近年、金融業界では40代の転職も活況です。デジタル化や規制対応、経営戦略の転換など、業界構造の変化が進む中で、即戦力かつ高い専門性をもつ40代のプロフェッショナルに対するニーズが高まっています。
本記事では、JAC Recruitment(以下、JAC)が保有するデータをもとに、40代の金融業界における転職動向や求められるスキル、年収傾向、成功事例を詳しく解説します。
目次/Index
金融業界40代の転職動向
40代の転職市場では、経営環境の変化にともない、企業が求める人材像も大きく変化しています。特に以下のような背景が顕著です。
- ・ 事業再編・新規事業立ち上げ
中堅〜大手金融機関では、既存事業の見直しや新規事業の立ち上げが進んでおり、戦略立案から実行まで担える方が求められています。
- ・ ガバナンス・リスク管理の強化
規制強化やESG対応の流れを受け、リスク管理やコンプライアンス、内部監査の経験者に対するニーズが高まっています。
- ・ デジタル化・DX推進
金融×テクノロジーの融合が進む中で、IT戦略やシステム刷新をリードできる方が重宝されています。
特に40代は、プレイングマネージャーとしての実行力と、経営視点をもった判断力の両立が期待される世代です。企業は、単なる経験年数ではなく「変革を推進できるかどうか」を重視する傾向にあります。
金融業界40代に求められるスキル・経験
40代の転職市場では、単なる実務遂行力ではなく、組織や事業を“動かす力”が問われます。以下では、30代とは異なる視点で、40代に求められるスキル・経験を3つの観点から整理します。
1. 経営視点 × 変革推進力
40代には、現場の実務だけでなく、経営層と同じ目線で課題を捉え、変革を推進する力が求められます。特に以下のような経験が評価されます。
- ・ 経営戦略の立案と実行
- ・ 事業再編や新規事業立ち上げのリード経験
- ・ ガバナンス・リスク管理体制の構築・強化
これらは、単なる「管理職」ではなく、「経営の一翼を担う存在」としての期待の表れです。
2. 専門性の深化 × 高度な技術理解
40代では、特定領域における専門性の深さが差別化要素となります。加えて、テクノロジーの進化に対応できる柔軟性も不可欠です。
- ・ 金融×テクノロジー領域での実務経験(FinTech、AI活用、データ分析など)
- ・ システム刷新やDX推進のプロジェクトマネジメント
- ・ サイバーセキュリティやクラウドインフラの知見
「専門性の深さ」と「技術理解の広さ」の両立が、40代の市場価値を高めます。
3. リーダーシップ × 組織変革
40代は、チームを率いるだけでなく、組織文化や業務プロセスそのものを変革する役割が期待されます。
- ・ プレイングマネージャーとしての実行力と育成力
- ・ 組織横断的なプロジェクト推進経験
- ・ 多様なステークホルダーとの合意形成・調整力
単なる「管理」ではなく、「変革の担い手」としてのリーダーシップが問われます。
このように、40代では「経営に近い視座」「専門性の深化」「組織を動かす力」が三位一体で求められます。30代の延長線ではなく、より戦略的かつ構造的な貢献が期待される点が大きな違いです。
金融業界40代の平均年収
■ 40代全体の平均年収
- 1,091.6万円
この水準は30代の平均(911.6万円)と比較して約180万円高く、マネジメント経験や専門性の深化が報酬に反映されていることがうかがえます。
>> 金融業界30代の転職事情|平均年収や求められるスキル経験を解説
■ 役職別平均年収
| 役職区分 | 平均年収 |
|---|---|
| 課長未満 | 952.5万円 |
| 課長以上 | 1,204.9万円 |
| 部長以上 | 1,618.1万円 |
| 本部長以上 | 2,148.0万円 |
役職が上がるごとに年収は大きく上昇し、特に本部長クラスでは2,000万円を超える水準となっています。これは、経営層に近い立場での意思決定や、全社的な戦略推進に関与する責任の重さが報酬に反映されているためです。
■ 企業属性別平均年収
| 企業タイプ | 平均年収 |
|---|---|
| 外資系 | 1,078.8万円 |
| 日系 | 1,093.6万円 |
外資系企業では成果主義に基づく報酬体系が一般的であり、短期的な成果やプロジェクト単位での貢献が年収に直結しやすい傾向があります。一方、日系企業では昇進や職責の拡大に応じた安定的な年収上昇が見られ、長期的なキャリア形成を志向する方に適しています。
■ 転職者が多い職種別平均年収(抜粋)
| 職種名 | 平均年収 |
|---|---|
| IT系プロジェクトマネージャー | 1,093.9万円 |
| 不動産金融 | 1,291.8万円 |
| 金融ミドルバックオフィス | 893.5万円 |
| 社内SE(インフラ) | 916.3万円 |
| ストラクチャードファイナンス | 1,265.6万円 |
| ファンドマネージャー・アナリスト | 1,406.0万円 |
| 事業企画・事業開発 | 1,106.7万円 |
| リスク管理 | 1,152.6万円 |
このデータからは、IT・金融専門職・企画系などの高度専門職が高年収帯に集中していることがわかります。特に、ファンド運用やストラクチャードファイナンスなどの分野では、専門性の高さと市場価値の高さが年収に直結しています。

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金融業界40代の転職を成功させる5つのポイント
40代の転職では、単なるスキルの棚卸しではなく、「どのように組織に貢献できるか」「どのような変革を導けるか」という視点が重要になります。以下では、40代ならではの転職成功の鍵を5つの観点から整理します。
1. 経営貢献力の言語化
40代では、業務遂行力だけでなく「経営にどう貢献できるか」を語れることが求められます。例えば、収益構造の改善、事業ポートフォリオの見直し、コスト最適化など、経営課題に対してどのような視座と打ち手をもっていたかを具体的に伝えることが重要です。
2. 組織変革の実績と再現性
単なるプロジェクト経験ではなく、「変革をどう起こしたか」「どのように周囲を巻き込んだか」といったプロセスと成果の両面が問われます。特に、レガシーな業務や文化を刷新した経験は、金融業界において高く評価されます。
3. 専門性の深化と横展開力
40代では、特定領域における専門性の深さはもちろん、それを他部門や他業界に応用・展開できる力も重要です。例えば、リスク管理の知見を経営企画に生かす、IT知識を営業戦略に応用するなど、専門性を“経営資源”として活用できることが差別化要素になります。
4. キャリアの軸と今後の貢献領域の明確化
これまでのキャリアを「点」ではなく「線」として語ることが求められます。どのような価値観や意思決定軸でキャリアを築いてきたのか、そして今後どのような役割で組織に貢献したいのかを明確にすることで、企業側も採用後の活躍イメージを描きやすくなります。
5. 情報の質と戦略的キャリア形成
40代の転職では、求人票に現れない「企業の本音」や「組織の課題」を読み解く力が重要です。業界動向や企業の中長期戦略を踏まえ、自身の経験がどのポジションで最も生きるかを見極める“戦略的なキャリア形成”が、成功確率を大きく左右します。
このように、40代の転職では「即戦力」だけでなく、「変革の担い手」としての視点と実績が問われます。30代とは異なる“経営的視座”をもった自己分析とアピールが、成功の鍵となります。
金融業界40代の転職事例
40代の転職では、即戦力性と変革推進力が評価される傾向にあります。以下に3つの成功事例をご紹介します。
事例①:証券会社の法人営業から不動産投資会社のアクイジションへ
Iさん(男性/40代前半)
| 転職前 | 転職後 | |
|---|---|---|
| 業種 | 証券会社 | 不動産投資会社 |
| 職種 | 法人営業 | 不動産金融 |
| 年収 | 約1,250万円 | 約1,900万円 |
Iさんは、証券会社での法人営業をはじめ、不動産仲介、国内外のアクイジション、ファンド運用など、20年近くにわたり不動産金融の第一線で活躍されてきた方です。豊富な実績をお持ちでありながら、前職では「安定はあるが挑戦が少ない」「投資家よりもスポンサーを優先する体制に違和感がある」といった課題を感じておられました。
JACでは、Iさんのキャリアの深さと志向性を丁寧にヒアリングし、「投資家本位」「裁量の大きさ」「グローバルな視点を生かせる環境」といった希望条件を明確化。その上で、アクイジション業務を中心に、ファンド組成や投資家提案まで担えるポジションをご提案しました。選考過程では、海外での実務経験や英語力、主体的にキャリアを切り拓いてきた姿勢が高く評価され、課長クラスでの採用が決定。年収も大幅にアップする結果となりました。
Iさんのように、経験豊富な40代の方が「次の10年」を見据えて環境を選び直す際、JACのような第三者の視点が入ることで、より納得感のあるキャリア選択が可能になります。
事例②:政府系金融機関のプロジェクトファイナンスから保険会社のストラクチャードファイナンスへ
Gさん(男性/40代後半)
| 転職前 | 転職後 | |
|---|---|---|
| 業種 | 政府系金融機関 | 保険会社 |
| 職種 | プロジェクトファイナンス | ストラクチャードファイナンス |
| 年収 | 約1,000万円 | 約1,500万円 |
Gさんは、公共性の高い金融機関にて、国際協力やエネルギー関連のプロジェクトファイナンス、管理部門でのマネジメントなど、多岐にわたる業務を経験されてきました。海外駐在経験もあり、欧州の政策動向や脱炭素分野に関する知見を有するなど、グローバルな視点と高い専門性を兼ね備えた方です。
転職のきっかけは、「社会課題により近い立場で、事業の方向性に関与したい」という思いでした。JACでは、Gさんのキャリアの広がりと志向性を丁寧に整理し、金融機関の中でもグローバルな投融資を展開する保険会社のポジションをご提案。選考では、国際交渉力や再エネ分野への理解、チームマネジメント経験が高く評価され、ストラクチャードファイナンス部門での採用が決定しました。
JACは、官民をまたぐキャリアの橋渡しや、専門性を生かした新たな挑戦の場を見出す支援が強みです。Gさんのように「社会貢献性」と「事業性」の両立を目指している方は、ぜひご相談ください。
事例③:証券会社のファンドマネージャーから同業他社の資産運用部門へ
Hさん(男性/40代後半)
| 転職前 | 転職後 | |
|---|---|---|
| 業種 | 証券会社 | 証券会社 |
| 職種 | ファンドマネージャー | ファンドマネージャー |
| 年収 | 約1,200万円 | 約1,350万円 |
Hさんは、長年にわたりファンドマネージャーとして活躍され、数兆円規模の資産を運用するなど、業界内でも高い評価を得てきた方です。運用パフォーマンスは安定しており、情勢分析力やリスク管理能力にも定評がありました。一方で、同じ業務を長く続けてきたことによるキャリアの停滞感や、社内異動の機会が限られていることへの不安を感じていました。
JACでは、Hさんの運用実績やシステム理解、そして「より広い裁量を持ち、組織の中核で活躍したい」という志向を丁寧にヒアリング。複数の選択肢の中から、富裕層や機関投資家向けの資産運用を担うポジションをご提案しました。選考では、長年の運用経験に加え、プレッシャーの強い環境で成果を出し続けてきた安定感が評価され、室長候補としての採用が決定。年収も希望を上回る水準で転職されました。
Hさんのように、専門性を極めた40代の方が「次のステージ」を見据えて環境を見直す際、JACのような第三者の視点が入ることで、より納得感のあるキャリア選択が可能になります。
金融業界40代の転職ならJAC
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