましょう。

40代で内部監査士を生かして転職を成功させるポイント

40代の転職では、内部監査士の資格そのものよりも、資格取得の過程で得た知識をどのように実務へ落とし込み、組織に価値を提供してきたかという実績が重視されます。企業は40代の転職希望者に対して、単に監査業務を遂行するだけでなく、内部監査部門の戦略立案や監査計画の策定・指揮、若手監査担当者の育成、そして経営層への提言など、より上位の機能を担う役割を期待します。

従って、採用選考では、過去の監査業務においていかに経営判断に資する示唆を提供してきたか、コンプライアンス体制の構築や不正リスクへの対応でどのようなリードを取ったかなど、過去のマネジメント経験やプロジェクトリーダーとしての実績、複雑な問題を解決に導いた経験などを具体的に示すことがポイントです。加えて、40代は企業文化とのフィット感や人間関係構築力も評価の対象になるため、周囲との協働によるプロジェクト成功例などをアピールすることも意識しましょう。さらに、近年のリスクベース監査やITガバナンス領域への適応力を示すことで、変化に強いビジネスパーソンであることを印象付けることが可能となります。

転職先を選定する際は、自身の経験を最大限に生かせるポジションを見極めることが大切です。例えば監査部門の責任者やそれに準ずる役割を担えるか、あるいは海外監査、M&A関連監査、DX推進にともなうシステム監査など、特定の専門分野で深い知見を発揮できる環境であるかを見極めましょう。

50代で内部監査士を生かして転職を成功させるポイント

50代は、内部監査士の資格を保有していることが専門性の裏付けとして有効に働きますが、それ以上にこれまでのキャリア全体にわたる貢献実績とマネジメント力が評価対象となります。

企業は50代の転職希望者に対して、プレイングマネージャーとしての役割に加え、経営陣に対して直接的な助言を行うことや、内部監査部門全体の品質向上、次世代の育成など、より戦略的かつ指導的な役割を期待しています。
そのため、採用選考では、これまでのキャリアを通じてどのような困難な課題を乗り越え、企業価値の向上に貢献してきたのか、具体的な事例を交えながら説得力のあるエピソードを語ることが重要です。特に、危機管理対応の経験、大規模な組織改革を主導した経験、あるいは特定の業界における深い知見や広範な人脈などは、ほかの年代にはない強みとして高く評価されると期待できます。

転職先を選定する際は、役職定年や定年延長などの制度が絡むことから、将来的な処遇に対して現実的な折り合いをつけられる柔軟性が必須となります。一方、情報セキュリティやESG監査など、専門的ニーズの高まりに対応できる経験をもっていれば、シニア層でもポジションを確保しやすい傾向があります。そのため、業務実績を棚卸しする際は、今トレンドとして注目されている監査テーマに対応した経験を重点的に洗い出すことを意識しましょう。

内部監査士保有者の転職事例


本章では、JACが提供する転職支援サービスを利用し、転職を成功させた内部監査士保有者の事例を紹介します。

内部監査士として安定的なキャリアの継続と収入アップを実現した転職事例

Nさん(50代後半/男性)

 業種職種年収
転職前EMC(化学)内部統制・監査1,300万円
転職後EMC(機械・装置)内部統制・監査1,700万円

現職にて長年にわたり内部監査業務に従事してきたNさんは、50代を迎え今後のキャリア継続に不安を抱くようになりました。内部監査部門の責任者として組織マネジメントにも携わっていましたが、専門性を高めながらも安定した雇用環境で力を発揮できる場を求め、転職活動を開始したとのことです。

Nさんの強みは、国内外拠点における業務監査の実務経験と、J-SOX対応を含む内部統制分野の豊富な知見です。加えて、複数の高度な関連資格を有しており、監査スキルだけでなく、コンプライアンス推進力や部門マネジメントの実績も高く評価されていました。

JACのコンサルタントは、Nさんの監査に対する高い専門性とマネジメント経験を評価し、次のステージにふさわしい企業を精査。企業規模や監査機能の位置づけ、今後の成長戦略といった要素まで丁寧に擦り合わせたうえで、モノづくり領域でグローバルに事業展開する企業の内部監査ポジションを提案しました。

内部監査体制をより強化したいという企業の採用ニーズとも一致し、最終的に入社へと至ったNさんは、今回の転職を機に、前職以上の年収を達成するとともに、今後のキャリアの継続においても安定的な雇用を実現しました。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

内部監査士としてエネルギー業界の内部統制・監査へ転職した事例

Mさん(40代前半/男性)

 業種職種年収
転職前EMC(化学)内部統制・監査900万円
転職後EMC(エネルギー・プラント)内部統制・監査1,350万円

システムエンジニアとしてキャリアをスタートさせたMさんは、その後メーカーへと転職し、社内SEや会計システムの導入、J-SOX対応など、企業の基幹業務に深く関与してきました。途中、内部監査部に異動となり、国内外の拠点や部門を対象とした監査業務を担当する過程で、内部統制・監査のスペシャリストとしてのキャリアを着実に築いていきました。

現職では、コンプライアンス施策のプロジェクトをリードするなど、経営と現場をつなぐ立場として活躍を続けていましたが、自身の経験や知見をより生かせる環境を求めるようになりました。さらなるキャリア・スキルアップが実現するのであれば、チャレンジしてみたいという前向きな気持ちが転職を後押ししました。

JACのコンサルタントは、Mさんの業務改善力と内部統制に関する知見が社会インフラを担う企業でも高く評価されると考え、経営監査を担うポジションを提案しました。結果的に、Mさんの幅広い監査経験と社内外の関係者を巻き込んだプロジェクト推進力が高く評価され、内定を獲得し、希望に沿った転職を実現できました。

今回の転職は、内部監査士としての専門性と変化を前向きに捉えるMさんの姿勢が高く評価された事例であり、大幅な年収アップも企業からの高い評価と期待のあらわれといえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

内部監査士として広告業界に転身した転職事例

Kさん(40代後半/男性)

 業種職種年収
転職前IT・通信内部統制・監査1,000万円
転職後広告内部統制・監査1,000万円

Kさんは、リーダーとして、監査の実施計画から報告書の作成、経営層への報告まで一貫して担ってきた実績をもちます。内部監査士をはじめ、関連する専門資格の取得に励むなど、その勤勉な姿勢は、周囲から高く評価されていました。
転職を検討し始めた背景には、新しい環境で自身の力を試したいという強い思いがありました。
より規模が大きく、監査組織体制が強固に築かれた環境で自身の専門性を試したいという思いが転職活動を開始する後押しとなり、JACに登録されました。

JACのコンサルタントは、Kさんの法務・監査の実務経験に加え、相手の立場に立って信頼関係を築いてきた対人スキルに着目しました。Kさんとの対話を重ねるなかで、変革を進める広告企業の監査部門において監査手法の見直しやチームの牽引役として貢献できると判断し、グループ監査本部のチームリーダーポジションを提案。Kさんはこの提案を受け、異なる業界であっても、自身の経験を生かせる点と、新たな成長機会が得られる点に魅力を感じ、転職を決意しました。
本事例は、業界を越えて監査スキルを展開し、マネジメントを見据えたキャリアを築いた好例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。